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チオトロピウム、軽症から重症までの喘息に対する有効性示す~2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI2014)~

 2014年3月1日、米国サンディエゴで開催された2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI)で、チオトロピウムの新たな第3相試験結果第3相試験GraziaTinA-asthmaの結果が発表され、低用量の吸入ステロイド薬による維持療法を受けてもなお、コントロールが不十分な喘息患者において、チオトロピウムレスピマットが肺機能を改善し、忍容性も良好であったことが示された。

ベジタリアンの食事パターンが血圧降下と関連~39報のメタ解析

 これまで、ベジタリアンの食事パターンが血圧降下と関連していることがいくつかの研究で示唆されているが、逆の研究結果も報告されており、関係は十分に確立されていない。今回、国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の西村 邦宏氏らの研究チームは、ベジタリアンの食事パターンと血圧との関連を検討した介入研究と観察研究を系統的に検索し、メタ解析を実施した。その結果、肉類の摂取を制限し、野菜、大豆を中心とした豆類、豆腐、精製していない全粒穀物などの植物性の食品を中心とするベジタリアン型の食事摂取と血圧降下とが関連していることが明らかになった。このことより、高血圧に対する非薬物療法のひとつとして、ベジタリアンの食事パターンが有効である可能性が示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2014年2月24日号に掲載。

HDLコレステロールは乳がんリスクと逆相関する~仏・全国的コホート研究

 コレステロール、とくに高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールが抗酸化および抗炎症特性により発がんに影響しうるというメカニズムは、いくつかの実験的研究によって報告されている。しかし、特定の脂質代謝のバイオマーカーとがんリスクとの関連を調べた前向き研究の結果は一定ではない。仏・パリ13大学のMathilde His氏らは、総コレステロール、HDLコレステロール、低比重リポ蛋白コレステロール、アポリポ蛋白A1およびB、中性脂肪について、乳がん、前立腺がん、およびがん全体のリスクとの関連を調査した。その結果、総コレステロール、HDLコレステロール、アポリポ蛋白A1の血清レベルが、がん全体および乳がんリスクと逆相関することが示唆された。European journal of epidemiology誌オンライン版2014年2月13日号に掲載。

新しい喘息治療薬、FF/VIへの期待

 フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)配合剤(商品名:レルベア)は、新しい吸入器(エリプタ)を用いた気管支喘息に対する新規吸入用散剤であり、ICS/LABA配合剤としては、世界初の1日1吸入タイプの薬剤である。国立病院機構東京病院の大田 健氏らは、FF/VIの現時点におけるエビデンスをまとめ、「使用が簡便であることから、アドヒアランスや喘息コントロールを改善させうる可能性があり、実医療下で高い効果が期待できる薬剤であると考えられる」と報告した。アレルギー・免疫誌2014年1月号の掲載報告。

双極性障害に抗うつ薬は使うべきでないのか

 双極性障害I型およびII型は、現在の標準治療が行われている場合でも、うつ病を認める患者の割合が著しく高い。双極性障害I型患者では、病気の経過中または発症時から治療を受けていてもフォローアップ期間の50%において有症状を認め、未解決の症状の75%はうつ病である。一方で、典型的な双極性うつ病の特徴として、抗うつ薬治療への反応が不良で治療抵抗性うつ病(TRD)を呈したり、抗うつ薬による躁病の発症リスクがきわめて高いこと、などが広く認識されている。しかし、このことは、利用可能な研究報告で一貫した支持を得ているわけではない。米国・マクリーン病院のLeonardo Tondo氏らは、双極性障害において高頻度に認められるTRDについて、関連研究を調べた。その結果、比較試験はわずか5件であったが、無比較試験10件も含めた利用な可能な研究から、双極性障害のTRDは必ずしもすべての治療に抵抗性ではなく、抗うつ薬は有効である可能性が示唆されたという。また、抗うつ薬により躁転リスクが高まるとの懸念に対しては、その程度はさほど大きくないとの見解を示した。Current Psychiatry Reports誌2014年2月号の掲載報告。

