医療一般|page:124

低体重と肥満が片頭痛の発症リスク上昇と関連

 低体重および肥満は片頭痛の発症リスクと関連しており、リスクはBMI 20kg/m2未満と29kg/m2超で上昇することが、「Headache: The Journal of Head and Face Pain」7/8月号に掲載されたレビューにおいて明らかになった。 過去のメタアナリシスからBMIと片頭痛との関連が示されているが、用量反応解析は行われておらず、また、緊張型頭痛(TTH)など、他の一次性頭痛疾患と肥満との関連は明らかにされていない。

妊娠糖尿病女性の出産後の糖尿病リスクをコーヒーが抑制

 妊娠糖尿病女性の出産後の糖尿病発症リスクを、コーヒーが抑制する可能性を示唆するデータが報告された。シンガポール国立大学のCuilin Zhang氏らが、妊娠糖尿病と診断された女性を20年以上追跡した結果、出産後に1日4杯以上コーヒーを飲む習慣のあった女性は、全く飲まない人より糖尿病発症リスクが半減していたという。この研究の詳細は、「The American Journal of Clinical Nutrition」に11月14日掲載された。  妊娠糖尿病は、妊娠後に発症した糖尿病の診断基準には至らない程度の高血糖のことで、妊娠中の血糖コントロールが不十分だと巨大児出産や難産のリスクが高くなる。出産後には多くの場合、耐糖能は正常に戻るものの、加齢とともに2型糖尿病を発症するリスクが高くなり、妊娠糖尿病でなかった女性に比べると糖尿病リスクが10倍に上るとするデータもある。一方、コーヒーに糖尿病発症抑制効果のある可能性が、一般集団を対象とする疫学研究の結果として既に報告されている。しかし、妊娠糖尿病になった女性に焦点を絞った研究はこれまで行われていなかった。

他人を思いやる行為は抑うつや不安の症状を軽くする?

 抑うつや不安に苦しんでいる人は、たとえささやかであっても、他人を思いやる行為をすることで症状を軽減させることができる可能性が、新たな研究で示された。さらに、社会的つながりの感覚を高める上では、このような「小さな思いやり」の方が、抑うつや不安に対する標準的な治療法で使われる2種類の手法よりも有効だったという。米South Texas Veterans Health Care SystemのDavid Cregg氏と米オハイオ州立大学心理学部教授のJennifer Cheavens氏が実施したこの研究結果は、「The Journal of Positive Psychology」に12月12日掲載された。  友人に励ましの言葉を書いて送ったり、誰かにコーヒーをおごったりなどの他人を思いやる行為は、相手だけでなく行為者当人のウェルビーイングを向上させることが、過去の研究で報告されている。しかし、Cregg氏によると、抑うつや不安の症状がある人でも同様の効果が得られるのかについては、これまでほとんど検討されていなかったという。

オミクロン株XBB.1.5に対する治療薬と2価ワクチンの効果は?/東大

 東京大学医科学研究所の河岡 義裕氏らの研究グループは、新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5系統に対して、既存の抗体薬、抗ウイルス薬、並びにmRNAワクチンの有効性をin vitroで検証した。その結果、患者から分離したXBB.1.5に対して、4種類の抗体薬はいずれも効果が見られなかったが、4種類の抗ウイルス薬は高い増殖抑制効果を示したことが明らかとなった。また、2価ワクチン接種者の血漿が、XBB.1.5に対する中和活性を有していることが確認された。本結果は、Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年2月8日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応の性差~メタ解析

 オランダ・アムステルダム大学のBram W. C. Storosum氏らは、統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応が、性別や閉経状態により影響を受けるかについて、調査を行った。その結果、統合失調症治療において女性のほうが男性よりも抗精神病薬に対する治療反応が得られやすく、この影響は閉経状態やベースライン時の症状重症度(陰性症状)による影響を受けていなかった。Psychiatry Research誌2023年2月号の報告。  統合失調症患者5,231例を対象とした抗精神病薬の短期プラセボ対照登録研究22件のデータを分析した。個々の患者データについて2段階のメタ回帰分析を行い、症状重症度の平均差と治療反応の差(30%超の症状改善)に対する性別および閉経状態の影響を調査した。ベースライン時の症状重症度(陰性症状)で補正した場合としない場合の両方で、分析を行った。

検査時間帯で異なる大腸内視鏡の精度、解決策は?

