腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:218

アベマシクリブ+フルベストラント、HR+/HER2-乳がんのOS延長(MONARCH-2)/ESMO2019

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんを対象とした、CDK4/6阻害薬アベマシクリブ+フルベストラントの併用療法とフルベストラント単独療法との比較試験(MONARCH-2試験)の結果が、スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・スタンフォード大学のGeorge W.Sledge氏によって発表された。 <試験概要> ・本試験は国際共同二重盲検第III相比較試験である。 ・対象:HR陽性HER2陰性乳がんで、術前ホルモン療法中か術後ホルモン療法の12ヵ月以内に再発・病勢進行(PD)が認められた症例、または進行再発がんに対する1次内分泌療法中のPD症例(閉経状況問わず。進行再発がんに対する化学療法薬の投与は認められていない)

オピオイド誘発性便秘わが国の実態(OIC-J)/Cancer Medicine

 オピオイド誘発性便秘(OIC)は、オピオイド疼痛治療で頻繁にみられる副作用だが、その発生率は報告によりさまざまで、十分に確立されているとはいえない。この発生率のばらつきは、臨床試験および横断研究におけるOICの診断基準の複数があることも要因である。  近年、大腸疾患の基準であるRome IVがOICの基準に取り入れられた。そのような中、Rome IV基準を用いた日本人がん性疼痛患者におけるOICの発生率を検討した多施設共同前向き観察研究の結果がCancer Medicine誌8月号で発表された。

転移TN乳がん、GEM/CBDCAにtrilaciclib追加でOSが大きく改善/ESMO2019

 強力なCDK4/6阻害薬であるtrilaciclibは、その作用機序および前臨床試験から骨髄毒性の抑制および抗腫瘍作用の改善効果が期待されている。今回、転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対する多施設無作為化非盲検第II相試験において、ゲムシタビン/カルボプラチン(GEM/CBDCA)にtrilaciclibを追加することにより、全生存期間(OS)を有意に改善したことが報告された。一方、主要評価項目である好中球減少症の有意な抑制効果は示されなかった。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Texas Oncology-Baylor Sammons Cancer CenterのJoyce O'Shaughnessy氏が発表。なお、本試験結果はLancet Oncology誌オンライン版9月28日号に同時掲載された。

H. pylori除菌と栄養補助、胃がん抑制に効果/BMJ

 2週間のHelicobacter pylori除菌治療と7年間のビタミンまたはニンニクの補助食品による3つの介入は、それぞれ22年以上にわたり胃がんによる死亡のリスクを有意に改善し、除菌とビタミン補助は胃がんの発生も抑制することが、中国・Peking University Cancer Hospital and InstituteのWen-Qing Li氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年9月11日号に掲載された。H. pylori感染は胃がんの確立されたリスク因子であり、その除菌は胃がんの予防戦略となりうる。一方、胃がんの予防におけるH. pylori除菌治療の効果の持続期間や、関連のあるすべての有益な作用および有害な作用を知るには、長期の追跡調査を要する。胃がんに及ぼす栄養補助食品の効果の評価にも長期の調査が必要とされている。

糖尿病と食道腺がんリスク(プール解析)/Cancer

 糖尿病とさまざまながんの関係が研究されているが、食道/食道胃接合部の腫瘍との関係は明らかになっていない。米国国立がん研究所(NCI)のJessica L. Petrick氏らは、2,309例の食道腺がん(EA)、1,938例の食道胃接合部腺がん(EGJA)、1,728例のバレット食道(BE)、および1万6,354例の対照を含む、国際バレットおよび食道腺がんコンソーシアム(International Barrett's and Esophageal Adenocarcinoma Consortium:BEACON)の13の研究データを統合し、糖尿病とEA、EGJA、BEの関連についての研究固有のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を、ロジスティック回帰を用いて推定した。Cancer誌オンライン版2019年9月6日号掲載の報告。

CDK4/6阻害薬trilaciclibの小細胞肺がん化学療法における骨髄保護作用/Ann Oncol

 小細胞肺がんの治療においても、化学療法の骨髄毒性は大きな問題である。trilaciclibは、化学療法中の造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)および免疫系機能保護を目的に開発中のCDK4/6阻害薬であり、前臨床において、HSPCのG1期からの移行を一時的に制御し、化学療法のダメージから保護することで、骨髄毒性からの回復を早め抗腫瘍免疫を強化するとされる。  未治療の進展型小細胞肺がんにおける、trilaciclibの有効性、安全性および薬物動態を検証した第I/II相試験の結果が発表された。Annals of Oncology誌2019年8月27日号掲載の報告。

高まる腫瘍循環器学への注目/日本腫瘍循環器学会

 がん治療において心血管系の合併症を避けることは容易ではない。ほとんどのがんの予後が改善される中、この合併症への対策はさらに重要になっている。2019年9月21日から第2回日本腫瘍循環器学会学術集会が開催された。東京大学の小室 一成氏は、理事長講演のなかで以下のように述べた。  腫瘍循環器学は世界的に注目が高まっている。その傾向はわが国でも同様で、多くのがん関連学会、循環器関連学会で腫瘍循環器学が取り上げられている。

アテゾリズマブがTNBCに適応拡大、免疫CP阻害薬で初/中外製薬

 中外製薬株式会社は2019年9月20日、PD-L1陽性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する免疫チェックポイント阻害薬として国内で初めて、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)が適応拡大されたことを発表した。PD-L1発現状況の確認は、2019年8月20日にコンパニオン診断薬として適応拡大の承認を取得した、病理検査用キットベンタナOptiView PD-L1(SP142)によって行う。  今回の適応拡大は、第III相IMpassion130試験の成績に基づく。IMpassion130試験は、全身薬物療法を受けていない切除不能な局所進行または転移のあるTNBC患者を対象に、アテゾリズマブ併用群(アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル)とnab-パクリタキセル単独群(プラセボ+nab-パクリタキセル)を比較した多施設共同無作為化プラセボ対照の二重盲検国際共同臨床試験。

エヌトレクチニブ発売、脳転移へのベネフィットに注目

 臓器横断的ながん治療薬として本邦で2剤目となる低分子チロシンキナーゼ阻害薬エヌトレクチニブが販売開始したことを受け、9月5日、都内でメディアセミナー(主催:中外製薬)が開催された。吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院 消化管内科長)が登壇し、同剤の臨床試験結果からみえてきた特徴と、遺伝子別がん治療の今後の見通しについて講演した。  エヌトレクチニブは、2018年3月に先駆け審査指定を受け、2019年6月に「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん」を適応症とした承認を世界で初めて取得した。