医療一般|page:125

低炭水化物ダイエットはメタボになりやすい?

 炭水化物の摂取量について、推奨量を下回るとメタボリックシンドローム(MetS)の発症が低下するかどうか、現時点では関係性を示す一貫した証拠はない。今回、米国・オハイオ州立大学のDakota Dustin氏らが炭水化物の摂取量とMetSの有病率について研究した結果、炭水化物の推奨量を満たしている人よりも下回っている人のほうがMetSの発症率が高いことが明らかになった。Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics誌オンライン版2023年3月23日号掲載の報告。

緑地が産後うつを予防?

 樹木が豊かな環境に暮らしている女性は、産後うつのリスクが低い可能性を示唆するデータが報告された。米カリフォルニア大学アーバイン校のJun Wu氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Regional Health」に3月6日掲載された。  産後うつは、ホルモンバランスや環境の急な変化とそれに伴うストレスなどにより引き起こされるのではないかと考えられている。一方、緑の豊かな環境がメンタルヘルスに良い影響を与えることが知られている。ただし、緑の豊かさと産後うつリスクの関係に焦点を当てた研究は少なく、これまでに報告されている研究も結果に一貫性がない。また、緑に接することによるメンタルヘルスへの影響は、視線の高さによって異なり、低木や草地を見下ろした時よりも高い木々を見上げた時の方が、影響が大きいとする研究結果も報告されている。

米FDAが片頭痛に対する新たな点鼻薬を承認

 片頭痛患者は、より即効性があり、また、心筋梗塞や脳卒中のリスクがある人にとってはより安全な新しい治療選択肢を得ることになりそうだ。米食品医薬品局(FDA)は3月9日、重度の片頭痛に対する治療薬として、ファイザー社製の点鼻スプレーであるザベジパント(商品名Zavzpret)を承認した。  ファイザー社のグローバルバイオ医薬品事業部の最高商務責任者兼社長であるAngela Hwang氏は、「ZavzpretのFDA承認は、痛みからの解放を必要とし、経口薬に代わる選択肢を望む片頭痛患者にとって、大きなブレークスルーとなる」と同社のニュースリリースで述べた。また、「ファイザー社は、片頭痛に悩まされている人々が、痛みを忘れて日常生活に戻るのを助けるための新たな治療薬の開発に熱意を持って取り組んでいる。Zavzpretはそのようなファイザー社の献身を明確に示すものだ」と強調する。

前立腺動脈塞栓術により前立腺肥大症の症状が軽減

 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia;BPH)の症状に対する前立腺動脈塞栓術(prostatic artery embolization;PAE)の長期的な効果が、米マイアミ大学医学部のShivank Bhatia氏らによる研究で示された。PAEは、肥大した前立腺への血流を部分的に遮断する治療法で、侵襲性は低いとされている。Bhatia氏によると、PAEを受けた患者では、頻尿や尿失禁などの排尿に関わる症状(下部尿路症状)が劇的に改善したという。この研究結果は、インターベンショナルラジオロジー学会(SIR 2023、3月4〜9日、米フェニックス)で報告された。

新型コロナ治療薬ゾコーバ錠125mgの一般流通開始/塩野義

 塩野義製薬は3月31日付のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬ゾコーバ錠125mg(一般名:エンシトレルビル フマル酸)について、同日より一般流通を開始したことを発表した。薬価は、1錠7,407.4円となる。  本剤は、2022年11月22日付で厚生労働省より「SARS-CoV-2による感染症」の適応で、緊急承認制度(医薬品医療機器等法第14条の2の2)に基づく製造販売承認を取得した。本剤の緊急承認は、オミクロン株流行期に重症化リスク因子の有無やワクチン接種の有無によらず、幅広い軽症/中等症患者を対象に日本を中心としたアジア(韓国、ベトナム)で実施した、第II/III相臨床試験のPhase 3 partの良好な試験結果に基づく。2023年3月15日に薬価基準収載となった。

