腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:115

キムリア、再発・難治性濾胞性リンパ腫の成人へのCAR-T細胞療法で追加承認/ノバルティス

 2022年8月26日、ノバルティス ファーマは再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)の治療薬として、CAR-T細胞療法、キムリア点滴静注(一般名:チサゲンレクルユーセル)の効能追加の承認を取得したことを発表した。今回の発表は、2次治療またはそれ以降の全身療法(抗CD20抗体およびアルキル化剤を含む)で再発または難治性の成人FL患者を対象とした、キムリアの有効性および安全性を評価する単群、非盲検、国際共同第II相臨床試験(ELARA試験)の結果に基づいたものである。  ELARA試験において、69%の患者が完全奏効、86%の患者が奏効(完全奏効または部分奏効)を達成した。奏効を達成した患者のうち、最初に奏効が確認されてから9ヵ月時点の奏効維持率は76%(完全奏効を達成した患者では87%)であり、持続的な奏効も示されていた。また、安全性プロファイルはこれまでに報告されたキムリアの適応症で認められたものと一貫していた。

T-DXd単剤療法におけるILD発生状況、9試験のプール解析結果/ESMO Open

 間質性肺疾患(ILD)/肺炎は、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)に関連する重要な有害事象である。米国・マウントサイナイ医科大学のC A Powell氏らは、T-DXd単剤療法に関する9つの第I相および第II相試験のプール解析を実施し、ILD/肺炎のリスクを評価した。ESMO Open誌2022年8月10日号に掲載。  治験責任医師が評価したILD/肺炎について、独立判定委員会が後ろ向きにレビューし、薬剤関連ILD/肺炎と判定された事象について要約した。

切除不能のStageIII非小細胞肺がんに免疫放射線療法 化学療法は省略できるか(DOLPHIN)/WCLC2022

 デュルバルマブは切除不能のStageIII非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法(CRT)後の地固め療法として標準治療となった。 しかし、患者の25%はCRTによる全身状態の低下によりデュルバルマブ治療を受けられない。一方、放射線治療と免疫治療は相乗効果がある。そこで、切除不能のStageIII NSCLCに対し化学療法を省きデュルバルマブを用いた、免疫放射線療法を評価する第II相DOLPHIN試試験(WJOG11619L)が行われた。神戸大学の立原 素子氏が世界肺癌学会(WCLC2022)で発表している。

『がん医療におけるせん妄ガイドライン 』第2版の主な改訂点を解説

 日本サイコオンコロジー学会 / 日本がんサポーティブケア学会編『がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 1 がん患者におけるせん妄ガイドライン 2022年版』(金原出版)を刊行した。2019年の初版に続く改訂2版となる。改訂作業にあたった京都大学医学部附属病院緩和ケアセンター/緩和医療科 精神科医の谷向 仁氏に、主な変更点やポイントを聞いた。  がん患者さんは精神的な問題を抱えることが多いのですが、その対応は医療者個人の診療経験などによってばらつきが認められています。この経験による判断はもちろん大切なのですが、一方で様々なバイアスによる影響も懸念されます。

オラパリブ、BRCA変異陽性HER2-乳がん術後療法に適応拡大/AZ

 アストラゼネカは2022年8月25日、PARP阻害薬オラパリブ(商品名:リムパーザ)について、「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の適応症を対象に、8月24日付で厚生労働省より承認を取得したことを発表した。  今回の承認は第III相OlympiA試験の結果に基づくもので、オラパリブはプラセボと比較して主要評価項目である浸潤性疾患のない生存期間(iDFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した。具体的には、浸潤性乳がんの再発、二次がん、または死亡リスクを42%低下させた(ハザード比[HR]:0.58、99.5%信頼区間[CI]:0.41~0.82、p<0.0001)。

オシメルチニブのEGFR変異陽性肺がん術後補助療法が国内承認/AZ

 アストラゼネカは、オシメルチニブ(一般名:タグリッソ)について、2022年8月24日、「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」の適応症について、厚生労働省の承認を取得したと発表。  肺がんは罹患率が高く、死亡率の高いがん種である。日本を含むアジアにおいては、非小細胞肺がん(NSCLC)の約30〜40%がEGFR遺伝子変異陽性と診断されており、欧米と比較してその割合が高いことが知られている。また、NSCLC患者全体の最大30%が、切除可能な早期NSCLCと診断されるが、依然として再発することが課題であり、これまでに、IB期と診断された患者の半数近く、IIIA期と診断された患者の4分の3以上が、5年以内に再発を経験していると報告されている。

FGFR1融合遺伝子陽性の血液がんに福音

 「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍(8p11骨髄増殖症候群)」という血液がんをご存じだろうか? 本疾患の患者数はきわめて少なく、本邦における新規患者数は年間数例程度で、予後が悪いため、全患者数もきわめて少ない。本疾患に対し、8月8日、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは、選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬ペミガチニブの適応拡大申請を行ったと発表した。

テポチニブのMET exon14スキッピングNSCLCへの効果、再現性持って示される(VISION)/WCLC2022

 テポチニブのMET exon14スキッピング非小細胞肺がん(NSCLC)におけるVISION試験の検証(confirmative)コホートC の解析からテポチニブの再現性ある有効性が示された。  テポチニブのMET exon14スキッピングNCSLCに対する有用性は、同試験のprimaryコホートAで示され、各国で承認されている。世界肺癌学会(WCLC2022)では、confirmativeコホートCの初回解析の結果が、ドイツ・ハイデルベルグ大学のMihael Thomas氏から発表された。 ・対象:Stage IIIB/IVのMET exon14スキッピングNSCLC患者 ・介入:テポチニブ 500mg/日 ・評価項目: [主要評価項目]独立判定委員会評価(IRC)による全奏効率(ORR) [副次評価項目]治験担当医によるORR、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL

乳がんリスク、初経から妊娠までの身体活動量との関連

 初経から最初の妊娠までの期間が長いほど乳がんリスクは高くなるが、その期間に予防因子である身体活動量が多いとリスクを相殺できるのだろうか。今回、米国・ペンシルバニア州立大学のDan Lin氏らの研究で、初経から最初の妊娠までの期間の身体活動量と乳がんリスクの低下に関連があることが示された。サブタイプ別ではトリプルネガティブタイプでは関連がみられたが、Luminal AおよびLuminal Bタイプではみられなかった。Cancer Causes & Control誌オンライン版2022年8月20日号に掲載。  Lin氏らは、California Teachers Study(n=78,940)において、初経から最初の妊娠までの期間における身体活動と乳がんリスクとの関連性を調査した。いくつかの時点におけるレクリエーションの身体活動を登録時に想起してもらい、週当たりの身体活動量(MET・時/週)を計算した。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。  主な結果は以下のとおり。