小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:51

モデルナ製ワクチン、12~17歳に対する安全性と有効性を確認/NEJM

 mRNA-1273ワクチン(Moderna製)は、12~17歳の若年者において良好な安全性プロファイルと、若年成人(18~25歳)と同等の免疫反応を示し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防に有効であることが認められた。米国・DM Clinical ResearchのKashif Ali氏らが、mRNA-1273ワクチンの第II/III相プラセボ対照比較試験「Teen COVE試験(Teen Coronavirus Efficacy trial)」の中間解析結果を報告した。2021年4月1日~6月11日における米国12~17歳のCOVID-19発生率は、約900/10万人とされるが、若年者におけるmRNA-1273ワクチンの安全性、免疫原性および有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2021年8月11日号掲載の報告。

脊髄性筋萎縮症で初の経口治療薬エブリスディ発売/中外製薬

 中外製薬株式会社は、8月12日に乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬であるリスジプラム(商品名:エブリスディ)のドライシロップ60mgの販売を開始した。本製品はSMAで初の経口の治療薬であり、患者・患児の治療での利便性の向上が期待される。  SMAは、脊髄の運動神経細胞の変性により筋萎縮や筋力低下を示す遺伝性の神経筋疾患。乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患で、乳児期から小児期に発症するSMAの患者数は10万人あたり1~2人とされる。SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子で、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため発症する疾患。

小児に対する向精神薬の使用とリスク

 メンタルヘルスの問題と関連する自殺企図は、成人および小児において増加している。メンタルヘルスに問題を抱える患者が増加しているため、成人だけでなく小児においても向精神薬の使用が増加している。しかし、小児に対する向精神薬の使用は、潜在的な有害リスクと関連している可能性がある。米国・Le Bonheur Children's HospitalのKiley Hunter氏らは、米国中毒管理センター協会(AAPCC)の国立中毒データシステム(NPDS)に報告されたデータを用いて、小児に対する向精神薬使用の傾向とアウトカムについて、調査を行った。Clinical Toxicology誌オンライン版2021年7月1日号の報告。

リスジプラム、I型の脊髄性筋萎縮症に有効/NEJM

 I型脊髄性筋萎縮症(SMA)の乳児において、リスジプラムは歴史的対照と比較して、運動マイルストーンの達成割合が高く、運動機能が改善した乳児の割合も優れることが、米国・ハーバード大学医学大学院のBasil T. Darras氏らが行った「FIREFISH試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年7月29日号に掲載された。I型SMAは進行性の神経筋疾患で、生後6ヵ月までに発症し、特徴として、支えなしで座位を保持できない、運動神経細胞生存(SMN)蛋白の不足が認められる。リスジプラムは経口投与が可能な低分子薬で、SMN2のメッセンジャーRNA前駆体スプライシングを修飾し、血中の機能性SMN蛋白の増加をもたらすとされる。

世界の小児期ワクチン接種率、直近10年は頭打ち/Lancet

 1980~2019年の世界の小児期ワクチン接種率の動向を分析した結果、2010年以降は頭打ち、もしくは後退の情勢が明らかになったという。米国・ワシントン大学のStephen S. Lim氏ら、世界の疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study[GBD])2020共同研究グループが、世界や地域、各国における小児期予防接種実施率についてシステマティックに分析し報告した。Lancet誌オンライン版2021年7月15日号掲載の報告。  研究グループは、1980~2019年の国、コホート、実施年、ワクチンの種類、ワクチン投与量の別に、5万5,326のルーチン小児期予防接種の実施データを集めて解析した。時空間ガウス過程回帰モデルを用いて、同期間の204の国と地域における、実施場所・年別の11ルーチン小児期予防接種の実施率を推算した。国が報告したデータは、在庫切れや供給停止の報告に基づき補正を行った。

