医療一般|page:484

うつ病と抗うつ薬治療は乳がんリスクに影響しているのか

 うつ病および抗うつ薬の使用がそれぞれ乳がんのリスクを高めるという仮説があるが、これらに同時に曝露した場合を考慮した先行研究はなく、うつ病によるリスク上昇が抗うつ薬使用に起因したものか、あるいはそうでないのかは未解決であった。米国マサチューセッツ大学アマースト校のKW Reeves氏らは、うつ病と抗うつ薬の使用を同時に考慮したモデルを用いて、乳がんリスクに及ぼす影響を検討した。その結果、うつ病は乳がんリスクと関連しなかったこと、抗うつ薬がわずかであるが乳がんのリスクを増加させ、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によるリスク上昇が確認されたことを報告した。Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention誌2015年4月号の掲載報告。

ニボルマブの非扁平上皮NSCLC試験早期終了

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国・ニューヨーク/CEO:ランベルト・アンドレオッティ)は2015 年4月21日、既治療の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するニボルマブ(商品名:オプジーボ)の第III相非盲検無作為化試験(CheckMate-057)の結果について、独立データモニタリング委員会がニボルマブ投与群は対照群に対して優れた全生存期間(OS)を示し評価項目を達成したと結論付けたため、試験を早期に終了したと発表した。

βラクタム薬アレルギー申告は不確実?

 先行研究の2次医療における研究で、「βラクタム薬に対してアレルギーがある」との申告の85%超が、アレルギー検査で確認されたものではなかったことが示されている。日常診療で、もし患者がβラクタム薬アレルギーありと申告したら、第2選択の抗菌薬を処方せざるを得ないだろう。βラクタム薬アレルギーの過大評価は、狭域抗菌薬の適切な使用を妨げるとともに、医療費の増加や耐性菌の出現を招くことになる。

ニボルマブとイピリムマブの併用、悪性黒色腫に優れた有効性

 米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国・ニューヨーク/CEO:ランベルト・アンドレオッティ)は2015年4月20日、未治療の進行期悪性黒色腫患者を対象としたニボルマブ(商品名:オプジーボ)・イピリムマブ併用療法とイピリムマブ単剤療法を比較する第II相試験(CheckMate-069試験)の結果を発表した。

双極性障害、平均余命に大きく影響

 双極性障害患者は、平均余命が11~20年短縮することが報告されている。この計算は、個人の15歳時データに基づいており、それ以降に双極性障害を発症した多くの患者の誤解を招く可能性がある。デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Vedel Kessing氏らは、異なる年齢の双極性障害患者における平均余命の計算を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2015年4月4日号の報告。

統合失調症、維持期では用量調節すべきか:慶應義塾大

 抗精神病薬による65%以上のドパミンD 2受容体遮断は、統合失調症患者にとって最適な臨床効果と関連付けられている。しかし最近のデータでは、統合失調症の維持療法において、閾値はより低いことが示唆されている。慶應義塾大学の坪井 貴嗣氏らは、ドパミンD2受容体の持続的な高遮断が、統合失調症の維持治療において必要かどうかを検討した。Schizophrenia research誌2015年5月号の報告。

緑茶で死亡リスクが減る疾患

 日本における大規模集団コホート研究において、緑茶の摂取が全死因および3つの主な死因の死亡リスクを減らす可能性が示唆された。わが国のJPHC Studyにおいて、緑茶の摂取量と原因別死亡率(全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷、その他)との関連を調査した結果が、Annals of epidemiology誌オンライン版2015年3月25日号に掲載された。

グルタミン酸受容体阻害薬、気分障害での可能性は

 新規の選択的な代謝性グルタミン酸5(mGlu5)受容体ネガティブアロステリックモジュレータであるDSR-98776について、齧歯目モデル試験の結果、有効な経口抗うつ薬および抗躁薬として作用することが示され、躁うつ病態を呈する幅広い気分障害の治療オプションと成りうることが示された。大日本住友製薬のTaro Kato氏らが報告した。European Journal of Pharmacology誌オンライン版2015年3月28日号の掲載報告。

手術中の疼痛緩和で患者満足度は向上するのか

 周術期の治療と患者満足度には、どのような関連があるのだろうか。米国・シダーズ・サイナイメディカルセンターのDermot P. Maherらの研究によれば、術中の鎮痛は、疼痛管理に関する患者満足度および病院全体に対する患者満足度のいずれとも関連していなかった。関連が示唆されたのは、人口統計学的要因、入院前の薬物療法および麻酔回復室での疼痛スコアであったという。Pain Medicine誌2015年4月号の掲載報告。

