外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:136

GLP-1アナログ製剤で乳がんリスクは増大するか/BMJ

 英国のプライマリケアデータベースを用いたコホート研究の結果、GLP-1アナログ製剤の使用と乳がんリスク上昇との関連性は確認されなかった。カナダ・Jewish General HospitalのBlanaid M Hicks氏らが、2型糖尿病患者の乳がん発症リスクとDPP-4阻害薬あるいはGLP-1アナログ製剤の使用との関連を解析し、報告したもの。GLP-1アナログ製剤のリラグルチドでは、無作為化試験においてプラセボと比較し乳がん発症が多くみられたことが報告されていたが、この安全性について分析する観察研究は、これまでなかった。著者は、「検討では、使用期間2~3年ではリスク上昇が観察されたが、GLP-1アナログ製剤使用患者の乳がん検出率が一時的に増加したためと考えられる。ただし、発がんプロモーターの影響を排除することはできない」と述べている。BMJ誌2016年10月20日号掲載の報告。

腹壁瘢痕ヘルニア修復術の予後、メッシュ vs.非メッシュ/JAMA

 腹壁瘢痕ヘルニアの治療では、メッシュを使用した修復術はこれを使用しない修復術に比べ、5年時までの再手術のリスクが有意に低いが、このメッシュのベネフィットは、長期的には関連合併症によって部分的に相殺されることが、デンマーク・ジーランド大学病院のDunja Kokotovic氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2016年10月17日号に掲載された。メッシュは、ヘルニアの再発リスクを低減すると考えられ、修復術の補助として一般に用いられているが、メッシュ留置に伴う長期的な合併症の発生状況は知られていないという。

乳がん検診へのマンモグラフィ導入の効果/NEJM

 マンモグラフィによる乳がん検診導入後、大きな腫瘍の検出率が低下する一方で小さな腫瘍の検出率は増加し、腫瘍径分布としては好ましいものとなった。しかしこれは、小さな腫瘍が追加で多く発見されたことによるものであることが、米国・Dartmouth Institute for Health Policy and Clinical PracticeのH. Gilbert Welch氏らの検討で明らかにされた。著者は、「大きくなる可能性のある腫瘍が早期発見されることよりも、乳がんと過剰診断される可能性のほうがより増えたようだ」とまとめている。なお、マンモグラフィ検診導入後の乳がん死亡率の低下は、主に全身治療の進歩によることも示唆されたという。NEJM誌2016年10月13日号掲載の報告。

HR+/HER2-乳がん、ribociclib+レトロゾールでPFS延長/NEJM

 ホルモン受容体(HR)陽性でHER2陰性の閉経後女性の進行乳がんに対して、初回全身治療として、選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害薬ribociclibとレトロゾールの併用が、レトロゾール単剤に比べて無増悪生存期間を延長することが報告された。米国・テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターのGabriel N Hortobagyi氏らが、668例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、発表したもので、NEJM誌オンライン版2016年10月7日号に掲載された。

CYP2D6阻害SSRI、タモキシフェンの有効性を低下せず/BMJ

 タモキシフェンと選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用において、CYP2D6を強力に阻害するSSRIのパロキセチンまたはfluoxetineは、他のSSRIと比較し死亡リスクを増加させないことが確認された。米国ハーバード・メディカル・スクールのMacarius M Donneyong氏らが、5つの国内医療保険データベースを用いたコホート研究の結果、明らかにした。乳がん女性の半数近くはうつ病や不安症を抱えており、タモキシフェンを使用している女性の約4分の1はSSRI薬を服用しているという。タモキシフェンはCYP2D6によって代謝され活性型となるため、CYP2D6の強力な阻害作用を持つSSRI薬との併用は、理論上、活性代謝物が減少し有効性が低下する可能性が示唆されていた。BMJ誌2016年9月30日号掲載の報告。

がん登録データ活用し、がん患者の人口動態変化を予測~神奈川県

 団塊の世代の高齢化に伴い、がん患者の人口動態も大きく変わることが予想されており、それに対応できる専門医の配置などを含めた医療体制を整えていくことが求められている。とくに、首都圏近郊にはおよそ200万人の団塊の世代が居住しているといわれており、がん患者の地域分布は大きく変化していく可能性があると考えられている中で、乳がん患者データから将来のがん患者の人口動態変化を予測した、神奈川県立がんセンターの片山 佳代子氏らによる研究結果がPLOS ONE誌2016年8月17日号に発表された。

日本初のDOAC特異的中和剤イダルシズマブ、承認取得

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は、2016年9月28日、直接トロンビン阻害剤ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の特異的中和剤であるイダルシズマブ(遺伝子組換え)(商品名:プリズバインド)の製造販売承認を取得したことを発表した。直接トロンビン阻害剤やXa因子阻害剤などの直接作用型経口抗凝固薬(DOAC:Direct oral anticoagulant)に対する特異的中和剤の製造販売承認取得は日本初である。なお、米国と欧州では昨年、承認を取得している。

がん患者の損傷リスクは診断の全過程で予防対策を/BMJ

 がん患者では、医原性損傷(iatrogenic injuries)および非医原性損傷(non-iatrogenic injuries)のリスクが、診断後だけでなく、診断前から上昇しており、診断の全過程を通じて予防対策を講じる必要があることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のQing Shen氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌オンライン版2016年8月31日号に掲載された。大腸がん、前立腺がん、乳がんの患者では、医原性損傷による死亡の増加を認め、がん患者における非医原性損傷のリスク上昇も知られている。これまでに、がんの診断後や治療後の損傷のリスクは検討されているが、診断前のリスクの評価は行われておらず、本試験はがんの診断的検査による医学的合併症の疾病負担を総合的に検討した初めての研究だという。

早期乳がんの遺伝子診断で過剰な術後化療を回避/NEJM

 遺伝子診断の導入により、臨床リスクが高い乳がん患者の半数近くが、術後の化学療法は不要と判定され、毒性を伴う化学療法による過剰治療の回避につながる可能性があることが、ポルトガル・Champalimaud臨床センターのFatima Cardoso氏らが行ったMINDACT試験で示された。研究の成果はNEJM誌2016年8月25日号に掲載された。早期乳がん患者への術後補助療法の適用は、腫瘍および患者の特性に基づく臨床リスクで決定される。これらの特性を判定する診断ツールのアルゴリズムは、個々の患者の腫瘍の生物学的特性を考慮していないため、多くの患者が過剰治療となり、効果のない治療による毒性のリスクに曝されている可能性があるという。70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)は、早期乳がん女性の臨床アウトカムの予測を改善することが示されている。