インスリン使用患者の実態が明らかに~早期の人ほど悪い血糖コントロール~

 2014年2月25日(火)都内にて、インスリン自己注射を行う2型糖尿病患者407名の意識調査をテーマにセミナーが開かれた(ノボ ノルディスク ファーマ株式会社主催)。演者である東京医科大学の小田原 雅人氏(内科学第三講座 主任教授)は、「血糖コントロールが悪い人ほど、罹病期間が短い」という調査結果を受け、早期からの積極的コントロールの必要性をあらためて強調した。

精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所

 理化学研究所 脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームの窪田 美恵氏らは、気分障害および統合失調症におけるグルタミン酸受容体のADAR2とRNA編集(RNA editing)の役割を明らかにした。両者の剖検脳から、気分障害および統合失調症ではADAR2発現の低下が認められ、同低下がAMPAグルタミン酸受容体でのRNA編集の減少と関連していることが示唆されたという。これらの所見を踏まえて著者は、「ADAR2発現低下によるAMPA受容体のRNA編集の効率が、精神疾患の病態生理に関与している可能性がある」と述べている。Molecular Brain誌2014年1月号の掲載報告。

オピオイドの慢性腰痛への短期効果

 慢性腰痛に対するオピオイドの使用が著しく増加しているが、利点とリスクは明らかになっていない。今回、2007年のコクランレビューがコロンビア・Hospital Pablo Tobon UribeのLuis Enrique Chaparro氏らによりアップデートされ、慢性腰痛の短期治療においてオピオイドはプラセボに比し疼痛をやや改善し、機能障害もわずかながら改善することが示された。

日本発!イストラデフィリンに抗うつ効果~学習性無力感ラットでの実験

 イストラデフィリンが、脳内モノアミン伝達とは無関係なアデノシンA2A受容体活性の調節を介して、抗うつ様効果を発揮することがラットによる実験で明らかとなった。協和発酵キリン研究本部の山田 浩司氏らの検討によるもので、パーキンソン病の運動症状に加え、うつに対する新たな治療選択肢となる可能性が示唆された。Psychopharmacology誌オンライン版2月2日号掲載の報告。

統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大

 統合失調症患者における認知機能障害を改善する手段に関する研究には、強い関心が寄せられている。奈良県立医科大学の松田 康裕氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬治療と認知機能リハビリテーションとの相乗効果について調べた。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2014年2月10日号の掲載報告。

遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学

 慶應義塾大学の吉田 和生氏らは、統合失調症患者にみられる抗精神病薬使用後の遅発性ジスキネジア(TD)と、ドパミンD2受容体占有状況との関連について検討を行った。その結果、不随意運動を認めた例では、認めなかった例に比べて、ドパミンD2受容体占有レベルのトラフ値が有意に高く、強力なドパミンD2受容体阻害がTDのリスクを増大させる可能性が示唆されたという。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年2月1日号の掲載報告。

糖尿病患者のトータルケアを考える

 2014年2月19日(水)都内にて、糖尿病患者の意識と行動についての調査「T-CARE Survey」を題材にセミナーが開かれた(塩野義製薬株式会社 開催)。演者である横浜市立大学の寺内 康夫氏(分子内分泌・糖尿病内科学 教授)は、患者が治療に前向きに取り組むためには「治療効果の認識」「症状の理解」が重要と述べ、患者の認知・理解度に応じて個々に合ったアプローチをすべき、と述べた。

双極性障害、男女間で肥満割合に違いあり

 カナダ・クイーンズ大学のAnusha Baskaran氏らは、双極性障害(BD)における肥満の性差とその背景因子について、論文レビューを行った。その結果、BD女性は、BD男性および一般集団の男女と比較して、腹部肥満の割合が高いことを報告した。性別に基づく多彩な要因が、BD女性の肥満を促進していたことも判明した。Bipolar Disorders誌2014年2月号の掲載報告。

農薬によるパーキンソン病発症リスクの高い遺伝子多型は

 環境毒物によるパーキンソン病発症機序を考えるうえで、アルデヒド脱水素酵素(以下ALDH)の阻害が、とくに遺伝的に脆弱な集団において重要であることが、米国・UCLAデイヴィッド・ゲフィン医科大学院のArthur G Fitzmaurice氏らによって明らかとなった。Fitzmaurice氏らは今回の結果から、パーキンソン病の発症率を減らす、もしくはその進行を遅らせるための潜在的な介入の可能性を示唆している。Neurology誌2014年2月4日号掲載の報告。