糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:56

平均血糖値とHbA1c値の乖離の理由が明らかに/京都医療センターほか

 平均血糖値が同じ180mg/dLであってもHbA1cが7.0%台の人もいれば、9.0%近くの人もいると、A1c-Derived Average Glucose(ADAG)研究で報告されている。これらの現象はヘモグロビン糖化に個人差があるのではないかと推察されている。2型糖尿病ではヘモグロビン糖化インデックス(HGI)が高い人は、糖尿病合併症、心血管疾患、死亡リスクが増大すると報告されている。しかし、日本人1型糖尿病での報告はなかった。

糖尿病対策で外来指導強化など中間とりまとめ公表/厚労省

 「厚生労働省の腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会」は、2月13日に「糖尿病対策に係る中間とりまとめ」を発表した。  中間とりまとめによると、診療提供について「外来療養指導や外来栄養食事指導の強化」が謳われ、高齢者の糖尿病患者の低血糖予防や在宅看護など地域ケアの取り組みが追記された。また、糖尿病対策に係る指標の見直しでは、「糖尿病の予防」「糖尿病の治療・重症化予防」「糖尿病合併症の発症予防・治療・重症化予防」の3項目を軸とすることが記述された。

糖尿病網膜症、アフリベルセプトの早期投与で長期の視力改善は?/JAMA

 中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫(CI-DME)を伴わない非増殖糖尿病網膜症(NPDR)患者において、アフリベルセプトを予防投与し視力を脅かす合併症が生じた場合にアフリベルセプトによる治療を開始しても、予防投与なし(シャム投与)で同合併症発生時に治療を開始した場合と比較し、4年後に増殖糖尿病網膜症(PDR)またはCI-DMEの発生率は有意に低下したが視力の改善は認められなかった。米国・インディアナ大学のRaj K. Maturi氏らが、米国およびカナダの64施設で実施した無作為化比較試験「DRCR Retina Network Protocol W試験」の結果を報告した。本試験では、少なくとも2年間は糖尿病による視力を脅かす合併症の発生を抑制できることが示されていたが、早期投与が長期的な視力改善につながるかどうかは不明であった。著者は、「本試験で用いられた予防戦略としてのアフリベルセプトは、CI-DMEを伴わないNPDR患者には通常不要だろう」とまとめている。JAMA誌2023年2月7日号掲載の報告。  研究グループは、1型または2型糖尿病を有する成人で、CI-DMEを伴わない中等度~重度のNPDR(糖尿病網膜症重症度尺度[DRSS]レベル43~53)を少なくとも1眼有し、最高矯正視力が79文字以上(スネレン換算20/25以上)の患者を対象に試験を実施した。

リブレの使用パターンと臨床的特徴が明らかに/京都医療センターほか

 先進糖尿病デバイスの進歩により、血糖変動を点から線で計測できる時代となった。おかげで糖尿病を持つ人は自分では気付かない低血糖への対応ができるようになった。では、血糖自己測定(SMBG)のアドヒアランスについて何らかの傾向はあるのだろうか。  坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのFGM-Japan研究グループ(9施設)は、日本人の1型糖尿病(T1D)を持つ人を対象に、間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を用いたSMBGのアドヒアランスと、FreeStyleリブレシステム(以下「リブレ」)とSMBGの使用パターンと臨床的特徴がクラスター分析で明らかとなった。

GLP-1受容体作動薬・TAZ/PIPC、重大な副作用追加で添文改訂/厚労省

 厚生労働省は2023年2月14日、GLP-1受容体作動薬含有製剤およびGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの添付文書について、改訂を指示した。改訂内容は、『重要な基本的注意』の項への「胆石症、胆嚢炎、胆管炎または胆汁うっ滞性黄疸に関する注意」の追記、『重大な副作用』の項への「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の追加である。本改訂は、GLP-1受容体作動薬含有製剤投与後に発生した「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の国内症例の評価、GLP-1受容体作動薬と急性胆道系疾患との関連性を論じた公表文献の評価に基づくもの。

triple agonist LY3437943はdual agonist チルゼパチドを凌駕する薬剤となりうるか?(解説:住谷哲氏)

