喘息を有するビタミンD値が低い小児において、ビタミンD3補充はプラセボと比較して重度の喘息増悪発生までの期間を有意に改善しないことが、米国・ピッツバーグ小児病院のErick Forno氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験「VDKA試験」の結果、示された。重度の喘息増悪は、重大な病的状態を引き起こし大幅なコスト増を招く。これまで、ビタミンD3補充が小児の重度の喘息増悪を低減するかは明らかになっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「所見は、今回の試験対象患児集団については、重度の喘息増悪の予防療法としてのビタミンD3補充を支持しないものだった」とまとめている。JAMA誌2020年8月25日号掲載の報告。
血中ビタミンD値30ng/mLの喘息児を対象にプラセボ対照無作為化試験
VDKA(Vitamin D to Prevent Severe Asthma Exacerbations)試験は、6~16歳で低用量吸入コルチコステロイドを服用し、血漿中25-ヒドロキシビタミンD値が30ng/mL未満の、高リスクの喘息患児を対象とした。
米国7医療センターで参加者を募り、48週間のビタミンD
3(4,000 IU/日)またはプラセボを受ける群に無作為に割り付け追跡評価した。なお、フルチカゾンプロピオン酸の服用は、176μg/日(6~11歳)、または220μg/日(12~16歳)にて継続された。
主要アウトカムは、重度の喘息増悪発生までの期間であった。副次アウトカムは、ウイルス誘発性重度増悪発生までの期間、吸入コルチコステロイドの服用量が試験期間中に半減した参加者の割合、試験期間中のフルチカゾン累積服用量などであった。
参加者の登録は2016年2月に開始。参加者数は400例を目標としたが、早期に無益性が明らかになり試験は2019年3月に中止となった。フォローアップの終了は2019年9月であった。
重度増悪の頻度、発生までの期間ともにプラセボと有意差なし
合計192例(平均年齢9.8歳、女児77例[40%])がビタミンD
3群(96例)またはプラセボ群(96例)に無作為に割り付けられ、そのうち180例(93.8%)が試験を完遂した。
ビタミンD
3群は36例(37.5%)、プラセボ群は33例(34.4%)が、1回以上の重度増悪を呈した。プラセボ群と比較してビタミンD
3群の、重度増悪までの期間は有意に改善しなかった。増悪までの平均期間は、ビタミンD
3群240日、プラセボ群253日であった(平均群間差:-13.1日[95%信頼区間[CI]:-42.6~16.4]、補正後ハザード比[HR]:1.13[95%CI:0.69~1.85]、p=0.63)。
同様に、ビタミンD
3群はプラセボ群と比較して、ウイルス誘発性重度増悪発生までの期間、試験期間中に吸入コルチコステロイドの服用量が減じた参加者の割合、またはフルチカゾン累積服用量についても、有意な改善は認められなかった。
重篤な有害事象の発生も両群で類似していた(ビタミンD
3群11例、プラセボ群9例)。
(ケアネット)