医療一般|page:136

HR+/HER2+転移乳がん1次治療、ET有無の転帰への影響

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陽性(ERBB2+)転移乳がん(MBC)患者における内分泌療法(ET)の位置付けは明確になっていない。フランス・Institut CurieのMarcela Carausu氏らは、HER2陽性患者におけるホルモン受容体の状態やETの1次治療での投与有無と転帰の関連を評価することを目的としてコホート研究を実施。JAMA Network Open誌2022年12月15日号に報告した。  本研究は、フランスの臨床疫学・医療経済(ESME)コホートの臨床データを解析したもので、2008~17年に治療を開始したMBC患者が含まれた。最終フォローアップ日は2020年6月18日。ETによる維持療法と転帰との関連を評価するために、対象患者にはHER2標的療法の第1選択薬に加え、化学療法(CT)±ETあるいはET単独療法が行われた。

降圧薬使用とアルツハイマー病との関連~メタ解析

 高血圧は認知症のリスク因子として知られているが、高血圧患者のアルツハイマー病リスク軽減に対する降圧薬使用の影響についてのエビデンスは、決定的であるとは言えない。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン薬学部のM. Adesuyan氏らは、認知機能が正常な高血圧症の成人患者における降圧薬使用とアルツハイマー病発症率との関連を調査した。その結果、降圧薬の使用とアルツハイマー病発症率低下との関連が認められた。とくに、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の使用は、降圧薬の中でも最大のベネフィットをもたらす可能性が示唆された。このことから著者らは、降圧が認知機能保護の唯一のメカニズムではない可能性があり、認知機能に対するアンジオテンシンIIの影響についてさらなる調査が求められるとしている。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌2022年号の報告。

喘息が動脈硬化の進行を促す?

 喘息がアテローム性動脈硬化の進行を促す可能性を示唆するデータが報告された。米ウィスコンシン大学マディソン校のMatthew Tattersall氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に11月23日掲載された。持続型喘息の患者では、頸動脈の動脈硬化が有意に進行していることが確認されたという。ただし、間欠型喘息の患者では、この関係は非有意とのことだ。  喘息とアテローム性動脈硬化の病態にはともに炎症が関与していることから、両者に何らかの相互関係がある可能性が想定される。Tattersall氏らは、アテローム性動脈硬化のリスク評価に頻用されている、超音波検査による頸動脈内膜中膜複合体厚(頸動脈IMT)を指標として、喘息の有無により動脈硬化の進行レベルが異なるか否かを検討した。

女性が運動をするなら朝が最適?

 中年期以降の女性が健康のために運動をするなら、早朝から午前中に行うと良いかもしれない。その方が心血管イベントリスクをより抑制できる可能性を示唆するデータが報告された。ライデン大学医療センター(オランダ)のGali Albalak氏らの研究によるもので、詳細は「European Journal of Preventive Cardiology」に11月14日に掲載された。なお、男性ではこのような傾向は見られないとのことだ。  Albalak氏はこの研究結果の報告に際して、「まず基本的に伝えたいことは、いつ行ったとしても運動にはメリットがあるということだ」と述べ、運動そのものの意義を強調している。実際、公衆衛生に関する大半のガイドラインでは、運動の強度や頻度に関する推奨を掲げているものの、タイミングについては触れていない。Albalak氏らはそのような認識を基盤とした上で、概日リズム(1日24時間周期の生理活動)との関連から、運動を行うタイミングが健康上のメリットに影響を及ぼす可能性があるのではないかと考え、本研究を行った。

冬季うつの改善に運動を

 冬に入り日が短くなると、季節性感情障害(SAD)として知られる冬季うつのために、気分が落ち込みやすくなる人が増加する。例えば、疲れやすい、人生に行き詰まった感じがする、やる気が出ない、炭水化物や甘い物が欲しくなる、といった症状が現れることがある。そのような時は、有酸素運動などを行うと気分を高めるのに役立つかもしれない。米ベイラー医科大学のJames McDeavitt氏らが同大学のサイト内で、冬季うつを改善するためのいくつかのヒントを提供している。  McDeavitt氏はまず、「SADでは、運動を継続するか、場合によっては運動量を増やすことが望ましい」と語る。「有酸素運動を継続的に行うことは気分に良い影響を与える。ただし、必ずしも負荷のかかるジョギングなどである必要はない。ヨガや太極拳、瞑想なども、抑うつ症状の改善に役立つ」とのことだ。同氏は、「SADやうつ病、その他の原因でセロトニンとドーパミンのレベルが低下している状態では、運動を通じて脳内神経伝達物質のレベルを高めるというメリットを得られる」と、症状改善のメカニズムを解説している。

子どもの学習の速さの秘密が脳画像から明らかに?

