医療一般|page:214

新型コロナ感染者の7割が症状持続:系統的レビュー

 COVID-19で長期持続する症状の頻度や種類、重症度についてはまだよくわかっていない。米国・スタンフォード大学のTahmina Nasserie氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の持続的な症状の頻度と多様性を調べた研究の系統的レビューを実施した結果、COVID-19の症状は一般的に感染急性期が過ぎても持続し、健康関連機能とQOLに影響を与えることがわかった。少なくとも1つの持続的な症状を経験している患者の割合は72.5%(中央値)であった。JAMA Network Open誌2021年5月26日号に掲載。

急性肝性ポルフィリン症治療薬ギボシランが承認/Alnylam Japan

 Alnylam Japanは、6月23日に急性肝性ポルフィリン症(AHP)の治療薬としてギボシラン(商品名:ギブラーリ皮下注189mg)が厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。ギボシランは、国内における2成分目のRNA干渉(RNAi)治療薬であり、同社が国内で上市・販売する2番目の製品となる。なお、米国、EU、ブラジル、カナダ、スイスではすでに承認されている。発売日、薬価は未定。  AHPは、遺伝性の超希少疾患群であり、消耗性で生命を脅かしうる急性発作や患者さんによっては日常生活の機能(ADL)や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす持続症状を特徴とする。本症は、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、異型ポルフィリン症(VP)、およびALA脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP)の4つの病型があり、いずれの病型も遺伝子変異により肝臓内のヘム産生に必要な特定の酵素が欠如することで生じ、これにより体内のポルフィリンが毒性量まで蓄積する。AHPは労働年齢や出産年齢の女性に偏って発生し、症状はさまざまとなる。最もよくみられる症状は、重症かつ原因不明の腹痛であり、随伴症状として、四肢痛、背部痛、胸痛、悪心、嘔吐、錯乱、不安、痙攣、四肢脱力、便秘、下痢、暗色尿または赤色尿もみられる。また、AHPはその徴候および症状が非特異的であるため、婦人科疾患、ウイルス性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎などのより一般的な他の疾患と診断され、AHPと正確に診断されない原因となり、その結果、確定診断までの期間が15年に及ぶこともある。その他、本症では発作中に麻痺や呼吸停止を引き起こす可能性や長期罹患に伴う肝細胞がんなどのリスクもあることから、生命を脅かす危険もある疾患である。

ベルイシグアトが慢性心不全治療薬として承認/バイエル薬品

 バイエル薬品は2021年6月23日、慢性心不全治療薬ベルイシグアト(商品名:ベリキューボ錠)の製造販売について、日本国内における承認を取得したと発表した。2020年3月、NEJM誌 に発表された第III相臨床試験VICTORIAで得られた結果に基づき、厚生労働省が承認した。  本剤は、慢性心不全の適応で初めて承認されたsGC刺激剤。入院や利尿薬の静脈内投与が行われるなど、最近心不全の増悪を経験した患者のさらなる悪化リスクを減らすために研究された。2021年1月には、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得。EUでは欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会(CHMP)に承認が勧告され、中国をはじめ世界各国で承認申請中。

2型糖尿病に新クラスの治療薬イメグリミン承認/大日本住友製薬

 大日本住友製薬は、2型糖尿病治療薬イメグリミン(商品名:ツイミーグ錠 500mg)について、6月23日付けで、2型糖尿病を適応症として、日本における製造販売承認を取得したと発表。同剤の承認は日本が世界で初めてとなる。  日本において、同社はPoxel社と共同で1,100例を超える2型糖尿病患者を対象とした3本の第III相試験(TIMES1、TIMES2、TIMES3)を実施し、それらの良好な試験結果等を基に、2020年7月30日、日本における製造販売承認申請を行った。

