ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:265

心房細動患者の脳卒中、全身性塞栓症予防に、rivaroxabanはワルファリンに対して非劣性

心房細動患者の脳卒中または全身性塞栓症予防に関して、経口第Xa因子阻害薬rivaroxabanはワルファリンに対して非劣性であることが明らかにされた。重大出血のリスクについては両者間に有意差はなく、頭蓋内および致死的出血の頻度はrivaroxabanのほうが少なかった。米国・Duke Clinical Research InstituteのManesh R. Patel氏らROCKET AF治験グループによる二重盲検無作為化試験の結果、報告した。NEJM誌2011年9月8日号(オンライン版2011年8月10日号)掲載報告より。

1997~2000年卒業の医学生、87.3%が専門医資格を取得:全米調査

米国専門医認定機構(ABMS)の専門医資格取得について、1997~2000年に医学校を卒業した医師の取得状況と、その背景因子について調査した結果、取得率は87.3%に上り、人種による取得率の違いや、抱えている負債と取得領域との関連などの実態が明らかになった。ABMS取得は米国で医師のクオリティ尺度となっている。調査は、ワシントン大学医学校のDonna B. Jeffe氏らにより行われ、JAMA誌2011年9月7日号で発表された。

内科レジデント、精神的・肉体的疲弊が強い実態が明らかに:全米調査

内科レジデントに関する全米調査の結果、そのQOLは最適状態にはほど遠く、燃え尽き症候群が一般的にみられることが明らかになった。メイヨークリニックのColin P. West氏らの調査結果による。燃え尽き症候群は、高額な負債と関連しており、海外医学部卒業生ほどその頻度が高く、また、低QOL、情緒的疲弊、学費の負債は、内科知識に関する自己評価「IM-ITE」が低スコアであることも認められたという。これまでの医師の精神的・肉体的疲弊は、患者の治療にネガティブな影響をもたらすことが明らかになっているが、全米レベルでの実態調査は行われていなかった。JAMA誌2011年9月7日号掲載報告より。

うつ病スクリーニングツールの精度研究に潜む患者バイアスの危険性

うつ病スクリーニングの潜在的ベネフィットを判定するために行われる診断精度研究には、被験者として、すでにうつ病と診断された患者やうつ病治療中の患者がほとんど除外されずに含まれており、それら被験者バイアスが診断精度研究に与える影響が、システマティックレビューやメタ解析では評価されていないことが明らかにされた。カナダ・マックギル大学Jewish総合病院のBrett D Thombs氏らによる研究報告で、BMJ誌2011年9月3日号(オンライン版2011年8月18日号)にて発表された。

進行がん末期の緩和ケアを改善する新たな予後予測モデル「PiPS」が開発

 英国・St George’s University of LondonのBridget Gwilliam氏らは、進行がんの緩和ケアを改善可能な、新たな予後予測モデル「PiPS(Prognosis in Palliative care Study)」を開発したことを発表した。臨床変数と検査変数を組み合わせた同モデルは、もはや治療がなされない進行がん患者について、2週生存および2ヵ月生存を確実に予測できるという。BMJ誌2011年9月3日号(オンライン版2011年8月25日号)掲載報告より。

イラクの自爆攻撃による死亡、一般市民が連合軍兵士より多い

イラクにおける自爆攻撃事件による死亡者数は、連合軍兵士よりもイラク人の一般市民で有意に多く、負傷者が死亡する確率は成人よりも子どもで高いことが、イギリス・キングス・カレッジ・ロンドンのMadelyn Hsiao-Rei Hicks氏らの調査で示された。イラクでは、自爆攻撃が重大な保健医療上の問題となっている。1980~2003年までの研究では、自爆攻撃は国際的テロリズムの中で最も死亡率の高いものであることが示され、2003年以降のイラクにおける自爆攻撃は宗派および反乱組織の戦闘員そのものを大量破壊兵器とみなしているという。Lancet誌2011年9月3日号掲載の報告。

9.11後9年、救助・復旧作業従事者の健康問題が浮き彫りに

2001年9月11日のニューヨーク市、世界貿易センター(WTC)での同時多発テロによる襲撃後9年の間、現場で救助・復旧作業に従事した人々には身体的、精神的な障害という重い負担が継続的に課せられている実態が、マウントサイナイ医科大学(同市)のJuan P Wisnivesky氏らの調査で明らかとなった。WTC襲撃後に現場で救助や復旧に当たった人員は5万人以上に上る。被災後早期から、これらの作業従事者にはさまざまな健康問題の発生が報告されているという。Lancet誌2011年9月3日号掲載の報告。

