糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:37

2型糖尿病患者の7割は不適切な食習慣が関与して発症

 2018年の1年間で、世界で新たに2010万人が2型糖尿病を発症し、その7割は、不適切な食習慣が関与して発症した患者だとする報告が、「Nature Medicine」に4月17日掲載された。米タフツ大学のDariush Mozaffarian氏らの研究によるもの。不適切な食習慣とは、全粒穀物の不足、精製穀物や加工肉の取りすぎだという。Mozaffarian氏は、「われわれの研究結果によって、糖尿病による疾病負担を抑制するために、国家的あるいは世界的に取り組むべき、栄養上の課題が明らかになった」と述べている。

運動は本当に認知機能に良い?

 運動が認知機能に対して良い影響を与えるとするこれまでの研究報告には、解釈上の注意点があり、それらの点を考慮すると、運動による認知機能保護作用はほとんど見られないとする論文が、「Nature Human Behaviour」に3月27日掲載された。グラナダ大学(スペイン)のLuis Ciria氏らの研究によるもの。  Ciria氏によると、運動の身体的健康に対するメリットのエビデンスは、過去1世紀にもわたって着実に蓄積されてきており、認知機能上のメリットとなる可能性も示されているという。ただし、後者については、研究参加者が少ない、潜在的なバイアスリスクが高いなど、研究の質が低いものが少なくないとのことだ。

がん死亡率、ファストフード店の多さと関連

 住居地を選ぶ際にスーパーや飲食店へのアクセスの良さを考慮する人は少なくない。今回、米国・オーガスタ大学のMalcolm Seth Bevel氏らは米国における飲食店へのアクセス条件が肥満関連のがん死亡率と関係するのかどうかを調査した。近年、野菜などの生鮮食料品が入手困難な地域はFood Desert(食の砂漠)と呼ばれ、一方でファストフード店が多く集中し生鮮食品を取り扱う店が少ない地域はFood Swamp(食品沼)と呼ばれている。  今回の横断研究では、2012年、2014~15年、2017年、2020年の米国農務省(USDA)のFood Environment Atlasと、2010~20年の米国疾病予防管理センター(CDC)の18歳以上の成人の死亡率データを使用し、Food DesertとFood Swampの両スコアと肥満関連のがん死亡率との関連について調査した。

砂糖代替品に体重減少効果はなく、むしろ疾病リスク高める/WHOガイドライン

 世界保健機関(WHO)は、2023年5月15日付で、非糖質系甘味料(non-sugar sweeteners:NSS)に関するガイドラインを公開し、体重コントロールや非伝染性疾患(NCD)のリスク低減を目的としてNSSを摂取しないよう勧告する、と発表した。  この勧告は、新たな研究のシステマティックレビューの結果に基づいたもので、NSSの使用は、成人および小児の体脂肪を減らすうえで長期的な利益をもたらさないことを示唆している。さらにシステマティックレビューの結果として、成人の2型糖尿病、心血管疾患、死亡率のリスク増加など、NSSの長期使用による望ましくない影響の可能性が示唆されている。

尿酸値の低さとCOVID-19重症化リスク上昇の関連には炎症が関与

 尿酸値が低い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は重症化リスクが高く、そのメカニズムとして、尿酸値の低さのために炎症反応が亢進していることの関与が想定されるとする研究結果が報告された。大阪公立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学の藏城雅文氏らの研究によるもので、詳細は「Biomedicines」に3月10日掲載された。  尿酸値は高すぎると痛風などのリスクとなるが、一方で尿酸には強力な抗酸化作用があるため、低すぎることでも腎機能低下などのリスクが上昇することが分かっている。またCOVID-19パンデミック以降は、尿酸値の低さとCOVID-19重症化リスクの高さとの関連を示唆する研究結果も報告されている。ただし、そのメカニズムについてはまだ不明点が多い。藏城氏らは、COVID-19重症化リスク因子である、炎症、肺胞損傷、凝固能亢進という3点と、尿酸値の低さとの関連に焦点を当て、患者データを用いた後方視的観察研究を行った。

