成人アトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患に罹患しやすく、とくに喫煙者で認められることが、デンマーク・コペンハーゲン大学のYuki M F Andersen氏らによる全国健康登録データの検証の結果、示された。これまでに、アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関連性について指摘はされているが、データはほとんどなく、一貫性が認められなかった。著者は、「今回のデータで因果関係について結論することはできないが、アトピー性皮膚炎患者において自己免疫疾患が増大しているとの認識を正当化できるものと思われる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年10月11日号掲載の報告。
喫煙歴のあるアトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患発症率が顕著に高かった
研究グループは、アトピー性皮膚炎を有する成人患者において、選択した自己免疫疾患について、罹患の共通性が認められるかを調べた。全国健康登録データを用い、1997~2012年に、国内の病院でアトピー性皮膚炎と診断された成人(症例群)と、その適合成人(対照群)を選び、両群で自己免疫疾患の発症について比較した。
ロジスティック回帰法を用いて、オッズ比を算出し評価した。
アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関連性を評価した主な結果は以下のとおり。
・ケース群は8,112例、対照群は4万560例であった。
・22の自己免疫疾患について調べた結果、11についてアトピー性皮膚炎との有意な関連が認められた。
・さらに、アトピー性皮膚炎は多発性の自己免疫疾患と関連することも示された。
・喫煙歴のあるアトピー性皮膚炎患者は、非喫煙患者と比較して、自己免疫疾患発症率が顕著に高かった。
・今回の試験はアトピー性皮膚炎成人患者に限定したものであり、またアトピー性皮膚炎の重症度や喫煙量に関する情報は入手できていない。また、病院での診断歴のある患者を対象とした検討の結果で、一般化できないといった点で限定的なものである。
(ケアネット)