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0.01%アトロピンによる近視治療、白人でも忍容性と有効性を確認

 近視の進行を予防する最も有効な治療はアトロピンとされているが、調節麻痺作用と散瞳作用のため二重焦点眼鏡の使用が必要となり、現実的な選択肢とはなっていない。また、アトロピンの効果には、色素が濃いアジア人種の眼と白色人種の眼とで違いがあることがよく知られている。アイルランド・Dublin Institute of TechnologyのJames Loughman氏らは、白色人種における低用量アトロピンの安全性について評価した。

血清尿酸値と心血管疾患死亡率の関係はJ字型

 アジア人における血清尿酸値と心血管疾患との関係を調査するために、大阪大学のWen Zhang氏らはEvidence for Cardiovascular Prevention from Observational Cohorts in Japan(EPOCH-JAPAN研究)のデータを用いて、日本における大規模なプール解析を実施した。その結果、血清尿酸値と心血管疾患死亡率との間にJあるいはU字型の関係が示唆された。また、日本人男女とも、血清尿酸値の最高五分位で心血管疾患の死亡率増加と関連していた。Journal of atherosclerosis and thrombosis誌オンライン版2016年2月18日号に掲載。

双極性障害治療、10年間の変遷は

 過去10年間メンタルヘルスケアにおいて、双極性障害と診断された患者の処方パターンや変化を明らかにするため、デンマーク・コペンハーゲン精神医学センターのLars Vedel Kessing氏らは、集団ベースおよび全国データを用いて検討した。さらに、国際的ガイドラインからの勧告と調査結果との関係も検討した。Bipolar disorders誌オンライン版2016年2月18日号の報告。

がんは最善の死に方なのか~中高年者の意識調査

 がんは転帰が改善しているにもかかわらず、依然として広く恐れられている。他の主な死亡原因である心疾患が早急な死と関連しているのとは対照的に、多くの場合、死亡までの期間が長いと思われているためである。それゆえ、BMJ誌の元編集長であるRichard Smith氏の“がんは最善の死に方(cancer is the best way to die)”という見解は多くの批判を集めた。今回、英国ロンドン大学のCharlotte Vrinten氏らは、中・高年者に対してこの見解に同意するかどうかを調査し、“良い死(good death)”かどうかという観点で、がんによる死と心疾患による死に対する考えを比較した。その結果、中・高年者の4割ががんを“最善の死に方”と見なし、がん死のほうが心疾患死より良いと評価した。著者らは、「2人に1人ががんと診断されることを考えると、がんによる良い死についての会話が、がんへの恐怖を少し軽減するかもしれない」と記している。European journal of cancer誌2016年3月号に掲載。

治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

 治療抵抗性統合失調症では、クロザピンが標準治療として考えられている。しかし、クロザピンの使用は、多くの副作用により制限がある。また、他の抗精神病薬との無作為化比較試験の数も増加している。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMyrto T Samara氏らは、ネットワークメタ解析により、治療抵抗性統合失調症に使用可能な抗精神病薬によるすべての無作為化試験を統合し分析した。JAMA psychiatry誌2016年3月号の報告。

糖尿病治療薬併用による陰性症状改善効果を検証

 統合失調症の陰性症状の病態生理における炎症、酸化ストレス、代謝異常の明確な中心的役割は、これら症状に対する薬理学的選択肢の可能性に新たな見解をもたらした。ピオグリタゾンは、抗炎症および抗酸化性を有する糖尿病治療薬である。イラン・テヘラン大学のNegar Iranpour氏らは、統合失調症の陰性症状の軽減を目的としたリスペリドンの補助療法としてのピオグリタゾンの有効性を評価した。Human psychopharmacology誌オンライン版2016年2月8日号の報告。

近視の有病率、2050年には全世界で約50%に

 地域あるいは人種における近視ならびに強度近視の有病率は、個々の研究で異なっており、近視の増加についてはわからないままである。オーストラリア・Brien Holden Vision InstituteのBrien A. Holden氏らは、近視および強度近視の有病率についてシステマティックレビューとメタ解析を行い、いずれも2000年に比べ2050年には世界的に顕著な増大が予測され、近視は約50億人、強度近視は約10億人に上ることを示した。

高校スポーツ界の皮膚感染症、初の全国疫学調査

 米国では高校のスポーツ選手、とくにレスリング選手において以前から、皮膚感染症が大きな問題であったが、これまで全国的に高校のスポーツ選手における皮膚感染症についての疫学を調査した報告はない。米国・ミシガン州立大学のKurt A. Ashack氏らは、便宜的標本を用いて解析し、皮膚感染症は高校のスポーツ関連有害事象の1つとして重要であることを明示した。

統合失調症の認知機能障害、コリン作動系薬の可能性

 認知障害は統合失調症において社会性に最も悪影響を与える症状であるが、効果的な治療が行われていない。コリン作動系は、これら症状を効果的に治療することができる新規薬剤の標的として有望視されている。オーストラリア・Florey Institute of Neuroscience and Mental HealthのAndrew Gibbons氏らは、統合失調症に対するコリン作動系の新たな薬物標的に関してレビューを行った。Current pharmaceutical design誌オンライン版2016年1月26日号の報告。

LDL-Cが高い糖尿病患者、骨折リスクが低い?

 糖尿病では骨折リスクが増加するが、骨密度や主なリスク因子による説明は十分なされていない。デンマーク・オーフス大学病院のJakob Starup-Linde氏らは、糖尿病患者の骨折リスクにおける薬物治療および生化学的マーカーの関連について検討した。その結果、調査したほとんどの因子において骨折リスクが高かったが、LDLコレステロール(LDL-C)については値が高いと骨折リスクが低かった。BMJ Open誌2016年2月12日号に掲載。

アルツハイマー介護負担、日本と台湾での比較:熊本大学

 台湾におけるアルツハイマー病(AD)の介護負担は、日本と同様に緊急の社会的課題となっている。介護負担の比較は、それぞれの国における介護者の負担感を明確にする可能性がある。熊本大学の松下 正輝氏らは、日本と台湾のADに対する介護負担の比較を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2016年1月28日号の報告。

生存曲線の比較、ハザード比でよいのか

 がん領域の臨床試験で生存曲線の差を評価するとき、ハザード比(HR)がよく使用される。しかし、HRによる評価では治療効果の不正確な評価につながる恐れがある。そこで、フランス国立保健医学研究所(INSERM)のLudovic Trinquart氏らは、がん領域の無作為化比較試験における治療効果の評価におけるHRと生存曲線下面積(RMST)の差(および比)について比較した。その結果、概して、HRがRMST比よりも治療効果推定値が有意に大きかった。著者らは、絶対的効果が小さい場合にはHRが大きくなる可能性があり、イベント発生までの期間のアウトカムを評価する無作為化試験では、RMSTによる評価をルーチンに報告すべきと結論している。Journal of clinical oncology誌オンライン版2月16日号に掲載。

チカグレロル、心筋梗塞延長治療の適応をEUにて取得:アストラゼネカ

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):Pascal Soriot、以下、アストラゼネカ)は、欧州連合(EU)において、心筋梗塞発症後1年以上経過し、アテローム血栓性イベントの再発リスクが高い患者の治療薬として、経口抗血小板薬チカグレロルの新用量である60mgに販売承認が付与されたことを2016年2月19日に発表した。