オシメルチニブ耐性NSCLCに対するamivantamab+lazertinibのレスポンダーを同定(CHRYSALIS)/ASCO2021

 オシメルチニブ耐性となったEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、EGFとMET受容体の二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFR-TKI lazertinibの併用投与が有望であるという発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、韓国Yonsei Cancer CenterのByoung Chul Cho氏よりなされた。  本試験(CHRYSALIS試験)は国際共同の第I相試験で、今回の発表は推奨用量決定後の拡大コホート部分の解析結果である。

統合失調症外来患者におけるLAI治療中止の予測因子

 重度の精神疾患のマネジメントにおいて、患者の主観的な経験や態度は、重要であると考えられる。イタリア・フィレンツェ大学のLorenzo Tatini氏らは、臨床的に安定した統合失調症外来患者を対象に、経口抗精神病薬から長時間作用型抗精神病薬の維持療法(LAI-AMT)へ切り替え後の治療継続に影響を及ぼす予測因子の潜在的な役割について評価を行った。International Clinical Psychopharmacology誌2021年7月1日号の報告。  6ヵ月以上のLAI-AMTを受けた統合失調症患者59例のデータをレトロスペクティブに収集した。LAI治療を継続した患者と中止した患者を比較するため、ベースライン時の社会人口統計学的および臨床的特徴、精神病理学的特徴(PANSS、MADRS、YMRS)、薬に対する構えの調査(DAI-10)および抗精神病薬治療下主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版(SWNS)で収集した治療経験を評価した。LAI治療中止の予測因子を特定するため、二値ロジスティック分析およびCox回帰分析を用いた。特性の異なるサブサンプルにおけるLAI治療継続と中止を比較するため、Kaplan-Meier推定量を用いた。

シスプラチン不適の尿路上皮がんに対するペムブロリズマブの長期追跡結果(KEYNOTE-052)/ASCO2021

 シスプラチン不適の進行性尿路上皮がん(mUC)に対する1次治療としてのペムブロリズマブの単剤投与の長期追跡結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・シカゴ大学のP.H.O’Donnell氏から報告された。  本試験(KEYNOTE-052)は国際共同第II相試験である。主要評価項目である全奏効率(ORR)については2017年に報告されてるが、今回は生存期間も含めた長期追跡の報告となる。

TN乳がんの術前化学療法、デュルバルマブ併用でOS改善(GeparNUEVO)/ASCO2021

 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するデュルバルマブ+化学療法の術前治療の予後に関する有望な結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、ドイツ・German Breast Group(GBG)のSibylle Loibl氏から報告された。  本試験(GeparNUEVO試験)は、ドイツの臨床試験グループ(GBGとAGO-B)により実施された多施設共同のプラセボ対照第II相無作為化比較試験である。すでに2019年に、その主要評価項目である病理学的奏効率(pCR率)については報告されており、今回はその生存期間に関する追加報告である。

インターネット配信によるアトピー性皮膚炎の認知行動療法

 インターネットを利用した認知行動療法(CBT)は、アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果がみられ、治療者が費やす時間や手間などは少なくて済むことが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のErik Hedman-Lagerlof氏らが行った無作為化試験の結果、明らかになった。アトピー性皮膚炎の皮膚症状は共通しており、激しいかゆみと慢性炎症による衰弱した皮膚の状態で特徴付けられ、アクセシビリティの高い行動療法が必要とされていた。結果を踏まえて著者は、「インターネットを利用したCBTは、共通した皮膚症状を有する患者に対して、効果的な補助行動療法へのアクセスを潜在的に増やすものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年5月19日号掲載の報告。

多剤併用の高齢者、他の薬剤継続もスタチン中止で心血管リスク増

 高齢者の多剤併用(ポリピル)は主要な健康問題に発展するため、近年問題になっている。処方薬を中止すれば薬の使用を減らすことができる一方、臨床転帰への影響は不確かなままである。そこで、イタリア・University of Milano-BicoccaのFederico Rea氏らがスタチン中止によるリスク増大の影響について調査を行った。その結果、多剤併用療法を受けている高齢者において、ほかの薬物療法を維持しつつもスタチンを中止すると、致命的および非致命的な心血管疾患発生の長期リスクの増加と関連していたことが示唆された。JAMA Network Open誌2021年6月14日号掲載の報告。

