医療一般|page:256

統合失調症患者のCOVID-19による院内死亡率

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により入院が必要となる統合失調症患者の特徴やアウトカムに関する情報は限られている。フランス・エクス=マルセイユ大学のG. Fond氏らは、COVID-19に罹患した統合失調症患者の臨床的特徴およびアウトカムを明らかにするため、統合失調症でない感染者との比較検討を行った。L'Encephale誌オンライン版2020年7月30日号の報告。  本検討は、南フランス・マルセイユの4つの公的支援急性期医療病院に入院したCOVID-19患者の症例対照研究として実施した。入院を必要とするCOVID-19患者は、鼻咽頭サンプルのPCR検査および/または胸部CTの陽性結果で確認した。主要アウトカムは院内死亡率とし、副次的アウトカムはICU入室とした。

新型コロナ、唾液PCR検査の感度9割を実証/北海道大

 北海道大学大学院医学研究院の豊嶋 崇徳教授ら研究グループは、9月29日の記者会見で、新型コロナウイルスのPCR検査について、約2,000例の症例で唾液と鼻咽頭スワブの診断精度を比較した結果、いずれも感度は約90%、特異度は両者とも99.9%だったと発表した。PCR検査を巡っては、唾液による検査が簡便かつ医療従事者の感染リスク防止の観点で有用と考えらえるが、感度は未知数であり、鼻咽頭スワブでも70%程度と見られていた。今回の結果は、従来の見立てを大きく上回り、PCR検査の信頼性を裏付ける形となった。研究をまとめた論文は、Clinical Infectious Diseases誌2020年9月25日号に掲載された。

新規抗体薬物複合体SG、尿路上皮がんに有望(TROPHY-U-01)/ESMO2020

 プラチナ系抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の治療歴を有する転移のある尿路上皮がんに対する新規抗体薬物複合体Sacituzumab Govitecan (SG)の有用性は、昨年のESMO2019で中間解析結果が発表されている(35例での奏効率は29%)。今回の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、その最終解析結果が、フランス・Institut de Cancerologie Gustave RoussyのYohann Loriot氏より報告された。  このSGは、多くの固形腫瘍の細胞表面に発現するタンパクTrop-2を標的としており、ヒト化抗Trop-2モノクローナル抗体とイリノテカン系抗がん剤の抗体薬物複合体(ADC)である。TROPHY-U-01試験は、複数のコホートからなるオープンラベルの第II相試験であり、今回はそのコホート1集団の発表である。

超音波気管支鏡ガイド下針生検、PD-L1検査の成功率高い/Chest

 適切な治療には、確度の高い情報が得られる検査の実施が重要である。今回、それらが治療の成否の鍵を握ることを再認識する試験結果が示された。イタリア・モリーゼ大学のFabio Perrotta氏らは、一般的に進行がん患者で行われる細胞検体の採取について、超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)で採取した検体が、非小細胞肺がん(NSCLC)におけるPD-L1検査に適しているかを評価する大規模な多施設共同研究を行った。その結果、EBUS-TBNAはPD-L1検査に適した検体を提供することが示され、進行N期と脳転移はPD-L1高発現と関連することも示されたという。

パルボシクリブ+フルベストラント、内分泌療法感受性のHR+/HER2-進行乳がんでPFS延長(FLIPPER)/ESMO2020

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)、内分泌療法感受性の閉経後進行乳がん患者に対する一次治療として、CDK4/6阻害薬パルボシクリブとフルベストラントの併用療法が、フルベストラント単剤療法と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。スペイン・Hospital del MarのJoan Albanell氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で第II相FLIPPER試験の早期解析結果を発表した。  第III相PALOMA-3試験において、内分泌療法抵抗性の患者に対するパルボシクリブ併用療法の有効性が示され、標準治療となっている。

HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation公開/日本腎臓学会

 日本腎臓学会は透析患者・保存期腎不全患者用の経口腎性貧血治療薬について「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation」を9月29日に学会ホームページ上に公開した。  HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendationは3つに章立てられており、1.総論、2.推奨(どのような患者に使用することが望ましいか、鉄補充をどうすることが望ましいか)、3.注意点(悪性腫瘍、糖尿病網膜症・加齢黄斑変性症、肝機能異常、高血圧、高カリウム血症、血栓塞栓症、血管石灰化、肺高血圧症/心不全、嚢胞の増大、脂質代謝への影響)が記載されている。

乳がんアジュバント、アベマシクリブ+内分泌療法が予後改善(monarchE)/ESMO2020

 再発高リスクのホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2−)乳がんに対する術後療法としての、アベマシクリブと内分泌療法薬の併用は、内分泌療法薬単独よりも、有意に無浸潤疾患生存期間(iDFS)を延長することが示された。日本も参加した、この国際共同のオープンラベル第III相monarchE試験の結果は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、英国・The Royal Marsden NHS Foundation TrustのStephen R. D. Johnson氏より発表され、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年9月20日号に同時掲載された。追跡期間中央値15.5ヵ月でのアベマシクリブの2年間投与が終了している症例が12.5%で、70%以上が投薬中という状況での中間解析。

