小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:20

18歳未満の家族性高コレステロール血症への診断アプローチは?/Lancet

 世界では毎年約45万例の子供が家族性高コレステロール血症を患って誕生しているが、家族性高コレステロール血症の成人患者のうち、現行の診断アプローチ(成人で観察される臨床的特徴に基づく)により18歳未満で診断されるのは2.1%にすぎないという。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのKanika Inamdar Dharmayat氏らの研究グループ「European Atherosclerosis Society Familial Hypercholesterolaemia Studies Collaboration」らは、家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)の小児・思春期患者の臨床的特性を明らかにする検討を行い、成人で観察される臨床的特徴が小児・思春期患者ではまれで、検出には低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値測定と遺伝子検査に依存せざるを得ないことを明らかにした。しかし、世界の医療水準は画一ではないことを踏まえて、「遺伝子検査が利用できない場合は、生後数年間のLDL-C値測定の機会とその数値の使用率を高められれば、現在の有病率と検出率のギャップを縮めることができ、脂質低下薬の併用使用を増やして推奨されるLDL-C目標値を早期に達成できるようになるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年12月12日号掲載の報告。

食物アレルギーの小児患者へ安全・有効な経口免疫療法/国立成育医療研究センター

 小児の食物アレルギーの2大原因である卵と牛乳。この2つの食物が摂取できるようにさまざまな治療が行われている。国立成育医療研究センター アレルギーセンターの宮地 裕美子氏らの研究グループは、鶏卵もしくは牛乳の食物アレルギーがある子供(4~18歳)に対し、食物経口負荷試験の閾値をもとに5つの方法(A~E群)で経口免疫療法を行い、それぞれの方法の安全性と有効性について電子カルテデータを用いて分析した。  その結果、閾値の1/100量から開始、1/10量で維持する方法が従来の方法よりも2回目の食物経口負荷試験の閾値上昇人数の割合が高く、重篤なアレルギー症状であるアナフィラキシー症状が出現することなく、症状が出現しても軽微なものに限られているということがわかった。Clinical & Experimental Allergy誌2023年12月号からの報告。

重症好酸球性喘息、ベンラリズマブでコントロール良好ならICSは削減可/Lancet

 ベンラリズマブでコントロール良好な重症好酸球性喘息患者では、毎日投与の吸入コルチコステロイド(ICS)を大幅に削減可能であることが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのDavid J. Jackson氏らによる、第IV相の多施設共同無作為化非盲検実薬対照試験「SHAMAL試験」の結果で示された。重症好酸球性喘息では、高用量のICSへの反応が不十分にもかかわらず、ICSの段階的強化がルーティンに行われている。生物学的製剤への反応が良好な患者では、ICSの用量低減が推奨されているが、これまで安全性を裏付けるエビデンスがほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2023年12月7日号掲載の報告。

携帯電話依存症と先延ばし癖の関係~メタ解析

 携帯電話依存症は、学生の先延ばし癖に影響を及ぼす重要な因子として、広く研究されている。しかし、携帯電話依存症と先延ばし癖との相関関係とその影響力は、依然として明らかになっていない。中国・上海大学のXiang Zhou氏らは、学生の携帯電話依存症と先延ばし癖との関係、参加者の個人的特性(教育レベル、性別)、測定ツール、社会的状況要因(出版年、文化)の緩和効果を調査するため、メタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年11月17日号の報告。  PubMed、Web of Science、Embase、PsycINFO、China National Knowledge Infrastructure(CNKI)、Wanfang、Weipuよりシステマティックに検索し、適格基準を満たす研究を収集した。メタ解析には、CMA3.0ソフトウェアを用い、緩和効果のテストには、分散メタ解析(ANOVA)を用いた。

小児の消化管アレルギー患者の約半数は新生児期に発症/国立成育医療研究センター

 新生児、小児では消化管は発達途上であり、アレルギーを発症しやすいことが知られている。一方でわが国には、新生児、乳児の消化管アレルギーについて全国を対象にした疫学研究は行われていなかった。そこで、国立成育医療研究センター研究所 好酸球性消化管疾患研究室の鈴木 啓子氏らの研究グループは、日本で初めて2歳未満の新生児、乳児の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)に関する全国疫学調査を実施。その結果、新生児、乳児の消化管アレルギーの約半数は生後1ヵ月までの新生児期に発症していることが判明した。Allergology International誌オンライン版2023年10月30日号からの報告。