認知症患者におけるAChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケード

 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)による治療では、過活動膀胱(OAB)の治療のために抗ムスカリン薬による治療を開始しなければならないリスクが増加することが知られている。米国・ヒューストン大学のPrajakta P. Masurkar氏らは、認知症高齢者におけるAChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケードとの関連を調査した。Drugs & Aging誌オンライン版2021年5月24日号の報告。  対象は、AChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)治療を行った65歳以上の認知症高齢者。2005~18年の米国TriNetXレセプトデータベースを用いて、レトロスペクティブコホートを実施した。2006年1月~2018年6月に各AChEIを使用開始した患者を確認した(ウォッシュアウト期間:1年間)。AChEI使用開始前1年に抗ムスカリン薬の使用またはOAB診断を受けた患者は除外した。主要アウトカムは、AChEI使用開始6ヵ月以内の抗ムスカリン薬の使用とした。AChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケードとの関連の評価には、いくつかの共変量でコントロールした後、Cox比例ハザードモデルを用いた。

Ph陽性ALLへのポナチニブ・ブリナツモマブ併用療法は有望/ASCO2021

 新規診断または再発/難治性のフィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)に対し、BCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ポナチニブ+二重特異性T細胞誘導抗体ブリナツモマブ併用の有効性と安全性を評価した第II相単群試験の結果を、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのNicholas J. Short氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。忍容性は良好で、ほとんどの患者で化学療法および自家造血幹細胞移植(AHSCT)を必要とせず、とくに初発患者に有望な治療であることを報告した。  初発Ph陽性ALLにおいて標準療法とされる化学療法+第1・第2世代TKIの5年全生存率(OS)は30~50%であり、T315I変異例では最大75%で再発を認める。一方で、ポナチニブおよびブリナツモマブは、それぞれ高い奏効が報告されており、ポナチニブ+ブリナツモマブ併用の評価が行われた。

治療抵抗性/不耐容の慢性期CML、ポナチニブの最適レジメン(OPTIC)/ASCO2021

 BCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ポナチニブは、前治療に治療抵抗性または不耐容の慢性期(CP)の慢性骨髄性白血病(CML)に対し、1日45mgから投与を開始し、BCR-ABL1IS≦1%を達成した時点で15mgに減量する投与量調整レジメンが最適であることが、第II相「OPTIC試験」で示され、米国・オーガスタ大学ジョージアがんセンターのJorge Cortes氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。  第II相OPTIC試験は、ポナチニブの有効性と安全性の最適化を目的として、3用量(45mg、30mg、15mg)から投与を開始し奏効に基づき投与量を調整するレジメンをプロスペクティブに評価する無作為化非盲検試験である。

腎細胞がん1次治療のペムブロリズマブ+アキシチニブ、最終報告でも良好な生存改善(KEYNOTE-426)/ASCO2021

 進行再発の淡明細胞型腎細胞がん(RCC)に対する1次治療としてのペムブロリズマブ・アキシチニブ併用療法は、長期フォローアップの結果からもスニチニブより有用であるという発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Vanderbilt-Ingram Cancer CenterのBrian I. Rini氏より発表された。  本試験KEYNOTE-426は、国際共同非盲検無作為化比較の第III相試験であり、過去のASCO(2019/2020)でもペムブロリズマブ+アキシチニブ(PemAx)併用療法の有意な生存延長が報告されてきている。今回は観察期間中央値42.8ヵ月時点(データカットオフ2021年1月)での最終結果報告である。

