小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

スマホやタブレットをベビーシッター代わりに使うと後でしっぺ返しを食らう?

 電話が鳴ったときや夕食を食べ始めようとするときに限って、幼いわが子が騒ぎ始める。そんな経験のある人は多いはずだ。そんなときには、iPadやスマートフォン(スマホ)などのデバイスを与えて子どもを落ち着かせ、用事を済ませる親もいるだろう。しかし、それがお決まりの対応策になっている場合には、子どもが長期的に行動上の問題を抱えるようになるリスクがあり、特に男児と、もともと多動性あるいは衝動性のある子どもでは、そのリスクが高い可能性のあることが、米ミシガン大学小児病院のJenny Radesky氏らの研究で示唆された。詳細は、「JAMA Pediatrics」に12月12日掲載された。

終わらない結核、結核菌の新たな生き残り戦略

 結核は、世界で最も死亡率の高い感染症の1つである。毎年、約1,060万人が結核に罹患し、160万人が死亡する。その背景の1つとして、抗菌薬の普及により薬剤耐性を有する結核菌が増加し、治療が困難になっていることがあるといわれる。そこで、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのQingyun Liu氏らの研究グループは、結核患者から単離された結核菌のゲノム解析を行った。その結果、転写因子resR遺伝子に変異があると、抗菌薬への曝露終了後に急速に再増殖を開始することが明らかになった。本研究結果は、Science誌2022年12月9日号に掲載された。

若年発症2型DMは世界的な健康問題-30年で1.5倍超に/BMJ

 1990年以降、若年発症2型糖尿病は、世界的に増大している青少年・若年成人(15~39歳)の健康問題であり、とくに社会人口統計学的指標(SDI)低中・中の国で疾病負担は大きく、また30歳未満の女性で疾病負担が大きいことを、中国・ハルピン医科大学のJinchi Xie氏らが世界疾病負担研究2019(Global Burden of Disease Study 2019)のデータを解析し報告した。これまで若年発症2型糖尿病の世界的疾病負担や長期傾向、および性別やSDI分類別にみた違い、さらに国別の若年発症2型糖尿病寄与リスク因子の違いなどは調査されていなかった。BMJ誌2022年12月7日号掲載の報告。

生後6ヵ月以上へのBA.4/5対応ワクチン承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は12月8日、モデルナおよびファイザーのオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、緊急使用許可(EUA)を修正し、生後6ヵ月以上の小児への使用を追加したことを発表した。  今回のEUA修正により、モデルナのBA.4/5対応2価ワクチン(mRNA-1273.222)は、生後6ヵ月~5歳の小児に対して、1価ワクチンの初回シリーズ(2回)を接種して2ヵ月後に、追加免疫として1回(10μg)の接種を行うことができる。

子どもの学習の速さの秘密が脳画像から明らかに?

 子どもはなぜあんなにも早く新しい知識やスキルを習得できるのかと疑問に思ったことはないだろうか。新たな研究で、子どもが新しい情報を処理し、脳内でその情報を学習して蓄積する上でGABA(Gamma Amino Butyric Acid、γ-アミノ酪酸)と呼ばれる脳内の神経伝達物質が非常に重要な役割を果たしていることが示唆された。米ブラウン大学認知言語心理学部教授の渡邊武郎氏らが実施したこの研究の詳細は、「Current Biology」に11月15日掲載された。  効率よく学ぶには、新たに学んだことが脳で迅速に固定化され、その後に学んだものの影響を受けずに保持される必要がある。成人を対象にした研究では、精神を安定させる抑制性の神経伝達物質であるGABAが、新しく学んだ情報の固定化に重要な役割を果たしていることが報告されている。しかし別の研究では、子どもでのGABAによる抑制作用は大人に比べると未成熟であることが示されている。それにもかかわらず、子どもの方が大人よりも効率よく学習できるのはなぜなのか。  このことを調べるために渡邊氏らは、小学生13人(8〜11歳)と成人14人(18〜35歳)を対象に、機能的磁気共鳴スペクトロスコピー(fMRS)を用いて、知覚学習の実施前、実施中、実施後の初期視覚野のGABA濃度を測定し、比較した。