AD治療薬lecanemab、ARIAやQOL解析結果をAD/PD学会で発表/エーザイ・バイオジェン

 エーザイとバイオジェン・インクは3月31日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemabについて、第III相試験「Clarity AD試験」における最新の解析結果を、スウェーデンのイェーテボリで3月28日~4月1日に開催の第17回アルツハイマー・パーキンソン病学会(AD/PD2023)にて発表したことを報告した。lecanemab投与群では、プラセボ群よりアミロイド関連画像異常(ARIA)の発現率が増加したが、抗血小板薬や抗凝固薬の使用によるARIAの発現頻度は上昇せず、ARIA-H単独の発現パターンはプラセボ群と同様だったことが明らかとなり、QOLの結果からは、lecanemab治療が被験者と介護者に有意義なベネフィットをもたらすことが示された。

肥満や男性だけでない、いびきをかく人の1/4は睡眠時無呼吸症候群/レスメド

 睡眠中に大きないびきと共に呼吸が止まったり、弱くなったりするという症状を呈する睡眠時無呼吸症候群(SAS)。いびきをかく人の25%(男性:3人に1人、女性:5人に1人)は睡眠時無呼吸を発生していたという報告もあり、SASの80%は未診断ともいわれる。しかし、SASは糖尿病・心血管疾患の発症や循環器系の疾患による死亡のリスクを上昇させるため、治療が必要である。一般的な治療法としてはCPAP(持続陽圧呼吸)治療、マウスピース治療、手術、生活習慣の改善がある。  そこで、レスメドは2023年3月16日に「CPAP治療の最前線と患者アドヒアランスの向上について」と題してメディアセミナーを実施した。

スマホ依存になりやすい性格とは

 近年、スマートフォンの利用頻度が急速に増加しており、スマートフォン依存(以下、スマホ依存)が問題となっている。スマホ依存は、特定の性格特性を有する人において有病率が高いことが示唆されている。イラン・Shahid Beheshti Medical UniversityのAli Kheradmand氏らは、スマホ依存と性格特性との関連を評価するため、相関研究を行った。その結果、スマホ依存者は、自己愛性パーソナリティ障害の特徴である新規性追求、損害回避、自己超越の高さ、持続および自己志向の低さの性格特性を有していることを報告した。Frontiers in Psychiatry誌2023年2月8日号の報告。

ピロリ菌感染、がん治療には良い影響か~大幸研究

 Helicobacter pylori(HP)感染は胃がんの原因と考えられているが、逆にHP陽性の進行胃がん患者の生存率がHP陰性患者よりも高いことがさまざまな国の研究で報告されている。また以前の研究から、HP感染により潜在的な抗腫瘍免疫が維持されることにより、生存期間が延長する可能性が示唆されている。今回、岩手医科大学医歯薬総合研究所の西塚 哲氏らが大幸研究コホートの前向き研究で、すべてのがんの発生率および死亡率を検討した結果、HP陽性者の全がん発生率は陰性者より有意に高かったが、全がん死亡率は同等だった。著者らは、HP感染によるがん診断後の死亡リスク低下の可能性を考察している。PLOS Global Public Health誌2023年2月8日号に掲載。

アルツハイマー病薬が抜毛症と皮膚むしり症の症状軽減か

 アルツハイマー型認知症の治療薬として長年にわたり使用されているメマンチンが、抜毛症や皮膚むしり症の症状の軽減に役立つ可能性が、米シカゴ大学精神科学・行動神経科学教授のJon Grant氏らが実施した臨床試験で示された。同試験では、メマンチンが投与された抜毛症や皮膚むしり症の患者の5人中3人で症状の改善が認められたという。詳細は、「The American Journal of Psychiatry」に2月22日掲載された。  Grant氏によると、抜毛症と皮膚むしり症の米国での有病率は3~4%と推定されているという。これらの疾患の患者は、髪の毛などの自分の体毛を引き抜く、あるいは自分の皮膚をむしることがやめられず、実際に体を傷つけるまでそうした行為を続けてしまう人も多い。

