医療一般|page:162

HR0.58、camizestrantがER+HER2-進行乳がんでフルベストラントに対しPFS延長(SERENA-2)/SABCS2022

 ホルモン受容体(ER)陽性/HER2陰性の閉経後進行乳がん(ABC)患者において、次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であるcamizestrantが、フルベストラントと比較して無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に改善した。第II相SERENA-2試験の結果を、スペイン・Vall d'Hebron University HospitalのMafalda Oliveira氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。 ・対象:ER陽性/ HER2陰性の閉経後進行乳がん患者(1ライン以上の内分泌療法後の再発または進行で、ABCに対するフルベストラントまたは経口SERD治療歴はなく、内分泌療法・化学療法は1ライン以下) ・試験群: camizestrant75mg(C75)群 74例 camizestrant150mg(C150)群 73例 ・対照群:フルベストラント(F)群 73例 ・評価項目: [主要評価項目]PFS [副次評価項目]24週における臨床的ベネフィット率(CBR24)、奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、安全性 [層別化因子]CDK4/6阻害薬による治療歴、肺/肝転移

せん妄に対する薬理学的治療~システマティックレビュー

 入院患者におけるせん妄のマネジメントに用いられる薬剤の有効性を調査するため、ドイツ・ゲッティンゲン大学のMonika Sadlonova氏らは、最新情報を包括的に網羅したシステマティックレビューを実施した。その結果、一部の入院患者においては、激越といったせん妄症状が薬物治療により軽減することが期待できるという。ただし、手術後、終末期、ICU入室など、さまざまな入院患者に対する薬理学的介入の有効性を評価するためには、追加の二重盲検ランダム化プラセボ対照試験を行う必要があると著者らは述べている。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2022年10月21日号の報告。

オミクロン株のlong COVIDリスク、デルタ株より低い

 新型コロナウイルス感染症のオミクロン株は以前に流行したデルタ株と比較して急性期の症状が軽症であることが報告されているが、コロナ罹患後の後遺症、いわゆるlong COVIDのリスクも低いことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のKarin Magnusson氏らの調査で示された。本研究の結果はNature Communications誌2022年11月30日号で報告された。  研究者らは、ノルウェーにおける18~70歳の全国民を対象に、医療データベースを使った前向きコホート研究を行った。オミクロンとデルタ株の流行が最も重複した期間(2020年12月8日~2021年12月31日)を対象に、オミクロン株の感染者の罹患後症状を、デルタ株感染者・非感染者と比較した。さらに、検査陽性後14~126日までの追跡期間を、急性期(14~29日)、亜急性期(30~89日)、慢性期(90日以上)に分け、罹患後症状の有病率の推定値も示した。

AIで乳がん病変の悪性鑑別を~非侵襲的かつ鑑別精度の高い手法の開発目指す

 GEヘルスケア・ジャパン株式会社(以下、GEヘルスケア)と愛媛大学は、乳がんの早期発見・診断精度向上に向けた非侵襲的な検査方法を開発するべく2021年より共同研究を開始している。本研究では同医学部附属病院で得られた乳腺病変のデータに人工知能技術を使用した解析を行っており、その結果、画像データから乳腺病変の良悪性を鑑別できる可能性が示唆された。本結果は、12月6日の記者会見で発表されたもので、将来的に乳がんの診断や治療に伴う身体的負担や心理的不安、検査コストの低減につながる可能性がある。  乳がん領域において、検診のマンモグラフィ画像から病変検出や良悪性判定するためにCAD(Computer-aided diagnosis)が活用されるなど、人工知能による乳がん発症予測の実現化が期待され、実際に陰性のマンモグラフィ検査後5年以内の乳がん発症リスクを推定できることも報告されている1)。一方、精密検査では超音波検査や乳腺MRIを実施した後、米国放射線専門医会(ACR)が中心となって作成したガイドラインBreast imaging reporting and data system(BI-RADS)を用いて良悪性診断を行うが、人間による腫瘤の形・辺縁の評価や判別には限界があることから、診断方法の確立が望まれている。

ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス発売、患者の通院負担軽減に期待/協和キリン

 協和キリンは、持続型G-CSFペグフィルグラスチム(商品名:ジーラスタ)の自動投与デバイスであるジーラスタ皮下注3.6mgボディーポッド(以下、同剤)を12月6日より発売すると発表した。  ペグフィルグラスチムは、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症として2014年から日本で販売している。通常、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与されるが、同剤は約27時間後に薬剤が自動投与される機能を搭載する。  がん化学療法と同日に使用することでペグフィルグラスチム投与のための通院が不要となる。この機能により、化学療法を実施する患者の通院負担の軽減に寄与するという。