院外心停止での標準的CPR時のITD使用、良好な機能状態の生存退院に結びつかず

院外心停止での、標準的な心肺蘇生(CPR)施行時のインピーダンス閾値弁装置(ITD)の使用は、良好な機能状態生存の改善には結びつかないことが報告された。米国・ウィスコンシン医科大学のTom P. Aufderheide氏らROC(Resuscitation Outcomes Consortium)研究グループによる。ITDは、CPR施行時に胸腔内圧を低下させ、心臓への静脈環流量と心拍出量を増加させるよう設計されている。これまでの研究で、CPR施行時のITD使用が、心停止後の生存率を改善する可能性が示唆されていた。米国心臓協会ガイドライン2005では、血行動態および心拍再開改善のためITDの活用をIIaクラスの推奨として勧告している。しかし長期生存率の上昇については実証されていなかった。NEJM誌2011年9月1日号掲載報告より。

院外心停止での心調律解析前のCPR実施時間、長短でアウトカムに差は生じず

院外心停止で心調律解析前に行う救急医療サービス(EMS)隊員管理下での心肺蘇生法(CPR)は、短時間(30~60秒間)でも、長時間(180秒間)でも、その後のアウトカムに有意差は認められないことが報告された。カナダ・オタワ大学のIan G. Stiell氏らROC(Resuscitation Outcomes Consortium)研究グループによる。米国心臓協会国際連絡協議会(AHA-ILCOR)が蘇生ガイドライン2005で、それまでの即時除細動を行う戦略を改め、EMS隊員がまず心調律解析前に2分間、CPRを行うことを推奨する内容に改訂した。しかし、その後の試験で、試行を支持する知見と否定する知見が報告され、蘇生ガイドライン2010では、「エビデンスは相矛盾している」という内容に再修正されているという。NEJM誌2011年9月1日号掲載報告より。

左室拡張能は加齢とともに低下、心不全発症のリスクに

当初4年、その後6年にわたる住民追跡調査研究の結果、左室拡張能障害の有病率は年齢とともに増加が認められ、その機能低下が心不全の発症と関連していることが、米国・メイヨークリニックのGarvan C. Kane氏らにより明らかにされた。心不全発生率は、年齢とともに上昇が認められるが、その約半分は左室駆出率が保持されている。そうした症例では拡張能障害が発症に関わるが、これまで拡張能の年齢依存性の長期的変化について、住民ベースの研究は行われていなかった。JAMA誌2011年8月24/31日号掲載報告より。

治療抵抗性の慢性痛風に対するpegloticase、プラセボ群に比べ尿酸値低下

慢性痛風で従来療法に治療抵抗性の患者に対する、新規痛風治療薬のpegloticaseについて、有効性と耐用性に関する、投与間隔が異なる2つの無作為化プラセボ対象試験の結果が報告された。8mg投与を2週間ごとまたは4週間ごとに6ヵ月間投与した結果は、いずれもプラセボ群と比べ血漿尿酸値低下に結びついたという。米国・デューク大学医療センターJohn S. Sundy氏らが、2つの無作為化試験の結果を、JAMA誌2011年8月17日号で発表した。pegloticaseは、従来療法に代わる酵素として、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)結合の哺乳類組み換え型ウリカーゼが特徴の尿酸降下薬である。

全英病院データから大腸手術の再手術率とリスク因子を導出

英国Imperial College St Mary's Hospital外科のElaine M Burns氏らは、英国病院データのHospital Episode Statistics(HES)を後ろ向きに解析し、大腸手術の再手術の特徴を調べ、質的インジケーターとしての使用の可能性を検討した。結果、病院や施術担当医間で術後の変化が大きいことが明らかになり、質的インジケーターとしての可能性は、データ精度が保証できれば、死亡率など他のインジケーターとともに使うことは可能であると報告した。BMJ誌2011年8月20日号(オンライン版2011年8月16日号)掲載報告より。

中高生の最適な眼鏡作成に、自己調整型の油圧式視力検査用眼鏡が有用:中国

中高生の眼鏡を作成する際に行う視力検査について、従来法と、屈折矯正を自己調整で行う方法との比較検討が行われた。中国・広東省汕頭共同国際視力センターのMingzhi Zhang氏らが、中国南部の地方都市在住の12~18歳648例を対象に断面研究にて行った。結果、自己調整法のほうが従来法よりも視力結果は悪かったが、鋭敏さに優れ、眼鏡をかけても視力が十分に得られないという頻度が少なかった。Zhang氏は「自己調整型の視力検査用眼鏡は、訓練を十分に受けていない検査要員や高価な視力測定器、点眼による毛様体筋麻痺といった必要条件を減らすことが可能である」と結論している。BMJ誌2011年8月20日号(オンライン版2011年8月9日号)掲載報告より。

