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無症候性の頸動脈高度狭窄例に対するCASで、CEAと転帰の差を認めず:CREST/ACTⅠメタ解析

 米国では、頸動脈インターベンションの最大の適応は無症候性の高度狭窄だという。しかし、米国脳卒中学会など関連14学会による2011年版ガイドラインでは、外科高リスク例を除き、無症候性頸動脈高度狭窄例に対しては、頸動脈ステント留置術(CAS)よりも頸動脈内膜剥離術(CEA)が推奨されている。しかし同ガイドライン策定後、CREST試験とACTI試験という2つの大規模ランダム化試験において、末梢塞栓保護下CASは、死亡・脳卒中・心筋梗塞抑制に関し、CEAに対する非劣性が示された。

アクリルネイルの流行で接触皮膚炎が急増

 (メタ)アクリレートは強力な感作性物質で、アレルギー性接触皮膚炎(ACD)の原因となるが、アクリルネイルの需要増に伴いACDの発症頻度が高まっている。これまで(メタ)アクリレートは、英国および欧州のbaseline patch test seriesで日常的に検査されていなかった。しかし、明らかな曝露歴のある患者に対する(メタ)アクリレートのパッチテストを予備検査として行った結果では、陽性率の高さが示唆されている。英国・Royal United HospitalのSophie Rolls氏らは、今回の検討結果から、英国のbaseline patch test seriesに2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)2%ワセリンの追加を推奨するとした。著者は、「短鎖(メタ)アクリレート系は(メタ)アクリレートアレルギー患者のほとんどで検出される傾向があるため、これらの標準化を推奨する」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2019年1月31日号掲載の報告。

FLAURA試験日本人サブセット、PFS19.1ヵ月/JJCO

 未治療のEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者においてオシメチニブと標準治療(ゲフィチニブまたはエルロチニブ)を比較した多施設二重盲検第III相FLAURA試験。全体ではオシメルチニブで有意に良好な無増悪生存期間(PFS)が示されたこの試験の日本人のサブセット解析がJapanese Journal of Clinical Oncology誌2019年1月1日号で発表された。

認知症のBPSDに対する治療の有効性・安全性比較~メタ解析

 認知症患者の行動と心理症状(BPSD)に対する薬理学的および非薬理学的治療の有効性、安全性を比較するため、中国・China Medical UniversityのBoru Jin氏らは、ランダム化データより直接的および間接的なエビデンスを用いて、検討を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2019年1月21日号の報告。  BPSDに利用可能なすべての介入のランダム化比較試験(RCT)のみを用いて、システマティックレビューおよびベイジアンネットワーク・メタ解析を行った。RCTは、PubMed、EMBASE、Cochrane library、CINAHLより検索した。有効性アウトカムは、Neuropsychiatric Inventory(NPI)およびCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて評価した。安全性アウトカムは、全有害事象(AE)、下痢、めまい、頭痛、転倒、悪心、嘔吐、脳血管疾患について評価した。

アスピリンまたはクロピドグレルへのシロスタゾール併用、日本人脳梗塞の出血リスクを増やさず再発抑制:CSPS.com試験

 虚血性脳血管障害に対する長期の抗血小板薬2剤併用は、脳卒中を抑制せず大出血リスクを増やすとされている。これは大規模試験MATCH、CHARISMAサブスタディ、SPS3で得られた知見に基づく。  しかし、これらのランダム化試験で検討されたのは、いずれもアスピリンとクロピドグレルの併用だった。ではCSPS 2試験においてアスピリンよりも出血リスクが有意に低かった、シロスタゾールを用いた併用ではどうだろう――。この問いに答えるべく、わが国で行われたのが、ランダム化非盲検試験CSPS.comである。その結果、アスピリン、クロピドグレル単剤に比べ、それらへのシロスタゾール併用は、重篤な出血リスクを増やすことなく、脳梗塞を有意に抑制することが明らかになった。2019年2月6~8日に、米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)初日のOpening Main Eventにおいて、豊田 一則氏(国立循環器病研究センター病院・副院長)が報告した。

うつ病に対する早期治療薬変更戦略の有効性予測因子

 抗うつ薬治療を2週間実施しても症状改善が認められないうつ病患者では、治療失敗リスクが高い。以前の研究において、ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツのNadine Dreimuller氏らは、非改善うつ病患者において、通常治療(TAU)と早期治療薬変更(EMC)でアウトカムに差がないことを、ランダム化試験で報告していた。今回、EMC戦略における高い寛解率の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2019年1月14日号の報告。

発作性心房細動に対する第2世代クライオバルーンの長期成績【Dr.河田pick up】

 STOP AF PAS (Sustained Treatment of Paroxysmal Atrial Fibrillation Post-Approval Study)は、薬剤抵抗性の発作性心房細動に対するクライオバルーンの長期的な安全性と有効性を評価した、北米における最初の前向き、多施設共同の試験である。米国・ノースウェスタン大学のBradley P. Knight氏らのグループが、JACC.Clinical Electrophysiology誌2018年12月号オンライン版で発表した。