小児および思春期の抗精神病薬による血清プロラクチンレベルの性差~メタ解析

 血清プロラクチンレベルに及ぼす因子はさまざまあるが、中でも性別、身体的発達、投薬の影響が大きい。抗精神病薬は、成人および若年患者の血清プロラクチンレベルを上昇させることは知られているが、小児・思春期患者における高プロラクチン血症発症に対する性別と脆弱性との潜在的な関連性を検討した研究はほとんどなかった。スペイン・バルセロナ大学のLidia Ilzarbe氏らは、抗精神病薬治療を行っている小児および思春期の精神疾患患者における血清プロラクチンレベルに対する性別の影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、抗精神病薬を投与された小児および思春期患者では、血清プロラクチンレベルの増加が認められ、この増加は男性よりも女性においてわずかに大きいことが示唆された。Current Neuropharmacology誌オンライン版2022年10月27日号の報告。

アテゾリズマブのNSCLCアジュバント、日本人でも有効(IMpower010)/日本肺癌学会

 非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアテゾリズマブの術後補助療法は、日本人においても良好な成績を示した。  第63回日本肺癌学会学術集会で、静岡県立静岡がんセンターの釼持 広知氏が、アテゾリズマブ術後補助療法の第III相試験IMpower010の日本人サブセットを発表している。内容の一部は、Cancer Science誌2022年9月5日号で発表されたものである。

T-DM1既治療のHER2+進行乳がん、T-DXdがPFSとOSを改善(DESTINY-Breast02)/SABCS2022

 トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)治療歴のあるHER2+の切除不能または転移を有する乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択の化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast02試験において、T-DXd群では無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が有意に改善したことを、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのIan Krop氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。

診療所での効果的な感染対策例/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第108回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、11月30日に開催された。その中で日本プライマリ・ケア連合学会より「診療所における効果的な感染対策の好事例の紹介」が報告された。  これは、本格的な冬を迎え、プライマリ・ケアの外来には発熱などの感冒様症状を訴える患者が増えると予想されていることに鑑み、これに備え、これまでの新型コロナ流行下で実践されてきたプライマリ・ケアでの効果的な感染対策の工夫例と発熱外来を設置・運用するうえでの工夫例をまとめたもので、以下に概要を示す。

心房細動患者へのNOAC、間質性肺疾患リスクに影響か

 近年、非弁膜性心房細動(NVAF)患者の脳卒中予防のため、ワルファリンの代替として経口抗凝固薬(NOAC)の使用が推奨されている。しかし、第Xa因子(FXa)阻害薬の使用に関連する間質性肺疾患(ILD)リスクの可能性が報告されている。今回、台湾・長庚記念病院国際医療センターのYi-Hsin Chan氏らがFXa阻害薬による治療がNVAF患者の肺損傷と関連していたことを明らかにした。JAMA Network Open誌11月1日号掲載の報告。  研究者らは、NVAF患者におけるNOAC使用に関連するILDリスクを評価することを目的として、台湾国民健康保険研究データベースを使用し後ろ向きコホート研究を実施した。対象者は2012年6月1日~2017年12月31日までにOACによる治療を受け、既存の肺疾患のないNVAF患者が含まれた。傾向スコアで安定化重み(PSSW:Propensity score stabilized weighting)を用いて、投薬群(FXa 阻害薬、ダビガトランまたはワルファリン、参照をワルファリン) 間で共変量のバランスを取った。患者は服薬開始日からILDの発症/死亡、または研究終了(2019年12月31日)のいずれか早い期間まで追跡され、データ分析は2021年9月11日~2022年8月3日に行われた。

オミクロン株BQ.1.1とXBBに対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 新型コロナウイルス感染症の第8波では、オミクロン株BA.5がまだ主流ではあるものの、主に欧米で見られるBQ.1.1系統(BA.5系統から派生)や、インドやシンガポールなどのアジア諸国で急激に増加しているXBB系統(BA.2系統から派生)の感染例が、国内でも徐々に増加している。河岡 義裕氏らによる東京大学、国立国際医療研究センター、国立感染症研究所、米国ウィスコンシン大学が共同で行った研究において、患者から分離したBQ.1.1とXBBに対して、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、抗体薬はいずれも感染を阻害しなかったが、抗ウイルス薬は高い増殖抑制効果を示した。本結果は、NEJM誌オンライン版2022年12月7日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

オシメルチニブのNSCLCアジュバント、日本人でも有効(ADAURA)/日本肺癌学会

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの術後補助療法は、日本人においても有効で、グローバルと同等の成績を示した。  第63回日本肺癌学会学術集会で、神奈川県立がんセンターの加藤晃史氏が、オシメルチニブ術後補助療法の第III相試験ADAURAの日本人サブセットを発表している。

帯状疱疹の既往で長期的な脳卒中・冠動脈疾患リスクが増大

 帯状疱疹と脳卒中および冠動脈疾患の関連を検討したところ、帯状疱疹の既往が脳卒中および冠動脈疾患の長期的なリスクを高め、そのリスクは帯状疱疹発症から12年以上継続する可能性があることを、米国・Brigham and Women's HospitalのSharon G. Curhan氏らが明らかにした。Journal of the American Heart Association誌2022年11月16日掲載の報告。  調査は、米国の3つの大規模コホート研究であるNurses' Health Study(NHS)、Nurses' Health Study II(NHS II)、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)を用いて行われた。解析対象は、これまでに脳卒中や冠動脈疾患の既往のないNHSの女性7万9,658例(平均年齢65.8歳、2000~2021年)、NHS IIの女性9万3,932例(平均年齢46.2歳、2001~2021年)、HPFSの男性3万1,440例(平均年齢69.5歳、2001~2016年)の合計20万5,030例であった。