先天性心疾患の退院前スクリーニング検査に、パルスオキシメトリーが有用

パルスオキシメトリーは、先天性心疾患の退院前スクリーニング検査として安全に施行可能で、既存の検査に新たな価値を付与する可能性があることが、英国・バーミンガム大学のAndrew K Ewer氏らが実施したPulseOx試験で示された。現在、先天性心疾患のスクリーニングは出生前超音波検査や出生後臨床検査によって行われているが、生命を脅かすような重度の病態は検出されないことが多いという。Lancet誌2011年8月27日号(オンライン版2011年8月5日号)掲載の報告。

術後タモキシフェン5年投与、ER陽性乳がんの再発・死亡リスクを長期に低減

タモキシフェン(TAM、商品名:ノルバデックスなど)を用いた5年間の術後補助内分泌療法は、エストロゲン受容体(ER)陽性の早期乳がん患者の10年再発および15年乳がん死のリスクを有意に低下させることが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group (EBCTCG)の検討で示された。術後TAM 5年投与の臨床試験の無作為割り付け後の追跡期間が10年を超えるようになり、乳がん死や他の死因による死亡に及ぼす効果、さらにホルモン受容体が弱陽性の患者に対する効果の評価が可能な状況が整いつつあるという。Lancet誌2011年8月27日号(オンライン版2011年7月29日号)掲載の報告。

急性冠症候群発症患者への虚血性イベント再発予防としてのapixaban

急性冠症候群発症患者に対する経口抗凝固薬である直接作用型第Xa因子阻害薬apixabanの虚血性イベント予防効果について、虚血性イベント再発の有意な低下をもたらすことなく重大出血イベントの増大が認められたことが報告された。米国・デューク大学医療センターJohn H. Alexander氏らAPPRAISE-2研究グループによる、第III相国際多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果による。同グループが従前に行った試験では、用量依存で重大出血イベント増大および虚血性イベント低下の傾向が認められた。そこから効果の可能性が期待された投与量1日2回5mgについてプラセボ対照試験を行った。NEJM誌2011年8月25日号(オンライン版2011年7月24日号)掲載報告より。

COPD患者への増悪予防としてのアジスロマイシン

慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者への増悪予防を目的としたアジスロマイシン(AZM)投与は、急性増悪の頻度を減らしQOLを改善することが、プラセボ対照無作為化試験の結果、報告された。米国・コロラド大学デンバー健康科学センターのRichard K. Albert氏らCOPD Clinical Research Networkが、増悪リスクの高い特定の患者1,557例を対象に、標準治療に加えアジスロマイシン250mg/日を1年間投与した結果による。ただし、被験者の一部で聴覚障害が認められたという。NEJM誌2011年8月25日号掲載報告より。

慢性疾患患者、入院やICU入室で薬物療法の中断1.18倍~1.86倍にわたる:カナダ

慢性疾患で服薬中の患者について、入院やICU入室によってそれら薬物療法の、意図的ではないものの中断が起きる可能性が高いことが明らかにされた。そのリスクはICU入室後のほうが、より高いことも示された。カナダ・St Michael's HospitalのChaim M. Bell氏らが報告したもので、JAMA誌2011年8月24日号で発表した。

電子カルテの自由記述から導出した患者安全指標、従来ツールより良好:米国

電子カルテシステム導入が進む中、その自由記述欄から自然言語処理にて導き出した患者安全指標の精度に関する検討が、米国・Tennessee Valley Healthcare SystemのHarvey J. Murff氏らにより行われた。術後合併症を特定するかどうかについて、現状ツールである退院コーディング情報をベースとした指標と比べた結果、感度では優れ、特異度は若干劣ったものの90%以上と非常に高い値が示されたという。電子カルテデータを活用した患者安全特定の方法は、現状では診療データコード(ICD)に依存している。研究グループは、それよりも自由記述から導き出した指標のほうが、高い検出力を示すのではないかと仮定し検討を行った。JAMA誌2011年8月24日号掲載報告より。

比較検討試験、直接比較と間接比較にみられる一貫性のなさ

効果を競い合うヘルスケア介入の比較検討をめぐって、直接的な比較と間接的な比較の結果の一致状況について、英国・イースト・アングリア大学ノーウィッチメディカルスクールのFujian Song氏らが調査した。結果、同氏らが以前に行った調査で認められた以上に、有意な不一致が広く認められる可能性があることが明らかになったという。介入比較の無作為化試験実施は不十分で、今後もその状況は好転しそうになく、また直接的な比較の代替として間接的な比較試験が増えている。そうした状況を踏まえてSong氏らは本調査を行った。BMJ誌オンライン版2011年8月16日号より。