ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:225

閉経前女性の膀胱炎原因菌の予測能を飛躍的に高める方法/NEJM

 急性単純性膀胱炎の症状がみられる閉経前健常女性では、自然排泄中間尿の培養によって膀胱内の大腸菌を高率に予測でき、腸球菌やB型レンサ球菌が膀胱炎の原因菌となるのはまれなことが、米国・マイアミ大学のThomas M. Hooton氏らの検討で示された。女性の場合、自然排泄尿に尿道周囲の細菌が混入する可能性が高いため、培養結果の解釈が複雑になり、細菌尿が膀胱由来か尿道周囲由来かの判別が難しい。とくにグラム陽性菌の増殖を認める場合に、培養結果の解釈の指針となるデータは、これまでほとんどなかったという。NEJM誌2013年11月14日号掲載の報告。

成人バーキットリンパ腫、低強度EPOCH-Rベース療法が非常に有効/NEJM

 成人のバーキットリンパ腫の未治療患者に対して、低強度のEPOCH-Rベース治療が非常に有効であることが報告された。米国国立がん研究所(NCI)のKieron Dunleavy氏らが行った非対照前向き試験の結果、明らかになった。バーキットリンパ腫は、小児および成人にみられるアグレッシブなB細胞リンパ腫で、大部分は集中的な抗がん剤療法で治療が可能となっている。ただし現在の治療法は、成人および免疫不全を有する患者では、小児に対するよりも有効性が低い一方、重篤な副作用があった。NEJM誌2013年11月14日号掲載の報告より。

PET-CT検査:放射性トレーサーの違いで、冠動脈プラークの検出に差/Lancet

 18Fフルオライド陽電子放射断層撮影(PET-CT)による高リスクプラークの検出・特定能について、2種の放射性トレーサー、18Fフッ化ナトリウム(18F-NaF)と18F-フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)の検出・特定能を比較検討した結果、18F-NaF PET-CTが非侵襲的画像診断法では最も有用である可能性が示された。英国・エジンバラ大学のNikhil V Joshi氏らによる前向き試験の結果で、著者は「この方法が、冠動脈疾患患者のマネジメントと治療の改善に役立つかどうかを立証するための、さらなる研究が必要である」とまとめている。非侵襲的画像診断法による同プラークの特定は、冠動脈疾患の予防と治療の臨床的前進に大きく寄与することを意味するものである。Lancet誌オンライン版2013年11月11日号掲載の報告より。

生分解性ポリマー薬剤溶出ステントの実力/BMJ

 米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らはメタ解析にて、冠動脈疾患に対する生分解性ポリマー薬剤溶出ステントの有効性と安全性について、ベアメタルステント(BMS)および耐久性ポリマー薬剤溶出ステントと比較する検討を行った。その結果、標的血管血行再建術の減少について、生分解性ポリマー薬剤溶出ステントは、初期の耐久性ポリマー薬剤溶出ステントよりも優れるが、新世代の耐久性ポリマー薬剤溶出ステントよりも劣性であることなどを明らかにした。BMJ誌オンライン版2013年11月8日号掲載の報告より。

新規ソホスブビル+レジパスビル合剤、遺伝子1型HCV治療に有望/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型の大半の患者は、治療歴や代償性肝硬変の有無にかかわらず、新規合剤[ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬ソホスブビル+HCV NS5A阻害薬レジパスビル(ledipasvir)]単独または+リバビリン併用による治療が有効である可能性が報告された。米国・テキサス大学のEric Lawitz氏らによる、非盲検無作為化第2相試験LONESTARの結果、示された。インターフェロンベースの治療は、精神疾患などの禁忌があったり有害イベントの負荷が高いため、HCV患者の多くについて適していない。研究グループは、インターフェロンを使わない新規開発の合剤の有効性と安全性について評価を行った。Lancet誌オンライン版2013年11月5日号掲載の報告より。

深夜~早朝に執刀後、同日に腹腔鏡下胆摘術を施行したときの合併症リスク/JAMA

 日中の待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術について、施術外科医が前の晩の深夜から早朝にかけて執刀を行っていた場合と、深夜以降に執刀していなかった場合とを比べた結果、開腹胆嚢摘除への転換や医原性損傷といった合併症リスクは増大しなかったことが報告された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のChristopher Vinden氏らが、待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った2,000例超の患者と、そのマッチング群について行った住民ベースの後ろ向きコホート試験の結果、明らかにした。患者アウトカムへの執刀医の睡眠不足の影響については明確にはなっていないという。JAMA誌2013年11月6日号掲載の報告より。

最も安全な薬剤溶出ステントが明らかに/BMJ

 薬剤溶出ステント(DES)の安全性と有効性は、種類間で異なり、エベロリムス溶出ステントとResoluteゾタロリムス溶出ステントが他のDESに比べて安全性が高く、現状最も安全なステントであることが明らかになった。ポーランド・ニコラス・コペルニクス大学のEliano P Navarese氏らが、60件の無作為化試験について行ったメタ解析の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2013年11月6日号掲載の報告より。

