リポ蛋白(a)値が高く心血管疾患を有する患者に対して、肝細胞直接作用型アンチセンスオリゴヌクレオチドAKCEA-APO(a)-LRx(APO(a)-LRx)の投与は、用量依存的にリポ蛋白(a)値を低下することが示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のSotirios Tsimikas氏らが、286例を対象に行った第II相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、明らかにされた。リポ蛋白(a)値は遺伝的に規定されており、上昇が認められる場合は心血管疾患および大動脈弁狭窄症のリスク因子となることが報告されている。しかしリポ蛋白(a)値を降下させる承認治療薬はないのが現状である。NEJM誌オンライン版2020年1月1日号掲載の報告。
6ヵ月後のリポ蛋白(a)値のパーセント変化を比較
研究グループは、心血管疾患の診断を受け、リポ蛋白(a)値が60mg/dL(150nmol/L)以上の18~80歳の患者を対象に試験を行った。
被験者を、APO(a)-L
Rxを20mg、40mg、60mg(いずれも4週ごと)、20mgを2週ごと、または20mgを毎週投与する5群に無作為に割り付けた。各群の6分の1の被験者には実薬ではなくプラセボを皮下投与した(いずれも投与期間は6~12ヵ月間)。
リポ蛋白(a)値の測定は、アイソフォームに依存しない試験法で測定。主要エンドポイントは、リポ蛋白(a)値のベースラインから6ヵ月後(4週ごと投与群は25週時点、より頻回投与群は27週時点)のパーセント変化とした。
リポ蛋白(a)値、用量依存的に35~80%減少
適格患者286例が、2017年3月27日~2018年1月16日に無作為化を受けた。被験者の平均治療期間は実薬群が31.6±11.5(中央値32.1)週間、プラセボ群が31.2±12.0(34.0)週間で、約60%が65歳未満、女性が30%超であった。6群(実薬5群とプラセボ群)のベースラインのリポ蛋白(a)値の中央値は、204.5~246.6nmol/Lだった。
APO(a)-L
Rx投与は、用量依存的にリポ蛋白(a)値を低下することが認められた。20mg(4週ごと)投与群の平均パーセント低下値は35%、40mg(4週ごと)投与群は56%、20mg(2週ごと)投与群は58%、60mg(4週ごと)投与群は72%、20mg(毎週)投与群は80%だったのに対し、プラセボ群は6%だった(対プラセボのp=0.003~<0.001)。
なお、血小板数や肝機能・腎機能値、インフルエンザ様症状については、APO(a)-L
Rx群とプラセボ群で有意差はなかった。最も頻度の高い有害事象は注射部位反応だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)