コロナ関連死リスク、BA.1株はデルタ株より低い/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/15

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のリスクは、オミクロン変異株(BA.1)のほうがデルタ変異株(B.1.617.2)より低い。英国・Office for National StatisticsのIsobel L. Ward氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。これまでに、オミクロン株のすべての系統(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5)はデルタ株より感染しやすいが、SARS-CoV-2検査陽性後28日以内の入院および死亡リスクは、オミクロン株のほうがデルタ株より低いことが示唆されていた。しかし、オミクロン株とデルタ株で、死亡診断書から特定されるCOVID-19関連死のリスクを比較した研究は不足していた。BMJ誌2022年8月2日号掲載の報告。

死亡診断書で特定したCOVID-19関連死について解析

 研究グループは2021年12月1日~30日の期間に、国民保健サービス(NHS)Test and Trace(Pillar 2)のPCR検査が陽性で、Lighthouse研究所における分析にてオミクロンBA.1またはデルタ株の感染が確定し、国家統計局(ONS)公衆衛生データ資産にリンクできた18~100歳の103万5,149例(2021年12月の検査陽性成人全体の約44%)を解析対象とした。

 主要評価項目は、死亡診断書で特定されたCOVID-19関連死で、性別、年齢、ワクチン接種状況、感染歴、感染日、民族、貧困状態(複数の剥奪指標のランク)、世帯貧困、学位、キーワーカーの状況、出生国、主要言語、地域、障害、併存疾患で調整した死因別Cox比例ハザードモデル(COVID-19関連死以外の死亡は打ち切りとする)を用いて解析した。また、変異株と、性別、年齢、ワクチン接種状況、併存疾患との交互作用についても検討した。

オミクロンBA.1によるCOVID-19関連死のリスクは、デルタ株より66%低下

 潜在的な交絡因子を調整したCOVID-19関連死のリスクは、デルタ株と比較してオミクロンBA.1で66%低下した(ハザード比[HR]:0.34、95%信頼区間[CI]:0.25~0.46)。デルタ株と比較したオミクロン株のCOVID-19関連死リスクの低下は、18~59歳(死亡数:デルタ株46例vs.オミクロン株11例、HR:0.14[95%CI:0.07~0.27])において、70歳以上(113例vs.135例、0.44[0.32~0.61]、p<0.0001)より顕著であった。変異株と併存疾患数との間にリスク差は確認されなかった。

 著者は、すべてのSARS-CoV-2感染者が対象ではないこと、病院での検査(NHS Pillar 1)でCOVID-19変異株を特定したデータを利用できず症例数が少ないことなどを研究の限界として挙げた上で、今回の結果は「デルタ株と比較してオミクロンBA.1では、入院に関して重症化リスクが低いことを示唆する以前の研究を裏付けるものである」と述べている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)