 子どもはなぜあんなにも早く新しい知識やスキルを習得できるのかと疑問に思ったことはないだろうか。新たな研究で、子どもが新しい情報を処理し、脳内でその情報を学習して蓄積する上でGABA(Gamma Amino Butyric Acid、γ-アミノ酪酸)と呼ばれる脳内の神経伝達物質が非常に重要な役割を果たしていることが示唆された。米ブラウン大学認知言語心理学部教授の渡邊武郎氏らが実施したこの研究の詳細は、「Current Biology」に11月15日掲載された。  効率よく学ぶには、新たに学んだことが脳で迅速に固定化され、その後に学んだものの影響を受けずに保持される必要がある。成人を対象にした研究では、精神を安定させる抑制性の神経伝達物質であるGABAが、新しく学んだ情報の固定化に重要な役割を果たしていることが報告されている。しかし別の研究では、子どもでのGABAによる抑制作用は大人に比べると未成熟であることが示されている。それにもかかわらず、子どもの方が大人よりも効率よく学習できるのはなぜなのか。  このことを調べるために渡邊氏らは、小学生13人(8〜11歳)と成人14人(18〜35歳)を対象に、機能的磁気共鳴スペクトロスコピー(fMRS)を用いて、知覚学習の実施前、実施中、実施後の初期視覚野のGABA濃度を測定し、比較した。

トリグリセライドの新基準と適切なコントロール法/日本動脈硬化学会

 今年7月に発刊された『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』。今回の改訂点の1つとして「随時(非空腹時)のトリグリセライド(TG)の基準値」が設定された。これらの基準をもとに動脈硬化性疾患のリスクとしての高TG血症を確認するが、TG値の低下だけではイベントを減らせないため、高TG血症の原因となる生活習慣を改善させ適切な治療介入により動脈硬化を抑制するという観点から複合的に行う必要がある。今回、日本動脈硬化学会プレスセミナーにおいて、増田 大作氏(りんくう総合医療センター循環器内科部長)が「高トリグリセライド血症とその治療」と題し、日本人疫学に基づいたTGの適切なコントロール法について解説した。

IO+Chemoへのベバシズマブ add onの成績(APPLE)/日本肺癌学会2022

 非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療はIO+化学療法にパラダイムシフトしている。 ベバシズマブは化学療法の効果を増強することが報告されているだけでなく、VEGF阻害に伴う免疫抑制の解除による免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果増強も期待されている。  そのような中、NSCLCおいて、ICIであるアテゾリズマブ・化学療法併用へのベバシズマブの追加効果を評価するAPPLE試験が行われている。第63回 日本肺癌学会学術集会では、APPLE試験の初回解析結果を九州大学病院の白石祥理氏が発表した。

MCIやアルツハイマー病患者でみられる嗅覚識別能力の低下

 金城大学の吉武 将司氏らは、地域在住高齢者において、軽度認知障害(MCI)およびアルツハイマー病(AD)の嗅覚同定能力を調査し、識別困難なにおいの特定を試みた。その結果、MCIやADの高齢者は認知機能が正常な高齢者と比較し、嗅覚同定能力の低下が認められた。このことから著者らは、認知症患者に対し嗅覚刺激に関連する治療介入を行う前に、嗅覚の評価を行うことが重要であるとしている。Journal of Physical Therapy Science誌2022年11月号の報告。  対象は、MCI高齢者(MCI群)12例、AD高齢者(AD群)17例、どちらでもない高齢者(対照群)30例。嗅覚同定能力は、においスティック(OSIT-J)による検査を用いて評価し、スコアの群間比較および群間差を調査した。次に、各においに対する正答率の群間比較を行い、識別困難なにおいの特定を試みた。

短腸症候群患者の声は社会に届いているか/武田

 社会にはなかなか認知されていない希少疾病や難病も多く「短腸症候群」もその1つである。本症は指定難病ではないが、小児から成人まで患者層は幅広く、患者のQOLにも大きな負担をもたらしている。武田薬品工業は「短腸症候群(SBS)を知っていますか?」をテーマにメディアセミナーを開催した。  セミナーでは、前半でSBSの病態や診療と治療について説明するとともに、後半では患者のリアルな声が届けられた。  はじめに「短腸症候群の特徴」をテーマに千葉 正博氏(昭和大学薬学部臨床薬学講座臨床栄養代謝学部門 教授/同病院外科学講座小児外科学部門兼担)が、疾患概要を説明した。  SBSとは「生まれつき、あるいは生活する中で腸が通常より短くなった方々」とされ、 明確な学術的な定義がない。通常、小腸は成人で約6m(小児で約2m)ほどあるが、わが国では(1)小腸の75%以上切除、(2)成人1.5m未満(小児75cm未満)、(3)静脈栄養から離脱困難のうち1つでも該当する患者をSBSと診断している。