またしてもACE阻害薬+ARBの併用、有効性示せず-糖尿病性腎症-/NEJM

 ACE阻害薬(ACEI)+ARB併用療法は、蛋白尿がみられる糖尿病性腎症患者の末期腎不全(ESRD)への病態進行のリスクを低減しないことが、米国・ピッツバーグ大学のLinda F. Fried氏らが行ったVA NEPHRON-D試験で確認された。糖尿病性腎症はESRDの主要原因であり、蛋白尿がみられる糖尿病患者はESRDのリスクが高い。観察試験では、レニン-アンジオテンシン系(RAS)の抑制により腎不全に起因する蛋白尿が低減し、腎機能が改善することが示されている。ACEIとARBの併用療法により蛋白尿が低下することが知られているが、腎不全の進行に及ぼす効果や安全性は確かめられていなかった。NEJM誌2013年11月14日号掲載の報告。

うつ病患者啓発ビデオ、うつ病患者以外に薬剤処方のリスク/JAMA

 プライマリ・ケアでうつ病との付き合い方を紹介する患者啓発ビデオ(depression engagement video:DEV)や、個別双方向マルチメディアコンピュータプログラム(tailored interactive multimedia computer program:IMCP)を用いることは、非うつ病患者への抗うつ薬処方増大の要因になっている可能性が排除できないことが、米国・カリフォルニア大学デービス校のRichard L. Kravitz氏らによる無作為化試験の結果、報告された。プライマリ・ケア患者にうつ病との付き合い方を示唆することは、アウトカムを改善する可能性があると同時に、不要な治療にも結びつく可能性が指摘されていた。JAMA誌2013年11月6日号掲載の報告より。

治療抵抗性高血圧患者への腎アブレーション:施行3年後の成績/Lancet

 治療抵抗性高血圧患者に対するラジオ波アブレーション腎除神経術(RDN)は、3年時点でも十分な降圧効果が認められたことが報告された。オーストラリア・モナシュ大学のHenry Krum氏らが同施術患者を長期に追跡したSymplicity HTN-1試験の最終報告として発表した。すでに同試験における術後1ヵ月、12ヵ月時点の評価において、同施術は治療抵抗性高血圧患者の血圧を大幅に下げることが示されていた。Lancet誌オンライン版2013年11月6日号掲載の報告より。

新規TKIポナチニブ、治療抵抗性の慢性骨髄性白血病に効果/NEJM

 新規チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ポナチニブ(国内未承認)は、既治療の慢性骨髄性白血病(CML)およびフィラデルフィア染色体陽性(Ph陽性)急性リンパ性白血病(ALL)の治療として、病期や遺伝子変異の有無にかかわらず有効であることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJ.E. Cortes氏らが実施したPACE試験で示された。CMLの1次治療にはイマチニブ(商品名:グリベック)が頻用され、高い奏効率が示されているが、約40%の患者で治療抵抗性または耐用不能な有害事象が発現する。治療抵抗性の主な原因はBCR-ABLキナーゼの変異とされるが、ポナチニブはT315I変異により既存のTKIに抵抗性を示す変異型および野生型BCR-ABLに対し強力な作用を有する経口TKIだという。NEJM誌2013年11月7日号(オンライン版2013年11月1日号)掲載の報告より。

薬剤溶出ステント:ステントによる差はあるか?/Lancet

 第三世代の薬剤溶出ステントである、ゾタロリムス溶出ステントとエベロリムス溶出ステントについて検討した非劣性試験の結果、両ステントの有効性および安全性は同程度であることが明らかにされた。オランダ・Medisch Spectrum TwenteのClemens von Birgelen氏らによる無作為化単盲検多施設共同非劣性試験「DUTCH PEERS」の結果、示されたもので、著者は「いずれも優れた臨床アウトカムをもたらすものである」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年10月31日号掲載の報告より。

精神症状を有するパーキンソン病にピマバンセリンは有用/Lancet

 精神症状を有するパーキンソン病患者に対し、セロトニン5-HT2A受容体選択的拮抗薬ピマバンセリンは陽性症状を改善することが、第3相臨床試験の結果、報告された。米国・Cleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain HealthのJeffrey Cummings氏らが発表した。パーキンソン病患者では精神症状(幻覚や妄想を含む)を有する頻度が半数以上と高く、同患者の衰弱の要因になっているが難治性である。今回の結果を受けて著者は「治療法がほとんどない精神症状を有するパーキンソン病患者に、ピマバンセリンは有用である可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2013年11月1日号掲載の報告より。