独身者はCOVID-19罹患後に抑うつや記憶障害が現れやすい―大分県での調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期を乗り切った後にも、独身者は抑うつや記憶障害が現れやすいことを示唆するデータが報告された。特に、COVID-19急性期の症状が軽症だった人や40歳代の人で、配偶者の有無でのリスク差が大きいという。大分大学医学部呼吸器・感染症内科学の小宮幸作氏らの研究によるもので、詳細は「Respiratory Investigation」3月号に掲載された。  COVID-19の急性期を脱した後にも長期間さまざまな症状が続くことが知られており、「post-COVID-19」または「long COVID」などと呼ばれている。Post-COVID-19のリスクに関連のある因子として、急性期の重症度の高さ、性別(女性)、社会経済的地位の低さなどとともに、婚姻状況(独身)が挙げられている。ただし、post-COVID-19に伴うメンタルヘルス症状と婚姻状況の関連は十分明らかになっていない。小宮氏らは、大分県と連携し、この点に的を絞った研究を行った。

進行または再発の子宮頸がんに対する単剤療法「リブタヨ」発売/サノフィ

 サノフィは3月30日付のプレスリリースで、「がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌」を効能または効果として、リブタヨ点滴静注350mg(一般名:セミプリマブ、以下「リブタヨ」)の販売を同日より開始したことを発表した。  子宮頸がんは、世界では女性のがん死因の第4位に当たり、35~44歳での診断が最も多い疾患である。大部分はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を原因とし、約80%を扁平上皮がん(子宮頸部の外部を覆う細胞から発生)、残る患者の多くを腺がん(子宮頸部の内部にある腺細胞から発生)が占めている。進行または再発の子宮頸がんの治療選択肢は限られており、世界で毎年約57万人の女性が子宮頸がんと診断されていることから、新たな治療法の登場が望まれていた。

ベンゾジアゼピンや気分安定薬の併用率低下に長時間作用型注射剤は寄与するか

 統合失調症は、再発と寛解を繰り返す慢性疾患である。治療には主に抗精神病薬が用いられ、その剤形には経口剤または長時間作用型注射剤(LAI)がある。さまざまな理由で気分安定薬やベンゾジアゼピンが補助療法として頻用されるが、国際的なガイドラインで推奨されることはめったにない。ルーマニア・トランシルバニア大学のAna Aliana Miron氏らは、慢性期統合失調症患者を対象に、抗精神病薬の剤形が気分安定薬やベンゾジアゼピンの併用に及ぼす影響を明らかにするため、観察的横断研究を実施した。その結果、安定期統合失調症患者に対する気分安定薬およびベンゾジアゼピンの長期併用率は、抗精神病薬の剤形とは関係なく高いままであることが示唆された。

初回化学療法反応後の維持療法としてのCDK4/6阻害薬の有用性/日本臨床腫瘍学会

 切除不能または転移のある乳がん患者(MBC)患者に対する初回化学療法反応後の維持療法としての内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用療法が、有望な有効性と管理可能な安全性プロファイルを示したことを、大阪国際がんセンターの藤澤 文絵氏が第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。  MBC乳がんに対するベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後の維持療法として、内分泌療法(+カペシタビンあるいはベバシズマブ併用)の有用性が国内多施設無作為化第II相試験(KBCSG-TR12141)、BOOSTER試験2))で報告されている。しかし、内分泌療法+CDK4/6阻害薬併用維持療法の有効性と安全性に関するデータは十分ではない。そこで、藤澤氏らはMBC患者における初回化学療法反応後の維持療法としての内分泌療法+CDK4/6阻害薬の安全性と有効性を調査した。

アナモレリン投与、日本人5,000例のリアルワールドデータ/日本臨床腫瘍学会

 グレリン様作用薬アナモレリン(商品名:エドルミズ)は、2021年1月に非小細胞肺がん(NSCLC)、胃がん、膵臓がん、大腸がんに伴う悪液質治療として国内で保険承認された。2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)において、室 圭氏 (愛知県がんセンター 副院長/薬物療法部長)が国内の患者約5,000例を対象とした市販後全例調査(PMS)の中間解析結果を発表した。