 大腸内視鏡検査は、前がん性ポリープの発見・除去により、大腸がんの発生と死亡の減少に寄与する。大腸内視鏡検査において、腺腫発見率(ADR)が重要な指標であり、ADRが1%増加するごとに、大腸がんの発生リスクは3%低下するという報告がある。しかし、武漢大学人民病院のZihua Lu氏らの研究によると、大腸内視鏡検査の精度が時間と共に低下し、ADRが低下することが明らかになった。また、ADRの低下を抑制するためには、人工知能(AI)を用いた大腸内視鏡検査支援システムの導入が有用であることも示された。JAMA Network Open誌2023年1月31日掲載の報告。

加齢に伴う聴力低下は認知症と関連か

 聴力に問題のある高齢者では、問題のない高齢者と比べて認知症がある人の割合が高いことを、米ジョンズ・ホプキンス大学Cochlear Center for Hearing and Public HealthのNicholas Reed氏らが、「JAMA」1月10日号で報告した。この研究では、補聴器の使用が認知症リスクの抑制につながる可能性も示唆された。  Reed氏は、「難聴は脳の構造的な変化をもたらすとのエビデンスがある」と説明し、「脳の活力を維持するためのインプットが得られない状態になると、いくつかの脳領域が萎縮して認知症を発症する可能性がある」と指摘。また、難聴が続くと、脳の働きに負荷がかかって疲労し、思考力や記憶力の低下にもつながり得るとしている。

COPD患者は手術後1年間の死亡リスクが高い

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者が手術を受けた場合、術後1年間は死亡リスクが高い状態で推移するとのデータが報告された。トロント大学(カナダ)のAshwin Sankar氏らの研究によるもので、詳細は「Canadian Medical Association Journal(CMAJ)」に1月17日掲載された。死亡リスクだけでなく、医療コストもCOPDでない患者より高額になるという。  COPDは呼吸機能が低下する疾患群で、以前は肺気腫、慢性気管支炎と呼ばれていた病気の総称。米疾病対策センター(CDC)によると、米国のCOPD患者数は約1600万人に上る。COPD患者はCOPD以外の疾患を併発していることが多く、フレイル(ストレス耐性が低下した状態)に該当することも多い。実際、COPD患者は手術後30日以内の合併症や死亡のリスクが高いことが知られている。ただし、より長期間経過した後にも、そのようなハイリスク状態が続いているのかどうかは、これまであまり検討されていなかった。Sankar氏らはこの点に着目して新たな研究を実施。その結果、大手術を受けたCOPD患者は、呼吸器系に問題のない患者と比べて、1年以内の死亡率が61%高く、医療費も13%多くかかっていることが明らかになった。

コロナ罹患後症状リスク、短時間睡眠vs.長時間睡眠

 新型コロナウイルスのmRNAワクチン(以下、ワクチン)を2回接種した人ではコロナ罹患後症状(post-COVID)の発現リスクが21%低いものの、短時間睡眠の人ではその効果が弱い可能性があることを、スウェーデン・ウプサラ大学のPei Xue氏らによる研究グループが明らかにした。Translational psychiatry誌2023年2月1日号掲載の報告。  夜間の睡眠時間が短いとワクチン接種による抗体産生が減弱し、睡眠時間が長過ぎても健康状態が悪化するという報告がある。そこで研究グループは、ワクチンを2回接種していても、短時間睡眠(6時間未満)の人と長時間睡眠(9時間超)の人は、いずれも通常の睡眠時間(6~9時間)の人と比べてコロナ罹患後症状の発現リスクが高いという仮説を立てて調査を行った。

リブレの使用パターンと臨床的特徴が明らかに/京都医療センターほか

 先進糖尿病デバイスの進歩により、血糖変動を点から線で計測できる時代となった。おかげで糖尿病を持つ人は自分では気付かない低血糖への対応ができるようになった。では、血糖自己測定(SMBG)のアドヒアランスについて何らかの傾向はあるのだろうか。  坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのFGM-Japan研究グループ(9施設)は、日本人の1型糖尿病(T1D)を持つ人を対象に、間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を用いたSMBGのアドヒアランスと、FreeStyleリブレシステム(以下「リブレ」)とSMBGの使用パターンと臨床的特徴がクラスター分析で明らかとなった。

高齢者・小児のマネジメントを追加、COVID-19診療の手引き9.0版/厚労省

 2月10日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第9.0版」を公開し、全国の自治体や関係機関に通知を行った。  今版の主な改訂点は以下のとおり。 ■診療の手引き9.0版の主な改訂点 【1 病原体・疫学】 ・病原体/国内発生状況/海外発生状況の内容を更新 【2 臨床像】 ・臨床像/重症化リスク因子/合併症/小児例の特徴/妊婦例の特徴の内容を更新 【3 症例定義・診断・届出】 ・症例定義/血清診断/届出の内容を更新

子育て世代の日本人女性のうつ症状スクリーニング尺度MDPS-M

 産後うつ病は、出産後の女性にとって重要な問題の1つである。産後うつ病の早期発見と適切な治療には、うつ病リスクの高い女性を迅速かつ簡便に特定することが必要である。大阪大学の竹内 麻里子氏らは、子育て世代の女性の身体症状からうつ症状をスクリーニングする尺度を開発し、検証の結果を報告した。今回、著者らが開発した子育て世代の女性のうつ症状スクリーニング尺度「MDPS-M」は、プライマリケアにおいてうつ病リスクが高い母親の早期の特定に有用かつ簡便な臨床尺度である可能性が示唆されたという。Frontiers in Psychiatry誌2022年12月1日号の報告。

