腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:58

新たなウェアラブル超音波デバイス、早期乳がん検出に有望な結果

早期段階の乳がんを検出するためのウェアラブル超音波デバイスの開発に関する成果を、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のCanan Dagdeviren氏らが、「Science Advances」に7月28日報告した。将来的には、このデバイスにより、自宅にいながら乳がんの初期兆候をモニタリングできるようになる可能性があるという。  現在、乳房超音波検査は、一部の女性での乳がん検出に使われている。例えば、マンモグラフィ検診で疑わしい所見が見つかった場合、それが腫瘍なのか嚢胞なのかを確認するために超音波検査が行われることがある。また、乳腺組織が非常に密で(デンスブレスト)、マンモグラフィだけでは腫瘍を確認しにくい女性では、超音波検査が追加されることもある。しかし、いずれの場合でも、女性は検査を受けるために医療機関に赴く必要がある上に、検査の質も検査者の経験と技量に左右されるのが実情だとDagdeviren氏は指摘する。

ER+/HER2-早期乳がんの細胞増殖抑制効果、giredestrant vs.アナストロゾール(coopERA BC)

coopERA BC試験は、2週間のgiredestrant治療がアナストロゾールよりも強い細胞増殖抑制効果を示すかどうかを検証するためにデザインされた非盲検無作為化対照第II相試験。世界11ヵ国59ヵ所の病院または診療所で実施された。2021年の欧州臨床腫瘍学会で中間解析が報告され、今回は主要解析と最終解析が報告された。  対象は、cT1c~cT4a-c、閉経後、ER+、HER2-、未治療の早期乳がんで、ECOG PS 0/1、Ki67≧5%の患者であった。参加者は、window of opportunity phaseとして1~14日目にgiredestrant 30mgを1日1回経口投与する群と、アナストロゾール1mgを1日1回経口投与する群に無作為に1対1に割り付けられた。

Guardant360 CDx、HER2変異陽性NSCLCにおけるT‐DXdのコンパニオン診断として承認/ガーダントヘルスジャパン

 ガーダントヘルスジャパンは、がん化学療法後に増悪したHER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対するトラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ、以下 T-DXd)の適応判定補助を目的としたコンパニオン診断として、リキッドバイオプシー「Guardant360 CDx がん遺伝子パネル」(Guardant360 CDx)に対する製造販売承認事項一部変更承認を2023年8月28日付で厚生労働省から取得した。  HER2遺伝子変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)の70%を占める、非扁平上皮NSCLCの2〜4%を占める。

各固形がんにおけるHER2低発現の割合は/Ann Oncol

 新たに定義されたカテゴリーであるHER2低発現(IHC 2+/ISH-またはIHC 1+)は、多くの固形がんで認められることが明らかになった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのBurak Uzunparmak氏らによるAnnals of Oncology誌オンライン版2023年8月22日号掲載の報告より。  本研究では、進行または転移を有する固形がん患者4,701例を対象に、IHC法によるHER2発現状態を評価した。また乳房と胃/食道の原発および転移腫瘍のペアサンプルにおいて、IHC法およびISH法によるHER2発現状態を評価した。

ER+/HER2-乳がん、Ki-67と21遺伝子再発スコアの関連

 エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性(ER+/HER2-)乳がんにおいて、21遺伝子再発スコア(RS)高値とKi-67高値はどちらも予後不良因子であるが、これらのバイオマーカーによる違いが指摘されている。今回、韓国・Hallym UniversityのJanghee Lee氏らは、ER+/HER2-乳がん患者におけるKi-67とRSとの関連、Ki-67と無再発生存期間(RFS)との関連を調べた。その結果、Ki-67とRSに中等度の相関が観察され、RSの低い患者においてKi-67高発現がsecondary endocrine resistanceリスク上昇と関連していた。JAMA Network Open誌2023年8月30日号に掲載。