糖尿病治療による心血管/心不全リスクへの効果の違い~メタ解析

 糖尿病治療による心血管および心不全リスクへの効果は試験により大きく異なる。今回、医学研究所北野病院(大阪市)の長谷部 雅士氏らがランダム化心血管アウトカム試験35試験のメタ解析およびメタ回帰分析により、糖尿病治療は主要有害心血管イベント(MACE)をHbA1cに依存して減少させる一方、心不全リスクは体重に依存して減少することがわかった。Cardiovascular Diabetology誌2023年3月19日号に掲載。  本研究では、2023年1月25日までPubMedとEMBASEで2型糖尿病または前糖尿病患者におけるMACEと心不全アウトカムの両方を報告する糖尿病治療(生活習慣改善、薬剤)のすべてのランダム化比較心血管アウトカム試験を検索し、35試験(計25万6,524例)を同定した。ランダム効果メタ解析に続いてメタ回帰分析を行い、各アウトカムに対するHbA1cまたは体重減少の影響を評価した。

営利目的のホスピスはケアの質が低い傾向

 営利目的のホスピスで終末期を過ごす患者は、非営利目的のホスピスで過ごす患者に比べて受けるケアの質が格段に劣ることが、新たな研究で報告された。米ランド研究所のRebecca Anhang Price氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Internal Medicine」に2月27日掲載された。  ホスピスケアは死期の迫った患者とその家族の生活の質(QOL)の向上に焦点を当てるもので、患者の余命が6カ月以下と予想される場合に適格とされる。ホスピスの多くは地域ベースで自発的に始まったサービスであったが、営利目的のホスピスの数は、2000年以降20年で5倍以上に増えた。また、ホスピス全体に営利目的のホスピスが占める割合も、2000年の約30%から2020年には73%となっている。以前の研究では、営利目的のホスピスは非営利目的のホスピスに比べ、スタッフの数が少ない点や技能が低い点などが指摘されている。

新型コロナワクチン接種ガイダンスを改訂/WHO

 世界保健機関(WHO)は3月28日付のリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種ガイダンスを改訂したことを発表した。今回の改訂は、同機関の予防接種に関する専門家戦略アドバイザリーグループ(SAGE)が3月20~23日に開催した会議を受け、オミクロン株流行期の現在において、ワクチンや感染、またはハイブリッド免疫によって、世界的にすべての年齢層でSARS-CoV-2の抗体保有率が増加していることが考慮されたものとなる。SARS-CoV-2感染による死亡や重症化のリスクが最も高い集団を守ることを優先し、レジリエンスのある保健システムを維持することに重点を置いた、新たなロードマップが提示された。

肺がん骨転移へのゾレドロン酸8週ごと投与/日本臨床腫瘍学会

 肺がん骨転移に対するゾレドロン酸8週ごと投与の結果を、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、大阪国際がんセンターの田宮 基裕氏が発表した。  ゾレドロン酸は、固形がんのがん骨関連事象(SRE)や症状緩和には欠かせない薬物である。一方、顎骨壊死などの重篤な有害事象の発現リスクも見逃せない。そのため、投与間隔の長短による、有効性と安全性の違いが研究されている。田宮氏が発表した無作為オープンラベル第II相試験(Hanshin Cancer Group0312)は、添付文書用法である3〜4週ごとと、8週ごとを比較したもの。

m-FOLFOXIRI+セツキシマブ、RAS/BRAF野生型+左側原発大腸がんに有用/日本臨床腫瘍学会

 DEEPER試験は未治療の切除不能転移RAS野生型大腸がんの患者を対象に、m-FOLFOXIRI+セツキシマブの有効性と安全性をm-FOLFOXIRI+ベバシズマブと比較して検証することを目的とした無作為化第II相試験である。すでにセツキシマブ群が主要評価項目であるDpR(最大腫瘍縮小率)を有意に改善したことが報告されている。2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)のPresidential Session 4(消化器)で、本試験における最終登録から3年後の解析結果を、辻 晃仁氏(香川大学 医学部臨床腫瘍学講座)が発表した。