医療一般|page:251

日本における産後のうつ症状と妊娠中の体重増加との関係

 産後のうつ症状(PPDS)と妊娠中の体重増加との関係については、依然として議論の余地が残っている。福島県立医科大学の山口 明子氏らは、産後1ヵ月のPPDSと妊娠中の体重増加との関係について、妊娠前のBMIに基づいて、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年2月2日号の報告。  2011~14年に日本人女性8万927人を対象に、プロスペクティブコホート研究を実施した。妊娠前のBMIに基づき、対象者をG1(18.5kg/m2未満)、G2(18.5~20.0kg/m2)、G3(20.0~23.0kg/m2)、G4(23.0~25.0kg/m2)、G5(25kg/m2以上)の5グループに分類した。PPDSに関連する不十分または過剰な妊娠中の体重増加の潜在的なリスク因子を特定するため、母体年齢、教育、年間世帯収入、喫煙、出産歴、分娩方法、母乳の中止、精神的ストレス、妊娠中のエネルギー摂取量で調整した後、各グループに対して多重ロジスティック回帰分析を行った。

mRNAワクチン、新型コロナ感染歴のある人は単回でも有効か/JAMA

 COVID-19ワクチンの不足から、一部の専門家から単回接種レジメンが提案されている。一方、COVID-19に感染すると少なくとも6ヵ月は免疫があると考えられているが、リコール応答も最適なワクチン投与レジメンも検討されていない。今回、米国・メリーランド大学のSaman Saadat氏らが医療従事者を対象に、COVID-19のmRNAワクチンを単回接種して結合価および中和力価を調べたところ、血清学的検査でCOVID-19感染歴が確認された人は、感染歴のない人よりも抗体価反応が高いことが示された。JAMA誌オンライン版2021年3月1日号リサーチレターでの報告。

FDA、ロルラチニブのALK肺がん1次治療を承認/ファイザー

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年3月3日、ロルラチニブ(商品名:ローブレナ)の適応症を拡大し、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療を追加承認した。  ロルラチニブの今回の承認拡大は、未治療のALK陽性NSCLCを対象にクリゾチニブと比較した第III相CROWN試験の結果に基づくもの。この試験でロルラチニブはクリゾチニブに比べ、盲検独立評価委員会(BICR)評価による死亡および進行リスクを72%減少させた (PFS HR 0.28:95%CI:0.19~0.41、p<0.0001)。事前に特定された探索的研究によるBICR評価の頭蓋内奏効率 (IC-ORR) は82% (クリゾチニブ群は23%)であった。頭蓋内奏効期間12ヵ月以上持続した割合は79%(クリゾチニブ群は0%)であった。

認知症リスクの人種差~メタ解析

 世界の認知症患者数は、約5,000万人といわれている。高血圧や糖尿病などの認知症のリスク因子は、黒人、アジア人、その他の少数民族においても一般的に認められるが、認知症のケア、診断、治療においては、人種間で不平等なこともある。そこで、英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのSuhail Ismail Shiekh氏らは、認知症の発生率や有病率に関する民族的な差異について、調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年1月30日号の報告。

新型コロナワクチンを拒む一般人の割合と特徴-米国の場合

 米国では2月8日の時点で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン5,930万回分が配布され、少なくとも3,160万人が1回目のワクチン接種を行った。ワクチン開始前に実施された全米世論調査では、多くの人が新型コロナワクチンの接種をためらっていたが、2020年9月から12月にかけて、ワクチンを接種したいと回答した割合は、全体的に39.4%から49.1%に増加し、接種する「可能性が低い」と回答した割合は38.1%から32.1%に減少していたことが明らかになった。米国疾病予防管理センター(CDC)が2021年2月12日に発表した。

遺伝子パネル検査、がん種別に見た遺伝子異常の特徴は?/日本臨床腫瘍学会

 国立がんセンターが中心となって展開する産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業、SCRUM-Japan。2019 年7月に開始した第三期プロジェクトでは、それまで消化器がんを対象としていたGI-SCREEN-Japanプロジェクトが泌尿器がん、乳がん等にも対象を拡大し、新たに血液を用いた遺伝子解析検査(リキッドバイオプシー)も取り入れた、MONSTAR-SCREENとして再始動している。参加するのは全国31施設、参加者は消化器がん、皮膚がん、乳がん、産婦人科がん、頭頸部がん、泌尿器がんなどの切除不能な固形がん患者で、腫瘍組織によるゲノム解析を受けたうえで、リキッドバイオプシー検査と腸内細菌叢(マイクロバイオーム)の検査、解析を受ける。