治療抵抗性強迫症に対するフルボキサミンとメチルフェニデート徐放剤の併用治療

 治療抵抗性強迫症(OCD)に対する、より効果的かつ忍容性のある介入が求められている。中国・華南理工大学のHuirong Zheng氏らは、OCD治療においてメチルフェニデート(MPH)増強療法が有用である可能性を報告した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年12月27日号の報告。  治療抵抗性OCDに対するMPH徐放剤(MPH-ER)増強療法の有効性と安全性を評価するため、単施設の外来患者におけるランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験のパイロット研究を実施した。対象は、フルボキサミン治療でYale-Brown強迫観念・強迫行為尺度(YBOCS)スコアが20超で安定している、SSRI治療抵抗性OCD成人患者44例。サンプルデータは、intention-to-treat分析を行った。対象患者は、MPH-ER群(フルボキサミン250mg/日+MPH-ER 36mg/日)またはプラセボ群(フルボキサミン250mg/日+プラセボ)にランダムに割り付けられ、8週間フォローアップされた。

申告や支払いなしの残業ゼロへ、労務管理の徹底求める~働き方改革

 医師の時間外労働規制の方向性について議論する、厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会(第18回)」が、2月6日開催された。上限規制がスタートする2024年4月までの5年間の具体的な流れ、現状案に基づく場合の勤務医の働き方の変化(イメージ)、健康確保措置案としての“代償休息”の設定などが事務局から示され、構成員らが議論を進めた。  まず前提として、これまでの議論で提示された、原則:月100時間未満・年960時間以下(A)、特例:月100時間未満・年1,900~2,000時間以下(B)という案は、あくまで「臨時的な必要がある場合」に36協定上で規定できる上限時間数であることを整理(一般労働者では[休日労働を含まない形で] 月100時間未満・年720時間以下)。

急激な空腹時血糖の増加、心血管リスク高い~吹田研究

 心血管疾患(CVD)発生率との関連において、空腹時血糖(FPG)の変動を検討した研究はこれまでほとんどなかった。今回、国立循環器病研究センター/藤田医科大学の尾形 宗士郎氏らは、吹田研究でCVD発生とFPGの変動によるサブグループを評価した。本研究の結果から、著者らは「FPGが急激に増加した人は、CVD予防のために危険因子の管理が重要かもしれない」としている。Journal of the American Heart Association誌2019年2月5日号に掲載。

アルコール依存症に対するナルメフェンの有効性・安全性~非盲検試験

 アルコール依存症と診断された高飲酒リスクレベル(DRL:drinking risk level)の成人患者(男性:DRL60g/日超、女性:DRL40g/日超)における減酒に対するナルメフェンの有効性および安全性を評価するため、フランス・ボルドー大学のPhilippe Castera氏らが、12週間のオープンラベルプライマリケア研究を実施した。European Addiction Research誌2019年1月号の報告。  患者は、スクリーニング来院後、毎日の飲酒量を2週間記録した。その後、患者の自己申告飲酒レベルをもとに分類を行った。2週間のうち、高DRLのままであった患者はコホートA、高DRLを下回る減酒が認められた患者はコホートBに含まれた。コホートAでは、シンプルな心理社会的介入を行い、飲酒リスクを感じた日にナルメフェン18mgを服用した。コホートBでは、シンプルな心理社会的介入を行い、通常診療に従って治療を実施した。

乳がん患者の心房細動リスク

 乳がん患者においては、がんにより誘発される全身性炎症や治療の副作用により心房細動を罹患する恐れがある。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMaria D'Souza氏らが、乳がん患者の心房細動罹患率を検討した結果、診断後6ヵ月以上の長期罹患率が増加し、6ヵ月未満の短期罹患率は60歳未満の患者で増加したことを報告した。Heart Rhythm誌オンライン版2019年1月24日号に掲載。  本研究では、デンマークの全国患者登録を用いて1998~2015年に乳がんと診断された患者を同定し、年齢および性別でマッチさせたコントロール群と比較した。心房細動の長期罹患率は、累積罹患曲線および多変量Cox回帰モデルで推定した。

FDA、cabozantinibの肝がん2次治療承認

 EXELIXI, Inc.は、2019年1月14、ソラフェニブ既治療の肝細胞がん(HCC)に対するマルチキナーゼ阻害薬cabozantinibが米国食品医薬品局(FDA)で承認されたと発表。  今回の承認は、ソラフェニブ既治療の進行HCC患者に対するcabozantinibの第III相CELESTIAL試験の結果に基づいている。CELESTIA試験は、ソラフェニブ既治療の進行HCC患者を対象に、cabozantinibとプラセボを比較した無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、世界19ヵ国で実施されている。