ALK陽性肺がん、ロルラチニブの1次治療が有効性示す、とくに脳転移(CROWN試験)/ESMO2020

 未治療のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)においてロルラチニブとクリゾチニブを比較する多施設非盲検無作為化第III相CROWN試験の中間解析が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)にて、オーストラリア・Peter MacCallumがんセンターのB.Solomon氏により発表された。 ・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容) ・試験群:ロルラチニブ(100mg/日) ・対照群:クリゾチニブ(250mgx2/日) ・評価項目: [主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]治験実施医によるPFS、BICR評価の奏効率(OR)、BICR評価の脳内奏効率(IC-OR)、BICR評価の奏効期間(DoR)、BICR評価の脳内奏効期間(IC-DR)、全生存期間(OS)、安全性

マスク着用時の口臭対策の基本とは?専門家がアドバイス

 新型コロナウイルス感染症流行の長期化に伴い、マスクを着けることが日常化している。マスク装着時に気になるのが自分の口臭の問題だ。乳酸菌食品メーカーであるオハヨーバイオテクノロジーズは「マスクの中の“臭い”気になりませんか?」と題したプレス資料の中で、口臭の原因と対策について解説している。  口臭の原因は、大きく分けて2つ。1つ目は「体」に原因がある場合で、消化不良や肝機能低下、糖尿病などが考えられる。2つ目は「口の中」に原因がある場合で、歯や舌の汚れや虫歯、歯周病などが要因となる。口臭のうち8割以上が口の中に原因があるとされ、とくに舌の上が白くなる舌苔の増加と歯周病菌による歯茎の炎症やメチルメルカプタンの発生による口臭が代表的な要因だ。

日本の公立学校教師における不眠症と長時間労働

 筑波大学の堀 大介氏らは、日本の公立学校教師における不眠症の有病率を明らかにするため、労働時間、通勤時間と不眠症との関連を調査した。また、不眠症の教師が仕事に費やした時間についても調査を行った。Sleep Medicine誌2020年11月号の報告。  日本の公立小学校または中学校の教師を対象とし、2016年実施の労働環境調査で得られたデータを用いて2次分析を行った。分析対象者数は1万1,390人(女性の割合:47.4%、平均年齢:42.2±11.3歳)であった。労働時間、通勤時間と不眠症との関連を評価するため、二項ロジスティック回帰分析を用いた。主要アウトカムは不眠症とし、その定義はアテネ不眠尺度6以上とした。説明変数は、1週間の労働時間、1日の通勤時間、職業性ストレスの6つのサブスケール、年齢層、子供の有無、仕事の種類、学校の種類、学校の都市性とした。

非扁平上皮NSCLC1次治療、化学療法+ベバシズマブ+ニボルマブの4併用がPFS延長(ONO-4538-52/TASUKI-52)/ESMO2020

 ONO-4538-52/TASUKI-52試験は、非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療治療において、プラチナ化学療法とベバシズマブの併用にニボルマブを上乗せした初の無作為化二重盲検第III相試験である。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、その初回解析の結果を韓国・ソウル国立大学ブンダン病院のJong Seok Lee氏が発表した。 ・対象:未治療のStage IIIB/IVの非扁平上皮NSCLC患者(PD-L1発現問わず) ・試験群:ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(3週間ごと6サイクル)→ニボルマブ+ベバシズマブ(ニボルマブ群) ・対象群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→プラセボ+ベバシズマブ(プラセボ群)  ニボルマブ/プラセボ+ベバシズマブは、疾患進行または許容できない毒性発現まで継続 ・評価項目: [主要エンドポイント]独立放射線審査委員会(IRRC)評価の無増悪生存期間(PFS [副次評価項目 ]全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、安全性

NSCLCの脳転移に対するペムブロリズマブの効果/Lancet Oncol

 ペムブロリズマブが非小細胞肺がん(NSCLC)の脳転移に有効である可能性が示された。米国・イェール大学医学大学院のSarah B. Goldberg氏らは、NSCLCまたは悪性黒色腫の患者を対象としたペムブロリズマブの非盲検第II相試験において、脳転移病変に対する抗PD-1抗体の効果を検討しており、これまでに中間解析結果を報告している。今回、同試験のNSCLCコホートを対象とした最新の解析を行い、ペムブロリズマブは、PD-L1発現が1%以上のIV期NSCLC患者における脳転移病変に対して有効であり、安全性も確認されたことを報告した。著者は、「NSCLCによる中枢神経系(CNS)疾患に対する免疫療法のさらなる検討が必要である」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年5月号掲載の報告。

T790M陽性NSCLCに対するオシメルチニブとベバシズマブの併用(WJOG 8715L)/ESMO2020

 EGFR-TKIに耐性となりT790M陽性が確認された進行肺腺がんに対して、オシメルチニブとベバシズマブの併用は、オシメルチニブ単独に比し、無増悪生存期間(PFS)の延長を示せなかった。日本のWest Japan Oncology Group(WJOG)の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で仙台厚生病院の戸井之裕氏から発表された。  このWJOG8715L試験は、日本国内で実施されたオープンラベルの無作為化第II相試験である。

肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療の5年生存率、30%超(KEYNOTE-024)/ESMO2020

 PD-L1 発現(TPS≧50%)の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペンブロリズマブ単剤治療は第III相KEYNOTE-024試験の追跡期間11.2ヵ月の解析で、化学療法と比較して有意な無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の改善が示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、同試験の5年追跡結果を、米国・Sidney Kimmel包括的がんセンターのJ.R. Brahmer氏が発表した。 ・対象:転移を有する未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLC患者(305例) ・試験群:ペムブロリズマブ200mg 3週ごと(154例) ・対照群:治験担当医が選択したプラチナベース化学療法 4~6サイクル(151例) ・評価項目: [主要評価項目]無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]OSなど

切除不能StageIII NSCLC、デュルバルマブ地固め療法、半数が4年生存(PACIFIC)/ESMO2020

 同時化学放射線療法(cCRT)後に疾患進行のない切除不能StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)におけるデュルバルマブ地固め療法の第III相PACIFIC試験。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、デュルバルマブ群初とはるOSを含む4年生存データを、英国・マンチェスター大学のC. Faivre-Finn氏が発表した。

アジア人統合失調症患者におけるBMIと錐体外路症状との関係~REAP-AP研究

 これまでBMIとパーキンソン病との関連がいくつか報告されているが、統合失調症患者におけるBMIと抗精神病薬誘発性の錐体外路症状(EPS)との関連を報告した研究は少ない。韓国・Inje University Haeundae Paik HospitalのSeon-Cheol Park氏らは、統合失調症患者におけるBMIとEPSの関連を評価するため、検討を行った。Psychiatria Danubina誌2020年夏号の報告。  向精神薬処方に関するアジア国際共同研究の抗精神病薬(Research on Asian Psychotropic Prescription Patterns for Antipsychotics:REAP-AP)のデータを用いて、体重で層別化した統合失調症患者1,448例を対象にEPSの発現率を比較した。体重の層別化には、WHOの肥満度分類およびアジアパシフィック肥満分類を用いた。

早期乳がん術後補助療法でのパルボシクリブ追加、iDFS改善せず(PALLAS)/ESMO2020

 ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の早期乳がんの術後補助療法として、標準的な内分泌療法にCDK4/6阻害薬パルボシクリブを追加しても、無浸潤疾患生存期間(iDFS)を有意に改善できなかったことが、第III相オープンラベルPALLAS試験で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのErica L. Mayer氏が発表した。  転移を有するHR陽性/HER2陰性乳がんにおいては、内分泌療法にパルボシクリブを追加することにより無増悪生存期間(PFS)が改善する。このPALLAS試験では、早期乳がんの術後補助療法においても、パルボシクリブの追加でアウトカムが改善するかどうかを検討した。

TNF阻害薬・MTX服用者、COVID-19入院・死亡リスク増大せず

 COVID-19の治療法確立には、なお模索が続いている。米国・ウェストバージニア大学のAhmed Yousaf氏らは、エビデンスデータが不足している生物学的製剤および免疫抑制剤のCOVID-19関連アウトカムへの影響を、多施設共同リサーチネットワーク試験にて調べた。5,351万人強の患者の医療記録を解析した結果、腫瘍壊死因子阻害薬(TNFi)および/またはメトトレキサート(MTX)曝露のあるCOVID-19患者は非曝露のCOVID-19患者と比べて、入院や死亡が増大しないことが示されたという。結果について著者は「COVID-19と生物学的製剤の使用に関する現行ガイドラインは、厳密な統計学的解析ではなく主として専門家の見解(opinion)に基づくものである。

菜食とメンタルヘルスリスク

 これまでの研究では、うつ病、不安、ストレスなどのメンタルヘルスの問題への菜食の影響については、一貫した結果が得られていない。イラン・テヘラン医科大学のMohammadreza Askari氏らは、菜食とうつ病、不安、ストレスとの関連についての理解を深めるため、システマティックレビューを実施した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2020年9月4日号の報告。  2020年7月までの研究を、Scopus、PubMed、Web of Scienceより検索した。成人を対象に菜食のうつ病、不安、ストレスへの推定リスクを検討したプロスペクティブコホート研究および横断研究を分析に含めた。エフェクトサイズの統合には、固定効果モデルおよびランダム効果モデルを用いた。

COVID-19、18~34歳の臨床転帰と重症化因子

 米国や日本では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の若年者における感染が拡大している。しかし、COVID-19は高齢者に影響を及ぼす疾患として説明されることが多く、若年患者の臨床転帰に関する報告は限られる。米国・ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJonathan W. Cunningham氏らは、COVID-19により入院した18~34歳の患者約3,000例の臨床プロファイルと転帰について、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2020年9月9日号リサーチレターで報告した。