腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:219

非扁平上皮NSCLCの維持療法、ベバシズマブかペメトレキセドか併用か/JCO

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の維持療法にはベバシズマブまたはペメトレキセドの単剤投与か併用投与なのか、あるいはいずれも有効なのか。米国・エモリー大学ウィンシップがん研究所のSuresh S. Ramalingam氏らは、それらを直接比較する「ECOG-ACRIN 5508試験」の結果、ベバシズマブ単剤またはペメトレキセド単剤は有効であるが、生存ベネフィットの不足とその毒性から、ベバシズマブ・ペメトレキセドの併用療法は推奨できないとまとめている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年7月30日号掲載の報告。

がん患者が言い出せない、認知機能障害への対応策/日本臨床腫瘍学会

 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害(cancer-related cognitive impairment;CRCI)は海外で研究が進みつつあるものの、国内での認識は医療者・患者ともに低い。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「がんと関連した認知機能障害:病態解明・診断・治療/ケアはどこまで進んだか」と題したシンポジウムが開かれ、国内外の知見が紹介された。本稿では、橋本 淳氏(聖路加国際病院 腫瘍内科)、谷向 仁氏(京都大学大学院医学研究科)による発表内容を中心に紹介する。  がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害は、現時点で有効な評価方法や治療は確立されていないが、がんそのものによる肉体的・精神的影響によって治療前からみられるもの、化学療法や手術、内分泌療法などの治療に伴ってみられるものがあると考えられている。橋本氏は、乳がん、卵巣がん、消化器がんなどにおける海外の報告を紹介。治療前は20~30%の患者で1)、化学療法に伴うものとして17~75%の患者でみられたという報告がある(報告により認知機能の評価法が異なり、幅のある結果となっている)2~3)。

エヌトレクチニブ、NTRK固形がんとROS1肺がんでFDA承認

 2019年8月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、NTRK融合遺伝子陽性でほかの治療法がない固形がんに対して、ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブを迅速承認した。同時に、転移のあるROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対しても承認している。  NTRK陽性がんの有効性は、ALKA、STARTRK-1、STARTRK-2の3つの多施設単群臨床試験のいずれかでエヌトレクチニブを投与された54例の成人患者で検討された。54例の独立評価委員による全奏効率(ORR)は57%(95%CI:43~71)であった。奏効期間(DOR)は、患者の68%が6ヵ月以上は、45%が12ヵ月以上であった。

非糖尿病者でHbA1cとがん発症にU字型の関連

 HbA1cとがん発症との関連を経時的に評価するため、聖路加国際病院の小林 大輝氏らがHbA1cを複数回測定する縦断研究を実施した。その結果、非糖尿病者においてHbA1cレベルとがんリスクとの間にU字型の関連がみられたが、前糖尿病レベルで追加リスクは認められなかった。また、HbA1c低値が乳がんおよび女性性器がんの発症と関連することが示唆された。Acta Diabetologica誌オンライン版2019年8月9日号に掲載。  本研究は、聖路加国際病院で実施された後ろ向き縦断研究で、2005~16年に同病院で自主的に健康診断を受けたすべての参加者を含む。アウトカムはがん発症で、HbA1cレベルのカテゴリー間で比較した。HbA1cの変動を考慮するために、HbA1cの経時的な測定を適用した混合効果モデルを使用し縦断的に分析した。

慈善団体の患者支援プログラム、経済的困窮者の多くが対象外/JAMA

 米国の大規模な独立慈善団体が運営する疾患別患者支援プログラム(274件)の97%が、無保険患者を対象外としており、また、プログラムがカバーしている医薬品の年間薬剤費はカバー対象外の医薬品と比べ3倍以上であることが、同国ジョンズホプキンス大学のSo-Yeon Kang氏らの調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年8月6日号に掲載された。米国の独立慈善団体による患者支援プログラムは、高額な処方薬への患者アクセスを改善するが、最近の連邦政府の調査では、薬剤費の増大や反キックバック法違反の疑いが生じている。また、これらプログラムの構成や患者の適格基準、カバーされる医薬品の詳細はほとんど知られていないという。

乳がんリンパ浮腫のセルフケア、Webとパンフレットどちらが効果的

 乳がん治療関連リンパ浮腫(BCRL)患者のケアに対するウェブベースのマルチメディアツールを用いた介入(WBMI)の結果が示された。米国・ヴァンダービルト大学のSheila H. Ridner氏らによる検討で、WBMIを受けた患者は、対照(パンフレットのみ)より生物行動症状(気分)が改善し、介入に対する知覚価値も高いことが示されたという。ただし、WBMI群は完遂率が低く、他の評価項目については大きな違いはみられなかったとしている。Journal of Women's Health誌オンライン版2019年7月17日号掲載の報告。

病院ランキングと患者アウトカムは関連する?/JAMA Surgery

 出版不況と言われる中、相変わらず病院ランキング本だけは堅調と言われている。米国の病院ランキング本をめぐる興味深いエビデンスが報告された。米国・カリフォルニア大学アーバイン医療センターのSahil Gambhir氏らが、US News & World Report(USNWR)掲載の年間ランキングが最高位の病院について、ランキング外の病院と比較した結果、高度な腹腔鏡下消化器外科手術に関する病院ランキングデータと、良好な患者アウトカムは関連していないことが示された。

T790M陽性肺がんのオシメルチニブ治療、日本の実臨床データ/日本臨床腫瘍学会

 EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの市販後調査の一環として行われた全例調査の最終結果を、神奈川県立がんセンター加藤晃史氏らが第17回日本臨床腫瘍学会学術集会で発表。3,000例を超えるわが国のT790M変異NSCLCに対するオシメルチニブ治療の実臨床データが示された。  対象は2次治療以降にオシメルチニブの治療を受けた切除不能・再発EGFR T790M変異NSCLC患者。予定のサンプルサイズは3,000例、追跡期間は12ヵ月であった。