母親の1型糖尿病は子どもの1型糖尿病罹患に対して保護的に働く
母親が妊娠以前から1型糖尿病(T1DM)である場合にその子どもがT1DMを発症する確率は、父親がT1DMである場合に比べて相対的に低い可能性のあることが分かった。これは遺伝的な理由によるものではなく、胎児が子宮内で母親のT1DMの環境に曝露されることにより生じる違いと考えられるという。英カーディフ大学のLowri Allen氏らが、欧州糖尿病学会(EASD 2024、9月9~13日、スペイン・マドリード)で発表する。
T1DMは、免疫系が膵臓のインスリン産生細胞を標的として攻撃する自己免疫疾患で、それらの細胞が破壊されてしまうと、生存のためのインスリン療法が必須となる。Allen氏によると、「T1DMの家族歴がある人は、自己免疫疾患を発症する確率が8~15倍高い」という。また同氏は、「これまでの研究では、T1DMの場合、母親ではなく父親が罹患しているケースで、子どもの罹患リスクが高くなることが示されている。われわれはこのような関係をより詳しく理解したかった」と研究背景を述べている。