CDK4/6阻害薬+ETで増悪したHR+/HER2-転移乳がん、パルボシクリブ継続投与は有効か(PACE)/SABCS2022

 CDK4/6阻害薬+内分泌療法(ET)による治療で増悪した、ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)転移乳がん(MBC)患者において、CDK4/6阻害薬を継続投与すべきかは明らかでない。増悪後、フルベストラントへの変更を伴うパルボシクリブの継続が、フルベストラント単独への変更よりも転帰を改善するかどうかを前向きに評価し、パルボシクリブ・フルベストラント・アベルマブの3剤投与の活性を探る第II相PACE試験の結果を、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のErica L. Mayer氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。 ・対象:CDK4/6阻害薬+ETで増悪したHR+/HER2-MBC患者(MBCに対するETが≦2ライン/化学療法が0~1ライン、フルベストラント治療歴なし) ・試験群 フルベストラント+パルボシクリブ群(F+P群):フルベストラント 500mg+パルボシクリブ 125mg 111例 フルベストラント+パルボシクリブ+アベルマブ群(F+P+A群):フルベストラント 500mg+パルボシクリブ 125mg+アベルマブ 10mg/kg 54例 ・対照群(F群):フルベストラント 500mg 55例 ・評価項目:

薬価4億8300万円超の血友病Bの遺伝子治療薬をFDAが承認

 米食品医薬品局(FDA)は11月22日、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた血友病Bの遺伝子治療薬Hemgenix(一般名etranacogene dezaparvovec)を承認した。同薬剤による治療は1回の投与で完了するが、価格は1回当たり350万ドル(1ドル138円換算で約4億8300万円)に上るという。投与の対象は、現在、第IX因子製剤による補充療法を受けている成人患者、現在または過去に命に関わる出血を経験したか、重症の自然出血エピソードが繰り返し生じている成人患者である。

インフルエンザ予防接種が心不全患者の命を守ってくれる

 インフルエンザの予防接種は、インフルエンザを予防するだけでなく、心不全患者の肺炎を約4割、入院リスクを約15%減らすことを示す、多国籍無作為化プラセボ対照比較試験の結果が「The Lancet Global Health」12月号に掲載された。マクマスター大学(カナダ)のMark Loeb氏らの研究によるもので、同氏は、「これまでインフルエンザワクチンの効果が過小評価されていたようだ。心不全患者がインフルエンザの予防接種を受けずにいる理由はない」と語っている。  この研究は、アジア、中東、アフリカの10カ国の18歳以上の心不全患者5,129人(平均年齢57.2±15.3歳、女性51.4%)を対象に実施された。心不全の重症度〔ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類〕は、クラスII(身体活動をある程度制限しないと症状が現れる)が69.5%、クラスIII(安静にしていないと症状が現れる)が26.1%、クラスIV(安静時にも症状がある)が4.4%。

統合失調症に対する高用量ルラシドンの有効性

 福島県立医科大学の三浦 至氏らは、急性増悪期の統合失調症患者を対象に、ルラシドン80mg/日の有効性および安全性を検討した。その結果、ルラシドン40mg/日で治療した急性期統合失調症患者において、用量を80mg/日に増量した場合でも忍容性は良好であった。また、ルラシドン80mg/日への増量では、40mg/日を継続した場合と比較し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)サブスケールスコアのより大きな改善が認められた。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2022年11月9日号の報告。

超過死亡1,483万人、コロナ死の約3倍/Nature

 2020〜21年における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による超過死亡数は、全世界で約1,483万人にのぼることが、世界保健機構(WHO)のWilliam Msemburi氏らのグループの推計で明らかになった。この推計値は、同期間中に報告されたCOVID-19を原因とした死亡(COVID-19死)件数の約3倍に相当する。Nature誌オンライン版12月14日掲載の報告。  2021年12月31日現在、WHOに報告されたCOVID-19の確定数は、全世界で2億8,700万人を超え、そのうち約542万人が死亡している。しかし、検査の利用しやすさ、診断能力、COVID-19死の認定方法に一貫性がないといった要因により、COVID-19が世界人口に及ぼす影響の評価には困難が伴う。そこでMsemburi氏らは、人命損失について世界規模で定量化するため、超過死亡者数を推定した。超過死亡数にはCOVID-19死の総数、必要な医療の中断などの間接的な影響による死亡の両方が含まれる。