小児で新型コロナが重症化する3つの因子~日本含む観察研究

 日本、中国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、パキスタンのアジア7ヵ国における小児の新型コロナウイルス感染例の観察研究から、小児における重症化の危険因子として、1歳未満、併存疾患の存在、診察時の咳症状が特定された。シンガポール・KK Women's and Children's HospitalのJudith Ju Ming Wong氏らが報告した。The American Journal of Tropical Medicine and Hygiene誌オンライン版2021年6月15日号に掲載。  7ヵ国の研究者グループは、小児のCOVID-19重症化の危険因子を特定するため、Pediatric Acute and Critical Care COVID-19 Registry of Asia(PACCOVRA)にデータ提供している病院の小児COVID-19の観察研究を実施した。主要アウトカムは、世界保健機関(WHO)の定義によるCOVID-19の重症度(軽症、中等症、重症、重篤)とした。単変量および多変量ロジスティック回帰モデルを使用し、重症/重篤なCOVID-19の危険因子を検討した。

オリゴ転移乳がん、サブタイプ別の予後良好因子(OLIGO-BC1サブセット解析)/ASCO2021

 日本、中国、韓国によるオリゴ転移乳がんに関する後ろ向きコホート研究(OLIGO-BC1)のサブセット解析として、乳がんサブタイプ別に各予後因子における全生存期間を検討した結果を、中国・Guangdong Provincial People's HospitalのKun Wang氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。どのサブタイプにおいても、局所療法と全身療法の併用およびECOG PS0が予後良好で、luminalおよび HER2タイプでは、診断時Stage I、オリゴ転移が1個のみ、長い無病生存期間も生存ベネフィットと関連していた。

統合失調症患者における重度心血管疾患の有病率

 フランス・ロレーヌ大学のJ-C Marche氏らは、統合失調症患者における入院が必要な重度の心血管疾患の有病率について、調査を行った。L'Encephale誌オンライン版2021年5月20日号の報告。  2015年にフランスの精神科病院5施設に入院した統合失調症または精神疾患患者を対象とし、調査を行った。心血管疾患患者の定義は、精神科入院前の5年または入院後の3年に一般病院での入院対応歴(ICD-10コード)を有する患者とした。心血管疾患には、心筋梗塞、脳卒中、心不全、冠動脈疾患、末梢動脈疾患を含めた。高血圧、肥満、糖尿病などのリスク因子についてのデータを収集した。

F1 CDx、MSI-Hightがんのコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は、2021年06月22日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」について、ニボルマブおよび、:ペムブロリズマブの高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有するがんに対するコンパニオン診断として厚生労厚生労働省より承認を取得したと発表。  今回の承認により、FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルにて、ニボルマブの「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」、およびペムブロリズマブの「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」に対し各々の薬剤の適応判定補助として利用が可能となる。

尋常性乾癬治療剤ドボベットのフォームタイプ新発売/レオファーマ・協和キリン

 レオファーマと協和キリンは、2021年6月18日、尋常性乾癬治療剤ドボベットの新剤形「ドボベットフォーム」を新発売した。  本剤は、既存の軟膏の有効性を担保したうえで、簡易性と利便性の観点から治療の新たな選択肢を提供することを目的に開発が進められ、2015年に米国で初めて承認された。以来、すでに欧州諸国など世界40ヵ国以上で承認されている。  ドボベット(一般名:カルシポトリオール水和物/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル)は、尋常性乾癬の外用剤としてレオファーマの親会社LEO Pharma A/Sが開発し、本邦では2014年9月にドボベット軟膏が、2018年6月にドボベットゲルが発売されている。今回、軟膏及びゲルに加え、本剤をラインナップに追加することで、両社はより多くの患者のQOLの向上に貢献を目指す。

筋層浸潤性膀胱がんに対するGC+ニボルマブの有用性評価/ASCO2021

 筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)を対象に、シスプラチン+ゲムシタビン+ニボルマブ併用投与の有用性評価と、膀胱温存が可能な症例の予測に関する報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Icahn School of Medicine at Mount SainaiのMatthew D. Galsky氏よりなされた。  本試験(HCRN GU16-257)は米国で行われた多施設共同第II相試験である。MIBCでは、プラチナベースの術前化学療法により30~40%の症例が病理学的完全奏効(pCR)を得られることと、そのpCR症例は予後良好であることが知られているが、そのpCRが明らかになるのは膀胱摘除後である。