医療一般|page:163

葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏でコロナ増悪抑制の可能性/東北大学ほか

 軽症および中等症Iの新型コロナウイルス感染症患者に対し、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を追加投与することで、発熱症状が早期に緩和し、呼吸不全への増悪リスクが低かったことが、東北大学大学院医学系研究科漢方・統合医療学共同研究講座の高山 真氏らの研究グループによる多施設共同ランダム化比較試験で明らかになった。Frontiers in pharmacology誌2022年11月9日掲載の報告。

スタチン、抗凝固薬服用の心房細動患者の出血リスクを低減

 経口抗凝固薬を服用している非弁膜症性心房細動患者において、スタチン服用で大出血、全死亡、虚血性イベントのリスクが有意に低下したことが、多施設後ろ向きレジストリ研究で示唆された。兵庫医科大学の内田 和孝氏らがAmerican Journal of Cardiovascular Drugs誌オンライン版2022年11月16日号で報告した。  本研究は、心臓機械弁もしくは肺/深部静脈血栓症の既往歴のある患者を除外した経口抗凝固薬を服用している非弁膜症性心房細動患者を対象とした。2013年2月26日に7,826例を登録し、2017年2月25日まで追跡した。主要評価項目は大出血、副次評価項目は全死亡、虚血性イベント、出血性脳卒中、虚血性脳卒中で、スタチン投与群と非投与群で比較した。

既治療のNSCLCに対するアテゾリズマブ単剤のリアルワールドデータ(J-TAIL)/日本肺癌学会

 既治療の切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアテゾリズマブの単剤療法は、実臨床においても開発治験と同様の臨床効果を示すことが明らかとなった。  既治療の切除不能NSCLCにおいて、ドセタキセルに対し優越性を示したOAK試験の結果に基づき、アテゾリズマブの単剤療法は2次治療以降の治療選択肢となっている。しかし、開発治験における日本人データは限定されており、日常臨床での再現性は明らかではない。  そこで、日本の実臨床における同レジメンの安全性と有効性を検討する前向き試験J-TAILが行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、松坂市民病院の畑地治氏がJ-TAIL試験の最終解析を発表した。

EGFR陽性T790M陰性NSCLCに対するオシメルチニブの2次治療は有効(WJOG12819L/KISEKI)/日本肺癌学会

 第1/2世代EGFR-TKIで増悪したEGFR陽性T70M陰性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、オシメルチニブの2次治療が有効性を示した。  第1/2世代EGFR-TKIのPD症例に対するオシメルチニブの2次治療は、T790M変異陽性例にのみ適用できる。反面、残りの半数のT709M陰性例は、オシメルチニブによる治療の恩恵を受けることができないのが現状である。  そのような中、第1/2世代EGFR-TKIおよびプラチナ化学療法耐性のEGFR陽性T70M陰性NSCLCに対するオシメルチニブ2次治療を評価するWJOG12819L/KISEKI試験が行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、奈良県立医科大学の武田真幸氏が、同試験の初回解析結果を発表した。なお、この試験は、わが国初の患者提案型医師主導試験である。

新型コロナ抗体保有率が高い/低い都道府県は?/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第108回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、11月30日に開催された。その中で鈴木 基氏(国立感染症研究所感染症疫学センター長)らのチームが、「献血時の検査用検体の残余血液を用いた新型コロナウイルスの抗体保有率実態調査」について結果を報告した。 本調査は、わが国における今夏の感染拡大を踏まえた市中での感染状況の把握を目的に、2022年11月6日~13日にかけて行われた。対象は、全国の日本赤十字社の献血ルームなどを訪れた献血者8,260人で、献血時の検査用検体の残余血液を用いて抗N抗体の有無が調べられた。日本全体および都道府県・男女・年齢群別の抗体保有率が解析されている。

国内初の経口TYK2阻害剤デュークラバシチニブが乾癬治療にもたらす可能性

 2022年11月10日、ブリストル マイヤーズ スクイブ主催により、「乾癬治療の課題と新たな治療選択肢~国内初のTYK2阻害剤登場の意義~」についてプレスセミナーが開催された。同セミナーで帝京大学医学部皮膚科学講座の多田 弥生氏は、乾癬を取り巻く社会課題として患者の生活の質(Quality of Life:QOL)に及ぼす影響について講演を行った。また、名古屋市立大学大学院医学研究科の森田 明理氏は、国内初の経口TYK2阻害剤として同年9月に承認されたデュークラバシチニブ(商品名:ソーティクツ錠)の開発経緯、作用機序や臨床試験の紹介に加え、同剤への期待を述べた。