ペムブロリズマブ+化学療法の食道がん1次治療、日本人の結果(KEYNOTE-590)/日本臨床腫瘍学会

 切除不能な局所進行または転移のある食道腺がん、食道扁平上皮がん、Siewert I型食道胃接合部腺がん患者に対する1次治療として化学療法とペムブロリズマブの併用療法と化学療法を比較する無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-590試験の日本人集団における結果を第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO VIrtual2021)で、埼玉県立がんセンターの原 浩樹氏が発表した。

コロナ禍の中で花粉症診療へ行くべきか/アイスタット

 花粉症の季節が到来した。街中ではマスクだけでなく、花粉防止のゴーグルをかけた人を見かけるようになった。新型コロナウイルス感染症が収束をみせない中、慢性疾患や花粉症に代表される季節性疾患の診療に例年とは異なる動きはあるのであろうか。  株式会社アイスタット(代表取締役社長:志賀 保夫)は、2月25日に花粉症の理由で病医院を受診する人の割合、傾向を知る目的として、花粉症に関するアンケート調査を行い、その結果を発表した。

多発性硬化症の病態に関わる免疫細胞の新知見

 2021年2月17日、ノバルティス ファーマは、『MS病態への関与が示唆される「B細胞」とは? ~免疫の仕組みとMS治療の課題~』と題するメディアセミナーを開催した。  多発性硬化症(以下、MS)は自己免疫疾患の1つとして知られている。国内の推定患者数は約1万5千人以上と考えられており、女性の患者数が男性の約2.9倍といわれている。平均発症年齢は30歳前後、発症のピークは20代であり、就職や出産、育児などのライフイベントが多い時期と重なるため、社会への影響が大きい疾患であると考えられる。

うつ病治療アプリに対する医師や患者の期待

 スマートフォンアプリが増加し続けている現代社会において、アプリによる治療ツールの有効性は十分に実証されておらず、導入率も依然として不十分である。フランス・クレルモン・オーベルニュ大学のMarie-Camille Patoz氏らは、アドヒアランス向上に関連する効率的なアプリ開発を行うため、ユーザー中心のアプローチを通じて設計した架空のうつ病治療アプリに対する患者および医師の期待を特定することを目的とし、本研究を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月29日号の報告。

がん遺伝子パネル検査のスタート半年、「エキスパートパネル」の評価は?/日本臨床腫瘍学会

 2019年6月に保険適用となったがんゲノムプロファイリング(CGP)検査。その実施は、がんゲノム医療中核拠点病院、拠点病院、連携病院に限定され、検査結果は中核拠点病院、拠点病院で実施される専門家会議「エキスパートパネル」での検討が必須とされている。  ここでの方針がCGP検査を受けた患者の治療に直結するが、各エキスパートパネルの現状や判断の差異については評価されていなかった。そこで、中核拠点病院11施設での2019年6月~2020年1月における、エキスパートパネルの実績(全検討症例数および、遺伝子異常に合った投薬や遺伝相談外来の受診に結び付いた症例数)を調査するとともに、模擬症例2例を用いて各エキスパートパネル間で推奨治療に差があるかどうかを検証する研究を行った。

重症精神疾患患者における抗精神病薬切り替えと体重変化~メタ解析

 重症精神疾患患者では、肥満や代謝により臨床的な悪影響が懸念されるが、これを予防できる可能性がある。心血管代謝の負担を軽減するうえで、抗精神病薬の切り替えが有用かを、オーストラリア・クイーンズランド大学のDan Siskind氏らが検討を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2021年2月6日号の報告。  2020年3月8日までの文献をPubMED、Embase、PsycINFO、Cochraneより検索した。抗精神病薬切り替え群と継続群における体重および代謝変化を比較するため、群全体と群内でのメタ解析を実施した。

片頭痛に対するfremanezumabの効果~第III相試験の事後解析

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体は、片頭痛の予防に対する有効性および安全性が示されている薬剤である。臨床試験では治療反応群と非反応群が存在しているが、有効性の評価では両群の平均値を用いる。そのため、治療反応群における臨床的ベネフィットについての情報が十分に評価されていない。治療反応がみられる患者における臨床的な改善度を明らかにすることは、臨床医と患者にとって重要なポイントである。米国・トーマス・ジェファソン大学のStephen D. Silberstein氏らは、ヒト化モノクローナル抗体fremanezumabにより治療反応がみられた患者における臨床的ベネフィットを明らかにするため、2つの第III相HALO臨床試験の事後分析を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2021年1月7日号の報告。

