医療一般|page:125

ペムブロリズマブ+化学療法、悪性胸膜中皮腫1次治療のOSを改善/MSD

 2023年3月10日、Merck社は切除不能な進行または転移のある悪性胸膜中皮腫の1次治療においてペムブロリズマブと化学療法の併用療法を評価する第II/III相CCTG IND.227/KEYNOTE-483試験で、主要評価項目の全生存期間(OS)を達成したことを発表した。  IND.227/KEYNOTE-483試験は、Canadian Cancer Trials Group(CCTG)が実施医療機関となり、National Cancer Institute of Naples(NCIN)およびIntergroupe Francophone de Cancerologie Thoracique(IFCT)と共同で実施する非盲検無作為化第II/III相試験である。

日本における若年性認知症の初期症状とは

 東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症のサブタイプごとに、若年性認知症の初期症状を調査した。その結果、若年性認知症はサブタイプにより初期症状の頻度に違いがあることが明らかとなった。著者らは、本結果が若年性認知症の初期症状に対する一般の人々の意識向上に貢献し、早期診断や社会的支援が促進されるだろうと述べている。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年2月22日号の報告。  日本における全国的な人口ベースの若年性認知症有病率調査を実施した。データは、若年性認知症を有する人が利用する医療サービス提供者を通じて収集した。初期症状は、記憶障害、失語障害、易刺激性、意欲低下、職場や家庭でのミスの増加、それ以外の異常な行動や態度といった6つのドメインで評価した。

尿酸値が上がりにくいアルコールは?~日本人8万人のデータ

 飲酒は高尿酸血症の重要なリスク因子だが、アルコール飲料の違いによる血清尿酸値への影響の詳細はわかっていない。今回、聖路加国際病院の福井 翔氏らが、日本人7万8,153人の健康診断データを用いて横断研究を実施した結果、飲酒量をエタノール含有量で統一した場合、ビールでの血清尿酸値上昇は大きく、ワインでは中程度の上昇、日本酒での上昇はわずかで有意ではなかったことが示された。JAMA Network Open誌2023年3月17日号に掲載。

男性、ピロリ菌感染などの胆石リスク因子が明らかに―静岡県内60万人超の縦断的解析

 日本人を対象とする大規模な縦断的研究から、胆石のリスク因子が報告された。ピロリ菌感染などの従来あまり知られていなかった因子が、胆石発症に関連していることや、女性よりも男性の方がハイリスクであることなどが明らかになったという。静岡社会健康医学大学院大学の東園和哉氏、中谷英仁氏、藤本修平氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に12月30日掲載された。  胆のうや胆管にできる結石「胆石」は、詳しい検査をすると成人の10人に1人に見つかるとされるほど多いもので、大半は無症状。ただし、膵炎や胆道閉塞、胆のうがんのリスクと関連していることが知られており、また感染を引き起こして強い痛みや発熱が生じ緊急手術が必要になったり、時に命にかかわることもある。よって、仮に修正可能な胆石のリスク因子があるのなら、それらに対して予防的に介入することのメリットは少なくない。しかしこれまでのところ、胆石のリスク因子に関する日本人での大規模研究は実施されておらず詳細は不明であり、胆石予防のための積極的介入を行うという公衆衛生対策もなされていない。

肺がんパネル検査、RT-PCR(Amoy 9 in 1)の臨床応用/日本臨床腫瘍学会

 肺がん遺伝子パネル検査における、リアルタイムPCR(RT-PCR)Amoy 9 in 1の実用性を、大阪国際がんセンターの國政 啓氏が発表した。  次世代シークエンス(NGS)は多くの遺伝子を包括的に同定できる一方、コストが高く、解析結果の返却までの時間(TAT)が比較的長い。RT-PCRは低コストでTATが短い反面、同定できる遺伝子が限定される。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、國政氏が発表したリアルワールド研究では、LC-SCRUM-Asiaに登録した自施設の肺がん患者を対象に、Amoy 9 in 1とNGSの検査成績と実用性を、2019年6月~2021年12月に比較解析している。

