高齢者における血中濃度の連続測定で、魚由来のオメガ3系多価不飽和脂肪酸(n3-PUFA:エイコサペンタエン酸[EPA]、ドコサペンタエン酸[DPA]、ドコサヘキサエン酸[DHA])、EPA、およびDPA(魚由来のDHAや植物由来のα-リノレン酸ではない)の上積みが認められると、健康長寿(healthy ageing)でいられる可能性が高いことが明らかにされた。米国・タフツ大学のHeidi TM Lai氏らによる前向き長期コホート研究(Cardiovascular Health Study)の結果で、BMJ誌2018年10月17日号で発表された。健康長寿は、慢性疾患、認知・身体機能障害がない生存として定義される。魚および植物由来のn3-PUFAは、生理機能に良好な影響を及ぼし、健康長寿に有益である可能性が示唆されていた。また、自己申告に基づく食事性のn3-PUFA高値とベースラインバイオマーカーとしてのn3-PUFA高値は、心血管疾患のリスクと逆相関することが示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「高齢者は、さらなるn3-PUFAを含む食事(魚)の摂取を、というガイドラインを支持する結果であった」とまとめている。
平均74.4歳の健康長寿高齢者のn3-PUFA値を1992~2015年追跡測定
検討は米国内4地域で1992~2015年の間に行われ、n3-PUFAの連続測定値と健康長寿の関連が調べられた。参加者は、1992~93年のベースライン時に健康長寿が認められた2,622例で、平均年齢は74.4歳(SD 4.8)、女性63.4%であった。
被験者の血漿リン脂質n3-PUFA値をガスクロマトグラフィで、1992~93年、1998~99年、2005~06年に測定し、植物由来のα-リノレン酸、魚由来のEPA、DPA、DHAなど全脂肪酸を%算出した。
主要評価項目は健康長寿で、慢性疾患(心血管疾患、がん、肺疾患、重度CKDなど)や認知・身体障害のない生存、またはその他の要因(65歳以降の健康長寿アウトカムの一部ではない)による死亡と定義した。イベントについては、医療記録や診断検査に基づき中央で判定または確定した。
n3-PUFAの高値群の非健康長寿リスクは18%低下
線形モデルを用いた評価において、長鎖n3-PUFAの高値群ほど非健康長寿リスクは低い傾向がみられ、時間変化曝露および共変量で多変量調整後の五分位範囲で18%(95%信頼区間[CI]:7~28%)の低下が認められた。
個別にみると、DHAでは関連がみられなかったが、EPAおよびDPAではリスク低下との関連が認められた(それぞれ15%[6~23]、16%[6~25])。植物由来のα-リノレン酸は非健康長寿と関連していなかった(ハザード比:0.92、95%CI:0.83~1.02)。
(ケアネット)