医療一般|page:193

心不全を伴う慢性AFへの房室結節アブレーション+心臓再同期療法(APAF-CRT試験)【Dr.河田pick up】

 慢性心房細動(AF)と心不全を伴う患者において、房室結節アブレーションと両心室ペースメーカー(CRT)による厳格かつ規則正しい心室レートの維持は、薬物療法に比べ、心不全の入院を減らすのに優れているが、予後の改善については未だ不明である。イタリア・ティグッリオ病院Brignole氏ら研究グループは、慢性AFと心不全を有する患者に対し、房室結節アブレーション+CRTと薬物療法とを比較する無作為化試験を実施した。European Heart Journal誌オンライン版2021年8月28日号での報告。

片頭痛と認知症リスク~メタ解析

 片頭痛と認知症との関連を調査した研究はほとんどなく、その結果も矛盾している。中国・The Second People's Hospital of HefeiのLong Wang氏らは、片頭痛と認知症との関連性が認められるかを明らかにするため、メタ解析を実施した。Acta Neurologica Scandinavica誌オンライン版2021年9月15日号の報告。  各種データベース(PubMed、EBSCO、Web of Science、EMBASEなど)より2021年4月1日までに公表されたコホート研究を検索した。片頭痛患者における認知症のリスク比(RR)は、RevMan 5.1ソフトウエアを用いて算出した。不均一性の原因を評価するため、サブグループ解析および感度分析を行った。不均一性が認められた場合には、変量効果モデルを用いた。出版バイアスの評価には、Funnel plotとEgger's testを用いた。

PTSDやBPDにおける解離性症状と自殺傾向との関係

 解離性症状と自殺傾向は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や境界性パーソナリティ障害(BPD)の診断における特徴である。カナダ・マニトバ大学のJordana L. Sommer氏らは、PTSDとBPD患者における解離性症状(離人感や現実感消失症)と自殺傾向(自傷行為や自殺企図)との関連を調査した。Journal of Traumatic Stress誌オンライン版2021年8月23日号の報告。  2012~13年に行われた大規模疫学調査National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions(NESARC-III)のデータを分析した(3万6,309例)。DSM-VのAlcohol Use Disorder and Associated Disabilities Interview Scheduleを用いて、PTSD患者およびBPD患者の寿命を評価した。PTSD患者およびBPD患者の解離性症状と自傷行為および自殺企図との関連を調査するため、多重ロジスティック回帰を用いた。

進むがん遺伝子パネル検査普及と見える課題/日本癌治療学会

 1万8,329例中607例、8.1%。C-CATに登録されたわが国のがん遺伝子パネル累積検査数と、そこから治療に結び付いた症例数および割合である。  2021年10月20~23日に開催された第59回日本癌治療学会学術集会のワークショップにおいて、わが国のがん遺伝子パネル検査の現状が発表された。大幅な検査の増加とともに、いくつかの課題が示されている。

やせ過ぎは尿路感染症の死亡の危険因子に/国立国際医療研究センター

 尿路感染症のために入院している患者は年間約10万人と推定され、高齢になるほど患者は増え、90歳以上では1年間で100人に1人が入院し、その入院医療費は年間660億円にのぼると見積もられている。その実態はどのようなものであろう。  国立国際医療研究センターの酒匂 赤人氏(国府台病院総合内科)らは、東京大学などとの共同研究により、尿路感染症で入院した23万人の大規模入院データをもとに、尿路感染症による入院の発生率、患者の特徴、死亡率などを明らかにすることを目的に調査を行い、今回その結果を発表した。

新型コロナへのイベルメクチン使用、中毒症状の報告が急増

 腸管糞線虫症または疥癬の経口治療薬のイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)を新型コロナウイルス治療薬として使用することに対し、製薬メーカーや米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)などから、安全性と有効性を支持するデータはなく使用を推奨しない旨の声明が重ねて出されている。さらに、イベルメクチン服用後の中毒症状を訴えて医療機関を受診する人が急増しているとの報告が、NEJM誌オンライン版2021年10月20日号「CORRESPONDENCE」に掲載された。

小児における抗うつ薬の投与量の推移と向精神薬増強療法との関係

 米国・メリーランド大学のO' Mareen Spence氏らは、小児における抗うつ薬治療開始後最初の6ヵ月間の抗うつ薬の投与量を調査し、その投与量と他の向精神薬による増強との関連について評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2021年9月16日号の報告。  対象は、米国の商業保険患者に関する包括的なデータベースであるIQVIA PharMetrics Plusを用いて特定された、2007年1月~2015年6月に新規で抗うつ薬治療を開始した3~18歳のうつ病患者5,655例。新規抗うつ薬使用の定義は、治療開始前1年以内での抗うつ薬使用がないこととした。抗うつ薬治療開始6ヵ月間における投与量の推移は、潜在クラス成長分析を用いて分類した。アウトカムは、レジメンの変更(他の向精神薬による増強療法、他の抗精神病薬への切り替えの有無にかかわらず抗うつ薬の中止)とした。抗うつ薬治療開始前6ヵ月間に測定したベースラインの共変量は、人口統計学的要因、精神医学的併存疾患、医療サービスの利用であった。抗うつ薬の投与量の推移とレジメン変更とのオッズ比(OR)の算出には、多項ロジスティック回帰を用いた。

