ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:1

lepodisiran、400mg投与で半年後のLp(a)値を93.9%低下/NEJM

 開発中の長期持続型低分子干渉RNA(siRNA)薬lepodisiranについて、投与後60~180日に血清リポ蛋白(a)(Lp(a))値を低下したことが示された。米国・Cleveland Clinic Coordinating Center for Clinical ResearchのSteven E. Nissen氏らALPACA Trial Investigatorsが、第II相試験である国際多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。Lp(a)値の上昇は、アテローム性心血管疾患と関連する。lepodisiranは、肝臓でのLp(a)の産生を標的とし、第I相試験では、最高試験用量608mgの単回投与が337日間にわたりLp(a)値を90%以上低下したことが示された。今回報告された第II相試験は、Lp(a)高値の集団でのlepodisiranのさらなる安全性を評価するとともに、Lp(a)値低下の大きさと期間を明らかにし、現在進行中の心血管アウトカムを評価する長期の第III相試験の用量と投与間隔の設定を目的として実施された。NEJM誌オンライン版2025年3月30日号掲載の報告。

TAVI生体弁比較、SAPIEN 3 vs.Myval/Lancet

 経カテーテル心臓弁(THV)を植え込む低侵襲の経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は、重症大動脈弁狭窄症および劣化した大動脈生体弁に対するガイドラインに基づいた治療法である。次々と新しいTAVI用THVプラットフォームが上市され臨床現場で使用されているが、その性能に関する短期データは少なく、長期データについては存在していない。デンマーク・オーフス大学病院のChristian Juhl Terkelsen氏らは、「最新のTHVは、現状で最良とされるTHVと比較すべき」として、SAPIEN 3 THVシリーズ(SAPIEN 3またはSAPIEN 3 Ultra、米国・Edwards Lifesciences製)とMyval THVシリーズ(MyvalまたはMyval Octacor、インド・Meril Life Sciences製)を直接比較する多施設共同全患者無作為化非劣性試験「COMPARE-TAVI 1試験」を実施。Myval THVはSAPIEN 3 THVに対して1年時の複合エンドポイント(死亡、脳卒中、中等症/重症の大動脈弁逆流症、または中等症/重症のTHVの血行動態悪化)に関して非劣性であったことを報告した。Lancet誌オンライン版2025年4月2日号掲載の報告。

急性冠症候群のDCB治療後DAPT、段階的漸減レジメンで十分か/BMJ

 薬剤コーティングバルーン(DCB)による治療を受けた急性冠症候群患者では、有害臨床イベントの発生に関して、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を段階的に減薬(de-escalation)するレジメンは12ヵ月間の標準的なDAPTに対し非劣性であることが、中国・Xijing HospitalのChao Gao氏らREC-CAGEFREE II Investigatorsが実施した「REC-CAGEFREE II試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2025年3月31日号で報告された。  REC-CAGEFREE II試験は、DCBを受けた急性冠症候群患者において、抗血小板薬療法の強度を弱めることは可能かの評価を目的とする医師主導型の非盲検評価者盲検無作為化非劣性試験であり、2021年11月~2023年1月に中国の41病院で患者を登録した(Xijing Hospitalの助成を受けた)。

DES留置術前の石灰化病変処置、オービタルアテレクトミーは予後を改善するか/Lancet

 薬剤溶出性ステント(DES)を用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行前の重度の冠動脈石灰化病変の切削において、バルーン血管形成術に基づくアプローチと比較して、アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテル(Diamondback 360 Coronary Orbital Atherectomy System)によるオービタルアテレクトミーは、最小ステント面積を拡張せず、1年後の標的血管不全の発生率も減少しないことが、米国・Columbia University Medical Center/NewYork-Presbyterian HospitalのAjay J. Kirtane氏らECLIPSE Investigatorsが実施した「ECLIPSE試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2025年4月12日号に掲載された。

PCI後DAPT例の維持療法、クロピドグレルvs.アスピリン/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後に標準的な期間の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を完了した、虚血性イベントの再発リスクが高い患者の維持療法において、アスピリン単剤療法と比較してクロピドグレル単剤療法は、3年時の主要有害心・脳血管イベント(MACCE)が少なく、なかでも心筋梗塞のリスクが有意に減少し、出血の発生率は両群で差がなく、上部消化管イベントのリスクはクロピドグレル群で低いことが、韓国・Sungkyunkwan University School of MedicineのKi Hong Choi氏らSMART-CHOICE 3 investigatorsが実施した「SMART-CHOICE 3試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年3月30日号で報告された。

