腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:217

「患者力」を上げるため、医師ができること

 ネット上の情報に振り回され、代替医療に頼ろうとする患者、自分で何も考えようとせず、すべてお任せの患者、どんな治療も拒否する患者…。本人がそう言うならば仕方がないとあきらめる前に、医師にできることはあるのか。2020年1月12~13日、「第1回医療者がリードする患者力向上ワークショップ」(主催:オンコロジー推進プロジェクト、共催:Educational Solution Seminar、アストラゼネカ)が開催された。本稿では、東 光久氏(福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)、上野 直人氏(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)、守田 亮氏(秋田厚生医療センター)による講演の内容を紹介する。

ClinicalTrials.govへの結果報告、順守率は4割/Lancet

 ClinicalTrials.govへの試験結果の報告に関するコンプライアンスを評価したコホート研究の結果、2007年FDA改正法(Food and Drug Administration Amendments Act of 2007:FDAAA)の順守率は低いままで改善はされていないことが、英国・オックスフォード大学のNicholas J. DeVito氏らにより報告された。臨床試験の結果報告の不履行は、臨床診療のエビデンスの基礎を歪曲する可能性があり、被験者に対する研究者の倫理的義務違反や、重要な研究資源を無駄にすることを意味する。FDAAA 2007では、臨床試験のスポンサーが試験完了1年以内にClinicalTrials.govへ直接結果を報告するよう求めており、今回の改正のFinal Ruleの対象となる最初の試験は、2018年1月に結果報告書を公開することとなっていた。Lancet誌オンライン版2020年1月17日号掲載の報告。

限局性前立腺癌、治療法に対するQOL調査:各治療に伴う機能的な差は治療5年で目立たなくなる(解説:宮嶋哲氏)-1174

本研究は、2011~12年に限局性前立腺がんの診断がなされ、2017年9月までに観察可能であったfavorable risk 1,386例とunfavorable risk 619例を対象としたprospective, population-based study(CEASAR study)である。対象となった治療方法は、favorable risk患者では経過観察(active surveillance)、神経温存前立腺全摘除術、放射線外照射、低線量小線源療法であった。一方、unfavorable risk患者には前立腺全摘除術、アンドロゲン除去療法併用放射線外照射であった。各種治療に伴う機能的アウトカムをExpanded Prostate Index Composite(EPIC)で機能評価したところ、治療に伴う合併症(腸管ならびに性機能)の差異は、5年間の経過で減弱していく傾向を認めた。ただし、手術(前立腺全摘除術)がもたらす尿禁制と性機能の低下は5年経過しても他治療に比べ顕著であった。ただし、対象が限局性前立腺がんの患者のみである点、さまざまな習熟度の術者による手術が含まれている点、前立腺容量が検討に含まれていないなどlimitationも少なくない。

卵巣がん初回治療後の維持療法でオラパリブ+ベバシズマブはPFSを延長も、日本の臨床現場への適応は一部施設に限るか(解説:前田裕斗氏)-1173

進行期IIIまたはIVの進行卵巣がんにおける、初回治療(腫瘍減量術などの手術+プラチナ・タキサン[TC]・ベバシズマブ[以後Bevと表記])後の維持療法について、Bev単独とBev+オラパリブを比較したRCTである。結果はprogression-free survival(無増悪生存期間、PFS)についてBev+Ola群で有意に長いという結果が出た(中央値、22.9ヵ月vs.16.6ヵ月)。現在日本での進行卵巣がん初回治療における化学療法としては、dose-dense TC(TC療法のやり方の1つ)またはTC+Bevが行われることが多い。一方、初回治療後に行う維持化学療法には従来はBevという選択肢しかなかったが、SOLO1試験においてプラチナ製剤使用後にBRCA遺伝子に異常がある群でOlaのPFS改善効果が非常に高かったことから、日本でも初回治療の際にBRCA遺伝子変異を調べ、陽性の場合TC→Olaを行う施設も増えてきている。つまり、維持療法まで視野に入れると現状日本ではTC+Bev→BevまたはTC→Olaの2つの選択肢があることになる。

