間質性肺疾患(ILD)/肺炎は、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)に関連する重要な有害事象である。米国・マウントサイナイ医科大学のC A Powell氏らは、T-DXd単剤療法に関する9つの第I相および第II相試験のプール解析を実施し、ILD/肺炎のリスクを評価した。ESMO Open誌2022年8月10日号に掲載。
治験責任医師が評価したILD/肺炎について、独立判定委員会が後ろ向きにレビューし、薬剤関連ILD/肺炎と判定された事象について要約した。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象は1,150例(乳がん44.3%、胃がん25.6%、肺がん17.7%、大腸がん9.3%、その他のがん3.0%)。
・治療期間中央値は5.8ヵ月(0.7~56.3)、前治療歴中央値は4ライン(1~27)だった。
・薬剤関連ILD/肺炎の発生率は15.4%(Grade5:2.2%)だった。
・ほとんどのILD/肺炎症例が低Grade(Grade1または2:77.4%)で、87.0%がT-DXdの初回投与から12ヵ月以内(中央値:5.4ヵ月[0.1~46.8])に最初のイベントを経験していた。
・データレビューによると、判定されたILD/肺炎の発症日は、53.2%で治験責任医師が特定した日よりも早かった(発症日の差の中央値:43日[1~499])。
・ステップワイズCox回帰分析により、薬剤関連ILD/肺炎リスク上昇に関連するいくつかのベースライン因子が同定された:年齢65歳未満、日本での登録、T-DXd用量>6.4 mg/kg、酸素飽和度<95%、中度/重度の腎障害、肺合併症、初診から4年以上経過していること。
著者らは、今回の解析の結果、ILD/肺炎の発生率は15.4%であり、その多くは低悪性度で治療開始後12ヵ月に発生したものであったとまとめている。T-DXd治療のリスクとベネフィットの評価は肯定的であるが、一部の患者ではILD/肺炎の発症リスクが高まっている可能性があり、ILD/肺炎リスク因子を確認するためのさらなる調査が必要とし、ILD/pneumonitis に対する綿密なモニタリングと積極的な管理がすべての患者に求められるとしている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)