小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:107

乳幼児の中等度細気管支炎に、高流量酸素療法は?/Lancet

 中等度の細気管支炎に対する高流量加温加湿鼻カニューレ酸素療法(HFWHO)は、低流量鼻カニューレ酸素療法(標準酸素療法)と比較して、酸素離脱までの時間を短縮しないことが示された。オーストラリア・John Hunter小児病院のElizabeth Kepreotes氏らが、HFWHOの有用性を検証することを目的とした第IV相無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。細気管支炎は乳幼児で最も一般的な肺感染症であり、治療は呼吸困難や低酸素症の管理が中心となる。HFWHOの使用は増加しているが、これまで無作為化試験は行われていなかった。今回の結果について著者は、「中等度細気管支炎に対するHFWHOの早期使用は、基礎疾患の経過を緩和するものではないことを示唆するが、HFWHOには、費用が高額な集中治療を必要とする小児を減らす緊急処置としての役割があるかもしれない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年2月1日号掲載の報告。

遠隔医療を活用した未熟児網膜症スクリーニング法4つを比較

 米国・ペンシルベニア大学のJaclyn Gurwin氏らは、急性期未熟児網膜症の遠隔評価法(e-ROP)研究における遠隔医療システムでの眼底所見分類と、フィラデルフィア小児病院未熟児網膜症(CHOP-ROP)出生後体重増加予測モデルを相乗的に使用し、重症ROP発症児を特定するROPスクリーニング段階的アプローチ法(TARP)について検討した。

インフルエンザとノロの流行は土壌放射線に関連?

 わが国での最近のインフルエンザとノロウイルス感染症の流行時における定点サーベイランスデータを用いた研究から、これら感染症の流行と土壌放射線が相関していることが報告された。本研究は岡山大学の井内田科子氏らによる探査的研究で、今回の結果から免疫力低下と土壌放射線による照射に潜在的な関連があることが示唆された。Epidemiology and infection誌オンライン版2017年1月16日号に掲載。

日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は

 自閉スペクトラム症を有する小児および青年(6~17歳)における易刺激性の治療に対するアリピプラゾールの有効性、安全性を評価するため、東京都立小児総合医療センターの市川 宏伸氏らは、8週間のプラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。Child psychiatry and human development誌オンライン版2016年12月21日号の報告。

硬水と乳児アトピー性皮膚炎リスク増大の関連を確認

 アトピー性皮膚炎は、家庭用水の硬度が高い地域、および秋~冬に生まれた小児に多くみられるようだが、相乗作用があるかどうかはわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のKristiane Aa Engebretsen氏らは、大規模出生コホートを用いた研究を行い、生後早期の硬水への曝露ならびに秋~冬の出生は、生後18ヵ月以内におけるアトピー性皮膚炎の相対有病率の増加と関連していることを明らかにした。

妊娠中のn-3系脂肪酸摂取、児の喘鳴・喘息リスク低下/NEJM

 妊娠24週以降にn-3系長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)を摂取することで、出生児の持続性喘鳴または喘息、および下気道感染症のリスクが絶対値で約7%、相対的には31%低下することが明らかになった。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans Bisgaard氏らが、妊娠中のn-3系LUPUFA摂取が出生児の持続性喘鳴または喘息リスクに及ぼす効果を検討した単施設二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。n-3系LCPUFAの摂取不足は、喘鳴性疾患の有病率増加に寄与している可能性がある。これまで、観察研究では妊娠中のn-3系LCPUFA摂取不足と出生児の喘息・喘鳴性疾患のリスク増加との関連が示唆されていたが、無作為化比較試験は検出力が低く結果は不確かであった。NEJM誌2016年12月29日号掲載の報告。

ADHD発症や重症度にビタミン摂取が関連

 ビタミンを含む微量栄養素は、ADHDの症状レベルを低下させることが報告されているが、ADHDのビタミンレベルに関するデータは希薄である。ノルウェー・ベルゲン大学のElisabeth Toverud Landaas氏らは、若年成人ADHD患者および対照群におけるビタミン濃度、ADHD診断および精神医学的症状との関連を調査した。BJPsych open誌2016年11月号(オンライン版2016年12月13日号)の報告。

小児の神経線維腫症1型に有望なMEK阻害薬/NEJM

 神経線維腫症1型と手術不能な叢状神経線維腫の小児患者に対し、開発中の経口selumetinibを投与することで、約7割で腫瘍容積が2割以上減少することが示された。米国国立がん研究所のEva Dombi氏らが、第I相臨床試験の結果、明らかにした。神経線維腫症1型関連の叢状神経線維腫は、RASマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達が活発であるのが特徴で、現状では有効な薬物療法はない。NEJM誌2016年12月29日号掲載の報告。

5~18歳の脳震盪、7日以内の運動が回復を促進/JAMA

 急性脳震盪を発症した5~18歳の小児・年少者について、受傷後7日以内に運動を行ったほうが、行わなかった患者と比べて、28日時点の持続性脳震盪後症状(PPCS)を有するリスクが低いことが、カナダ・東オンタリオ研究センター小児病院(CHEO)のAnne M Grool氏らによる前向き多施設共同コホート研究の結果、示された。脳震盪治療ガイドラインでは、受傷直後は症状が治まるまで安静を支持しており、運動が回復を促進するという明白なエビデンスはなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「適切に設計した無作為化試験で、脳震盪後の運動のベネフィットを確認する必要がある」と提言している。JAMA誌2016年12月20日号掲載の報告。