3枝病変へのFFRガイド下PCIは有効か/Lancet

 左冠動脈主幹部以外の冠動脈3枝病変を有する患者の治療では、冠動脈バイパス術(CABG)と比較してゾタロリムス溶出ステントを用いた冠血流予備量比(FFR)ガイド下経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、5年間の追跡調査において、死亡、脳卒中、心筋梗塞の複合アウトカムの発生に関して有意差はみられないが、心筋梗塞と再血行再建術の頻度は高いことが、米国・スタンフォード大学のWilliam F. Fearon氏らが実施した「FAME 3試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2025年3月30日号に掲載された。

大腸がん死亡率への効果、1回の大腸内視鏡検査vs.2年ごとの便潜血検査/Lancet

 大腸がん検診への参加率は、大腸内視鏡検査より免疫学的便潜血検査(FIT)のほうが高く、大腸がん関連死亡率について、本研究で観察された参加率に基づくとFITベースのプログラムは大腸内視鏡検査ベースのプログラムに対し非劣性であることが確認された。スペイン・バルセロナ大学のAntoni Castells氏らCOLONPREV study investigatorsが、スペインの8地域における3次医療機関15施設で実施したプラグマティックな無作為化比較非劣性試験「COLONPREV試験」の結果を報告した。大腸内視鏡検査とFITは、平均的なリスク集団(大腸がんの既往歴または家族歴のない50歳以上の人々)における一般的な大腸がんスクリーニング戦略である。中間解析でも、FIT群は大腸内視鏡検査群よりスクリーニング参加率が高いことが示されていた。Lancet誌オンライン版2025年3月27日号掲載の報告。

死亡リスクの高いPAH患者に対するsotaterceptの有効性/NEJM

 最大耐量の基礎療法を受けている死亡リスクの高い肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者において、sotaterceptの上乗せはプラセボと比較し、全死因死亡、肺移植またはPAH悪化による24時間以上の入院の複合リスクを低下させることが、フランス・パリ・サクレー大学のMarc Humbert氏らによる第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ZENITH試験」の結果で示された。sotaterceptは、世界保健機関(WHO)機能分類クラスIIまたはIIIのPAH患者の運動耐容能を改善し、臨床的悪化までの時間を遅らせるが、進行したPAHで死亡リスクの高い患者に対するsotaterceptの追加投与の有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2025年3月31日号掲載の報告。

鉄欠乏心不全、カルボキシマルトース第二鉄vs.プラセボ/JAMA

 鉄欠乏性貧血を伴う心不全患者において、カルボキシマルトース第二鉄はプラセボと比較して、心不全による初回入院または心血管死までの期間を有意に短縮せず、心不全による入院総数も低減しなかった。ドイツ・Deutsches Herzzentrum der ChariteのStefan D. Anker氏らが行った多施設共同無作為化試験「FAIR-HF2 DZHK05試験」で、試験全コホートまたはトランスフェリン飽和度(TSAT)<20%の患者集団いずれにおいても同様の結果が示された。JAMA誌オンライン版2025年3月30日号掲載の報告。

PADを有する2型DM、セマグルチドは歩行距離を改善/Lancet

 症候性末梢動脈疾患(PAD)を有する2型糖尿病(DM)患者において、セマグルチドはプラセボと比較して歩行距離の改善が大きかったことが示された。米国・コロラド大学のMarc P. Bonaca氏らSTRIDE Trial Investigatorsが、第IIIb相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「STRIDE試験」の結果を報告した。PADは世界中で2億3,000万人超が罹患しており、有病率は高齢化により上昇していて、2型DMを含む心代謝性疾患の負担を増している。PAD患者に最も早期に発現し、最も多くみられ、最も支障を来す症状は機能低下と身体的障害であるが、機能や健康関連QOLを改善する治療法はほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2025年3月29日号掲載の報告。