小児がんサバイバー、心臓放射線照射減少でCADリスク減/BMJ

 小児がんの成人サバイバーでは、心臓放射線照射への曝露の歴史的な減少により、冠動脈疾患のリスクの低減がもたらされたことが、米国・セントジュード小児研究病院のDaniel A. Mulrooney氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2020年1月15日号に掲載された。小児がんの成人サバイバーは過去の治療に関連した合併症を有し、心筋症、心臓不整脈、冠動脈や弁膜、心膜の疾患などの心血管疾患は、晩期の健康アウトカム負担の主要な寄与因子とされる。一方、心毒性を有する治療への曝露パターンは時代とともに変化しており、現在のがん治療プロトコールは治癒率の改善に重点を置きつつ、長期的な有害作用の最小化に注力しているという。

早期前立腺がん、野菜摂取量増加で進行リスクへの影響は/JAMA

 監視療法で管理されている早期前立腺がん男性では、野菜摂取量を増やす行動的介入により、前立腺がんの進行リスクは抑制されないことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のJ Kellogg Parsons氏らが行った「MEAL試験」(CALGB 70807[Alliance])で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年1月14日号に掲載された。米国臨床腫瘍学会の診療ガイドラインでは、野菜が豊富な食事は前立腺がんサバイバーの転帰を改善するとして積極的な摂取が推奨されている。一方、この推奨は専門家の意見や前臨床研究、観察研究のデータに基づいており、実践的な臨床エンドポイントに重点を置いた無作為化臨床試験は行われていなかった。

去勢抵抗性前立腺がんにダロルタミド国内承認/バイエル

バイエル薬品は、2020年1月23日、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として、ダロルタミドの製造販売承認を厚生労働省より取得した。 今回の承認は、ダロルタミド+アンドロゲン遮断療法の有効性と安全性をプラセボ+ADT との比較において評価した第III相 ARAMIS試験に基づくもの。ARAMIS試験では、有効性の主要評価項目である無転移生存期間が中央値でプラセボ+ADT での 18.4 ヵ月に対し 40.4 ヵ月と有意に延長した(HR:0.41、95% CI: 0.34~0.50、p

NSCLC維持療法、ベバシズマブ+ペメトレキセドでPFS延長(COMPASS)/JCO

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者について、初回薬物治療が奏効した後の維持療法の選択肢は何か。九州がんセンターの瀬戸 貴司氏らは、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブ併用導入療法後の維持療法におけるベバシズマブ+ペメトレキセドの有効性と安全性を評価する「COMPASS試験」(WJOG5610L)を行った。主要評価項目である全生存(OS)期間は統計学的有意差が認められなかったものの、無増悪生存(PFS)期間およびEGFR野生型患者におけるOSはベバシズマブ+ペメトレキセド併用維持療法で有意に延長することを示した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年12月27日号掲載の報告。

限局性前立腺がん、前立腺全摘は排尿・性機能に悪影響/JAMA

 限局性前立腺がん患者について、現行の治療法に関連する機能的変化のほとんどは5年後までに軽減するが、前立腺全摘術は他の選択肢と比較し、5年間で臨床的に尿失禁が悪化すること、高リスク患者では前立腺全摘術により、外照射放射線療法(EBRT)+アンドロゲン除去療法(ADT)併用療法と比較し5年時の性機能が悪化することが明らかにされた。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのKaren E. Hoffman氏らが、低リスクおよび高リスクの限局性前立腺がん患者に対する現行の治療法について、有害な影響を理解することは治療選択の際に役立つと考えられるとして行った前向きコホート研究の結果を、JAMA誌2020年1月14日号で発表した。

コーヒー摂取量と乳がんリスク

 コーヒーと乳がんリスクの関連については数多くの研究がなされている。今回、スペイン・ハエン大学のCristina Sanchez-Quesada氏らがSUN(Seguimiento Universidad de Navarra)前向きコホートの約1万人の女性で検討したところ、閉経後女性においてコーヒー摂取量と乳がんリスクの間に逆相関が観察された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2020年1月18日号に掲載。  本研究の対象はナバーラ大学を卒業したスペイン人女性で、ベースラインで乳がんではなかった1万812人。コーヒー摂取量は、136品目食事摂取頻度調査票(FFQ)で評価した。