医療一般|page:130

ビタミンDで2型糖尿病のリスクがわずかに低下

 ビタミンDを積極的に摂取することによって、2型糖尿病の発症リスクがわずかに低下する可能性を示唆する研究結果が報告された。ただし、専門家は、ビタミンD摂取が健康的な食事や運動習慣に取って代わるものではないとしている。米タフツ医療センターのAnastassios Pittas氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に2月7日掲載された。  ビタミンDは骨量減少や骨折を減らす目的で、サプリメントなどとして摂取されることがある。近年、ビタミンDには骨代謝改善以外にもさまざまな作用のあることが分かり、その中の一つとして2型糖尿病リスクを下げる可能性も示唆されている。ただし、この点についての明確なエビデンスは得られていない。そこでPittas氏らは、2型糖尿病リスクの高い人を対象に、ビタミンD投与による介入を行った研究報告を対象とするシステマティックレビューとメタ解析を行った。

ホルモン注射で男女の性欲が高まる?

 性欲減退に悩む人に、新しいホルモン注射が役立つかもしれない。キスペプチンと呼ばれるホルモンの注射により男性と女性の性欲を高められる可能性が、英国の2件の研究で示唆された。キスペプチンは、脳の視床下部のニューロンから放出されるペプチドで、生殖機能の制御において中心的な役割を果たすと考えられている。これらの研究結果は、「JAMA Network Open」に2月3日掲載された。  1件目の研究は、英インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラストのAlexander Comninos氏らが、性的関心興奮障害(HSDD)の女性40人を対象に実施したランダム化比較試験(RCT)である。対象者には、2回にわたってキスペプチンとプラセボを投与した。投与方法は、まず半数にキスペプチンを、残る半数にプラセボを投与し、その後、1カ月以上の間隔を空けた2回目の投与時には投与内容を入れ替えるというものだった。いずれも投与時に、性的な動画や魅力的な顔写真を対象者に見せ、脳活動を機能的MRI(fMRI)で測定した。また、複数の調査票を用いて性欲と性的興奮の心理・行動面での変化を調べ、さらに、血液検査によりキスペプチンや黄体形成ホルモン(LH)などのホルモンレベルを測定した。

冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン、11年ぶりに改訂/日本循環器学会

 『2023年改訂版 冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン』が第87回日本循環器学会年次集会の開催に合わせ発刊され、委員会セッション(ガイドライン部会)において、藤吉 朗氏(和歌山県立医科大学医学部衛生学講座 教授)が各章の改訂点や課題について発表した。  本ガイドライン(以下、本GL)は日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会をはじめとする全11学会の協力のもと、これまでの『虚血性心疾患の一次予防GL(2012年改訂版)』を引き継ぐ形で作成された。

EGFR陽性NSCLCの術後補助療法、オシメルチニブがOS延長(ADAURA)/AZ

 アストラゼネカは、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の第III相試験(ADAURA試験)において、EGFR遺伝子変異陽性の病理病期IB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する完全切除後の補助療法としてのオシメルチニブの投与により、全生存期間(OS)が有意に改善したことを2023年3月10日のプレスリリースで発表した。  国際共同第III相比較試験ADAURA試験は、EGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)の病理病期IB~IIIAのNSCLC患者のうち、腫瘍が完全切除された患者を対象とした試験。

9価HPVワクチン「シルガード9」、9歳以上15歳未満の女性への2回接種の追加承認取得/MSD

 MSDは2023年3月8日のプレスリリースで、同日、ヒトパピローマウイルス(HPV)の9つの型に対応した「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン[酵母由来])」について、9歳以上15歳未満の女性に対する2回接種の用法および用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。今回の承認により、対象年齢の女性の来院および接種回数を1回減らすことができ、ワクチン接種者や医療関係者をはじめとする接種に関わる人々の負担軽減にもつながることが期待される。

日本人の認知症リスクに対する喫煙、肥満、高血圧、糖尿病の影響

 心血管リスク因子が認知症発症に及ぼす年齢や性別の影響は、十分に評価されていない。大阪大学の田中 麻理氏らは、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病が認知症リスクに及ぼす影響を調査した。その結果、認知症を予防するためには、男性では喫煙、高血圧、女性では喫煙、高血圧、糖尿病の心血管リスク因子のマネジメントが必要となる可能性が示唆された。Environmental Health and Preventive Medicine誌2023年号の報告。対象は、ベースライン時(2008~13年)に認知症を発症していない40~74歳の日本人2万5,029人(男性:1万134人、女性:1万4,895人)。

