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「シンバイオティクス」がアトピー性皮膚炎治療に有望

 アトピー性皮膚炎は、アレルギー疾患に罹患しやすい免疫環境を助長する腸内細菌叢の変化と関連している可能性があることから、アトピー性皮膚炎の予防と治療に、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスが用いられるようになってきた。台湾・国立陽明大学のYung-Sen Chang氏らによるメタ解析の結果、シンバイオティクスは、とくに混合細菌を用いた場合と1歳以上の小児に用いた場合に、治療効果が認められることを報告した。ただし、アトピー性皮膚炎の1次予防効果に関しては、さらなる研究が必要だとまとめている。JAMA Pediatrics誌オンライン版2016年1月25日号の掲載報告。

統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学

 大脳辺縁系の基底神経節および基底部を含む大脳皮質下領域構造は、学習、運動制御、感情などの重要な役割を担っているだけでなく、高次の実行機能にも寄与する。これまでの研究では、統合失調症患者において、大脳皮質下領域での体積変化が報告されていた。しかし、報告された結果は、時に不均一であり、大規模研究はほとんど行われていなかった。さらに、統合失調症における大脳皮質下体積の非対称性が評価する大規模研究はほとんどなかった。そこで、東京大学の岡田 直大氏らは、ENIGMAコンソーシアムによって行われた研究と完全に独立し、統合失調症患者と健康成人の大脳皮質下体積の差を検討する大規模多施設研究を行った。また、特徴的な共通点と相違点を同定するため、大脳皮質下領域の左右差を検討した。Molecular psychiatry誌オンライン版2016年1月19日号の報告。

第2回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座/ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2016 in東京~【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同院腫瘍化学療法外科、同院大腸・肛門外科は、NPO法人キャンサーネットジャパンと共催で、2016年3月21日(月・祝)に、無料の市民公開講座を開催する。本講座は、がんに関するさまざまなテーマを取り上げる、東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座の第2回で、毎年各地で行われている大腸がん疾患啓発活動「ブルーリボンキャラバン」との共同開催となる。総合司会は、フリーアナウンサーの中井 美穂氏。当日参加者にはもれなくオリジナルの「もっと知ってほしい大腸がんのこと」冊子をプレゼント。また、ブルーを身に着けて来場した方には粗品も用意されている。

DPP-4阻害薬の動脈硬化抑制、インスリン治療患者でも

 順天堂大学の三田 智也氏らは、2型糖尿病患者においてDPP-4阻害薬(アログリプチン)投与による動脈硬化進展抑制をすでに報告している(Diabetes Care. 2016;39:139-48)。今回、同氏らは、動脈硬化が進展していると考えられるインスリン治療中の2型糖尿病患者でのDPP-4阻害薬の影響を検証するため、シタグリプチン併用による頸動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)への影響を評価した。その結果、シタグリプチンが通常治療に比べて頸動脈IMTの進展を抑制させることが認められた。Diabetes Care誌オンライン版2016年1月28日号に掲載。

睡眠時無呼吸症候群、緑内障リスクを増大

 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は緑内障のリスク因子であることを、中国・重慶医科大学附属第一医院のLiu Shulin氏らはメタ解析の結果、報告した。これまでの研究で、OSAが緑内障と関連していることは示唆されていたが、データ的には議論の的となっていた。著者は、「今後、OSAが緑内障に関与するメカニズムを解明するためにさらなる研究が必要である」とまとめている。Journal of Glaucoma誌2016年1月号の掲載報告。

抑うつ症状は認知症の予測因子となりうるのか

 抑うつ症状は、健忘型軽度認知機能障害(aMCI)においてもよく見られる症状である。抑うつ症状と認知症への転換との関連はまだ明らかになっていない。ベルギー・ブリュッセル自由大学のEllen De Roeck氏らは、aMCI患者における抑うつ症状が認知症への転換を予測するかを確認するため、縦断的研究を行った。International psychogeriatrics誌オンライン版2016年1月18日号の報告。

大腸がんは肥満・高血圧・糖尿病と関連

 大腸新生物とアテローム性動脈硬化はどちらも内臓脂肪蓄積によって生じうる。しかし、進行期大腸がんと心血管/脳血管疾患との関連は不明である。東京大学の山地 裕氏らは、わが国における入院患者の全国データベースを用いて、肥満・代謝性疾患との関連からみた大腸がんと血管疾患との関連性を、非心臓性の胃がん患者(肥満・代謝性疾患に関連がないと考えられる)を基準として検討した。その結果、肥満と代謝性疾患は、胃がんと比べて大腸がんとの関連が強かったが、冠動脈疾患は大腸がんと逆相関していた。Digestive Diseases and Sciences誌オンライン版2016年2月1日号に掲載。

エベロリムス溶出ステント留置後のDAPT延長、主要心・脳血管イベントは減少せず

 薬剤溶出ステント留置後、アスピリン・チエノピリジン系薬剤を併用する抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を12ヵ月継続することが一般的に推奨されている。ところが、昨年発表されたDAPT試験では、薬剤溶出ステント(DES)留置後、DAPT 12ヵ月群に比べて、30ヵ月継続した群でステント血栓症および主要な心および脳血管イベントが減少し、出血リスクが上昇することが示された。12ヵ月を超えたDAPTによるこれまでの結果と異なり、物議を醸した。DESの安全性と有効性は種類間で異なる。エベロリムス溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントに比べて、ステント血栓症が少ないと報告され、使用頻度も高い。

うつ病患者への運動介入、脱落させないコツは

 運動による抑うつ症状の改善効果は確立している。無作為化試験(RCT)の脱落率は試験間で異なり、RCTにおける脱落はエビデンスに基づく信頼性に脅威を与える。英国・South London & Maudsley NHS Foundation TrustのBrendon Stubbs氏らは、運動RCTに参加したうつ病成人における脱落率とその予測因子を調査し、システマティックレビューとメタ解析を行った。Journal of affective disorders誌2016年1月15日号の報告。