腸閉塞を起こした進行がん患者の症状改善には手術が有効

 進行した腹腔内腫瘍、特に卵巣がんや大腸がんの患者に頻発する悪性腸閉塞(malignant bowel obstruction;MBO)に対しては、最善の治療法がいまだ明確になっていない。こうした中、MBO患者に対して手術による治療を行うことで、手術を行わない場合に比べて退院後生存期間が延長するわけではないが、MBO関連の症状は改善することが、ランダム化比較試験の要素も含むハイブリッドデザインの臨床試験で示された。米ペンシルベニア大学ペレルマン医科大学院外科学分野のRobert S. Krouse氏らが実施したこの研究は、「The Lancet Gastroenterology & Hepatology」に8月1日掲載された。  MBOは、嘔吐、疼痛、便秘などの大きな苦痛をもたらし、命を脅かす可能性もある。MBOの原因は、腫瘍による腸の閉塞や、手術や放射線治療の結果として生じた癒着やその他の合併症である。MBOが発生する患者は、概して末期がんに直面しており、生活の質(QOL)を改善し、症状や疼痛を軽減することを目的とした緩和ケアを受けている。

検診で寿命が延びるがんは?

 一般的に行われているがん検診により、寿命が延びるのかどうかは不明である。今回、ノルウェー・オスロ大学のMichael Bretthauer氏らが、乳がん検診のマンモグラフィ、大腸がん検診の大腸内視鏡検査・S状結腸鏡検査・便潜血検査、肺がん検診の肺CT検査、前立腺がん検診のPSA検査の6種類の検診について、検診を受けた群と受けなかった群で全生存率と推定寿命を比較した無作為化試験をメタ解析した結果、寿命が有意に増加したのはS状結腸鏡検査による大腸がん検診のみであったことがわかった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2023年8月28日号に掲載。

骨髄異形成腫瘍では誤診がまれではない

 骨髄異形成腫瘍(MDS)は診断が困難で、誤診もしばしば生じるため、セカンドオピニオンが必要であることを示唆した研究結果が発表された。研究論文の上席著者である、米マイアミ大学シルベスター総合がんセンターのMikkael Sekeres氏は、「診断の難しさや頻繁な誤診が、患者に不適切な治療やその他の潜在的に有害な結果を招くリスクを高める」と警鐘を鳴らしている。この研究論文は、「Blood Advances」に8月8日掲載された。  MDSは、造血幹細胞の機能異常が原因で正常な血液細胞が作られなくなる病態で、急性骨髄性白血病(AML)に進展する傾向がある。診断時の患者の年齢は、通常は60歳以上であり、生存期間は1年未満から10年程度までと幅がある。米国での新規MDS症例は年間約2万例と見積もられているが、過少報告や誤分類のために実際はそれ以上である可能性がある。

化療後の閉経前乳がんへのタモキシフェン+卵巣機能抑制、長期結果は(ASTRRA)

 手術および術前または術後化学療法後の閉経前エストロゲン受容体(ER)陽性乳がん患者に対する、タモキシフェン(TAM)+卵巣機能抑制(OFS)併用の有効性を検討するASTRRA試験について、追跡期間中央値8年の長期解析結果を、韓国・Asan Medical CenterのSoo Yeon Baek氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年8月22日号に報告した。  ASTRRA試験では、閉経前または化学療法後に卵巣機能が回復した45歳未満の女性1,483例が、5年間のTAM単独投与(TAM群)と、5年間のTAM投与と2年間のOFS併用(TAM+OFS群)に1:1の割合で無作為に割り付けられた。

既治療のHR+/HER2-転移乳がんへのSG、OSを改善(TROPiCS-02)/Lancet

 sacituzumab govitecan(SG)は、ヒト化抗Trop-2モノクローナル抗体と、トポイソメラーゼ阻害薬イリノテカンの活性代謝産物SN-38を結合した抗体薬物複合体。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S. Rugo氏らは、「TROPiCS-02試験」において、既治療のホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)の切除不能な局所再発または転移のある乳がんの治療では、本薬は標準的な化学療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に延長し、管理可能な安全性プロファイルを有することを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年8月23日号で報告された。