COVID-19に対する薬物治療の考え方 第9版公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、10月11日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第9版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、前回8版以降の新しい知見やエビデンスの追加のほか、抗ウイルス薬、中和抗体薬に関しての追記、とくにソトロビマブが新しく追加された。 新しく改訂、追加された項目は下記の通り。 【抗ウイルス薬】 レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液100mgなど)についてRCTの記載が追加。軽症肺炎例を対象にしたレムデシビル5日投与群、レムデシビル10日投与群、標準治療群の3群に割り付け、11日目の評価にて5日投与群は標準治療群と比較し有意に臨床的改善を認めた患者が多かったものの、10日治療群ではプラセボ群に比し有意差が認められなかった。また、入手方法についても、2021年10月18日より一般流通することが追加された。

COVID-19アルファ株とデルタ株の組換え体を検出/感染研

 国立感染症研究所は、10月18日に同研究所のホームページでアルファ株とデルタ株の組換え体のウイルスを6体検出したと発表した。  この検体は8月12日~9月1日に採取された検体で、検体の遺伝子配列のアライメント解析を行ったところ、21A(デルタ)系統であるものの、ORF6遺伝子からN遺伝子にかけて、20I(アルファ、V1)系統と同一の変異プロファイルを有する配列が存在した。また、ORF6遺伝子とORF7a遺伝子の間に組換えが起きた箇所と考えられる部位が存在した。  遺伝子解読において、当該検体に2種類のウイルスが混入していた可能性を示す所見はなく、両変異株の同時感染や他検体の混入によるものではないと考えられる。

若年性認知症の特徴~千葉県での多施設調査

 若年性認知症は、65歳未満で発症した認知症と定義されており、頻度はまれであるものの、その社会的影響は大きい。千葉大学の平野 成樹氏らは、千葉県の認知症センター11施設における若年性認知症患者の診断や臨床的および社会的な特徴について調査を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2021年8月26日号の報告。  レトロスペクティブに1年間調査を実施した。臨床診断、発症年齢、調査年齢、神経心理学的検査、家族歴、就業、生活状況に関するデータを収集した。  主な結果は以下のとおり。

コロナワクチン3回目接種の有効率95.6%、第III相試験結果/ファイザー

 米国・ファイザーは10月21日に発表したプレスリリースで、同社の新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンについて、3回目のブースター接種の効果を検証した第III相臨床試験の結果、95.6%の有効性を示したことを公表した。ファイザー製ワクチンを巡っては、米国においては9月22日より、65歳以上および重症化リスクが高い18〜64歳、SARS-CoV-2への頻繁な曝露を伴う18〜64歳へのブースター接種がすでに実施されているほか、日本を含むワクチン使用国で検討が進んでいる。ファイザーは、「本結果はブースター接種のメリットを示すさらなるエビデンスを提供するものだ」とコメントしている。

週末のキャッチアップ睡眠とうつ病との関係

 週末のキャッチアップ睡眠とうつ病との関係を検討するため、韓国・延世大学校医科大学のKyung Min Kim氏らは、調査を行った。Sleep Medicine誌オンライン版2021年9月1日号の報告。  2016年の第7回韓国国民健康栄養調査のデータを用いて検討を行った。うつ病の定義は、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコア10以上とした。キャッチアップ睡眠の時間は、0時間以下、0~1時間、1~2時間、2時間以上で分類した。  主な結果は以下のとおり。

ブレークスルー感染、重症化因子に肥満や心疾患

 ブレークスルー感染で重症化する患者の特性は何か。米国で行われた研究結果がThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版9月7日号に掲載された。  イエール医科大学のPrerak V. Juthani氏らはイエール大学のヘルスケアシステムのデータを使い、SARS-CoV-2感染が確認された入院患者を対象としたシステマティックレビューを行った。2021年3月23日~7月1日にSARS-CoV-2で入院した患者(入院時にPCR検査で陽性)を対象とした。接種したワクチンはmRNA-1273(モデルナ製)、BNT162b2(ファイザー製)、Ad.26.COV2.S(Janssen製)で、ワクチンの完全接種は症状発現または検査陽性より少なくとも14日前にワクチン接種を完了(モデルナ・ファイザー製は2回、Janssen製は1回)していること、とした。

