呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:101

ワクチン3回目、異種・同種接種での有効性~メタ解析/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのあらゆるプライマリ接種におけるブースター接種にはmRNAワクチンが推奨されること、異種・同種ワクチンの接種を問わず3回接種レジメンが、種々の変異株のCOVID-19予防に比較的有効であることを、中国・香港大学のWing Ying Au氏らが、システマティック・レビューとネットワークメタ解析の結果、報告した。ただし、3回接種レジメンのCOVID-19関連死への有効性については不明なままだったとしている。BMJ誌2022年5月31日号掲載の報告。  研究グループは、ブースター接種の有無を含む異種・同種COVID-19ワクチンレジメンのCOVID-19感染、入院および死亡に対する予防効果を評価するシステマティック・レビューとネットワークメタ解析を行った。  世界保健機関(WHO)の38のCOVID-19データベースについて、2022年3月から毎週検索を行う方法(Living systematic review)にて、COVID-19ワクチンの同種または異種レジメンの有効性について評価した試験を抽出した。ブースター接種の有無は問わなかった。

ワクチン忌避に対抗できるか?植物由来の新しいコロナワクチン(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

新型コロナウイルスに対するまったく新しいタイプのワクチンの効果がNEJM誌に報告された。本研究で検討された「植物由来ワクチンCoVLP+AS03」は、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)という植物内でコロナウイルスのスパイクタンパクを発現し、コロナ様粒子(CoVLP)とアジュバント(AS03)を組み合わせた新しいタイプのワクチンである。本研究は、過去にコロナワクチン接種歴のない方で18歳以上の約2万4,000例が今回の接種対象となっている。1:1でワクチン接種群とプラセボ群に割り付けられ、コロナ感染が確認された165例での解析がなされている。結果は症候性コロナ発症に対する有効性は69.5%、中等症~重症コロナ発症に対する有効性は78.8%と比較的高い効果を示していることがわかる。90%以上の発症予防効果を誇る従来のmRNAワクチンと比較すると、この植物由来ワクチンCoVLP+AS03は数字上ではやや劣るように感じる。ただ、2つのワクチンを比較検討したわけではなく、研究が行われた時期や背景、患者群が異なるので一概に効果の違いはわからない。特筆すべきはワクチン接種群で重症例は認められなかったことと、コロナ診断時にプラセボ群はワクチン接種群に比べてウイルス量が100倍以上高かったことも、重要なポイントと考えることができる。副反応は、局所的な有害事象(92.3% vs.45.5%)も全身的な有害事象(87.3% vs.65.0%)もワクチン接種群の頻度が高かったことは理解可能であるが、Grade4や5の有害事象の報告は認められなかったことは評価される。

ビレーズトリとビベスピの120吸入製剤を発売/AZ

 アストラゼネカは、2022年6月6日、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療配合剤「ビレーズトリエアロスフィア120吸入」(一般名:ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)と「ビベスピエアロスフィア120吸入」(一般名:グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)の販売を同日より開始したと発表。  両製品における120吸入製剤のニーズは高く、それに応える形で追加発売となった。これにより、1つの吸入器で1ヵ月分の投薬が可能となる。

コロナ罹患後症状、中年者に多い/厚労省アドバイザリーボード

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、6月1日に第86回の会議を開催し、その中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延症状に関する研究2題が報告された。中等症以上の患者を対象とした研究では、退院後12ヵ月後でも13.6%の対象者に何らかの罹患後症状が存在していた。  また、もう一方の長期合併症の実態把握と病態生理解明の研究では、12ヵ月後でも疲労感、呼吸困難、筋力低下、集中力低下などの症状が続いていた。

F1CDx 、非小細胞肺がんと悪性黒色腫の4薬剤のコンパニオン診断追加承認/中外

 中外製薬は2022年6月3日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」について、チロシンキナーゼ阻害薬ダコミチニブ(製品名:ビジンプロ)およびブリグチニブ(製品名:アルンブリグ)の非小細胞肺がん、ならびにBRAF阻害薬エンコラフェニブ「(製品名:ビラフトビ)およびMEK阻害薬ビニメチニブ(製品名:メクトビ)の悪性黒色腫の適応に対するコンパニオン診断として、6月2日に厚生労働省より承認を取得した。

コロナワクチン3回接種者は感染しても他人にうつしにくい!?