SGLT2阻害薬の高齢者への処方の安全性-EMPA-ELDERLY/糖尿病学会

 5月11~13日、鹿児島で第66回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:西尾 善彦氏[鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 糖尿病・内分泌内科学 教授])が「糖尿病学維新-つなぐ医療 拓く未来-」をテーマに開催された。  本稿では、近年、心血管疾患への治療適応も拡大しているSGLT2阻害薬について、口演「日本人高齢2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジンの製販後試験」(矢部 大介氏[岐阜大学医学系研究科糖尿病・内分泌代謝内科学/膠原病・免疫内科学 教授])をお届けする。

医療者の不足する地域は死亡率が高い/BMJ

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ―「すべての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」(厚生労働省)―を2030年までに達成するには、健康を促進または改善するさまざまな職業の保健医療人材(Human Resources for Health:HRH)が重要であるが、HRHの不平等は過去30年間で世界的に減少しているものの依然として残っており、全死亡率およびほとんどの死因別死亡率は、医療従事者とくにHIV/AIDS・性感染症、母体・新生児疾患、糖尿病、腎臓病といった、優先疾患におけるいくつかの特定のHRHが限られている国・地域で相対的に高いことが、中国・北京大学のWenxin Yan氏らの調査で示された。著者は、「本結果は、2030年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するために、公平性を重視した医療人材政策の策定、医療財政の拡大、不十分なHRHに関連した死亡を減少するための標的型対策の実施に向けた政治的取り組み強化の重要性を浮き彫りにしている」とまとめている。BMJ誌2023年5月10日号掲載の報告。

補完代替医療を利用している2型糖尿病患者は健康関連QOLが低い

 通院中の2型糖尿病患者の4割弱が何らかの補完代替医療を利用しており、利用者は非利用者に比べて健康関連QOLが有意に低いという調査結果が報告された。香川大学医学部衛生学教室の森喜郎氏らの研究によるもので、詳細は「Epidemiologia」に1月20日掲載された。  補完代替医療(complementary and alternative medicine;CAM)は、標準的な現代医療と合わせて、または単独で実施される、非標準的な医療のこと。具体的には、健康食品やサプリメント、マッサージ、アロマセラピー、ヨガ、処方によらない漢方、鍼灸、温熱療法、音楽療法、森林療法などが該当し、一般的に医師の判断ではなく患者自身の意思によって利用される。

早期妊娠糖尿病への即時治療、児と母体の予後は?/NEJM

 妊娠20週以前の妊娠糖尿病女性において、即時治療は治療を延期または行わない場合と比較して、新生児の有害なアウトカムの複合の発生をある程度は抑制するものの、妊娠関連高血圧や新生児の除脂肪体重には差がないことが、オーストラリア・ウエスタンシドニー大学のDavid Simmons氏らが実施した「TOBOGM試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年5月5日号で報告された。  TOBOGM試験は、オーストラリア、オーストリア、スウェーデン、インドの17病院が参加した無作為化対照比較試験であり、2017年5月~2022年3月の期間に患者の登録が行われた(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]などの助成を受けた)。

2型DM長期管理、週1回insulin icodec vs. 1日1回インスリン グラルギン/Lancet

 長期にわたり基礎・追加インスリン(basal-bolus)療法を受けている2型糖尿病(DM)患者において、週1回投与のinsulin icodec(icodec)は1日1回投与のインスリン グラルギン100単位と比較して、血糖コントロールの改善は同等であるが、ボーラス投与量は減り、低血糖の発現率を上昇させないことが示された。ベルギー・ルーベン・カトリック大学のChantal Mathieu氏らが、試験期間26週の第IIIa相無作為化非盲検多施設共同治療目標設定非劣性試験「ONWARDS 4試験」の結果を報告した。結果について著者は、「今回の試験の主な長所は、マスクされた連続血糖モニタリングの使用、高い試験完了率、大規模で多様な国際的集団を対象としている点であるが、比較的短い試験期間および非盲検デザインという点では結果が限定的である」としている。Lancet誌オンライン版2023年5月5日号掲載の報告。