HIV-1感染症の2次治療について、ドルテグラビルと逆転写酵素阻害薬(NRTI)の併用投与は、NRTIの活性が予測されない患者を含む広範なNRTI耐性患者において有効であることが、シンガポール国立大学のNicholas I. Paton氏らによる検討で示された。また、2つのNRTIについて、テノホビルはジドブジンに対して非劣性であることも示された。世界保健機関(WHO)はHIV-1感染症の2次治療について、ドルテグラビルと2つのNRTIとの併用投与を推奨しているが、薬剤耐性によりNRTIの活性が予測されない場合や、NRTIのテノホビルからジドブジンへの切り替え推奨に関するエビデンスは限定的であった。NEJM誌2021年7月22日号掲載の報告。
2×2要因無作為化非盲検非劣性試験で検証
研究グループはHIV-1感染症の1次治療に失敗した患者(HIV-1ウイルス量≧1,000コピー/mL)を対象に、ドルテグラビルまたはダルナビル+テノホビルまたはジドブジンの併用投与について評価する、多施設共同の2×2要因無作為化非盲検非劣性試験を行った。
被験者を、ドルテグラビル投与群またはリトナビルでブーストしたダルナビルの投与を受ける群、および、テノホビル投与群またはジドブジン投与群に無作為に割り付けた。なお全被験者がラミブジンの投与を受けた。
主要アウトカムは、48週時点のウイルス量が400コピー/mL未満であることとし、米国食品医薬品局(FDA)のスナップショットアルゴリズム(非劣性マージンは、主要アウトカム達成患者割合の群間差で12ポイント)で評価した。
NRTIの活性が予測されない患者でも併用薬の投与は有効
サハラ以南アフリカの7地点で、464例の被験者が登録された。
48週時点でウイルス量400コピー/mL未満を達成した患者の割合は、ドルテグラビル群90.2%(212/235例)、ダルナビル群91.7%(210/229例)であった。群間差は-1.5ポイント(95%信頼区間[CI]:-6.7~3.7、p=0.58)であり、ドルテグラビルのダルナビルに対する非劣性が示されたが、優越性は示されなかった。
また、テノホビル群は92.3%(215/233例)、ジドブジン群は89.6%(207/231例)であった。群間差は2.7ポイント(95%CI:-2.6~7.9、p=0.32)であり、テノホビルのジドブジンに対する非劣性が示されたが、優越性は示されなかった。
NRTIの活性が予測されないサブグループにおいて、ウイルス量400コピー/mL未満達成患者の割合は、ドルテグラビル群、ダルナビル群ともに90%超であった。
有害事象の発現頻度は、いずれの要因比較でも群間で実質的に差はなかった。
(ケアネット)