糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:37

米国で糖尿病のある妊婦の割合が5年で27%増

 米国では糖尿病のある妊婦が増加していることを示すデータが、米疾病対策センター(CDC)発行の「National Vital Statistics Reports」5月31日号に掲載された。過去5年の間に、糖尿病のある妊婦の割合は27%上昇したという。理由として、肥満者と高齢出産の増加が考えられるとのことだ。CDC傘下の国立健康統計センター(NCHS)のElizabeth Gregory氏らの研究によるもの。  Gregory氏らは、出生証明書を用いて2016~2021年に米国内で出生した全ての新生児を把握し、その母親の医療データを収集。妊娠前から存在していた糖尿病(prepregnancy diabetes mellitus;PDM)の有病率の推移を検討した。その結果、PDM症例数は2016年の3万3,829人から2021年には3万9,736人へと17%増加していた。これを出生1,000人当たりで比較すると、2016年が8.6人、2021年は10.9人であり、27%増となる。

妊婦の親子関係の不良は妊娠中高血糖の予測因子

 両親との親子関係にあまり満足していない妊婦は、妊娠中に高血糖を来すリスクが高いというデータが報告された。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Pregnancy and Childbirth」に4月4日掲載された。藤原氏は、「妊婦健診の際に親子関係を尋ねることが、妊娠中高血糖のリスク評価に役立つのではないか」と述べている。  妊娠中に血糖値の高い状態が続いていると、難産や巨大児出産などのリスクが高くなるため、妊娠中の積極的な血糖管理を要する。また、妊娠以前から糖代謝異常のリスク因子を有する女性は、妊娠糖尿病などの妊娠中高血糖(HIP)のリスクが高く、その糖代謝異常のリスク因子の一つとして、子ども期の逆境体験(ACE)が挙げられる。そのためACEのある女性は、HIPになりやすい可能性がある。とはいえ、妊婦健診などにおいて全妊婦のACEの有無を把握することは現実的でない。

スタチン、ゾコーバなど、重大な副作用追加で添付文書改訂/厚労省

 厚生労働省は7月20日、HMG-CoA還元酵素阻害薬を含有する医薬品(スタチン)、エンシトレルビルなどの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。  国内副作用症例において、スタチンと重症筋無力症との因果関係が否定できない症例が認められた。また、公表文献において、スタチンの再投与で重症筋無力症の症状が再発した症例、スタチンの中止で重症筋無力症の症状が消失した症例など、スタチンと重症筋無力症との因果関係が否定できない症例が報告されていることを踏まえ、改訂が適切と判断された。

GLP-1RAの上乗せが糖尿病患者のMACE、心不全リスクの低下と関連

 糖尿病患者に対する心血管疾患一次予防目的での血糖降下薬の上乗せにおいて、DPP4阻害薬(DPP4i)に対するGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の優位性を示唆するデータが報告された。米退役軍人省テネシーバレー・ヘルスケアシステム高齢者研究教育臨床センターのTadarro L. Richardson Jr.氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に5月9日掲載された。主要心血管イベント(MACE)と心不全の発症率に有意差が認められたという。

1日の後半の断食で血糖コントロール改善?

 近年、断続的断食のメリットを示唆する報告が増え、それを実践する人も増えているが、1日の中で早めの時間帯に大半の食事を済ますことが、2型糖尿病の予防につながる可能性が新たに報告された。米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのJoanne Bruno氏らの研究によるもので、米国内分泌学会(ENDO2023、6月15~18日、シカゴ)で発表された。  この研究には、肥満で前糖尿病状態の10人が参加した。前糖尿病とは、血糖値が基準値より高いものの、糖尿病と診断されるほどではない状態を指し、肥満とともに2型糖尿病のリスク因子とされている。

週1回の持効型insulin icodecの第IIIa相試験結果(ONWARDS 3)/JAMA

 インスリン製剤による治療歴のない2型糖尿病患者において、insulin icodecの週1回投与はインスリン デグルデクの1日1回投与と比較して、HbA1cの低下が有意に優れ、その一方で体重の変化には差がないことが、米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのIldiko Lingvay氏らが実施した「ONWARDS 3試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年6月24日号で報告された。  ONWARDS 3試験は、目標達成に向けた治療(treat-to-target)を行う無作為化ダブルマスク・ダブルダミー・実薬対照第IIIa相非劣性試験であり、2021年3月~2022年6月の期間に11ヵ国92の施設で実施された(Novo Nordisk A/Sの助成を受けた)。  対象は、インスリン製剤による治療歴がなく、インスリン製剤以外の血糖降下薬による治療を受けており、HbA1cが7~11%(53~97mmol/mol)の2型糖尿病の成人患者であった。

GIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬retatrutideの有効性・安全性/Lancet

 2型糖尿病患者の治療において、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、グルカゴンの3つの受容体の作動活性を有する新規単一ペプチドretatrutideは、プラセボと比較して、血糖コントロールについて有意かつ臨床的に意義のある改善を示すとともに、頑健な体重減少をもたらし、安全性プロファイルはGLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬とほぼ同様であることが、米国・Velocity Clinical Research at Medical CityのJulio Rosenstock氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年6月26日号で報告された。

男性機能の維持にも、テストステロン増加に最適な運動/日本抗加齢医学会

 いくつになっても男性機能を維持させたい、死亡リスクを減らしたい、というのは多くの男性の願いではないだろうか―。「老若男女の抗加齢 from womb to tomb」をテーマに掲げ、第23回日本抗加齢医学会総会が6月9~11日に開催された。そのシンポジウムにて前田 清司氏(早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授)が『有酸素運動とテストステロン』と題し、肥満者のテストステロン増加につながる方法、男性機能を維持するのに適した運動について紹介した。  近年、国内の死因別死亡数では心血管疾患や脳血管疾患が上位に上っているが、肥満者(BMI≧25)が増加することでこの死因が押し上げられることが示唆されている1)。そのため、肥満者を減らせば心・脳血管疾患も減少傾向に転じる可能性がある。

米国では過去20年間で代謝的に健康な肥満が増加

 米国では過去20年間で、代謝的に健康な肥満(metabolically healthy obesity;MHO)の有病率が有意に上昇していることが明らかになった。代謝関連指標別に見た場合には、肥満者の高TG血症や低HDL-C血症が有意に減少しているのに対して、空腹時血糖高値者の割合は有意な上昇傾向が認められるという。  MHOの有病率に関してはこれまでに複数の研究が報告されてきているが、結果に一貫性が見られない。一貫性の欠如は、MHOの定義が定まっていないことに起因すると考えられる。具体的には近年、MHOをより厳格に定義付けるようになってきた。これは、肥満者では心血管疾患リスク因子をわずかでも有する場合にはイベントリスクが上昇するという知見に基づく変化。

糖尿病発症年齢が若いほど認知症リスクが高い

 前糖尿病は認知症リスクが高いものの、糖尿病への移行を防ぐことができれば、認知症リスクの上昇を抑えることができる可能性を示すデータが報告された。また、より若い年齢で糖尿病に移行した場合は、認知症リスクがより高くなることも示された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学大学院のMichael Fang氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に5月24日掲載された。  前糖尿病は、血糖値が基準値よりは高いものの、糖尿病の診断基準は満たしていない状態のことで、月日の経過とともに糖尿病に移行しやすい。前糖尿病では肥満などの影響のために、血糖値を下げるホルモンであるインスリンに対する感受性が低下する「インスリン抵抗性」を生じていることが多い。