小児インフルエンザ治療でのタミフル使用の実態とは

 米国では、インフルエンザに罹患した小児にはタミフルなどの抗ウイルス薬を処方することが推奨されているにもかかわらず、その処方率は低く、特に2歳未満の小児では5人に3人が同薬を処方されていないことが新たな研究で明らかになった。米ヴァンダービルト大学モンロー・カレル・ジュニア小児病院の小児科医であるJames Antoon氏らによるこの研究の詳細は、「Pediatrics」に11月13日掲載された。  この研究は、IBM MarketScan Commercial Claims and Encounters Databaseを用いて、米国の50州での民間保険に関連する取引データの中から2010年7月1日から2019年6月30日の間の外来または救急外来での18歳未満の小児に対する処方箋の請求データを収集し、小児インフルエンザ患者に対する抗ウイルス薬処方の動向を調査したもの。抗ウイルス薬の処方は、オセルタミビル(商品名タミフル)、バロキサビル(商品名ゾフルーザ)、またはザナミビル(商品名リレンザ)が処方された場合と定義された。主要評価項目は、小児インフルエンザ患者での抗ウイルス薬の処方箋受取率(抗ウイルス薬の薬局請求数を対象小児の総数で割ったもの)、副次評価項目は、インフルエンザの診断を受けた患者のうち抗ウイルス薬による治療を受けた患者の割合と、物価の上昇を考慮した抗ウイルス薬のコストとした。

ピーナツアレルギーを特殊な歯磨き粉で治療できる?

 ピーナツなど特定の食品にアレルギーを持つ人に対する治療用歯磨き粉の開発に向けた第1相臨床試験の結果を、米オレンジ郡小児病院(CHOC)の小児アレルギー専門医であるWilliam Berger氏らが、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次総会(ACAAI 2023 Annual Scientific Meeting、11月9~13日、米アナハイム)で発表した。口腔粘膜免疫療法(oral mucosal immunotherapy;OMIT)と呼ばれるこの免疫療法は、医師などの専門家の監視下でアレルゲンとなっている物質を、少しずつ量を増やしながら摂取する「経口免疫療法」にひと工夫加えたもので、多くの免疫応答細胞が分布する口腔粘膜を通じた減感作を目指す。

生後6ヵ月~4歳へのコロナワクチン、救急受診・入院予防に40%有効/CDC

 米国では2022年6月より、新型コロナウイルスの起源株に対する1価mRNAワクチンが、生後6ヵ月~4歳児に推奨となった。米国疾病予防管理センター(CDC)は、2022年7月~2023年9月における乳幼児への新型コロナワクチンの有効性を評価したところ、ワクチン未接種と比較すると、2回以上のコロナワクチン接種は、救急外来受診と入院の予防に40%有効であることが認められた。本結果はCDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)誌2023年12月1日号に掲載された。

第一三共のXBB.1.5対応mRNAコロナワクチン、一変承認取得

 第一三共は11月28日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するオミクロン株XBB.1.5対応1価mRNAワクチン「ダイチロナ筋注」(DS-5670)について、追加免疫における製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。本ワクチンが特例臨時接種に使用されるワクチンとして位置付けられ次第、厚生労働省との供給合意に基づき、国産初のmRNAワクチンとして供給を開始し、2023年度中に140万回分を供給する予定。  厚労省が11月27日に公表した資料(一変承認前の情報)によると、本ワクチンは、既SARS-CoV-2ワクチンの初回免疫完了者(12歳以上)に対する、「追加免疫」として使用することができる。

税負担が重過ぎる!どんな節税対策している?/医師1,000人アンケート

 年末調整に確定申告…。年末から春にかけては税金を意識する機会が増える。さらに、最近では定額減税や新NISAスタートなど、税金に関する話題が増加している。ケアネットでは、会員の勤務医(勤務先病床数:20床以上)1,021人を対象に、「今年行った、来年やりたい節税対策」についてアンケートを実施した(調査日:10/6~8)。  「Q1.今年(2023年)の所得について、確定申告をする予定ですか?」という設問には、9割以上の医師が「はい」と答えた。確定申告の条件である「年収2,000万円超」「年間20万円以上の副収入」にほとんどの回答者が当てはまっているようだ。