統合失調症患者に対する早期の持効性抗精神病薬治療と入院率との関連

 統合失調症に対する抗精神病薬治療の早期開始は、アウトカムの改善に関与している。米国・Partnership for Health Analytic ResearchのJennifer Munday氏らは、新規の統合失調症エピソードを有する患者に対して、早期の持効性注射剤(LAI)による抗精神病薬治療が、実臨床での入院率の低下や医療費の削減と関連するかについて検討を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2019年1月16日号の報告。 Truven Health Analytics MarketScan Commercial、メディケイド、メディケア・サプリメントのデータベースを用いて、2007年1月~2016年6月におけるレトロスペクティブコホート分析を実施した。新規の統合失調症エピソードを有する18歳以上の成人患者を対象に、初回の統合失調症診断日からLAI開始日(インデックス日)までの時間に基づき、2つの相互排他的なコホートを同定した。LAIを1年以内に開始した患者を早期開始群、1年超で開始した患者を後期開始群とした。1年間のフォローアップ期間における入院率・医療費、患者の人口統計学的・臨床的特徴、保険の種類、ベースライン時の全原因による入院・救急外来受診、ベースライン時の精神科での薬の使用について、ロジスティック回帰モデルおよび一般線形回帰モデルを用いて推定した。

今ある知識で考える、新型タバコのリスクとは

 IQOS(アイコス)やPloomTECH(プルーム・テック)などの加熱式タバコのシェアが日本で急速に拡大している。禁煙をめざして、あるいは周囲への影響を考慮して紙巻タバコから移行する人も多い中、医療者はそのリスクをどのように捉えていけばよいのか。第29回日本疫学会学術総会(2019年1月30日~2月1日・東京)において、「タバコ対策の最近の話題」と題したシンポジウムが開催された。本稿では、田淵 貴大氏(大阪国際がんセンター)による講演の内容を紹介する。

若年者の運動時高血圧、高血圧発症を予測か【Dr.河田pick up】

 若年者での運動負荷試験を施行中、極度な高血圧が観察されることは珍しくない。また、アスリートは運動能力が高いため、ピーク時に血圧が上昇することが多い。この運動中の高血圧がどのような意味をもつのかはわかっておらず、どのようなフォローが必要なのかも疑問である。イタリア・ローマのStefano Caselli氏らヨーロッパのグループが、この問題についてEuropean Heart Journal誌オンライン版1月1日号に報告している。

双極性障害に合併する境界性パーソナリティ障害の特徴~米国調査

 双極性障害患者における精神科入院や自殺リスク増加を含むQOLや疾患アウトカムには、境界性パーソナリティ障害(BPD)の合併が影響を及ぼすといわれている。米国・Griffin Memorial HospitalのRikinkumar S. Patel氏らは、双極性障害患者の入院アウトカムに対するBPDの影響について、検討を行った。Medicina誌2019年1月14日号の報告。  米国の病院からの入院患者サンプル(Nationwide Inpatient Sample)より、ICD-9-CMを使用し、BPD合併双極性障害患者26万8,232例および双極性障害のみの対照群24万2,379例を抽出した。オッズ比(OR)の生成および入院アウトカムの評価のために、多項ロジスティック回帰を用いた。

眼瞼脂腺がんの手術、モース顕微鏡vs.広範切除

 眼瞼の脂腺がん(SC)に対し、モース顕微鏡手術(Mohs micrographic surgery:MMS)または広範切除術(wide local excision:WLE)のどちらを実施するかについては、さまざまな議論がある。中国・上海交通大学医学院のChuandi Zhou氏らは後ろ向きコホート研究を行い、眼窩病変のないSCに対してはMMSのほうが局所再発を抑制できるものの、MMSは転移やがん関連死といった長期アウトカムには影響を及ぼさないことを明らかにした。なお、パジェット病による上皮内腫瘍を伴う患者に対しては、補助療法を要する可能性が示唆された。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年1月9日号掲載の報告。

川柳で広める抗菌薬の適正使用

 世界規模で抗菌薬が効かないAMR(薬剤耐性)をもつ細菌が増え、問題となっていることに鑑み、WHO(世界保健機関)は、2015年5月に「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」を採択。WHO加盟国は2年以内に自国のアクション・プランを策定するよう要請された。わが国でも厚生労働省が中心となり、アクション・プランを策定し、不要な抗菌薬の使用削減に向け、さまざまな活動が行われている。  その一環として2018年11月、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは、AMRに関して理解を深め、考えてもらう機会として、「第2回薬剤耐性(AMR)あるある川柳」の公募を行った。全国から計1,816句の川柳の応募があり、今回厳正な審査を経て、金賞、銀賞、佳作の入選作品が決まり、公表された。