コロナワクチン「コミナティ」添付文書改訂、輸送・保管時の温度管理柔軟に

 2月14日に特例承認されたファイザーの「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注)について、3月1日付で添付文書が改訂された。薬剤の保存方法として、-25~-15℃で最長14日間の保存が可能である旨が追記された。  今回の改訂では、「薬剤調整時の注意」の細目として、新たに「保存方法」についての以下の記載が加わった。 《保存方法》 本剤は-90~-60℃から-25~-15℃に移し、-25~-15℃で最長14日間保存することができる。なお1回に限り、再度-90~-60℃に戻し保存することができる。いずれの場合も有効期間内に使用すること。

トランスジェンダー、ホルモン療法でにきび有病率が大きく上昇

 思春期男子の悩みの1つににきびがあり、原因には男性ホルモンが関連しているためとされる。同様の悩みは男性化ホルモン療法(MHT)を受ける性同一性障害患者においてもあるというが、そうしたケースにおける発症リスクや有病率の詳細が明らかにされた。米国・ボストン大学のNick Thoreson氏らが988例を対象とした後ろ向きコホート研究の結果、MHT開始前後で、にきびの有病率は6.3%から31.1%へと大きく上昇し、年齢的には18~21歳の患者に多い傾向が認められたという。これまで、MHTを受ける性同一性障害患者のにきびのリスクについて大規模な研究は行われていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。

進行乳がんのエリブリン治療、リンパ球数と病勢進行の関連は(EMBRACE)/日本臨床腫瘍学会

 第III相EMBRACE試験において、非タキサン系の微小管阻害薬エリブリンは進行乳がんの生存期間(OS)を有意に延長した。同試験のPost-Hoc解析では、ベースライン時のリンパ球絶対数(ALC)がエリブリン治療によるOS延長の独立した予測因子であることが示唆されている。今回、エリブリン治療によるOS延長におけるALCと病勢進行(PD)の関係が調べられた。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)において、静岡がんセンターの渡邉 純一郎氏がその結果を発表した。

MSI-H/dMMR大腸がん1次治療のペムブロリズマブ、アジア人でも有用性を確認/日本臨床腫瘍学会

 DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する転移のある大腸がん患者を対象に、1次治療としてのペムブロリズマブの有用性を見るKEYNOTE-177試験。昨年発表された第2回中間解析では、ペムブロリズマブは化学療法と比較して全集団における無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。2月に行われた第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)のPresidential Session1において、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院)が、本試験におけるアジア人サブセットの解析結果を発表した。

老年精神薬理学の最近の進展に関する専門家の意見

 高齢化社会が進むにつれ、老年精神疾患への対応に関する重要性が高まっている。米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のAwais Aftab氏らは、アルツハイマー病(AD)、重度または難治性のうつ病、がんおよび終末期ケアに焦点を当て、老年精神医学に関連する最近の進展についてレビューを行った。Expert Review of Clinical Pharmacology誌オンライン版2021年2月5日号の報告。  ADの疾患修飾療法、診断用放射線トレーサ、認知症の神経精神症状に対する薬剤、ケタミン、esketamine、サイケデリックス薬、カンナビノイドについて、PubMed、Google Scholar、Medscape、ClinicalTrials.govより過去6年間の文献を非システマティックに検索し、レビューを行った。

新型コロナ、医療者の転帰不良リスクはあるか?

 医療従事者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染リスクが高いが、感染後の転帰不良リスクはあるのか。北米の医療者127例を対象として後ろ向き観察コホート研究の結果が発表された。JAMA Network Open誌2021年1月28日号掲載の報告。  2020年4月15日~6月5日までに北米の36施設で確認された、1,992例のCOVID-19成人患者が対象に含まれた。データ解析は2020年9月10日~10月1日に行われ、患者のベースライン時の特性、併存疾患、症状、治療法および転帰に関するデータが収集された。

「COVID-19ワクチンに関する提言」、日本での安全性データ等追加/日本感染症学会

 2021年2月よりわが国でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まった。これを受けて、日本感染症学会(理事長:東邦大学医学部教授 舘田 一博氏)は、2月26日に「COVID-19ワクチンに関する提言」(第2版)を同学会のホームぺージで発表、公開した。  第1版は2020年12月28日に発表され、ワクチンの開発状況、作用機序、有効性、安全性、国内での接種の方向性、接種での注意点などが提言されていた。今回は、第1版に新しい知見を加え、とくにワクチンの有効性(変異株も含む)、ワクチンの安全性などに大幅に加筆があり、筋肉内注射に関する注意点の項目が新しく追加された。