うつ病ケアに対する薬剤師介入の影響

 うつ病は、健康に重大な影響を及ぼす疾患である。うつ病患者の健康アウトカムを改善するために、薬剤師が関与した診療が役立つ可能性がある。タイ・シラパコーン大学のWaranee Bunchuailua氏らは、うつ病患者に対する薬剤師介入の影響を評価するため、ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Annals of Pharmacotherapy誌オンライン版2021年8月29日号の報告。  2019年12月までに報告された研究を国際データベース4件、国内データベース3件よりシステマティックに検索した。事前に定義した包括基準に基づき研究を選択し、バイアスリスク基準を用いて品質評価を行った。プールした推定値を分析し、相対リスク(RR)および標準平均差(SMD)を算出した。メタ解析において、研究間の不均一性が認められた場合には、変量効果モデルを用いた。

統合失調症と肥満~メタ解析

 統合失調症および抗精神病薬と代謝調整不全との関係は、現在十分に確立された知見が示されているが、肥満に対する影響についてはよくわかっていない。カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのEmily Smith氏らは、肥満測定画像技術の所見を統合することにより、統合失調症患者の病状や治療に対する肥満の影響を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2021年8月30日号の報告。  2021年2月までに報告されたケースコントロール研究およびプロスペクティブ縦断研究を、MEDLINE、EMBASE、PsychINFO、Scopusより検索した。主要アウトカムは、体脂肪率、皮下脂肪、内臓脂肪を含む肥満関連の測定値とした。

尿路上皮がんに対する抗FGFR阻害薬とPD-1抗体の併用は有用な可能性(NORSE)/ESMO2021

 転移を有する尿路上皮がん(mUC)に対するerdafitinibとcetrelimabの併用は、erdafitinib単独よりも有用であることが、英国・Queen Mary University St. Bartholomew's HospitalのThomas Powles氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。  erdafitinibは線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の遺伝子異常を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬で、2019年に米国で転移のある尿路上皮がんに対して迅速承認されている。一方、cetrelimabは抗PD-1抗体である(両剤ともに本邦未発売)。今回の発表はこの2剤併用の有用性を検討する第II相比較試験の中間解析結果。

新型コロナの日本初のレプリコン(次世代mRNA)ワクチン、第I相試験開始/VLPセラピューティクス・ジャパン

 新型コロナウイルス感染症に対する日本初となるレプリコン(次世代mRNA)ワクチン(VLPCOV-01)の第I相試験を開始したことを、VLP Therapeutics Japan合同会社(以下、VLPセラピューティクス・ジャパン)が12日、発表した。  レプリコン(次世代mRNA)ワクチンとは、少量の接種で十分な抗体が作られる自己増殖型のmRNAワクチン。現行のmRNAワクチンの10~100分の1程度の接種量となることから、短期間で日本の全人口分の製造が可能となることや、副反応の低減が期待される。現行のワクチンは新型コロナウイルス表面にある突起状のSタンパク質全体を抗原とするが、レプリコンワクチンはSタンパク質のうちウイルスが人の細胞に結合して感染する受容体結合部位(RBD)のみを抗原にしている。そのため、不要な抗体を作らないことによる高い安全性、多様なRBDへの抗体産生による変異株への効果も期待されるという。

COVID-19患者の26%に半年後も何らかの症状/国立国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の遷延症状は、当初から知られており、地域によっては専門外来が設置されるなど、今後のCOVID-19診療のフォローアップとしても注目されている。  国立国際医療研究センター 国際感染症センターの宮里 悠佑氏らのグループは、COVID-19罹患後の遷延症状に関して、長期的な疫学的情報に加え、遷延症状が出現・遷延するリスクを同定するために、COVID-19罹患後の患者を対象としてアンケート調査を実施し、その結果を「新型コロナウイルス感染症罹患後の遷延症状の記述疫学とその出現・遷延リスク因子に関する報告」として発表した。

うつ病女性に対する運動介入効果~メタ解析

 うつ病は、男性よりも女性の割合が高い疾患である。これは、思春期、月経、妊娠、更年期などにおける女性の生理学的調整が、男性と異なることが原因であると考えられる。そのため、うつ病女性の治療は、健康上の課題となっている。また、うつ病に対する運動介入に関する最近の研究では、薬物療法や心理療法と対照的に、優れた効果が示唆されており、利便性、迅速性、副作用がないこと、短長期的有効性が認められている。中国・広西師範大学のLin-Bo Yan氏らは、抑うつ症状を有する女性に対する運動介入の臨床的な有効性を明らかにするため、システマティックレビューを行った。Medicine誌2021年8月20日号の報告。

アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後アジュバントが米国で承認/ロシュ

 ロシュは、2021年10月15日、米国食品医薬品局(FDA)が、PD-L1≧1%であるStageII-IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の手術後、プラチナベース化学療法後の補助療法としてアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)を承認したと発表した。  IMpower010は、外科的切除後のステージIB-IIIA NSCLC(UICC / AJCC第7版)患者を対象に、アテゾリズマブの有効性と安全性を評価する第III相国際多施設非盲検無作為化試験である。