肺炎およびフレイルと認知症リスク~日本老年学的評価研究

 最近、いくつかの研究において、フレイルの増加による認知機能低下および認知症のリスク増加に、肺炎が影響を及ぼす可能性が報告されている。大阪大学のParamita Khairan氏らは、肺炎歴とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、肺炎歴の有無にかかわらずフレイルおよびプレフレイル(フレイルの前駆状態)が、日本人高齢者の認知症リスク増加と関連していることが示唆された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2022年11月号の報告。

高リスク早期乳がんへの術後内分泌療法+アベマシクリブ、OS中間解析結果(monarchE)/SABCS2022

 HR+/HER2-リンパ節転移陽性の高リスク早期乳がんにおける術後内分泌療法へのアベマシクリブの追加を検討するmonarchE試験では、すでに主要評価項目の無浸潤疾患生存期間(IDFS)と副次評価項目である遠隔無転移生存期間(DRFS)を改善することが示されている。今回、主要評価項目の解析から2年後に予定されていた全生存期間(OS)中間解析(IA2)の結果を、英国・The Royal Marsden HospitalのStephen R.D. Johnston氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。なおこの結果は、The Lancet Oncology誌オンライン版2022年12月6日号に同時掲載された。

がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022、利用者の意見反映

 『がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン』が6年ぶりに改訂された。2016年の初版から分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による治療の知見が増えたことや腎障害にはさまざまな分野の医師が関与することを踏まえ、4学会(日本腎臓学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本腎臓病薬物療法学会)が合同で改訂に携わった。  本書は背景疑問を明確に定義する目的で16の「総説」が新たに記載されている。また、実用性を考慮して全体を「第1章 がん薬物療法対象患者の腎機能評価」(治療前)、「第2章 腎機能障害患者に対するがん薬物療法の適応と投与方法」(治療前)、「第3章 がん薬物療法による腎障害への対策」(治療中)、「第4章 がんサバイバーのCKD治療」(治療後)の4章にまとめている。

慢性期統合失調症の陰性症状に対するpentoxifylline補助療法~RCT

 エジプト・University of Sadat CityのMahmoud S. Abdallah氏らは、慢性期統合失調症患者の陰性症状軽減に対するリスペリドン治療の補助療法としてpentoxifyllineの有効性および安全性を評価するため、ランダム化プラセボ対照試験を実施した。その結果、慢性期統合失調症患者の陰性症状軽減に対する8週間のリスペリドン+pentoxifylline補助療法は、有望な治療選択肢である可能性が示唆された。CNS Neuroscience & Therapeutics誌オンライン版2022年11月7日号の報告。

アムロジピンとニフェジピンが妊婦にも処方可能に/使用上の注意改訂

 厚生労働省は12月5日、血管拡張薬のアムロジピンベシル酸塩とニフェジピンの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。  これまで上記2剤は「妊婦(ニフェジピンは妊娠20週未満)又は妊娠している可能性のある婦人」が禁忌とされてきたが、今回の改訂によりこの内容が削除され、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には投与可能とされた。

さまざまな不眠症診療ガイドラインのシステマティックレビュー

 不眠症治療に関する臨床診療ガイドライン(CPG)の質および推奨事項の評価、エビデンスの要約を通じた適切な薬理学的治療へのアルゴリズム的アプローチに関するガイダンスの提供を目的に、シンガポール・センカン総合病院のSu Yin Seow氏らがシステマティックレビューを実施した。その結果、不眠症に対する薬物治療の適応はすべてのCPGで共通していたが、第1選択薬では違いが認められ、また、ほとんどのCPGで薬物治療後のすべての臨床的考慮事項に関する推奨事項の記載はなかった。Journal of Psychiatric Practice誌2022年11月1日号の報告。

血中デュピルマブ値と治療反応、有害事象は関連するか?

 デュピルマブ治療を受けるアトピー性皮膚炎(AD)成人患者の治療反応および有害事象は、血中デュピルマブ値と関連しているのか。オランダ・ユトレヒト大学のLotte S. Spekhorst氏らは、前向きBioDayレジストリのデータを利用した臨床前向き観察コホート試験で、被験者の16週時点の血中デュピルマブ値は広範囲にわたったが、1年時点の評価で治療反応や有害事象との関連は認められなかったことを明らかにした。  AD成人患者へのデュピルマブ用量は隔週300mgとされている。今回の結果を踏まえて著者は、「デュピルマブの奏効は、インターロイキン-4(IL-4)受容体サブユニットαをターゲットとしていることに依存しており、患者間のばらつきが奏効の不均一性を生み出している可能性がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年11月2日号掲載の報告。