コロナ感染後の手術、間隔が長いほど術後の心血管疾患リスク減

 SARS-CoV-2感染から手術までの間隔が長くなるほど、術後の主要心血管イベント複合転帰のリスクが低くなることを、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのJohn M. Bryant氏らが単一施設の後ろ向きコホート研究によって明らかにした。JAMA Netw Open誌2022年12月14日号掲載の報告。  これまで、複数の研究によってSARS-CoV-2感染と手術後の死亡率増加の関連が報告されているが、手術までの期間と死亡率の関連性についてはまだ不十分であった。そこで研究グループは、SARS-CoV-2感染から手術までの期間が短いほど、術後の心血管イベントの発生率が上がると仮説を立て、手術後30日以内の心血管イベントリスクを評価することにした。

CAR-T liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に承認/BMS

ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年12月20日、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、製品名:ブレヤンジ)について、自家造血幹細胞移植への適応の有無にかかわらず、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療として、再生医療等製品製造販売承認事項一部変更承認を取得した。  今回の承認は、自家造血幹細胞移植適応患者を対象とした国際共同第III相試験(JCAR017-BCM-003試験)、自家造血幹細胞移植非適応患者を対象とした海外第II相試験(017006試験)および国際共同第II相試験(JCAR017-BCM-001試験)コホート2を含む、1次治療後の再発・難治性のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者を対象とした臨床試験の成績に基づいている。

意思により制御できる車いすで麻痺患者が移動可能に

 重度の麻痺のある人が、脳の手術を受けなくても思い通りに車いすを動かせるようになる日が来るかもしれない。米テキサス大学オースティン校のJose del R. Millan氏らが、同氏らが開発した電極付きキャップを装着した四肢麻痺患者が、脳波により車いすを動かして病院内の“障害物コース”を進むことができたことを報告したのだ。この研究の詳細は、「iScience」11月18日号に掲載された。  この電極付きキャップは、かぶっている患者の脳信号(脳波)を捉えることができる。検出された脳波は増幅器により増幅されてコンピューターに送られ、そこでプログラムによって車いすの動きに変換される。患者は腕や手、足など、動かせなくなった体の部位を動かそうと念じるだけでよいという。Millan氏は、「手や足を動かそうという患者の意思が、実際に車いすのモーターを動かす指令に変換され、左右の車輪の回転速度を変えることで曲がることができる。例えば、左側よりも右側の車輪の回転速度が速いと左に回り、逆の場合には右に曲がる」と説明する。  研究には、3人の脊髄損傷による四肢麻痺患者が参加した。これらの患者は、2~5カ月にわたって週3回、この電極付きキャップをかぶって、車いすを動かすためのトレーニングを受けた。車椅子は、乗っている人が両手を動かすことをイメージすると左に曲がり、両足を動かすことをイメージすると右に曲がるように設定されているという。

1日のうちで花粉が多く飛散する時間帯が明らかに

 花粉症の原因となる花粉の飛散量は、季節や日によってだけでなく、1日のうちの時間帯によっても差があり、気温の上昇に伴い増加することが明らかにされた。米Atlanta Allergy and Asthmaのアレルギー専門医であるStanley Fineman氏らによるこの研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次学術集会(ACAAI 2022、11月10~14日、米ルイビル)で発表されるとともに、「Annals of Allergy, Asthma & Immunology」11月号(増刊号)に掲載された。  Fineman氏によると、花粉の飛散量の監視はこれまでも行われてきたが、24時間単位での測定が一般的であったという。これに対して、Atlanta Allergy and Asthmaの研究チームは、2021年3月24日から31日にかけて米エモリー大学の研究チームとともに、アトランタの3カ所のエリアで1週間にわたり1時間ごとの花粉飛散量を、画像技術を用いてリアルタイムでモニタリングした。天候の変化による日ごとのばらつきを低減するため、この期間中の1時間ごとの花粉濃度の平均値を算出した。その結果、花粉飛散量は、午前4時から正午までの間は比較的少なく、午後2時から午後9時の間は多くなることが明らかになった。

不眠症に対する認知行動療法アプリの有効性

 サスメド株式会社の渡邉 陽介氏らは、同社が開発した不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)のスマートフォン用アプリについて、有効性および安全性を検証するため国内第III相シャム対照多施設共同動的割り付けランダム化二重盲検比較試験を実施した。その結果、不眠症治療に対するスマートフォンベースのCBT-Iシステムの有効性が確認された。Sleep誌オンライン版2022年11月10日号の報告。  不眠症患者175例を、スマートフォンベースのCBT-Iアプリ使用群(アクティブ群、87例)と、本アプリから治療アルゴリズムなどの治療の機能を除いたアプリを使用する群(シャム群、88例)にランダムに割り付け、CBT-Iアプリの有効性および安全性を評価した。主要評価項目は、ベースラインから治療8週間後のアテネ不眠尺度(AIS)の変化量とした。