片頭痛予防にSSRIやSNRIは支持されない

 2005年に発表した、片頭痛および緊張型頭痛の予防のためのSSRIに関するコクランレビューを、イタリア・Laboratory of Regulatory PoliciesのRita Banzi氏らはアップデートした。今回のレビューでは、SSRIやセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるベンラファキシン(国内未承認)を片頭痛の予防として用いることを支持するエビデンスは得られなかった。また、2~3ヵ月超の治療でSSRIやベンラファキシンがプラセボやアミトリプチリンより片頭痛の頻度、重症度および持続期間を減少させるというエビデンスも示されなかった。これらの結果を踏まえて著者は、「片頭痛の予防にSSRIやSNRIの使用は支持されない」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月1日号の掲載報告。

成人発症精神疾患の背景に自閉スペクトラム症が関連

 国立精神・神経医療研究センターの松尾 淳子氏らは、成人発症精神障害患者における自閉症的特性/症状の存在について検討を行った。その結果、成人発症精神障害患者(大うつ病性障害[MDD]寛解例を除く)の約半数で高レベルの自閉症様特性/症状を有する割合が認められること、双極性障害および統合失調症患者では重症度と関係なく自閉症様特性/症状を認める割合が高かったこと、MDD患者ではうつ症状の重症度と自閉症様特性/症状の発生に関連を認めることなどを報告した。結果を踏まえて著者は、「最適な治療のためには、成人発症精神障害の背景にある自閉症様特性/症状を評価することの重要性が示された。前向きデザインの大規模集団によるさらなる研究が必要である」と述べている。PLoS One誌オンライン版2015年4月2日号の掲載報告。

ヒトとペット類の花粉症、類似点と相違点

 オーストリア・ウィーン大学のErika Jensen-Jarolim氏らは、ヒト、イヌ、ネコおよびウマのアレルギーに関する論文についてレビューし、これらにおけるトランスレーショナル研究が動物のアレルギーの治療に役立つと同時に、ヒトに関連する知識の収集にも役立つことを報告した。著者は、「自然発症アレルギーを有するイヌ、ネコおよびウマはトランスレーショナル研究の魅力的なモデル患者であることが示唆された」とまとめている。Clinical and Translational Allergy誌オンライン版2015年4月7日号の掲載報告。

精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか

 てんかん患者に精神障害(PD)が高頻度に認められることを受け、これらの患者、とくに手術適応となる難治性内側側頭葉硬化を伴う側頭葉てんかん(TLE-MTS)患者に対する精神的評価の必要性を示す研究がこれまでに行われてきた。近年のエビデンスは、TLE-MTS やPDの評価手段であるビデオ脳波(VEEG)の安全性を強調している。しかし、てんかんセンターの中には、PDがある場合は、陰性行動イベントのリスクがあることを主な理由として、VEEGによる術前評価を禁忌としているところが依然としてある。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio Preto(FAMERP)のGerardo Maria de Araujo Filho氏らは、精神障害を認める難治性てんかん患者において、PDの評価として施行する術前のVEEGが禁忌となりうるのかを明らかにするため、後ろ向きコホート研究を行った。Epilepsy & Behavior誌4月号(オンライン版2015年3月20日号)の掲載報告。

うつ病治療の助けとなるか、うつ病認知再評価ツール

 うつ病について、セルフガイドのWebベース介入は有望な結果を示すが、脱落率が高く、使用者との結び付きが低い。オンライン・ピア・サポート・ネットワークは、結び付きは強いが、さまざまな結果を示し、根拠に基づくコンテンツが不足している。米国・マサチューセッツ工科大学のRobert R Morris氏らは、Webベースのピア・ツー・ピアのうつ病認知再評価プラットホームを開発し、有効性の評価を行った。結果、同プラットホォームは、うつ病患者のうち、とくに自身で再評価テクニックを十分に活用できない人に有用であることが示されたという。検討の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、長期的な有効性を調べ、また多様な集団が使用できるよう普遍化できないかを検討する必要がある」とまとめている。Journal of Medical Internet Researchオンライン版2015年3月号の掲載報告。

抗精神病薬間で虚血性脳卒中リスクに違いはあるか

 従来抗精神病薬(CAP)と非定型抗精神病薬(AAP)で、虚血性脳卒中のリスクに違いがあるのか。韓国医薬品安全性・リスク管理研究所のJu-Young Shin氏らは、高齢者を対象にCAPとAAPの虚血性脳卒中リスクを比較した。その結果、CAPであるクロルプロマジンおよびハロペリドールの虚血性脳卒中リスクが高いことが示された。CAPとAAPにおける虚血性脳卒中リスクの差に対する関心が高まっているが、今回示された結果を受けて著者は、「所見は、AAPに伴う重篤な有害事象を考慮してCAPを高齢者に処方する場合、とくに注意を払う必要性があることを示すものであった」とまとめている。PLoS Oneオンライン版2015年3月19日号の掲載報告。