12~20歳のmRNAコロナワクチン接種後の心筋炎をメタ解析、男性が9割

 12~20歳の若年者へのCOVID-19 mRNAワクチン接種後の心筋炎に関連する臨床的特徴および早期転帰を評価するため、米国The Abigail Wexner Research and Heart Center、 Nationwide Children’s Hospitalの安原 潤氏ら日米研究グループにより、系統的レビューとメタ解析が行われた。本研究の結果、ワクチン接種後の心筋炎発生率は男性のほうが女性よりも高く、15.6%の患者に左室収縮障害があったが、重度の左室収縮障害(LVEF<35%)は1.3%にとどまり、若年者のワクチン関連心筋炎の早期転帰がおおむね良好であることが明らかとなった。JAMA Pediatrics誌オンライン版2022年12月5日号に掲載の報告。

周産期アウトカムに人種・民族性は影響するか/Lancet

 世界の20の高所得国と上位中所得国の、周産期アウトカムに関する人種および民族性の影響について解析した結果、母体特性を調整後、白人女性の産児との比較において、十分なサービスを受けていないグループで黒人女性の産児の周産期アウトカムが、評価した項目すべてで不良であることが示された。他のグループ(南アジア系、ヒスパニック系、その他)では、アウトカム項目によりリスクに差異があった。また、周産期有害アウトカムへの人種・民族性の影響について、地域差は認められなかった。英国・バーミンガム大学のJameela Sheikh氏らInternational Prediction of Pregnancy Complications(IPPIC)Collaborative Networkが、妊娠219万8,655例のメタ解析を行い、Lancet誌2022年12月10日号で報告した。これまで、妊娠アウトカムへの人種・民族性の影響に関するエビデンスは、特定の国および医療制度内で行われた個々の研究に限定されていた。

モデルナ製COVID-19ワクチン、追加免疫の接種対象が12歳以上に拡大

 モデルナは2022年12月12日付のプレスリリースで、「スパイクバックス筋注」(1価:起源株)、「スパイクバックス筋注」(2価:起源株/オミクロン株BA.1)および「スパイクバックス筋注」(2価:起源株/オミクロン株BA.4/5)の追加免疫について、日本における添付文書を改訂し、接種対象年齢が12歳以上に拡大されたことを発表した。  これについてモデルナ・ジャパン代表取締役社長の鈴木 蘭美氏は「オミクロン株とその亜系統による感染が拡大する中、モデルナのCOVID-19ワクチンにより進学や受験といったイベントを控える方の多い12~17歳の年齢層をCOVID-19から守れることを嬉しく思います」と述べている。

3~17歳へのコロナワクチン、オミクロン優勢期の効果は?/BMJ

 アルゼンチンで、3~17歳の小児・青少年に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[モデルナ製]、BNT162b2[ファイザー製]、BBIBP-CorV[Sinopharm製])2回接種の有効性について調べたところ、死亡に対する予防効果は、優勢となっている変異株の種類にかかわらず、小児・青少年ともに高値を維持していたことが明らかにされた。ワクチン接種後の短期間におけるSARS-CoV-2感染予防効果については、オミクロン変異株が優勢であった間は低かったこと、また時間の経過とともに同効果は急激に低下することも明らかにされた。アルゼンチン・保健省のJuan Manuel Castelli氏らが、約14万人のケースとそのマッチング対照を解析した、診断陰性例コントロール試験の結果で、BMJ誌2022年11月30日号で発表された。

オピオイド使用障害の妊婦、ブプレノルフィンvs.メサドン/NEJM

 オピオイド使用障害の妊婦では、ブプレノルフィンの投与はメサドンと比較して、新生児の有害アウトカム発生のリスクは低下するが、母体における有害アウトカムのリスクに差はないことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のElizabeth A. Suarez氏らの調査で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年12月1日号で報告された。  研究グループは、オピオイド使用障害の妊婦において、2つのオピオイド作動薬が新生児および母体のアウトカムに及ぼす影響を比較する目的で、コホート研究を行った(米国国立薬物乱用研究所[NIDA]の助成を受けた)。  対象は、2000~18年に米国の公的保険(メディケイド)に加入していた47州とワシントンDCの妊婦であった。2つの薬剤への曝露は、妊娠前期(妊娠19週まで)、妊娠後期(妊娠20週~分娩前日)、分娩前30日間に評価が行われた。