低LDL-C・SBP値に関連の遺伝子変異体、CVリスクを減少/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2019/09/26

 

 低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値・収縮期血圧(SBP)値の低下に関連する遺伝子変異体を有する人は、心血管リスクが有意に低いことを、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らが、約44万人のバイオバンク登録者を追跡し明らかにした。これまで、LDL-C値とSBP値がより低いことと心血管疾患リスクとの関連は完全には定量化されていなかった。JAMA誌オンライン版2019年9月2日号掲載の報告。

遺伝的LDL-C・SBPスコアにより被験者を4群に分類
 研究グループは、2006~10年に英国バイオバンクに登録した43万8,952人について、2018年まで追跡調査を行った。被験者を、遺伝的LDL-Cスコアと遺伝的SBPスコアにより、それぞれの中央値以下・超で4群に分け、両スコアともに中央値以下の群を基準群とした。

 主要アウトカムは主要冠動脈イベント(冠動脈死、非致死的心筋梗塞、冠動脈血行再建術のいずれかの発生で定義)のオッズ比(OR)。低LDL-C値、低SBP値、またはその両者の生涯曝露との関連を検証した。

両スコアが高い群の冠動脈イベントリスクを低下する定量値が明らかに
 被験者43万8,952人の平均年齢は65.2歳(範囲:40.4~80.0)、女性は54.1%だった。2万4,980人に初回主要冠動脈イベントが発生した。

 基準群に比べ、遺伝的LDL-Cスコアが中央値超の群では、LDL-C値の14.7mg/dL低下で、主要冠動脈イベント発生に関するORは0.73だった(95%信頼区間[CI]:0.70~0.75、p<0.001)。また、遺伝的SBPスコアが中央値超の群では、SBP値の2.9mmHg低下で、主要冠動脈イベント発生に関するORは0.82だった(同:0.79~0.85、p<0.001)。

 遺伝的LDL-Cスコア・遺伝的SBPスコアともに中央値超の群では、LDL-C値は13.9mg/dL、SBP値は3.1mmHg低下することで、同オッズ比が0.61となることが示された(95%CI:0.59~0.64、p<0.001)。

 4×4要因デザイン解析の結果、両遺伝的スコアの増加とLDL-C値・SBP値の低下は、用量依存的に主要冠動脈イベントリスクを低下することが示された。また、メタ回帰分析の結果、LDL-C値の38.67mg/dL低下とSBP値の10mmHg低下により、主要冠動脈イベント発生に関するORは0.22(95%CI:0.17~0.26、p<0.001)に、心血管死の同ORは0.32(同:0.25~0.40、p<0.001)に低下することが示された。

 ただし今回の結果について著者は、「リスク因子の治療による達成可能なベネフィットの大きさを意味するものとは言えない」と指摘している。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 石川 讓治( いしかわ じょうじ ) 氏

東京都健康長寿医療センター 循環器内科 部長

J-CLEAR推薦コメンテーター