日本において複数のADHD治療薬を投与された小児患者の特徴

 注意欠如多動症(ADHD)は、多動性、衝動性および/または不注意の症状を呈す疾患である。日本で使用可能なADHD治療薬は、欧米諸国に比べ限られている。また、日本の臨床現場では、処方状況の評価が十分に行われていない。東京医科歯科大学の佐々木 祥乃氏らは、日本の臨床現場におけるADHD治療薬の現在の使用状況と複数のADHD治療薬を投与された患者の特徴について、調査を行った。PLOS ONE誌2021年6月3日号の報告。  対象は、2015年4月~2020年3月に国立国際医療研究センター国府台病院の児童精神科を受診した患者。メチルフェニデート徐放剤、アトモキセチン、グアンファシンを投与した患者を調査した。複数のADHD治療薬を投与された患者の特徴を評価するため、レトロスペクティブケースコントロールデザインを用いた。3つのADHD治療薬を投与された患者は、症例群として定義した。ADHDと診断された患者と年齢、性別が一致するランダムサンプリング患者を対照群として用いた。子供から親への暴力、反社会的行動、自殺企図または自傷行為、虐待歴、登校拒否、2つの心理的評価尺度(ADHD評価尺度、東京自閉行動尺度)のデータを比較した。

ニルセビマブがRSウイルスの高リスク乳児に有効/第II/III相MEDLEY試験

 アストラゼネカは、RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)感染の高リスク乳児を対象にニルセビマブの安全性と忍容性を評価した第II/III相のMEDLEY試験において、良好な結果を示したことを7月8日付けのプレスリリースで発表した。  ニルセビマブはアストラゼネカとサノフィにより開発中のアストラゼネカ独自の半減期延長(YTE)技術を用いた長時間作用型抗体。乳幼児に直接免疫を与え、RSウイルスに対する感染予防効果を発揮させる可能性がある。

日本での既感染者は現在何%?コロナの“今”11知識/厚労省

 9日、厚労省は「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2021年7月版)」を公表した。これは、COVID-19に関する現在の状況とこれまでに得られた科学的知見について、新たに11の知識としてQ&A形式でとりまとめたもの。主に、感染者数・病原性、感染性、検査・治療、変異株について示されている。以下に一部を抜粋して紹介する。 Q1.わが国では、どれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。 A.これまでに79万6,835人が新型コロナウイルス感染症と診断されており、これは全人口の約0.6%に相当します。※感染していても症状が現れず医療機関を受診しない人などがいるため、必ずしも感染した人すべてを表す人数ではありません。 ・Q2.新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。  A.重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下しており、2020年6月以降に診断された人の中では、重症化する人の割合は約1.6%(50代以下で0.3%、60代以上で8.5%)、死亡する人の割合は約1.0%(50代以下で0.06%、60代以上で5.7%)となっています。

日本のワクチン忌避者は11%、若年女性は高齢男性の3倍に

 2021年6月25日、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は、日本初の新型コロナワクチン忌避に関する大規模オンライン調査の結果を発表した。  この調査は、NCNPトランスレーショナル・メディカルセンター大久保 亮氏、福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター吉岡 貴史氏、大阪市立大学大学院公衆衛生学大藤 さとこ氏、聖路加国際病院松尾 貴公氏、大阪国際がん研究センター田淵 貴大氏らの合同研究チームが行ったもので、結果はVaccines誌2021年6月号に掲載された。  研究チームは、2021年2月8〜26日に日本全国から2万6,000人を対象にワクチン接種の意向に関するオンライン調査を実施した(有効回答数は2万3,142人)。

小児および青年期のうつ病に対する新規抗うつ薬~ネットワークメタ解析

 小児および青年期のうつ病は、教育や仕事の成果、対人関係、身体的健康、メンタルヘルス、ウェルビーイングなどに重大な影響を及ぼす。また、うつ病は自殺念慮、自殺企図、自殺との関連がある。中等度~重度のうつ病には抗うつ薬が使用されるが、現在さまざまな新規抗うつ薬が使用されている。ニュージーランド・オークランド大学のSarah E. Hetrick氏らは、抑うつ症状、機能、自殺に関連するアウトカム、有害事象の観点から、小児および青年期のうつ病に対する新規抗うつ薬の有効性および安全性を比較するため、ネットワークメタ解析を実施し、年齢、治療期間、ベースライン時の重症度、製薬業界からの資金提供が臨床医によるうつ病評価(CDRS-R)および自殺関連アウトカムに及ぼす影響を調査した。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2021年5月24日号の報告。