2022年6月20日、「マススクリーニングが変える脊髄性筋萎縮症(SMA)の未来」と題して、都医学研都民講座が開催され、齋藤 加代子氏(東京女子医科大学 ゲノム診療科 特任教授)から、SMAの概要と治療の進歩、新生児スクリーニングの必要性について、水野 朋子氏(東京医科歯科大学 小児科 助教)から、新生児スクリーニングの現状・課題について講演が行われた。
SMAは、脊髄の運動神経細胞の変性により、全身の筋肉が萎縮し、筋力低下、嚥下障害、呼吸障害などを来す進行性の疾患である。病型は、胎児期に発症する0型、6ヵ月ごろまでに発症するI型、18ヵ月ごろまでに発症するII型、それ以降に発症するIII型、成人期に発症するIV型に分類される(0型とIV型はまれ)。I型は、最重症で進行が速く、気管切開と人工呼吸器なしでは2歳までに90%以上が死亡するとされている。II型は、成長に伴い脊柱変形や関節拘縮がみられるようになり、やがて車いすでの生活を余儀なくされる。比較的軽症なIII型であっても、X脚や外反足などの症状がみられ、転びやすくなり、多くの患者さんで車いすが必要となるケースが多いという。発症年齢は、大部分が小児期であり、生後2ヵ月前後までに20%、2歳未満までに82.7%、16歳未満までに97%が発症することが全国調査の結果から明らかになっており、齋藤氏は、「SMAでは、小児科が診断において重要な役割を担う」と述べた。