 新型コロナウイルスのブレークスルー感染が新型コロナの蔓延に大きく寄与する可能性があるかどうかについてのデータは限られている。そこで、韓国・ウルサン大学のJiwon Jung氏らは新型コロナワクチンの3回接種を終えた完全接種者(ブレークスルー感染群)と1~2回接種の部分的接種/未接種者(非ブレークスルー感染群)の新型コロナの他人へ感染を広げる(2次感染)割合やウイルス排出動態に関するコホート研究を実施した。その結果、 初期のゲノムウイルス量はワクチン接種者とワクチン未接種者の間で類似していたが、完全接種者のブレークスルー感染群では、部分的接種者/ワクチン未接種者よりも生存可能なウイルスの排出期間が短く、2次感染率が低いことが示された。JAMA Network Open誌2022年5月2日号掲載の報告。

有害事象報告のための可視化への動きが始まった(解説:折笠秀樹氏)

臨床試験の有害事象はおよそ、群ごとに各事象の頻度と割合を示しているだけです。最後の表で示されていることが多いので、しっかり見ている人は少ないかもしれません。もっと注目してもらおうと、可視化(Visualization)への動きが高まっています。英国の大学に所属する統計家を主に、コンセンサス会議が行われました。28種類の可視化を検討して、その中で10個を推奨することになったようです。その多くはよく知られたものでした。棒グラフ、帯グラフ、折れ線グラフ、散布図、ドット・プロット、カプラン・マイヤープロットはよく見掛けます。それ以外にバイオリン・プロットとカーネル密度プロットが推奨されましたが、最近医学雑誌で見掛けたことがあります。統計ソフトのStata、R、SASなどでも描けるようになったみたいです。

コロナ罹患後症状を大規模調査、成人の2割以上が発症/CDC

 米国疾病対策センター(CDC)が実施したコロナ罹患後症状(post-COVID、いわゆる後遺症)についての約200万人の大規模調査によると、急性肺塞栓症や呼吸器症状の発症リスクが2倍となり、18~64歳の5人に1人、65歳以上の4人に1人が、コロナ罹患後症状と考えられる症状を1つ以上発症しているという。研究結果は、CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年5月27日号に掲載されている。

コロナ感染率、ワクチン2回接種vs.感染後1回接種/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染歴がある人では、ワクチン接種の有無や感染前後での接種にかかわらず、再感染予防効果は最後の免疫獲得イベントからの経過時間が長くなるほど低下したが、この予防効果は、未感染でワクチンを2回接種し同じ時間が経過した場合での予防効果より高く、感染後のワクチン1回接種は再感染予防効果を増強することが、イスラエル・テクニオン-イスラエル工科大学のYair Goldberg氏らの研究で示された。SARS-CoV-2感染は、再感染に対する自然免疫を獲得することが知られる。最近の研究では、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)による免疫効果の減衰が示されたが、自然免疫ならびに感染後のワクチン接種で得られるハイブリッド免疫の減衰に関しては不明であった。NEJM誌オンライン版2022年5月25日号掲載の報告。

4回目のコロナワクチン、感染予防の持続期間は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の4回接種は、3回接種と比較して新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染予防とCOVID-19重症化予防の両方の有効性が認められたが、感染予防効果は比較的早期に減弱することが示唆された。イスラエル・Maccabi Healthcare ServicesのSivan Gazit氏らが、後ろ向き診断陰性デザインによる症例対照研究の結果を報告した。BMJ誌2022年5月24日号掲載の報告。  研究グループは、イスラエルの健康保険組織Maccabi Healthcare Services(MHS、250万人が加入)のデータベースを用い、同国でオミクロン株が優勢であった2022年1月10日(初めて4回目接種が行われた日の7日後)から2022年3月13日までのデータを解析した。  解析対象は、SARS-CoV-2感染歴がなく2022年1月3日から4回目接種を受ける資格を有していた(すなわち、3回目接種から4ヵ月以上経過)60歳以上のMHS会員で、追跡期間中に少なくとも1回のPCR検査を受けた9万7,499例であった。COVID-19の既往歴を完全に把握できない可能性のある2020年3月以降にMHSに加入した人は除外された。