韓国・Severance HospitalのByoung-Uk Kim氏らは、6~17歳のアジア人小児期自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対するアリピプラゾールの長期的な改善効果と安全性を評価するため、本研究を実施した。その結果、アリピプラゾールは、小児期自閉スペクトラム症患者の問題行動や適応機能を改善し、その効果は治療開始から1年近くまで持続しており、忍容性も良好であることを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌2022年9月号の報告。
自閉スペクトラム症患者に対する12週間のアリピプラゾール治療の有効性および安全性を評価した先行研究の後に、52週間の非盲検フレキシブルドーズ(2~15mg/日)による延長試験を実施した。有効性の評価には、異常行動チェックリスト(ABC)、臨床全般印象度(CGI)、子供のYale-Brown強迫尺度(CY-BOCS)、Vineland適応行動尺度(VABS)、PSI育児ストレスインデックスショートフォーム(PSI-SF)を用いた。安全性および忍容性の評価には、有害事象、バイタルサイン、心電図検査、臨床検査、体重、錐体外路症状(EPS)を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・52週間の治療期間中に、ABC、CGI、CY-BOCS、VABS、PSI-SFのスコアを含むすべての有効性の改善が認められた。
・安全性では、治療による有害事象(TEAE)を経験した患者の割合は、58.62%(58例中34例、75件)であった。
・最も一般的なTEAEは、鼻咽頭炎20.69%(58例中15例)であり、発生率10%以上のTEAEは体重増加(18.97%、58例中11例)であった。
・薬剤性副作用は27.59%(58例中16例、28件)で認められ、体重増加(15.52%、58例中9例)が最も多かった。
・重篤な有害事象の発生率は5.17%(58例中3例、3件)で認められた。発現した骨端線離開、発作、自殺企図は、薬剤性の副作用ではなかった。
・EPSの評価においては、臨床的に有意な変化は観察されなかった。
(鷹野 敦夫)