花粉症患者の5割が医療機関受診の経験なし/アイスタット

 2023年の春は「10年に1度」と言われるくらい花粉の飛散が予測され、連日、天気予報では大量飛散の注意を伝えている。花粉症関連の市販薬や花粉予防グッズの売り上げが伸びている中で、患者はどのように感じ、備えや治療を行っているのであろうか。株式会社アイスタットは2月8日に「花粉症」に関するアンケートを行った。  アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の首都圏在住の会員20~59歳の300人が対象。

米国農務省が学校給食の糖と塩を減らす新提案

 米国農務省(USDA)はこのほど、学校給食の質を改善するための新たな基準案を示した。主として、添加糖やナトリウムの含有量を段階的に削減していくことが提案されている。同省では現在、この提案に対するパブリックコメントを募集している。  米国の学校給食の献立の基準は2012年に見直され、野菜や果物の利用、精製度の低い穀類の使用、エネルギー量過剰の是正などが図られた。今回の基準改定はそれ以来の変更。2025~2026年にスタートし、段階的に厳格な基準としていくことを提案している。

ゴルフは高齢者の健康維持に最適

 老後も健康でいたい人は、ゴルフクラブを持ってグリーンに出ると良いようだ。新たな研究から、心臓の健康を向上させるという点で、ゴルフはウォーキングやノルディックウォーキング(特殊なポールを用いたウォーキングによる全身運動)よりも優れていることが明らかにされた。研究論文の筆頭著者で、東フィンランド大学(フィンランド)生物医学/スポーツ・運動医学研究所のJulia Kettinen氏は、「ゴルフは体を動かす意欲を高め、あまり距離を意識せずに長く歩けるという点でも優れた運動方法である」と述べている。この研究は、「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に2月6日掲載された。

慢性期統合失調症患者の認知機能に対する抗精神病薬、抗コリン薬の影響

 精神疾患の治療には、さまざまな向精神薬が用いられるが、その多くは抗コリン作用を有しており、認知機能を低下させる可能性がある。フランス・Lebanese American UniversityのChadia Haddad氏らは、抗コリン作動性負荷と抗精神病薬の用量に焦点を当て、神経心理学的障害や症状の治療に用いられる薬剤と統合失調症患者の認知機能との関連を評価した。その結果、慢性期統合失調症患者の認知機能は、薬物療法や抗コリン作動性負荷の影響を受ける可能性があることを報告した。BMC Psychiatry誌2023年1月24日号の報告

動脈硬化は睡眠が不規則な人ほど発症する可能性が高かった

 睡眠不足や不規則な睡眠というのは心血管疾患や2型糖尿病などの発症に関連しているが、アテローム性動脈硬化との関連性についてはあまり知られていない。そこで、米国・ヴァンダービルト大学のKelsie M. Full氏らは睡眠時間や就寝タイミングとアテローム性動脈硬化との関連性を調査し、45歳以上の場合に睡眠不足や不規則な睡眠であるとアテローム性動脈硬化の発症リスクを高めることを示唆した。Journal of the American Heart Association誌2023年2月21日号掲載の報告。

新規ADC telisotuzumab vedotinが先駆的医薬品の対象に/アッヴィ

 2023年3月7日、アッヴィは非小細胞肺がん治療薬として同社が開発中の抗体薬物複合体(ADC)telisotuzumab vedotinが、厚生労働省より「先駆的医薬品指定制度」の対象品目に指定されたと発表した。  telisotuzumab vedotinは、がん細胞表面で発現する、細胞表面受容体c-Metを特異的標的とするADCである。c-Metの過剰発現は予後不良だが、その標的治療法は現時点で確立されていない。

メタボ該当者はうつ病リスクが高い―国内のコホート内症例対照研究

 メタボリックシンドローム(MetS)に該当する人は、うつ病のリスクが高い可能性のあることが報告された。名古屋大学医学部附属病院先端医療開発部の今泉貴広氏、同大学大学院医学系研究科病態内科学腎臓内科の丸山彰一氏らによる研究の結果であり、詳細は「Scientific Reports」に11月3日掲載された。  うつ病は労働者の精神疾患として最も一般的に見られる疾患であり、公衆衛生上の大きな問題となっている。うつ病が糖尿病や心血管疾患のリスクと関連のあることは既に知られており、さらにそれらの発症前段階に当たるMetSも、うつ病と関連のあることが報告されている。ただし、MetSとうつ病との関連を縦断的に示した研究はなく、MetS該当者が将来的にうつ病を発症しやすいのかどうかは明らかになっていない。仮にそのような関連があるとすれば、MetSによる心血管疾患の発症抑止という目的で行われている特定健診・保健指導を、うつ病予防の介入の機会とするという公衆衛生対策も可能と考えられる。このような背景のもと今泉氏らは、健診データと医療費請求データを用いて、MetS該当者がうつ病を発症しやすいのかを検討した。

