高齢者への2価RSVワクチン、入院/救急外来受診リスクを低減

提供元:ケアネット

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公開日:2024/12/31

 

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価融合前F蛋白ベース(RSVpreF)ワクチンは、60歳以上の高齢者においてRSV関連下気道疾患による入院および救急外来の受診リスクを低減させたことを、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア病院のSara Y. Tartof氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2024年12月13日号掲載の報告。

 RSV感染症は主に幼児・小児の感染症とされているが、高齢者が感染すると重大な転機に至ることがある。しかし、臨床試験では75歳以上の高齢者や併存疾患を有する患者に対する有効性、さらにRSV関連下気道疾患による入院や救急外来受診の予防効果は十分に明らかになっていない。そこで研究グループは、高齢者におけるRSVpreFワクチンの有効性を評価するために後ろ向き症例対照研究を行った。対象は、2023年11月24日~2024年4月9日にカイザーパーマネンテ南カリフォルニア病院に下気道疾患で入院または救急外来を受診してRSV検査を受けた60歳以上の患者であった。

 下気道疾患に罹患する21日以上前にRSVpreFワクチンを接種した患者はワクチン接種済みとみなし、RSVpreFワクチンではないRSVワクチンの接種者は除外された。対照は、2つの定義が事前に規定された。
(1)厳密な対照群:RSV陰性、ヒトメタニューモウイルス陰性、SARS-CoV-2陰性、インフルエンザ陰性で、ワクチンで予防できない原因による下気道疾患
(2)広範な対照群:RSV陰性のすべての下気道疾患

 主な結果は以下のとおり。

・解析には、RSV検査結果のある7,047例の入院または救急外来受診患者が含まれた。平均年齢は76.8(SD 9.6)歳、女性は3,819例(54.2%)、免疫不全は998例(14.2%)、併存疾患を1つ以上有していたのは6,573例(93.3%)であった。最も多い診断は肺炎であった。
・RSV陽性は623例(8.8%)であった。RSV陰性(=広範な対照群)は6,424例(91.2%)で、そのうち厳密な対照群に該当するのは804例であった。
・RSVpreFワクチンを接種していたのは、全体では3.2%で、RSV陽性群は0.3%(2例)、厳密な対照群は3.6%(29例)、広範な対照群は3.4%(221例)であった。
・RSV陽性群と厳密な対照群を比較した解析では、調整後のワクチンの有効性は91%(95%信頼区間[CI]:59~98)と推定された。
・RSV陽性群と広範な対照群を比較した解析では、調整後のワクチンの有効性は90%(95%CI:59~97)と推定された。
・重度の下気道疾患による入院および救急外来受診に対する調整後のワクチンの有効性は89%(95%CI:13~99)と推定された。

 これらの結果より、研究グループは「RSVpreFワクチン接種は、60歳以上の成人(大部分は75歳以上で合併症を有する)において、RSV関連下気道疾患による入院および救急外来受診に対する予防効果を示した。これらのデータは、高齢者におけるRSVpreFワクチンの使用を支持するものである」とまとめた。

(ケアネット 森)