不眠症治療について日本の医師はどう考えているか

 ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンは、安全性への懸念や新規催眠鎮静薬(オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬)の承認にもかかわらず、依然として広く用いられている。秋田大学の竹島 正浩氏らは、日本の医師を対象に処方頻度の高い催眠鎮静薬およびその選択理由を調査した。その結果、多くの医師は、オレキシン受容体拮抗薬が効果的かつ安全性が良好な薬剤であると認識していたが、安全性よりも有効性を重要視する医師においては、ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンを選択することが確認された。Frontiers in Psychiatry誌2023年2月14日号の報告。

低炭水化物ダイエットはメタボになりやすい?

 炭水化物の摂取量について、推奨量を下回るとメタボリックシンドローム(MetS)の発症が低下するかどうか、現時点では関係性を示す一貫した証拠はない。今回、米国・オハイオ州立大学のDakota Dustin氏らが炭水化物の摂取量とMetSの有病率について研究した結果、炭水化物の推奨量を満たしている人よりも下回っている人のほうがMetSの発症率が高いことが明らかになった。Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics誌オンライン版2023年3月23日号掲載の報告。

緑地が産後うつを予防?

 樹木が豊かな環境に暮らしている女性は、産後うつのリスクが低い可能性を示唆するデータが報告された。米カリフォルニア大学アーバイン校のJun Wu氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Regional Health」に3月6日掲載された。  産後うつは、ホルモンバランスや環境の急な変化とそれに伴うストレスなどにより引き起こされるのではないかと考えられている。一方、緑の豊かな環境がメンタルヘルスに良い影響を与えることが知られている。ただし、緑の豊かさと産後うつリスクの関係に焦点を当てた研究は少なく、これまでに報告されている研究も結果に一貫性がない。また、緑に接することによるメンタルヘルスへの影響は、視線の高さによって異なり、低木や草地を見下ろした時よりも高い木々を見上げた時の方が、影響が大きいとする研究結果も報告されている。

米FDAが片頭痛に対する新たな点鼻薬を承認

 片頭痛患者は、より即効性があり、また、心筋梗塞や脳卒中のリスクがある人にとってはより安全な新しい治療選択肢を得ることになりそうだ。米食品医薬品局(FDA)は3月9日、重度の片頭痛に対する治療薬として、ファイザー社製の点鼻スプレーであるザベジパント(商品名Zavzpret)を承認した。  ファイザー社のグローバルバイオ医薬品事業部の最高商務責任者兼社長であるAngela Hwang氏は、「ZavzpretのFDA承認は、痛みからの解放を必要とし、経口薬に代わる選択肢を望む片頭痛患者にとって、大きなブレークスルーとなる」と同社のニュースリリースで述べた。また、「ファイザー社は、片頭痛に悩まされている人々が、痛みを忘れて日常生活に戻るのを助けるための新たな治療薬の開発に熱意を持って取り組んでいる。Zavzpretはそのようなファイザー社の献身を明確に示すものだ」と強調する。

前立腺動脈塞栓術により前立腺肥大症の症状が軽減

 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia;BPH)の症状に対する前立腺動脈塞栓術(prostatic artery embolization;PAE)の長期的な効果が、米マイアミ大学医学部のShivank Bhatia氏らによる研究で示された。PAEは、肥大した前立腺への血流を部分的に遮断する治療法で、侵襲性は低いとされている。Bhatia氏によると、PAEを受けた患者では、頻尿や尿失禁などの排尿に関わる症状(下部尿路症状)が劇的に改善したという。この研究結果は、インターベンショナルラジオロジー学会(SIR 2023、3月4〜9日、米フェニックス)で報告された。