「QOL」という言葉にある医師と患者のギャップ

 3月16日(木)に、「医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き」シンポジウムがオンラインで開催される。シンポジウムに先立って、本プロジェクトの主任研究員である井出 博生氏と山田 恵子氏が、成果の一端を2週にわたって報告する。第2回は山田氏が、「QOL」という言葉を例に医師と患者の間にある認識のギャップについて解説する。  QOL(Quality of life)。医師のみなさんは、普段から当たり前に使っている言葉の一つだと思います。しかし、真に意味するところは、患者さんに正しく伝わっているでしょうか。

レムデシビル、コロナ入院患者の死亡リスクを低減/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズ(日本)は3月6日付のプレスリリースにて、入院後2日以内の抗ウイルス薬レムデシビル(商品名:ベクルリー)投与により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院患者において、重症度にかかわらず死亡率および再入院率が低下したことを示すデータが、50万人超のリアルワールド試験から得られたことを発表した。死亡率の低下は、免疫不全者の集団においても認められた。米国本社が2月21日に英語で発表したものの邦訳版。本結果は2月19~22日に米国・シアトルで開催された第30回レトロウイルス・日和見感染症会議(Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections)にて発表された。

3月13日以降のマスク、濃厚接触者は7日間着用を推奨/厚労省

 厚生労働省は2023年3月7日、自治体・医療機関向けの事務連絡「B.1.1.529系統(オミクロン株)が主流である間の当該株の特徴を踏まえた感染者の発生場所毎の濃厚接触者の特定及び行動制限並びに積極的疫学調査の実施について」を一部改正した。2023年2月10日に発表された「マスク着用の考え方の見直し等について」に基づき、2023年3月13日よりマスクの着用は、個人の判断を基本とすることとなるが、濃厚接触者については7日間のマスク着用が推奨されることとなった。

肺がん減少の一方で乳がん・前立腺がんは増加/全米がん統計

 米国がん協会は、毎年米国における新たながんの罹患数と死亡数を推定して発表している。2023年の最新データがCA Cancer Journal for Clinicians誌オンライン版に掲載された。発表されたデータによると、2023年に米国で新たにがんと診断される人は195万8,310人、がんによる死亡者は60万9,820人と予測されている。死亡者数が最も多いがん種は、男性は肺がん、前立腺がん、大腸がんの順で、女性は肺がん、乳がん、大腸がんの順であった。

SNS依存が大学生の学業成績に及ぼす影響

 依存症では、身体的または心理的な極度の渇望および没頭を生じるが、近年、若者世代においてソーシャルメディア依存症が問題となっている。エチオピア・Mettu UniversityのAman Dule氏らは、SNSサービスの1つであるFacebookに対する依存状態と大学生の学業成績との相関関係を評価した。その結果、若者のFacebook依存度は高く、このことは学業成績低下だけでなく、精神的ウェルビーイングや自尊心の低下などとも関連していることを報告した。著者らは、学生におけるSNS依存による悪影響を減少させるためにも、大学などの教育機関は、安全な使用促進につながるしっかりとした方針を整備すべきであろうとしている。PLOS ONE誌2023年2月6日号の報告。

卵巣がん予防目的の卵管切除術を低リスク者にも推奨

 卵巣がん研究アライアンス(Ovarian Cancer Research Alliance;OCRA)は1月30日、卵巣がんの低リスク者であっても、卵巣がんの予防を目的とした卵管の切除を、出産を終えた、より多くの女性に勧めるとの声明(コンセンサス・ステートメント)を発表した。  声明では、卵巣がんの発症に関わる遺伝子変異のない女性であっても、出産を終えており、別の婦人科系の手術を予定している場合には、卵管の切除を考慮することを勧めている。OCRAによると、ほとんどの卵巣がん、特に進行の速いタイプのものは、卵管に発生することがエビデンスで示されているという。

2023年度コロナワクチン接種スケジュールを発表/厚労省

 厚生労働省は3月7日、新型コロナワクチンの2023年4月以降の接種についてスケジュールの方針を発表した。2023年度も、すべての国民に自己負担なしで新型コロナワクチンを接種できる「特例臨時接種」が延長される。  12歳以上については、重症化リスクの高い高齢者(65歳以上)や基礎疾患を有する人、および医療従事者は、5月8日からオミクロン株対応2価ワクチン接種を開始する。年2回の接種が可能となる。高齢者は春~夏に1回、秋~冬に1回の接種が推奨されている。いずれの対象者も、最終接種からの接種間隔は少なくとも3ヵ月以上となる。