術前化療で完全奏効のTN or HER2+乳がん、手術省略できるか/Lancet Oncol

 トリプルネガティブ(TN)およびHER2陽性乳がん患者において、術前化学療法により病理学的完全奏効を達成した場合は予後良好とされ、経皮的画像ガイド下吸引補助式乳房組織生検(VACB)により正確に判断することが可能である。今回、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHenry M. Kuerer氏らは、術前化学療法を受けたTNまたはHER2陽性の早期乳がん患者において、画像ガイド下VACBにより病理学的完全奏効と判定された場合に、手術を省略し放射線治療のみにできるかどうか検討した。The Lancet Oncology誌2022年12月号に掲載。  本試験は米国の7施設による多施設共同単群第II相試験で、対象はcT1-2N0-1M0のTNまたはHER2陽性乳がんの妊娠していない40歳以上の女性で、標準的な術前化学療法後に残存病変が画像上2cm未満の患者とした。画像ガイド下VACBで浸潤性・潜在性がんが確認されなかった場合、手術を省略し、標準的な全乳房放射線治療を行った。主要評価項目は、生検による同側乳がん再発率、安全性はVACBを受けた全患者を対象に評価した。  主な結果は以下のとおり。

治療抵抗性の幻聴に対する低刺激rTMS療法の有用性

 治療抵抗性の幻聴を有する患者に対する治療として、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法が注目されている。しかし、とくにクロザピン耐性症状が認められる患者における最適な刺激パラメータはよくわかっていない。フランス・リヨン大学のJerome Brunelin氏らは、治療抵抗性の幻聴を伴う統合失調症患者に対して、うつ病性障害への刺激パラメータが有用かどうかを調査するため、非盲検レトロスペクティブ研究を実施した。その結果、クロザピン耐性症状が認められる患者を含む治療抵抗性の幻聴に対し、低刺激rTMS療法(3週間で30セッション)は有用なアプローチであることが示唆された。International Journal of Clinical and Health Psychology誌2023年1~4月号の報告。

アナフィラキシーなどの治療を非専門医向けに/アレルギー総合ガイドライン改訂

 多くの診療科に関係するアレルギー疾患。2022年10月に刊行された『アレルギー総合ガイドライン2022』は、2019年版の全面改訂版だ。各診療ガイドラインのエッセンスを精選して幅広いアレルギー診療の基本をまとめ、前版より大幅なコンパクト化を実現した。編纂作業にあたった日本アレルギー学会・アレルギー疾患ガイドライン委員会委員長の足立 雄一氏(富山大学 小児科学講座 教授)に改訂のポイントを聞いた。 ――『アレルギー総合ガイドライン』は、各分野のガイドラインや診療の手引きの短縮版を合本してつくられています。これまではそのまま合本していたため、どうしても重複箇所が多くなり、2019年版は700ページを超えました。読者から「読みにくい」「重くて持ち運べない」といった声が出ており、今回はガイドライン委員が全ページに目を通して重複を削る作業をした結果、300ページ近いコンパクト化を図ることができました。

中程度の運動で乳がん患者の死亡リスクが60%減!?

 乳がん患者における日常動作以上の身体活動レベルと全死因死亡リスクの関連を評価した結果、中程度の身体活動であっても死亡リスクが60%低いことを、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニアのLie Hong Chen氏らが明らかにした。身体活動による乳がんの発症リスク低減効果は知られているが、乳がんと診断された後の身体活動の効果に関する評価はまだ不十分であった。JAMA Netw Open誌2022年11月17日リサーチレター掲載の報告。  研究グループは、2年以上前に乳がんの診断を受け(生存期間中央値6年)、カリフォルニア州のヘルスケアプランのメンバーであった閉経後乳がん患者のコホート研究を実施した。対象は、1996~2012年に初期の乳がん(TNM分類0~II期)と診断された患者で、調査は2013年8月1日~2015年3月31日に行われ、2022年4月30日または患者死亡まで追跡された。  身体活動レベルと疲労度は、ゴーディン式余暇運動調査票(GSLTPAQ)およびFatigue Severity Inventory(簡易倦怠感尺度)の2つのアンケートによって聞き取った。身体活動レベルと全死因死亡リスクの関連を、年齢、乳がんの病期、疲労度、併存疾患、診断からの年数、人種・民族、不眠症とうつ病の既往、がん治療の種類(内分泌療法、化学療法、放射線治療)によって調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。