血管外漏出ガイドライン発刊、抗がん剤治療時の最新知見

 がん薬物療法を行ううえで、点滴の血管外漏出の予防、早期発見、対処・管理は重要な課題である。2022年12月、日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍薬学会(3学会合同)が『がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版(改訂3版)』を発刊した。血管外漏出の対策を日常的に実施するも、実は推奨されていなかった…ということも無きにしもあらず。ぜひこの機会に抗がん剤をオーダーする医師にも薬剤の血管漏出時対応の最新知見を確認いただきたい。

医師のサイバー被害や対策、実際の状況は?/医師1,000人アンケート

 今年の4月からオンライン資格確認の導入(マイナンバーカードの保険証利用)が原則として義務付けられることが厚生労働省より発出されている1)。しかし、ランサムウェアのような診療を妨げるウイルス感染が問題になるなか、サイバーセキュリティーの観点からもオンライン上での個人情報管理に不安を抱える医師は一定数いるだろう。そこで今回、ケアネット会員のうち、20床未満の施設に所属する医師1,000人に「自施設のサイバーセキュリティー対策」に関するアンケートを実施した。

GLP-1受容体作動薬・TAZ/PIPC、重大な副作用追加で添文改訂/厚労省

 厚生労働省は2023年2月14日、GLP-1受容体作動薬含有製剤およびGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの添付文書について、改訂を指示した。改訂内容は、『重要な基本的注意』の項への「胆石症、胆嚢炎、胆管炎または胆汁うっ滞性黄疸に関する注意」の追記、『重大な副作用』の項への「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の追加である。本改訂は、GLP-1受容体作動薬含有製剤投与後に発生した「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の国内症例の評価、GLP-1受容体作動薬と急性胆道系疾患との関連性を論じた公表文献の評価に基づくもの。

転移を有する乳がんでタキサン再投与が有効な患者は?

 推奨される抗がん剤をすべて投与された転移乳がん患者において、全身状態が良好であるにもかかわらず病勢進行に苦しむ患者は少なくない。この状況で、タキサンなどの忍容性の高い抗がん剤の再投与が選択肢の1つになる場合がある。そこで、フランス・Centre Georges Francois Leclerc Cancer CenterのManon Reda氏らは、タキサン投与歴のある転移乳がん患者におけるタキサン再投与の有用性について検討した。その結果、とくにタキサンが乳がん経過の早期に効果を示した場合や病勢進行以外の理由で中止された場合に、タキサン再投与が現実的方法として支持された。Breast誌オンライン版2023年2月4日号に掲載。

5~11歳児へのコロナワクチン、MIS-C低減/筑波大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期では、小児が感染しても、成人より軽い症状を呈する傾向があることが研究で示されていた。しかし、パンデミックの進行に伴い、呼吸不全、心筋炎、COVID-19 に続発する小児多系統炎症性症候群(MIS-C)など、重症化や合併症を発症するリスクがあることが新たに示唆されている。5~11歳の小児への新型コロナウイルスmRNAワクチンの有効性と安全性を評価するため、筑波大学附属病院 病院総合内科の渡邊 淳之氏らの研究グループにより、系統的レビューとメタ解析が行われた。

生まれた季節と統合失調症リスク~メタ解析

 冬季出生の子供は、統合失調症リスクが増加するといわれ、100年近く経過している。統合失調症リスクと冬季出生との関連性を示す観察研究に基づき、ビタミンD欠乏症や子宮内でのウイルス曝露などの統合失調症の潜在的な病因リスク因子に関する仮説が考えられている。米国・イェール大学のSamantha M. Coury氏らは、出生の季節と統合失調症リスクとの関連を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、誕生月のデータを使用した分析では、北半球で冬季出生の子供は統合失調症リスクが高く、夏~秋に出生した子供は統合失調症リスクが低いという季節的傾向が認められた。Schizophrenia Research誌オンライン版2023年1月20日号の報告。

NAFLDに対するペマフィブラート、よく効く患者の特徴

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に対するペマフィブラート※の投与は、BMI に関係なく肝炎症および線維化のマーカーを改善し、なかでもBMI 25未満の患者のほうがBMI 30以上の患者と比較して効果が高いことが、篠崎内科クリニックの篠崎 聡氏らの研究で明らかになった。Clinical and experimental hepatology誌2022年12月8日号の報告。 ※ペマフィブラート(商品名:パルモディア)の効能・効果は「高脂血症(家族性を含む)」(2023年2月3日現在)。  NAFLDは、世界で最も一般的な慢性肝疾患であり、近年発症率が増加している。日本では2018年に登場した選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-αモジュレーター(SPPARMα)であるペマフィブラートは、NAFLDの改善が期待されている薬剤の1つである。本研究は、NAFLD患者におけるペマフィブラート投与後の炎症および線維化改善の予測因子を特定する目的で行われた。

モデルナ製コロナワクチン、対象年齢引き下げに向け承認事項一部変更申請

 モデルナ・ジャパンは2023年2月9日付のプレスリリースで、スパイクバックス筋注(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン[SARS-CoV-2])の接種対象年齢を、現在の「12歳以上」から「6歳以上」に引き下げるため、厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。  今回の承認事項一部変更申請は、「スパイクバックス筋注(1価:起源株)」の6~11歳における初回免疫、「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」と「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」の6~11歳における追加免疫を対象としたものである。