新型コロナ治療薬ゾコーバ錠125mgの一般流通開始/塩野義

 塩野義製薬は3月31日付のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬ゾコーバ錠125mg(一般名:エンシトレルビル フマル酸)について、同日より一般流通を開始したことを発表した。薬価は、1錠7,407.4円となる。  本剤は、2022年11月22日付で厚生労働省より「SARS-CoV-2による感染症」の適応で、緊急承認制度(医薬品医療機器等法第14条の2の2)に基づく製造販売承認を取得した。本剤の緊急承認は、オミクロン株流行期に重症化リスク因子の有無やワクチン接種の有無によらず、幅広い軽症/中等症患者を対象に日本を中心としたアジア(韓国、ベトナム)で実施した、第II/III相臨床試験のPhase 3 partの良好な試験結果に基づく。2023年3月15日に薬価基準収載となった。

AD治療薬lecanemab、ARIAやQOL解析結果をAD/PD学会で発表/エーザイ・バイオジェン

 エーザイとバイオジェン・インクは3月31日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemabについて、第III相試験「Clarity AD試験」における最新の解析結果を、スウェーデンのイェーテボリで3月28日~4月1日に開催の第17回アルツハイマー・パーキンソン病学会(AD/PD2023)にて発表したことを報告した。lecanemab投与群では、プラセボ群よりアミロイド関連画像異常(ARIA)の発現率が増加したが、抗血小板薬や抗凝固薬の使用によるARIAの発現頻度は上昇せず、ARIA-H単独の発現パターンはプラセボ群と同様だったことが明らかとなり、QOLの結果からは、lecanemab治療が被験者と介護者に有意義なベネフィットをもたらすことが示された。

肥満や男性だけでない、いびきをかく人の1/4は睡眠時無呼吸症候群/レスメド

 睡眠中に大きないびきと共に呼吸が止まったり、弱くなったりするという症状を呈する睡眠時無呼吸症候群(SAS)。いびきをかく人の25%(男性:3人に1人、女性:5人に1人)は睡眠時無呼吸を発生していたという報告もあり、SASの80%は未診断ともいわれる。しかし、SASは糖尿病・心血管疾患の発症や循環器系の疾患による死亡のリスクを上昇させるため、治療が必要である。一般的な治療法としてはCPAP(持続陽圧呼吸)治療、マウスピース治療、手術、生活習慣の改善がある。  そこで、レスメドは2023年3月16日に「CPAP治療の最前線と患者アドヒアランスの向上について」と題してメディアセミナーを実施した。

スマホ依存になりやすい性格とは

 近年、スマートフォンの利用頻度が急速に増加しており、スマートフォン依存(以下、スマホ依存)が問題となっている。スマホ依存は、特定の性格特性を有する人において有病率が高いことが示唆されている。イラン・Shahid Beheshti Medical UniversityのAli Kheradmand氏らは、スマホ依存と性格特性との関連を評価するため、相関研究を行った。その結果、スマホ依存者は、自己愛性パーソナリティ障害の特徴である新規性追求、損害回避、自己超越の高さ、持続および自己志向の低さの性格特性を有していることを報告した。Frontiers in Psychiatry誌2023年2月8日号の報告。

ピロリ菌感染、がん治療には良い影響か~大幸研究

 Helicobacter pylori(HP)感染は胃がんの原因と考えられているが、逆にHP陽性の進行胃がん患者の生存率がHP陰性患者よりも高いことがさまざまな国の研究で報告されている。また以前の研究から、HP感染により潜在的な抗腫瘍免疫が維持されることにより、生存期間が延長する可能性が示唆されている。今回、岩手医科大学医歯薬総合研究所の西塚 哲氏らが大幸研究コホートの前向き研究で、すべてのがんの発生率および死亡率を検討した結果、HP陽性者の全がん発生率は陰性者より有意に高かったが、全がん死亡率は同等だった。著者らは、HP感染によるがん診断後の死亡リスク低下の可能性を考察している。PLOS Global Public Health誌2023年2月8日号に掲載。

アルツハイマー病薬が抜毛症と皮膚むしり症の症状軽減か

 アルツハイマー型認知症の治療薬として長年にわたり使用されているメマンチンが、抜毛症や皮膚むしり症の症状の軽減に役立つ可能性が、米シカゴ大学精神科学・行動神経科学教授のJon Grant氏らが実施した臨床試験で示された。同試験では、メマンチンが投与された抜毛症や皮膚むしり症の患者の5人中3人で症状の改善が認められたという。詳細は、「The American Journal of Psychiatry」に2月22日掲載された。  Grant氏によると、抜毛症と皮膚むしり症の米国での有病率は3~4%と推定されているという。これらの疾患の患者は、髪の毛などの自分の体毛を引き抜く、あるいは自分の皮膚をむしることがやめられず、実際に体を傷つけるまでそうした行為を続けてしまう人も多い。

