精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:106

産後うつ病と母乳育児との関連~メタ解析

 産後うつ病に対する母乳育児の影響については、あまり知られていない。また、産後うつ病のマネジメントにおいて、母乳育児の役割に関連するガイドラインは作成されていない。中国・Taizhou UniversityのMengjie Xia氏らは、産後うつ病と母乳育児との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、母乳育児が産後うつ病リスクの低下に寄与することが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年4月20日号の報告。  産後うつ病と母乳育児との関連について報告した研究をPubMed、Cochrane Library、EMBASE(~2021年12月)より検索した。プールされたオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。

片頭痛と胃腸疾患との関係

 片頭痛は世界中に蔓延している疾患であり、最近の研究によると、胃腸疾患患者において片頭痛の発症率が増加しているとされている。また、前臨床でのエビデンスでは、消化管神経系と脳腸軸などの中枢神経系との双方向性の関係が示唆されている。韓国・同徳女子大学校のJemin Kim氏らは、主要な胃腸疾患と片頭痛との関連を明らかにするため、検討を行った。その結果、胃腸疾患と片頭痛との間に統計学的に有意な関連が認められ、この関連は胃腸疾患の数が多い患者や、片頭痛の予防と急性期治療の両方で片頭痛治療薬を使用している患者において、強い相関が認められることが報告された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年3月28日号の報告。

統合失調症患者の入院率減少に対するセンサー付き錠剤の可能性

 統合失調症患者の精神科病棟への入院は、経済的な負担を引き起こす。そのため、服薬アドヒアランスは重要な因子であるが、依然として難しい問題である。米国・Hassman Research InstituteのElan A. Cohen氏らは、センサー付きアリピプラゾール錠(システムに摂取可能なセンサー、シグナル検出用パッチ、スマートフォンアプリを含む)が、標準的な経口抗精神病薬と比較し、精神科入院数の減少に寄与するかを評価した。その結果、センサー付きアリピプラゾール錠は、標準的な経口抗精神病薬と比較し、軽度から中等度の成人統合失調症患者の精神科入院率を低下させることが示された。本システムにより、統合失調症患者の薬物摂取の支援および症状改善を通じて、急性期治療の必要性を減少させることが期待される。The Journal of Clinical Psychiatry誌2022年4月11日号の報告。

長期的な体重変化とその後の認知症リスク

 中高年期の体重減少は、その後の認知症リスクの上昇と関連しているといわれている。しかし、多くの研究では、身体的フレイル(PF)の潜在的な影響について検討が不十分であり、フォローアップ期間が限られているか、対照が最適化されていないなどの問題がある。中国・浙江大学のJie Shen氏らは、米国の中年期成人および高齢者の体重変化と認知症リスクとの長期的および時間的な関係を調査するため、検討を行った。その結果、中年期成人および高齢者の認知症リスクと体重減少との関連が認められた。この関連は、PFの状態とは無関係であり、最近の体重減少だけでなく、10年以上前の体重減少との関連が確認された。The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌オンライン版2022年4月14日号の報告。

米国における双極性障害の治療パターン

 双極性障害は慢性的かつ複雑な疾患であるため、治療が困難なケースも少なくない。米国・テキサス工科大学のRakesh Jain氏らは、双極性障害患者に対する治療パターンを明らかにするため、レトロスペクティブ研究を実施した。その結果、抗うつ薬やベンゾジアゼピンは、フロントライン治療としての使用はガイドラインで推奨されていないにもかかわらず、双極性障害に対し高頻度で処方されていることが明らかとなった。本結果は、双極性障害のケアにおける異質性を強調しており、多くの臨床医がエビデンスに基づく双極性障害治療を実践していないことを示唆している。Advances in Therapy誌オンライン版2022年4月6日号の報告。

抗精神病薬の多剤併用から単剤療法に切り替え後の再発率と精神症状への影響

 抗精神病薬の多剤併用療法について、支持するエビデンスはほとんどなく、安全性や副作用に対する懸念が存在する。それにもかかわらず、多剤併用療法は、統合失調症の長期入院患者に対し一般的に行われている。オランダ・マーストリヒト大学のMushde Shakir氏らは、第1世代抗精神病薬(FGA)および第2世代抗精神病薬(SGA)の併用療法からいずれかの単剤療法への切り替えが及ぼす、再発率および精神症状への影響を検討した。その結果、統合失調症の長期入院患者においてFGAとSGAの併用療法から単剤療法へ切り替えた場合、再発率は増加することなく、逆に減少することが示唆された。Schizophrenia Research誌オンライン版2022年4月6日号の報告。

統合失調症患者の併存疾患~リアルワールドデータ分析

 米国において統合失調症の影響は320万人超に及ぶとされる。しかし、統合失調症の併存疾患パターンは、リアルワールドでシステマティックに検証されていない。米国・ハーバード大学のChenyue Lu氏らはこの課題を解決するため、米国の健康保険データセットの8,600万例の患者コホートを用いた観察研究を実施した。その結果、統合失調症患者の既知の併存疾患だけでなく、これまであまり知られていなかった併存疾患パターンも特定された。Translational Psychiatry誌2022年4月11日号の報告。

米国のうつ病/物質使用障害成人の喫煙率が有意に低下/JAMA

 大うつ病エピソード(MDE)、物質使用障害(SUD)、あるいはその両方を抱えた米国成人の自己申告による喫煙率は、2006年から2019年にかけて有意に低下している。米国・国立衛生研究所(NIH)のBeth Han氏らが、探索的順次横断研究の結果を報告した。米国における予防可能な疾病・障害・死亡原因である喫煙は、減少傾向にある。しかし、精神疾患患者では喫煙率が高く、2014年までのデータを用いた研究において一般集団でみられた喫煙率低下は、精神疾患患者では観察されなかったことが示されていた。著者は、「精神疾患患者の喫煙率をさらに低下させるため、継続的な取り組みが必要である」とまとめている。JAMA誌2022年4月26日号掲載の報告。

日本人高齢者における野菜・果物の摂取と認知症リスク~久山町研究

 これまで、欧米で行われていたプロスペクティブ研究では、野菜や果物の摂取が認知症リスクを低下させることが示唆されている。しかし、アジア人を対象とした疫学的なエビデンスは限られていた。九州大学の木村 安美氏らは、日本人コミュニティにおける野菜や果物およびそれらの栄養素の摂取と認知症発症リスクと認知症サブタイプとの関連について調査を行った。その結果、野菜とその構成栄養素の摂取量が多いほど、日本人高齢者の認知症リスクが低下することを報告した。BMC Geriatrics誌2022年3月28日号の報告。

中年期の生活環境とその後のうつ病との関連

 大阪大学の小川 憲人氏らは、一般集団における生活環境と精神科医によるうつ病診断との縦断的関連について、調査を行った。その結果、子供と一緒に暮らすことで、男性ではうつ病リスクの低下が認められ、うつ病予防における子供の影響が示唆された。Translational Psychiatry誌2022年4月11日号の報告。  1990年、多目的コホート研究(JPHC Study)において、40~59歳の日本人男性および女性1,254人が登録され、生活環境についてのアンケート調査に回答した。その後、2014~15年にメンタルヘルス検診を実施した。うつ病の診断は、十分な経験を積んだ精神科認定医による診察を通じて評価した。