 GLP-1受容体およびGIP受容体のdual agonistであるチルゼパチドは昨年製造承認されたばかりであるが、すでにその次の薬剤としてのGLP-1受容体、GIP受容体およびグルカゴン受容体に対するtriple agonistであるLY3437943(triple Gと呼ばれている)の第Ib相試験の結果が報告された。その結果は、血糖降下作用および体重減少作用の点でGLP-1受容体作動薬デュラグルチドより優れており、有害事象の点でも問題はなく、第II相試験への移行を支持する結果であった。  DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬などのインクレチン関連薬の血糖降下作用を説明する際には、これまでインスリン分泌促進作用だけではなくグルカゴン作用の抑制も強調されてきた。グルカゴンはその名称が示すように肝臓での糖新生を促進するホルモンである。2型糖尿病患者の高血糖にはグルカゴン作用が影響しており、グルカゴン作用を抑制することが血糖降下につながると説明されてきた。つまり単純に考えるとグルカゴン作用を増強すれば血糖は上昇すると考えるのが普通だろう。そこが生命の神秘というか、グルカゴン作用を増強するtriple agonist LY3437943はGLP-1受容体作動薬単剤よりも血糖および体重をより低下させることが示された。グルカゴン作用を増強することで血糖および体重が低下したメカニズムは本試験の結果からは明らかではないが、グルカゴンの持つエネルギー消費量energy expenditureの増大、肝細胞での脂肪酸β酸化の増大などが関与しているのかもしれない。

「ChatGPT」は論文著者になれない、医学誌編集者団体が声明

 2022年11月にリリースされた米国OpenAIが開発した「ChatGPT」が話題を集めている。質問文を入力するとAIが次々に回答を提示してくれるこの種のサービスは、リアルの人間と会話しているような使用感のため「チャットボット」とも総称される。ChatGPTはWebから広範なデータを収集し、強化学習させた回答が提示される。執筆やリサーチにどのくらい使えるのか、多くの利用法が世界中のユーザーによって試行され、リリースから2ヵ月で月間アクティブユーザー数は1億人に達したと推計されている。

スタチン・アスピリン・メトホルミンと肝がんリスクとの関連~メタ解析

 スタチン、アスピリン、メトホルミンが肝細胞がんを予防する可能性があることを示唆する報告があるが、これまでのメタ解析は異質性やベースラインリスクを適切に調整されていない試験が含まれていたため、シンガポール・National University of SingaporeのRebecca W. Zeng氏らは新たにメタ解析を実施した。その結果、スタチンおよびアスピリンは肝細胞がんリスク低下と関連していたが、併用薬剤を考慮したサブグループ解析ではスタチンのみが有意であった。メトホルミンは関連が認められなかった。Alimentary Pharmacology and Therapeutics誌オンライン版2023年1月10日号に掲載。

一般集団よりも2型DM患者でとくに死亡率が高いがん種は?

 2型糖尿病の高齢患者のがん死亡率を長期的に調査したところ、全死因死亡率の低下とは対照的にがん死亡率は上昇し、とくに結腸直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮内膜がんのリスクが増加していたことを、英国・レスター大学のSuping Ling氏らが明らかにした。Diabetologia誌オンライン版2023年1月24日掲載の報告。  これまで、年齢や性別などの人口統計学的要因が2型糖尿病患者の心血管アウトカムに与える影響は広く研究されているが、がん死亡率への影響については不十分であった。そこで研究グループは、人口統計学的要因や肥満や喫煙などのリスク因子が2型糖尿病患者のがん死亡率に与える長期的な傾向を明らかにするため、約20年間のデータを用いて調査を行った。

尿酸の上昇は心房細動発症と関連

 さまざまな疫学調査より高い尿酸値は心房細動(AF)の独立したリスクとされている。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のMozhu Ding氏らがスウェーデンのAMORISコホート研究から尿酸の上昇がAFの新規発症と関連することを報告した。Journal of the American Heart Association誌1月12日号からの報告。  心血管系疾患の評価において尿酸値の役割はますます重要となっているが、AFとの関係は明確でない。本研究では、尿酸値とAFの新規発症リスクとの関連について検討した。