腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:61

HR+進行乳がん、capivasertib+フルベストラントが有効/NEJM

 サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬併用の有無にかかわらず、アロマターゼ阻害薬の治療中または治療後に病勢進行したホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)進行乳がん患者において、AKT阻害薬capivasertibとフルベストラントの併用療法は、フルベストラント単独療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、英国・Royal Marsden HospitalのNicholas C. Turner氏らによる第III相無作為化二重盲検比較試験「CAPItello-291試験」で示された。AKT経路の活性化は内分泌療法の抵抗性に関与することが知られているが、HR+進行乳がんに対するフルベストラントへのcapivasertib上乗せの有効性と安全性に関するデータは限られていた。NEJM誌2023年6月1日号掲載の報告。

薬物療法抵抗性ではないStageIV乳がんの原発巣切除、OS改善せず(JCOG1017)/ASCO2023

 薬物療法抵抗性ではないde novo stageIV乳がんに対して、薬物療法単独に比べて、原発巣切除により全生存期間(OS)を改善するかどうかを検討したわが国の第III相試験(JCOG1017)の結果、OSに有意差が認められなかった。一方、原発巣切除群は、局所コントロールが良好であり、また閉経前や単臓器転移ではOSが改善される可能性が示された。岡山大学の枝園 忠彦氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。  原発巣切除がde novo StageIV乳がんの生存期間を改善する可能性については、Tata Memorial Hospital、MF07-01試験、ABCSG28試験、ECOG2108試験といった前向き研究で検討されているが、いまだ議論の余地がある。JCOG1017試験では、de novo StageIV乳がんにおいて臨床的サブタイプに基づき、初期薬物療法後の原発巣切除の有無による予後を比較した。

切除不能肝細胞がんの1次治療、STRIDEレジメンでOS延長/AZ

 2023年4月4日(木)にアストラゼネカ株式会社主催のプレスセミナーが開催され、肝細胞がん治療における免疫チェックポイント阻害薬のさらなる可能性について、千葉大学大学院医学研究院消化器内科学 教授の加藤 直也氏が語った。加藤氏は、「肝細胞がんは肝予備能を維持し、悪化させないことが大切。デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)と2023年3月に薬価基準収載されたトレメリムマブ(製品名:イジュド)を併用するSTRIDEレジメンは肝臓に負担をかけにくく、理にかなっているのではないか」と述べた。外科的な治療が不可能なケースの多い肝細胞がんだが、薬物治療の新たな局面を迎え、長期生存率の向上が期待できそうだ。

NSCLC周術期のペムブロリズマブ、EFS改善が明らかに(KEYNOTE-671)/ASCO2023

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するペムブロリズマブの術前・後補助療法の無イベント生存期間(EFS)の成績が明らかにされた。  米国・スタンフォード大学のHeather Waklee氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。KEYNOTE-671試験は、切除可能NSCLC患者を対象とした、無作為化二重盲検第III相試験。免疫ポイント阻害薬の術前・後補助療法において、同試験は、デュルバルマブのAEGEAN試験に続き、triplimabのNEOTORCH試験と共に有意な改善を示したことになる。

ホジキンリンパ腫初回治療、ニボルマブ+AVD療法がPFSを改善(SWOG S1826)/ASCO2023

 成人の古典的ホジキンリンパ腫の初回治療は、長らくABVD(ブレオマイシン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法が標準治療であったが、2022年にA+AVD(ブレンツキシマブ ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法がABVD療法と比較して全生存期間(OS)を延長したことが報告された。しかし、若い患者を中心に、長期間続く治療による毒性の問題が依然として残っている。

HER2+早期乳がん、化学療法なしのde-escalationで3年iDFS良好(PHERGain)/ASCO2023

 HER2+早期乳がん患者を対象とした第II相PHERGain試験において、化学療法を含まないトラスツズマブ+ペルツズマブ(PH)併用療法の3年無浸潤疾患生存(iDFS)率は、ドセタキセル+カルボプラチン+トラスツズマブ+ペルツズマブ(TCHP)併用療法と同等で、とくに18F-FDG PET/CT(以下「PET」)を指標とした反応例かつ病理学的完全奏効(pCR)例(一度も化学療法を行わない群)では98.8%と最も高かったことを、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が発表した。

局所進行直腸がん、術前FOLFOX単独は術前化学放射線療法に非劣性(PROSPECT)/ASCO2023

 局所進行直腸がんの標準治療は、術前の骨盤放射線照射とフッ化ピリミジン系抗がん剤による化学療法(化学放射線療法)である。PROSPECT(Alliance N1048)試験は、フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチンを用いた術前化学療法(FOLFOX)が術前化学放射線療法の代わりに使用できるかを検討した第III相試験。本試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションとして米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのDeborah Schrag氏が発表し、同日にNEJM誌に掲載された。

EGFR陽性NSCLCの術後補助療法、オシメルチニブのOS解析結果(ADAURA)/ASCO2023

 オシメルチニブは第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であり、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)における術後補助療法、EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発NSCLCを効能・効果として承認されている。これまで、病理病期IB~IIIA期のEGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対する、術後補助療法としてのオシメルチニブの有用性を検証した、国際共同第III相無作為化比較試験「ADAURA試験」において、最終解析時においても無病生存期間(DFS)が有意に改善したことが報告されていた。

高リスク早期乳がんでの術後内分泌療法+アベマシクリブ、高齢患者でも有用(monarchE)/ASCO2023

 再発リスクの高いHR+/HER2-リンパ節転移陽性早期乳がん患者への術後内分泌療法へのアベマシクリブ追加を検討したmonarchE試験において、65歳以上の高齢患者においても管理可能な安全性プロファイルと治療効果が得られることが示された。米国・Sarah Cannon Research Institute at Tennessee OncologyのErika P. Hamilton氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

高リスクStageII/III早期乳がんでの術後内分泌療法+ribociclib、iDFSを改善(NATALEE)/ASCO2023

 再発リスクの高いHR+/HER2-早期乳がんの術後内分泌療法へのCDK4/6阻害薬追加による効果については、すでにアベマシクリブが無浸潤疾患生存期間(iDFS)を改善したことがmonarchE試験で確認されている。ribociclibについては、リンパ節転移のない患者を含む再発リスクの高いStageII/IIIのHR+/HER2-早期乳がんという幅広い集団を対象に第III相NATALEE試験が進行している。その主要評価項目であるiDFSについて、第2回中間解析の結果、有意に改善したことが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で米国・David Geffen School of Medicine at UCLAのDennis J. Slamon氏により発表された。