前立腺がんの生検、マイクロ超音波ガイド下vs.MRI/超音波融合ガイド下/JAMA

 臨床的に重要な前立腺がんの検出において、高解像度マイクロ超音波ガイド下生検はMRI/従来型超音波融合画像ガイド下生検に対し非劣性であり、画像ガイド下前立腺生検においてMRIの代替法となる可能性があることが、カナダ・アルバータ大学のAdam Kinnaird氏らOPTIMUM Investigatorsが実施した「OPTIMUM試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年3月23日号に掲載された。  OPTIMUM試験は、前立腺がんの検出におけるマイクロ超音波ガイド下生検とMRI融合画像ガイド下生検の有用性の比較を目的とする第III相非盲検無作為化非劣性試験であり、2021年12月~2024年9月に8ヵ国20施設で患者を登録した(Exact Imagingの助成を受けた)。

オフポンプCABGの周術期管理、NIRS+血行動態モニタリングは有効か/BMJ

 オフポンプ冠動脈バイパス術(CABG)の周術期管理において、通常ケアと比較して、近赤外線分光法(NIRS)による組織酸素飽和度モニタリングと血行動態モニタリングのガイドに基づくケアは、組織酸素化をほぼベースラインの水準に維持するが、このアプローチは術後の主要な合併症の発生率を減少させないことが、中国・天津大学のJiange Han氏らBottomline-CS investigation groupが実施した「Bottomline-CS試験」で示された。研究の詳細は、BMJ誌2025年3月24日号で報告された。

TIA/軽症脳卒中後の脳卒中リスク、10年後でも顕著に増大/JAMA

 一過性脳虚血発作(TIA)または軽症脳卒中を発症した患者は、その後10年間で脳卒中リスクが徐々に高くなり、欧州に比べ北米やアジアでリスクが高く、非選択的患者集団と比較してTIA患者で低いことが、カナダ・カルガリー大学のFaizan Khan氏らWriting Committee for the PERSIST Collaboratorsが実施した「PERSIST共同研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年3月26日号で報告された。  研究グループは、TIAまたは軽症脳卒中発症後10年の脳卒中発生率の評価を目的に、系統的レビューとメタ解析を行った(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成を受けた)。

難治性OABへの尿流動態検査、治療アウトカムを改善せず/Lancet

 英国国立医療技術評価機構(NICE)は、難治性過活動膀胱または尿意切迫感を主症状とする混合性尿失禁を有する女性において、ボツリヌス毒素A(BoNT-A)膀胱壁内注入療法や仙骨神経刺激療法などの侵襲的治療に進む前に、ウロダイナミクス(尿流動態)検査を行い排尿筋過活動の診断を得ることを推奨している。英国・University of AberdeenのMohamed Abdel-Fattah氏らFUTURE Study Groupは、治療前の臨床評価として包括的臨床評価(CCA)単独と比較してウロダイナミクス+CCAは、患者報告による治療成功の割合が高くなく、ウロダイナミクスは費用対効果がないことを「FUTURE試験」において示した。研究の詳細は、Lancet誌2025年3月29日号に掲載された。

FIT大腸がんスクリーニング、返送期限の設定で受検率向上/Lancet

 免疫学的便潜血検査(faecal immunochemical test:FIT)による大腸がんスクリーニングでは、案内状に返送期限を一文追加することでFIT返送が改善し、返送期限が2週間の場合に返送率が最も高く、リマインダーレター送付の必要性が減少したことが明らかになった。英国・グラスゴー大学のKathryn A. Robb氏らが、FITへの返送期限の設定と問題解決計画ツールによる介入効果を検討した、スコットランド大腸がん検診プログラムに組み込まれた2×4要因8群無作為化比較試験「TEMPO試験」の結果として報告した。FIT検体の自己採取による大腸がん検診は、大腸がんによる死亡率を低下させることが示されているが、受検率は十分ではない。著者は、「計画ツールはFIT返送にプラスの影響を与えなかったが、返送期限の設定は日常診療で簡単に実施できる費用対効果の高い介入である」とまとめている。Lancet誌2025年3月29日号掲載の報告。