「肥満」との違いは?肥満症診療ガイドライン改訂

 11月24日に日本肥満学会(理事長:横手 幸太郎氏[千葉大学医学部附属病院長])は、『肥満症診療ガイドライン2022』についてプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、肥満症の現況や治療に関する解説と今回刊行されたガイドラインの概要が説明された。また、本ガイドラインは12月2・3日に那覇市で開催される第43回日本肥満学会(会長:益崎 裕章氏[琉球大学大学院 医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座 教授])で発刊される。

母子手帳アプリ『母子モ』で疾患啓発/AZ

 アストラゼネカは、11月28日付のプレスリリースで、母子手帳アプリ『母子モ』を通じた早産児やRSウイルス感染症に関する情報提供を11月11日より開始したことを発表した。  RSウイルスは、2歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれており、早産児や生まれつき肺や心臓等に疾患を抱える乳児では感染すると重症化しやすいとされている。また、正期産であっても生後6ヵ月未満は感染後重症化するリスクが高いため、該当する年齢の乳幼児を持つすべての保護者に疾患情報や感染対策について知ってもらうことが重要である。

認知症で修正可能な危険因子は?~ランセット認知症予防モデルを検証

 認知症リスクに対し修正可能なリスク因子は、40%の影響を与えるといわれており、認知症の予防または進行遅延につながると考えられる。Lancet委員会による認知症予防のリスク因子ライフコースモデルは、一般集団においてまだ検証されていない。ニュージーランド・オタゴ大学のCharlotte Mentzel氏らは、高齢者の大規模データセットを用いて、本モデルの評価を行った。その結果、ニュージーランドの高齢者集団においてBMI、高血圧、聴覚障害、うつ病が、認知症の修正可能なリスク因子として確認されたことから、認知症予防のためのこれらのリスク因子に対する介入の信頼性が向上したことを報告した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌オンライン版2022年11月2日号の報告。

isCGMは低血糖予防に有効/京都医療センターほか

 低血糖予防教育に間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を用いることで低血糖時間や重症低血糖リスクが低減されることが、村田 敬氏(京都医療センター臨床栄養科)、坂根 直樹氏(同センター臨床研究センター 予防医学研究室長)らの19施設の糖尿病専門医と臨床研究専門家の共同研究により明らかとなった。詳細はDiabetes Research and Clinical Practice誌に11月13日掲載された。

ドキソルビシン、乳がん併用療法での休薬期間短縮可能に/サンドファーマ

 サンドファーマ株式会社は2022年11月24日、ドキソルビシン(一般名:アドリアシン注用10、同注用50)について、乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍薬との併用療法の場合、シクロホスファミド水和物との併用において、用法及び用量の医薬品製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。 <製品概要> ・販売名: アドリアシン注用10 アドリアシン注用50 ・一般名:ドキソルビシン塩酸塩 ・効能・効果:変更なし ・用法・用量: <乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法> シクロホスファミド水和物との併用において、標準的なドキソルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、1日量、ドキソルビシン塩酸塩として60mg(力価)/m2(体表面積)を日局注射用水または日局生理食塩液に溶解し、1日1回静脈内投与後、13日間又は20日間休薬する。 この方法を1クールとし、4クール繰り返す。 なお、年齢、症状により適宜減量する。またドキソルビシン塩酸塩の総

ストレスや睡眠反応性が不眠症状に影響を及ぼすまでの期間

 米国・アリゾナ大学のJiah Yoo氏らは、ストレス曝露後の睡眠障害(睡眠反応性)と睡眠障害後のストレス反応(ストレス反応性)を自然主義的に毎日測定し、これらの反応性と不眠症との関連をレトロスペクティブに調査した。その結果、ベースライン時のストレス反応性と睡眠反応性は、11ヵ月後の不眠症状の悪化をそれぞれ独立して予測するだけでなく、相互に関連し予測していることが明らかとなった。著者らは、本調査結果は不眠症のストレス因子モデルの根底にあるプロセスを可視化し、睡眠とストレス反応性の長期的かつ自然主義的な測定の有用性を示唆していると述べている。Sleep誌オンライン版2022年10月27日号の報告。

