肥満手術、長期の血糖コントロールが内科的介入より良好/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/03/12

 

 肥満者の2型糖尿病の治療において、内科的介入+生活様式介入と比較して肥満手術は、術後7年の時点で糖尿病治療薬の使用例が少ないにもかかわらず血糖コントロールが優れ、糖尿病の寛解率も高いことが、米国・ピッツバーグ大学のAnita P. Courcoulas氏らが実施した「ARMMS-T2D試験」の長期の追跡結果から明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2024年2月27日号に掲載された。

4つの単独無作為化試験の長期結果の統合解析

 ARMMS-T2D試験は、2007年5月1日~2013年8月30日に、2型糖尿病における内科的/生活様式管理と肥満手術の有効性、効果の持続性、安全性の評価を目的に、米国の4施設がそれぞれ単独で行った無作為化試験の統合解析である(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所[NIDDK]の助成を受けた)。

 2型糖尿病の診断を受け、BMI値27~45の患者を、内科的管理と生活様式管理を受ける群、または3種の肥満外科手術(Roux-en-Y胃バイパス術、スリーブ状胃切除術、調節性胃バンディング術)のいずれかを受ける群に無作為に割り付けた。

 主要アウトカムは、ベースラインから7年後までのヘモグロビンA1c(HbA1c)の変化であった。最長で12年間のデータが得られた。

12年後の血糖コントロールも良好

 この統合解析では、適格例305例のうち262例(86%)を長期追跡の対象とした(肥満手術群166例、内科的/生活様式管理群96例)。全体の平均年齢は49.9(SD 8.3)歳、女性が68.3%で、平均BMI値は36.4(SD 3.5)であった。追跡期間中に内科的/生活様式管理群の25%が肥満手術を受けた。追跡期間中央値は11年だった。

 7年後の時点で、平均HbA1cは、内科的/生活様式管理群でベースラインの8.2%から8.0%へと低下し(変化の群間差:-0.2%、95%信頼区間[CI]:-0.5~0.2)、肥満手術群では8.7%から7.2%へと低下した(-1.6%、-1.8~-1.3)。7年時の変化の群間差は-1.4%(95%CI:-1.8~-1.0)であり、肥満手術群でHbA1cの改善効果が有意に優れた(p<0.001)。

 12年後の時点での平均HbA1cの変化の群間差は-1.1%(95%CI:-1.7~-0.5)であり、有意差を認めた(p=0.002)。

 また、肥満手術群で改善した血糖コントロールは、糖尿病治療薬の使用例がより少ない状態で達成された。ベースラインの糖尿病治療薬の使用率は両群で同程度であり(内科的/生活様式管理群99.0%、肥満手術群97.6%)、7年後まで内科的/生活様式管理群では経時的な変化がみられなかった(7年時使用率96.0%、変化のp=0.19)のに対し、肥満手術群では1年後には38.0%(62/163例)に減少し、7年後も有意に低い状態を維持していた(7年時使用率60.5%[72/119例]、変化のp<0.001)。

貧血、骨折、消化器有害事象が多かった

 2型糖尿病の寛解率は、7年後(内科的/生活様式管理群6.2%、肥満手術群18.2%、p=0.02)および12年後(0.0% vs.12.7%、p<0.001)のいずれにおいても、肥満手術群で有意に優れた。

 12年間に4例(各群2例)が死亡した。主要心血管有害事象の発生は両群で同程度だった。また、肥満手術群で、輸血を要する貧血(3.1% vs.12%)、骨折(5.2% vs.13.3%)、消化器有害事象(胃/吻合部潰瘍[2.1% vs.6%]、胆石/胆嚢炎[3.1% vs.5.4%]、腸閉塞[1% vs.1.8%]など)の頻度が高かった。

 著者は、「これらの結果を既存のエビデンスと統合すると、肥満者の2型糖尿病の治療において肥満手術の適用を支持するものである」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 住谷 哲( すみたに さとる ) 氏

社会福祉法人恩賜財団大阪府済生会泉尾病院 糖尿病・内分泌内科 主任部長

J-CLEAR評議員