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出産後のうつ病リスクは「10~15%」新スクリーニングツール期待

 先進諸国で最も頻度の高い妊娠合併症である「産後うつ病」。産後うつ病(PPD)は新たに母親になる女性の10~15%で発症する。PPDの発症が高い要因として、PPD自体に対する関心の低さや出産後の不安への対応を含むメンタルヘルスの不足が考えられる。その対策として、出産後だけでなく出産前からのメンタルヘルスが重要である。しかし、現在用いられる出産前スクリーニングツールは感度や特異性が低かった。そこで、McDonald氏らは新たなスクリーニングツールの開発を行った。Paediatr Perinat Epidemiol誌2012年7月号(オンライン版2012年5月9日号)報告。

新たな分子標的薬の登場で腎細胞がん治療はどう変わるのか?

腎細胞がん治療において、現在わが国で発売されている分子標的薬は4剤あり、日本泌尿器科学会の腎癌診療ガイドライン2011年版では、1次治療ではMSKCCリスク分類別、2次治療では前治療別に薬剤が推奨されている。そのなかで、新たな分子標的薬であるアキシチニブ(商品名:インライタ)が、2012年6月29日、根治切除不能または転移性の腎細胞がんの治療薬として承認された。今回、ファイザー株式会社によるプレスセミナーが7月11日に開催され、慶應義塾大学泌尿器科教授 大家基嗣氏と近畿大学泌尿器科教授 植村天受氏が、腎細胞がん治療における現状・課題、アキシチニブの特性や臨床成績、今後の展望などについて講演した。その内容をレポートする。

認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ

認知症は軽度認知障害(MCI)から始まり、徐々に認知機能が低下していくため、認知症を予防するためのひとつの方法として、MCIの段階でいかに対処していくかが重要であると考えられる。Summers氏らはMCI症例に対する神経心理学的アプローチに関する検討を行った。Neuropsychology誌2012年7月号(オンライン版2012年5月21日号)の報告。

統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当?

近年、統合失調症患者では骨粗鬆症の罹患率が高いことが明らかになってきているが、著しい骨密度(BMD)の減少にいたる機序や臨床的意味はまだわかっていない。慶応義塾大学の岸本氏(Zucker Hillside Hospital留学中)らは統合失調症患者における骨粗鬆症と骨折リスク、さらに抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の骨代謝への影響について、最近の知見をもとにレビューを行った。Curr Opin Psychiatry誌オンライン版2012年6月30日付の報告。

病床規制の問題1:千葉県の病床配分と医療危機

亀田総合病院小松 秀樹 2012年7月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 ●はじめに 2012年3月30日の厚労省による病床規制継続宣言、千葉県による大量の病床配分と時を同じくして、千葉県最大の基幹病院である国保旭中央病院が、医師不足のため、救急受け入れ制限に追い込まれた。本稿では、病床規制と大量の病床配分が千葉県の医療に与える影響を考える。

PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」

第二世代抗精神病薬は第一世代抗精神病薬と比較して、錐体外路症状(EPS)を軽減し、抗精神作用を示す。この要因として、放射線医学総合研究所の高畑氏らは優先的な線条体外のドパミンD2受容体占有(辺縁系選択的)が影響しているのではないかと考え、本仮説を検証するため、第二世代抗精神病薬であるアリピプラゾールの薬理学的プロファイルについてPET検査を用い検証した。Psychopharmacology誌2012年7月号(オンライン版2012年1月12日号)の報告。

せん妄対策に「光療法」が有効!

入院患者においてしばしば問題となる「せん妄」。せん妄は、ほぼすべての診療科で遭遇する可能性のある精神症状である。一般的にせん妄の治療には、抗精神病薬が用いられるが、Yang氏らは抗精神病薬リスペリドン(RIS)投与に加えて補助療法として「光療法」を行い、せん妄治療への影響を検討した。Gen Hosp Psychiatry誌オンライン版2012年6月18日付の報告。

危機管理としての原発問題~原発はすべてを止めれば済む問題か~

つくば市 坂根Mクリニック坂根 みち子 2012年7月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。  話は震災直後にさかのぼる。2011年3月15日、子供の通う高校から一通のメールが保護者に一斉配信された。「念のためですがご連絡します。ただしパニックにならない様に注意しましょう。北風が吹いていますので、できるだけ早く家に戻り室内で待機し、外出を避けた方がいいと思います。特にこれから降る初期降雨を受けないように注意して下さい。外出時に雨に遇ったならば鼻と口をハンカチなどで覆って下さい。髪や皮膚が濡れた場合はお湯などで洗い流し、もし衣服が濡れた場合は入室時に脱いでビニール袋などに入れておいた方がいいと思います。」パソコンの隣のTVでは繰り返し原発は大丈夫だと放送していた。不安定な状態だが何とかなっているというのが、大方の世間のとらえ方だった。いくらなんでも枝野さんがこんなに堂々と嘘をつくはずがない、このメールの内容は杞憂に過ぎない、その時はそうとらえた。もうひとつ、最初は医師である私でも全く放射能についての知識がなかった。原発からはどのような核種が出る可能性があるのか、半減期はどのくらいでどう対処すればいいのか全く分からなかった。花粉症のようなもので、降り注いだものは払えばいいということも、しばらくして知った。

脂質異常症になりやすい統合失調症患者、肥満や糖尿病だけじゃない

統合失調症患者では肥満や糖尿病の罹患率が高く、とくに抗精神病薬の使用でこれらの発生率 が上昇することが問題となっている。脂質異常症もまた、統合失調症患者によくみられる合併症のひとつである。Hsu氏らは台湾の統合失調症患者における脂質異常症の罹患率・発症率を調査し、Gen Hosp Psychiatry誌2012年7月号(オンライン版2012年3月27日号)で報告した。

CKDが心筋梗塞発症に与える影響は、糖尿病より大きい

糖尿病患者が、心筋梗塞既往者と同等の心血管イベントリスクを有することはよく知られている。一方で、慢性腎臓病(CKD)と糖尿病が、それぞれ心血管イベントリスクに与える影響を比較した検討はこれまでなかった。今回、Tonelli M氏らによりこの検討がなされ、Lancet誌オンライン版2012年6月18日付に報告された。これにより、CKDが心筋梗塞発症に与える影響は糖尿病よりも大きい、という結果が明らかになった。カナダのアルバータ州の約127万人の住民データベースをもとに行われたコホート研究。

胃全摘術後の胃がん患者においても早期経腸栄養は有効か?

早期経腸栄養は、感染性合併症や入院日数を減らし、肝機能を維持するメリットがあるが、胃全摘術後の早期経腸栄養の効果に関するデータはほとんどない。今回、胃がん患者の胃全摘術後の早期経腸栄養の効果について完全静脈栄養と比較した無作為化前向き研究の結果が、The Korean Journal of Gastroenterology誌2012年6月25日号に掲載された。Kim氏らの報告。