独身者はCOVID-19罹患後に抑うつや記憶障害が現れやすい―大分県での調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期を乗り切った後にも、独身者は抑うつや記憶障害が現れやすいことを示唆するデータが報告された。特に、COVID-19急性期の症状が軽症だった人や40歳代の人で、配偶者の有無でのリスク差が大きいという。大分大学医学部呼吸器・感染症内科学の小宮幸作氏らの研究によるもので、詳細は「Respiratory Investigation」3月号に掲載された。  COVID-19の急性期を脱した後にも長期間さまざまな症状が続くことが知られており、「post-COVID-19」または「long COVID」などと呼ばれている。Post-COVID-19のリスクに関連のある因子として、急性期の重症度の高さ、性別(女性)、社会経済的地位の低さなどとともに、婚姻状況(独身)が挙げられている。ただし、post-COVID-19に伴うメンタルヘルス症状と婚姻状況の関連は十分明らかになっていない。小宮氏らは、大分県と連携し、この点に的を絞った研究を行った。

進行または再発の子宮頸がんに対する単剤療法「リブタヨ」発売/サノフィ

 サノフィは3月30日付のプレスリリースで、「がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌」を効能または効果として、リブタヨ点滴静注350mg(一般名:セミプリマブ、以下「リブタヨ」)の販売を同日より開始したことを発表した。  子宮頸がんは、世界では女性のがん死因の第4位に当たり、35~44歳での診断が最も多い疾患である。大部分はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を原因とし、約80%を扁平上皮がん(子宮頸部の外部を覆う細胞から発生)、残る患者の多くを腺がん(子宮頸部の内部にある腺細胞から発生)が占めている。進行または再発の子宮頸がんの治療選択肢は限られており、世界で毎年約57万人の女性が子宮頸がんと診断されていることから、新たな治療法の登場が望まれていた。

ベンゾジアゼピンや気分安定薬の併用率低下に長時間作用型注射剤は寄与するか

 統合失調症は、再発と寛解を繰り返す慢性疾患である。治療には主に抗精神病薬が用いられ、その剤形には経口剤または長時間作用型注射剤(LAI)がある。さまざまな理由で気分安定薬やベンゾジアゼピンが補助療法として頻用されるが、国際的なガイドラインで推奨されることはめったにない。ルーマニア・トランシルバニア大学のAna Aliana Miron氏らは、慢性期統合失調症患者を対象に、抗精神病薬の剤形が気分安定薬やベンゾジアゼピンの併用に及ぼす影響を明らかにするため、観察的横断研究を実施した。その結果、安定期統合失調症患者に対する気分安定薬およびベンゾジアゼピンの長期併用率は、抗精神病薬の剤形とは関係なく高いままであることが示唆された。

初回化学療法反応後の維持療法としてのCDK4/6阻害薬の有用性/日本臨床腫瘍学会

 切除不能または転移のある乳がん患者(MBC)患者に対する初回化学療法反応後の維持療法としての内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用療法が、有望な有効性と管理可能な安全性プロファイルを示したことを、大阪国際がんセンターの藤澤 文絵氏が第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。  MBC乳がんに対するベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後の維持療法として、内分泌療法(+カペシタビンあるいはベバシズマブ併用)の有用性が国内多施設無作為化第II相試験(KBCSG-TR12141)、BOOSTER試験2))で報告されている。しかし、内分泌療法+CDK4/6阻害薬併用維持療法の有効性と安全性に関するデータは十分ではない。そこで、藤澤氏らはMBC患者における初回化学療法反応後の維持療法としての内分泌療法+CDK4/6阻害薬の安全性と有効性を調査した。