中等度~重度片頭痛の発症後1~6時間でのeptinezumab静脈投与は、プラセボと比較して頭痛消失までの時間を大幅に短縮したことが、米国・Palm Beach Headache CenterのPaul K. Winner氏らが、480例を対象に行った第III相無作為化試験の結果、示された。同消失までの時間中央値は、プラセボ群が9時間に対し、eptinezumab群ではその半分以下の4時間だった。吐き気や羞明など最も気になる症状の消失までの時間も、eptinezumab群で有意に短縮したという。eptinezumab静脈投与は、成人の片頭痛への予防投与が同国で承認されており、投与後1日目の予防効果が確立されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「発作中への投与の可能性および代替治療との比較が残された課題である」と述べている。JAMA誌2021年6月15日号掲載の報告。
静脈投与開始2時間・4時間後の症状消失の割合をプラセボと比較
研究グループは片頭痛発生早期の段階におけるeptinezumab静脈投与の有効性と有害事象を評価する、第III相国際多施設共同並行群間二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した。2019年11月4日~2020年7月8日にかけて、米国とジョージアの47の医療機関を通じて、片頭痛歴が1年超で、直近3ヵ月に片頭痛症状が4~15日/月認められた18~75歳を被験者として集めた。
被験者を2群に分け、一方にはeptinezumabを(100mg、238例)、もう一方にはプラセボを(242例)、中等度~重度片頭痛の発症後1~6時間に、それぞれ静脈内投与した。
有効性に関する主要エンドポイントは2つで、頭痛消失までの時間と、吐き気や羞明、雑音恐怖症といった最も気になる症状の消失までの時間だった。主な副次エンドポイントは、静脈投与開始2時間後の頭痛や最も気になる症状の消失、同4時間後の同症状の消失、24時間以内の救急的な治療薬の服用とした。
最も気になる症状消失、プラセボ群3時間に対しeptinezumab群2時間
被験者480例(平均年齢44歳、女性84%)のうち、476例が試験を完了した。
頭痛消失までの経過時間中央値は、プラセボ群が9時間に対し、eptinezumab群は4時間と統計学的に有意に短縮した(ハザード比[HR]:1.54、p<0.001)。最も気になる症状の消失までの経過時間中央値も、それぞれ3時間と2時間で、eptinezumab群の統計学的に有意な短縮が認められた(HR:1.75、p<0.001)。
静脈投与開始2時間後に頭痛消失が認められたのは、プラセボ群12.0%、eptinezumab群23.5%(群間差:11.6%[95%信頼区間[CI]:4.78~18.31]、オッズ比[OR]:2.27[95%CI:1.39~3.72]、p<0.001)、最も気になる症状が消失したのは、それぞれ35.8%と55.5%(19.6%[10.87~28.39]、2.25[1.55~3.25]、p<0.001)で、いずれもeptinezumab群で有意に高率だった。これらの結果の有意差は、静脈投与開始4時間後でも継続して認められた。
24時間以内の救急的な治療薬の服用率も、プラセボ群59.9%に対し、eptinezumab群では31.5%と大幅に低かった(群間差:-28.4%[95%CI:-36.95~-19.86]、OR:0.31[95%CI:0.21~0.45]、p<0.001)。
治療関連有害事象は、プラセボ群10.3%、eptinezumab群10.9%で発生し、過敏症はそれぞれ0%、2.1%だった。救急治療を要した重篤な有害事象の発生はなかった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)