起立性高血圧に厳格降圧治療は有効か?/BMJ

 血圧高値または高血圧症を有する成人コホートにおいて、起立性高血圧は一般的にみられ、厳格降圧治療が起立性高血圧の発生をわずかだが低減することが示された。米国・ハーバード大学医学大学院のStephen P. Juraschek氏らが、個別患者データを用いたメタ解析の結果で報告した。著者は、「今回示された所見は、座位で認められる高血圧症に一般的に用いられるアプローチが、立位で認められる高血圧症も予防可能であることを示すものである」とまとめている。BMJ誌2025年3月25日号掲載の報告。  研究グループは、起立性高血圧への厳格降圧治療の有効性を、システマティックレビューと個別患者データのメタ解析で評価した。2023年11月13日時点でMEDLINE、Embase、Cochrane CENTRALのデータベースを検索した。

FDAへの医療機器メーカーの有害事象報告、3分の1が遅延/BMJ

 医療機器の有害事象に関する製造業者からの報告は、約3分の1が規制期限内に米国食品医薬品局(FDA)へ提出されておらず、遅延報告の多くは6ヵ月後以降の報告であり、また、遅延報告の半数以上が少数の製造業者に集中していたことが、米国・ワシントン大学のAlexander O. Everhart氏らによるFDAの医療機器有害事象報告(Manufacturer And User Facility Device Experience:MAUDE)データベースを用いた横断研究の結果、明らかとなった。米国FDAの主要な市販後調査データベースでの医療機器の有害事象報告は、信頼性に懸念があることが知られており、複数のメディア報道によると、医療機器製造業者からの有害事象報告が連邦規制で定められた30日の期限内にFDAへ提出されていない可能性が指摘されていた。著者は、「有害事象の報告の遅れは、患者の安全性に関する懸念の早期発見を妨げる可能性があるが、MAUDEは医療機器の安全問題を理解するには不完全なデータ源である」と述べている。BMJ誌2025年3月12日号掲載の報告。

5価髄膜炎菌ワクチン、単回接種で良好な免疫応答/Lancet

 生後9~15ヵ月の乳幼児における通常小児ワクチンに併用接種する髄膜炎菌ワクチンについて、血清型A、C、Y、W、Xを標的とする5価髄膜炎菌結合ワクチン(NmCV-5)の併用接種は、承認済みの4価髄膜炎菌結合ワクチン(MenACWY-TT)の併用接種と比較して安全性に問題はなく、非劣性の免疫応答が惹起されたことが、マリ・Centre pour le Developpement des Vaccins-MaliのFatoumata Diallo氏らNmCV-5 EPI study teamによる第III相単施設二重盲検無作為化対照非劣性試験の結果で示された。侵襲性髄膜炎菌感染症は、アフリカのセネガルからエチオピアにかけて広がるmeningitis belt(髄膜炎ベルト)と呼ばれる国々において、壊滅的な被害をもたらす公衆衛生上の問題となっている。

ARDSの鎮静、セボフルラン対プロポフォール/JAMA

 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者の管理では機械換気が重要とされ、多くの場合鎮静を要するが、至適な鎮静法は依然として不明だという。フランス・Universite Clermont AuvergneのMatthieu Jabaudon氏らSESAR Trial Investigatorsは「SESAR試験」において、中等症~重症のARDS患者では、プロポフォール静脈内投与と比較してセボフルラン吸入による鎮静は、28日の時点での換気を必要としない日数(無換気日数)が少なく、90日生存率が低いことを示した。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2025年3月18日号に掲載された。  SESAR試験は、ARDS患者の鎮静におけるセボフルラン吸入の有効性と安全性の評価を目的とする医師主導型の非盲検評価者盲検無作為化第III相試験であり、2020年5月~2023年10月にフランスの37の集中治療室(ICU)で患者を登録した(French Ministry of Healthなどの助成を受けた)。

マラリア対策のための高解像度地図の最新版、COVID-19の影響は?/Lancet

 オーストラリア・カーティン大学のDaniel J. Weiss氏らは、マラリアの空間的に不均一な進展を追跡し、戦略的なマラリア対策に役立てる目的で、マラリアの感染有病率、発生率、死亡率に関する世界的な高解像度地図を作成した。この地図により、2000年代初頭からのマラリア対策への前例のない投資によって、マラリアがもたらす莫大な負担が回避されたが、アフリカの症例発生率は横ばいで推移しており、リスク人口の急速な増加によりアフリカの症例発生数は増加し、その結果として世界の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)を病原体とする症例発生数は、大規模投資以前の水準に戻っていることが示された。研究の成果は、Lancet誌2025年3月22日号に掲載された。