4回目接種後、医療者での抗体価推移と有効性の持続期間/NEJM

 4回目の新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体価は2・3回目接種後と比較して違いはあるのか。そして上がった抗体価はどのくらい持続するのか。イスラエル・Sheba Medical CenterのMichal Canetti氏らは、同国の医療従事者における4回目接種後6ヵ月間の液性免疫応答とワクチン有効性を評価。2回目および3回目接種後と比較した。NEJM誌オンライン版2022年11月9日号のCORRESPONDENCEに掲載の報告より。  SARS-CoV-2検査および血清学的フォローアップ検査によって感染歴がないことが確認され、4ヵ月以上前に3回目接種を受けていた4回目接種者が対象。4回目接種後の液性免疫応答(IgGおよび中和抗体の測定によって評価)を、2回目および3回目の投与後と比較した。 ワクチンの有効性は、以下の期間(4回目の接種後7~35日、36~102日、または103~181日)ごとに4回目接種を受けた参加者の感染率を、3回接種者の感染率と比較することによって評価された。Cox比例ハザード回帰モデルを使用し、年齢、性別、および職業により調整され、経時的な感染率の違いを説明するための時間スケールとして暦時間が使用された。死亡や追跡不可となった参加者はいなかった。

SGLT2阻害で腎結石の形成抑制~日本人疫学データ、動物・細胞培養実験より

 阿南 剛氏(東北医科薬科大学医学部泌尿器科学/現:四谷メディカルキューブ 泌尿器科科長)と廣瀬 卓男氏(東北大学医学部内分泌応用医科学/東北医科薬科大学医学部)、菊池 大輔氏(東北医科薬科大学病院薬剤部)らの研究グループは、疫学研究よりナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬は日本の男性糖尿病患者での尿路結石の罹患割合の減少と関連していたことを確認し、動物実験などからSGLT2阻害が腎結石の形成抑制につながることを明らかにした。このことから、SGLT2阻害薬が腎結石に対する有望な治療アプローチになる可能性を示した。本研究はPharmacological Research誌オンライン版10月28日号に掲載された。

双極性うつ病に対する補助療法の有効性と安全性~メタ解析

 双極性うつ病に対する補助療法の有効性および安全性は、いまだ明らかとなっていない。杏林大学の丸木 拓氏らは、双極性うつ病に対しラモトリギン、リチウム、バルプロ酸の単剤療法の補助療法として使用された第2世代抗精神病薬、ラモトリギン、リチウム、バルプロ酸の有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、双極性うつ病に対する第2世代抗精神病薬、ラモトリギン、リチウム、バルプロ酸による補助療法は、ベネフィットとリスクの両方を上昇させる可能性があるものの、重度の有害事象においては有意差がないことが示唆された。著者らは、双極性うつ病に対する補助療法は、患者の併存疾患および状態を十分に考慮し、意思決定を共有したうえで進めていくことが重要であろうとまとめている。International Journal of Bipolar Disorders誌2022年10月21日号の報告。

コロナ感染、繰り返すほど重症化・後遺症リスク増

 新型コロナウイルスへの複数回の感染により、死亡と後遺症リスクは2倍超、入院リスクは3倍超になることが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのBenjamin Bowe氏らによるコホート研究で明らかになった。新型コロナウイルスの感染による死亡や後遺症のリスクは知られているが、1回感染後の再感染によってそれらのリスクが高くなるかどうかは不明であった。Nature Medicine誌2022年11月10日掲載の報告。  調査は、2020年3月1日~2022年4月6日の米国退役軍人省の医療データベースを利用し、コロナ1回感染者44万3,588例、2回以上の複数回感染者4万947例(2回感染者3万7,997例[92.8%]、3回感染者2,572例[6.3%]、4回以上感染者378例[0.9%])、対照群として1回も感染していない未感染者533万4,729例を抽出し、死亡率、入院率、後遺症発現率を解析した。