薬物溶出ステント後のDAPTの投与期間は何ヵ月?/JAMA

 ゾタロリムス溶出ステント(エンデバー)留置術後の2剤併用抗血小板療法(DAPT)の実施期間について、3ヵ月実施が12ヵ月実施に対して非劣性であることが実証された。ブラジル・Instituto Dante Pazzanese de CardiologiaのFausto Feres氏らが、3,000例超について行った多施設共同オープンラベル無作為化比較試験で明らかにした。薬剤溶出性ステント留置後の2剤併用抗血小板療法は現在、12ヵ月間とすることが推奨されている。しかし一部の薬剤溶出性ステントについては、2剤併用抗血小板療法の最適な期間が判明していなかった。JAMA誌オンライン版2013年10月31日号掲載の報告より。

企業助成の大規模試験のうち3割が結果未公表/BMJ

 ClinicalTrials.gov(米国の臨床試験情報データベース)に登録した大規模試験のうち、その結果が未公表なものが3割にも上ることが明らかになった。また、企業からの助成を受けた試験の結果未公表は約3割に上り、同助成を受けていない試験の2割弱と比べ、その割合は有意に高かった。米国・ローワン大学クーパー・メディカル・スクールのChristopher W. Jones氏らが、約600件の試験について行った追跡調査で明らかにしたもので、BMJ誌オンライン版2013年10月29日号で発表した。臨床試験結果が公表されない事態が少なくないことはこれまでにも明らかになっていたが、大規模試験に焦点を当てての検討は行われていなかった。

中国でのH7N9感染、家禽市場閉鎖がヒトへの感染予防に効果/Lancet

 中国での鳥インフルエンザA(H7N9)のヒトへの感染について、家禽市場の閉鎖によって大きな抑制効果が上がることを、中国疾病管理予防センター(CDC)のHongjie Yu氏らが報告した。感染者データを基に分析を行い明らかにしたもので、著者は「生きた家禽やヒトへのH7N9の感染が認められた場合には、ただちに家禽市場を閉鎖すべきである」と報告をまとめている。上海では2013年3月31日に、H7N9の最初の確定感染者が報告され、4月に家禽市場を閉鎖していた。Lancet誌オンライン版2013年10月31日号掲載の報告より。

糖尿病患者へのベスト降圧薬は?/BMJ

 糖尿病患者における腎保護効果はACE阻害薬のみで認められ、ARBがACE阻害薬と比べて良好な効果を示すというエビデンスはみつからなかったことが、台湾・亜東記念医院のHon-Yen Wu氏らによるシステマティックレビューとベイズネットワークメタ解析の結果、報告された。結果を踏まえて著者は「薬剤コストを考慮した場合、今回の知見において、糖尿病患者の降圧薬の第一選択はACE阻害薬とすることを支持するものであった。そして十分な降圧が得られない場合は、ACE阻害薬+Ca拮抗薬の併用療法とするのが好ましいだろう」と結論している。BMJ誌オンライン版2013年10月24日号掲載の報告より。

自家幹細胞移植、中悪性度非ホジキンリンパ腫の地固め療法として有効/NEJM

 自家幹細胞移植は、高中リスクおよび高リスクのびまん性中悪性度(aggressive)非ホジキンリンパ腫(NHL)の地固め療法として有効であることが、米国・ロヨラ大学医療センターのPatrick J Stiff氏らが行ったSWOG9704試験で示された。NHL治療は、「リツキシマブ時代」と呼ばれる状況下で、さらなる予後改善に向けさまざまな治療アプローチの探索が進められている。国際予後指標(IPI)により、診断時に持続的寛解の可能性が50%未満の患者の同定が可能となり、自家幹細胞移植の早期治療への導入が図られているが、高リスク例に対する地固め療法としての有効性は、その可能性が指摘されながらも長期にわたり確立されていなかった。NEJM誌2013年10月31日号掲載の報告。

変形性関節症への全人工関節置換術、心血管保護効果を確認/BMJ

 股関節または膝関節の中等度~重度変形性関節症患者に対する待機的全人工関節置換術により、重症心血管イベントの発生リスクが低下することが、カナダ・トロント大学のBheeshma Ravi氏らの検討で示された。身体活動性の低下は心血管リスクを増大させる因子であることが示唆されている。65歳以上の40%以上に身体活動性の低下がみられ、その原因の多くを変形性関節症が占める。全人工関節置換術は変形性関節症患者の疼痛、運動能、歩行能、QOL、全般的な身体機能を改善するが、心血管リスクへの影響は不明であった。BMJ誌オンライン版2013年10月30日号掲載の報告。

在宅高齢者への運動プログラム、重度損傷の転倒予防にも/BMJ

 高齢者の転倒を防止するよう構成された運動プログラムは、最も重度のものを含む転倒による損傷を予防可能であり、また、医療処置を要する転倒の発生率を低下することが、フランス・パリ第11大学のFabienne El-Khoury氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにされた。転倒およびそれにより生じる損傷は、高齢者にとって最も深刻かつ頻度の高い医学的問題の1つである。よりよく設計された運動プログラムは、在宅高齢者の転倒を防止することは可能だが、それが重篤から軽度までの異なる損傷のいずれをも予防できるかについては、明確なエビデンスはなかった。BMJ誌オンライン版2013年10月29日号掲載の報告より。