院外心停止から蘇生した昏睡患者において、平均動脈圧目標値77mmHg(高値)群vs.63mmHg(低値)群で、全死因死亡、重篤な障害、または昏睡の割合に関して有意差は確認されなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学のJesper Kjaergaard氏らが、2×2要因デザインの無作為化二重盲検比較試験「Blood Pressure and Oxygenation Targets in Post Resuscitation Care trial:BOX試験」の結果を報告した。集中治療を受けている院外心停止昏睡生存者において、血圧目標値の選択に関するエビデンスは限定的だった。NEJM誌オンライン版2022年8月27日号掲載の報告。
平均動脈圧目標値63mmHgと77mmHgを比較
研究グループは、心原性と推定される院外心停止後に蘇生した昏睡状態の成人患者を、血圧については平均動脈圧目標値63mmHg群(低値群)または77mmHg群(高値群)に(二重盲検介入)、酸素については制限投与群と非制限投与群に(非盲検介入)、無作為に割り付けた。本論は、二重盲検介入の結果についての報告である。
主要評価項目は、90日以内の全死因死亡または退院時の脳機能カテゴリー(CPC、範囲0~5、カテゴリーが高いほど障害が重度)が3または4(重度障害または昏睡)の複合。副次評価項目は、48時間後の神経特異的エノラーゼ(NSE)値、全死因死亡、3ヵ月後のモントリオール認知評価(MoCA、範囲0~30、スコアが高いほど認知機能良好)と修正Rankin尺度(mRS、範囲0~6、スコアが高いほど障害が重度)、3ヵ月後のCPCなどとした。
2017年3月~2021年12月の期間に802例が登録され、同意撤回等を除く789例が解析対象集団となった(高値群393例、低値群396例)。
高値群と低値群で、死亡、重度障害または昏睡の割合に有意差なし
主要評価項目のイベントは、高値群で133例(34%)、低値群で127例(32%)に発現した(ハザード比[HR]:1.08、95%信頼区間[CI]:0.84~1.37、p=0.56)。
90日以内の全死因死亡は、高値群122例(31%)、低値群114例(29%)であった(HR:1.13、95%CI:0.88~1.46)。CPC中央値は、高値群および低値群ともに1(四分位範囲:1~5)、mRS中央値は両群ともに1(0~6)、MoCA中央値は高値群27(24~29)、低値群26(24~29)であった。48時間後のNSE中央値も両群で類似していた。
有害事象の発現率は、両群で有意差はなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)